A BROKEN WORLD.
−−鼻、もとい 華 募集−−
−−− blood purge(死の追放) −−− 必要以上に長い時間 そのエレベ−タ−は動いていた。 毎回「今度こそ」と思いつつ乗り込むのだが、 動作音もせず、体には加速時の重力等が感じられない。 本当に動いているのかさえ 分かりはしなかった。 エレベ−タの内装自体もシンプルで、 普通のエレベ−タと同じく行き先表示があるだけである。 扉の横に付いている行き先表示は二個所だけで、 ”乗り込む場所と これから向かう特別な部屋。” もちろん 何かが書かれているはずも無くスイッチが有るのみで、 そのどちらに向かっているかを表す点滅表示がされ、 これがパラパラと点滅している間は移動中と言う事であった。 ”どの位 上昇または、下降しているエレベ−タ−なのだろう。” 乗り込む度の疑問である。 或いは全く上下には動いていないのかもしれない。 エレベ−タの内部照明は必要以上に明るく 眩しいくらいだ。 両側に立っている”衛兵”は、サングラスをしており、 彼らには丁度いい明るさだと思われた。 ”エレベ−タ−”に乗り込み 目が明るさに慣れた頃、 目の前に闇が広がった。 そこは、暗く・静まり返った部屋だった。 この部屋に入るのに気が滅入るのも いつもの事。 これからの取り決めに対してもだが、 雰囲気をいつまで経っても楽しめない。 とても広々とした雰囲気の有る部屋・・・・ 照明は今から向かう 会議台を照らしてはいるが、 それ以外は 闇に覆われている。 ”全体の様子が分からない様作られているのか・・・” 何時の間にか覚醒する意識。 気づくと自分の両側に聳え立つ屈強な警護。 ”またやられたな。”という言葉がいつも出る。 ”敵わない。”正直そう思う。 いつから記憶が無いかを探ろうとするが、 脳に雲が掛かったように記憶を溯れない。 天井から狂暴な光を放つ照明が、 着席しいているらしい人々を強く照らしていた。 出席者を照らす光は計算されており、 強烈な光が完璧に遮っていた。 人々の存在は感じられるが、”見る”事は出来ない。 強烈な光が完璧に遮っていた。 白く光る人々以外は、感覚すら吸い込まれそうな闇だ。 ”コツ・コツ・コツ...” 人が居るにも関わらず、私の歩いている音しかしない。 耳を澄ましても他に聞こえてくるのは 心臓の音くらいだ。 光のカ−テンをくぐると 目の前に何時も光景が映った。 何時もの決まった自分の席に着席し、 周りをそれとなく見回すと目線で挨拶してくる者や、 視線を旨く合わせない者がいた。 これも何時もの事だ。 それに相変わらず着席している人物達は変化が無かった。 どいつもこいつも良く知った者達ばかり。 ここが地下なのか、地上なのか。 回答する為のヒントすら手に入れられない。 幾度となく訪れ その度悔しがっている。 もちろん誰がこの手配をしているのか知る由もなく、 TOPに属している自分達以上の存在が感じられた。 ”今度 本格的に調べてみるか・・・ いや止めておこう。 相手が悪すぎる。 それにまだ早い。” 虚ろに考えふけてると、右側から突然。 「では 皆さんそろわれたようですね。 では、これより今期の支配者の選任を行いたいと思います。」 どうやら私が最後だったようだ。 声のする方向に目を向けると、初老の人物が居た。 私がこのTOPに属した時 すでにこの老人は居た。 それから会合が有る度、この老人が司会を務めた。 「規定により、まずご希望を伺いますが。 どなたか居られますか。」 老人は、その言葉が席に就いている皆々に染み渡るまで 見守っていた。 ・・・一呼吸あって 空気が揺れた。 私の正面 そして左隣の合計2名が静かに席を立った。 その二人を席に着いた者たち全てが、 好奇心とも驚きとも取れない視線で見守った。 これから久々の楽しみが始まるのだ。 それを知っての皆の視線だった。 「そちらは、たしか”SOL”殿。 そして こちらは ”ARX”殿。」 二人はそれに答えて 黙礼した。 「では お二人以外に 立候補される方はおられますか。」 着席した皆が、互いの反応を”目”だけで確認し合っていた。 ”相変わらず無愛想な連中だ。” だが、それぞれが新たな楽しみを迎えて気分が高ぶってるようだ。 部屋の温度が上昇したよう感じられる。 ”つまらない連中だ。こんな事しか興味が無いとは。” ”目”だけの会話をしばらく交わしていると、 老人の声がした。 「では このお二人を 候補者とします。」 その一言で決まりであった。 「では 本日より 1年の間、 SOL殿と ARX殿との間で、”神の取り決め”を行います。」 老人がそう”宣言”すると、 立っている二人は老人に体を向け 深々と頭を下げた。 長い時間に感じられたその動き。 時間が止まったように、部屋の空気が停止した。 ゆっくりと 同時に頭を上げた時には、 二人共 目付きが別人になっていた。 無理も無いことだ・・・。 ”勝利者は 神。 敗者には 死”の掟。 二人のうち 一人にはもう永遠に逢わなくなる事だろう。 ”神の取り決め”が 行われるということは、 このメンバ−の 少なくとも一人が入れ替わるということだ。 但し この場合の ”死”と言う定義は、 一般の人々の間で言う”死”とは意味合いが違った。 ここでいう ”死”とは、 ”死なない特権”の剥奪を意味する物で、 敗者=すぐの処刑 ではなかった。 ”死の取得” ともいわれ、 これにより この集まりから排除されるものとなる。 但し、その後は 誰一人として知っている物はおらず、 ただの一人として出会うことも無かった。 そういう意味では、 この組織(TOP)以上の存在がある事は 疑いの余地が無かった。 100年に1回のこの娯楽が 本日よりまた 新たに始まるのだ。 当人以外にとっては、娯楽と言う意味 以上でも以下でもなく、 単純に 観客に徹する物も居れば、ショ−以上の興奮を得るために ”どちらが神になり得るかを”賭けの対象として、 それぞれが楽しんだ。 今回の二人の 対決は SOLの統治する。(A国) と、 ARKの(B国)と言う図式になっている。 元々 この二人は中が悪く、前回の”対戦”でも戦っていた。 敗者は間違いなくSOLだったのだが、 前回の戦いでは立候補者の数が多く、 残る全てが”勝者”を主張した為に、収集が着かなくなった。 一体誰が勝者となり得たのかが ハッキリしない為、 SOLについての 剥奪処理は見送られた。 敗因の理由が この対戦で始めて使用され、 後に禁止事項になった兵器を ARXが使用しての勝利だったからである。 それも踏まえた SOLの処分であった。 兵器については、今では小学生ですらそれを使用すれば どうなるかを知っているが、 当時ここまで酷い兵器だとは思い付かなかった。 使用したARXすら、その兵器使用後の報告に驚いたほどである。 もちろん ここで言う ”酷い”という表現は、 人々が酷い死に方をするのをさすのではなく、 問題の兵器を使用すると勝者といえどもその場所での生産活動が出来ない。 すなわち、せっかく勝利を収めて手に入れた物も、 当分の間使えない事態が起こったからである。 それに立候補となっていない者に対しても被害が発生し、 もっと大きな意味で この集まりでの選出方法そのものを見直さなければ いけなくなる恐れが出てきたためである。 時間の観点の無い 彼ら唯一の楽しみである ”神の取り決め”GAMEへの参加・鑑賞が出来なくなることは、 彼ら自身 とても耐えられることでは無かったからでもある、。 ”神の選出”GAMEを これからも続けていくに当たって、 この様な事を繰り返すと、”楽しみなGAMEが出来なくなる。” という事が最大の理由である。 ”さぁ。 GAMEは始まった。” そう思ったとたん、また視界が闇に包まれた・・・・・・・ −−−To be continued.−−−NEXT
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”挿し絵”なんてあればいいかなぁ〜って・・・・ 何方か”作っちゃる!!”って御方いませんか? ぜひMAILにて ”作っちゃる!!”と。 (^-^
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