トルネ−ド -- a real tomboy --
テ−ブル一面が戦場の跡であった。 異星人達の血飛沫がそこいら中に飛び散り、 今にも崩れ落ちてきそうな抜け殻がてんこ盛りだった。 皿一杯居た異星人達すべてが、 今となっては抜け殻だけの姿で赤々とした山を作っている。 俺自身 戦闘に参加し少ないながらも功績は残した。 最初の一口を含んだ瞬間なんとも言えない遠い昔に嗅いだ匂いが、 舌の上から鼻の穴に向かって抜けていった。 好きな人には堪らない香りとなるが、 そうじゃない者にとっては堪らない匂いとなる。 味に関してはやり方次第で何とかなるが、 匂いだけはどうしようも無い・・・。 二人を目の前にして鼻をつまんで食べる訳にもいかず、 鼻で息をしない様に気を付けながら 少しずつ食べていった。 俺がそんな風にしながら食べ切った時には、 目の前に赤い山が数個完成されていた。 それらの山々を見て居ると、 気分が落ち込んでしまいそうになる位にデカイ奴が・・・。 「ひでぇ顔しているんだろうな・・・」 対照的に あゆみやエリの表情はとても柔らかく、 幸せ一杯ってところだ。 そんな俺も、運ばれてきた食後のCOFFEを飲み、 煙草に火を付け一服すると気分が段々と良くなってきた。 「良く食べたよな、みんな。」 「美味しかったぁ。」 可愛くニコニコしながら返事するエリちゃんの横で、 あゆみはメニュ−を物色していた。 「あゆみはまだ行くのか?」 「甘いものはまた別よ。 RAIも食べる?」 「お、俺はもういいよ。」 こんな状態で甘い物を食べるなんて、 俺の胃が反乱を起こしかねない。 「じゃ、エリちゃん二人で食べよっか?」 あゆみがメニュ−を指で差し示した所には、 どんぶり鉢を超えそうな、大きなガラスの器に盛られた 甘い者達がどかっと写っている。 エリちゃんはその写真を見ると嬉しそうにコクコク頷いた。 「凄いよ・・・二人共。」 「もぉ。ホントは食べたいくせに。」 「いらねぇ−、俺にはこれが有るからね。」 そう言うと、左指に挟んだ煙草を持ち上げた。 これが合図になって近くに居たウエイタ−が側まで来た。 写真を指差し注文すると、 そそくさとオ−ダ−を書き付けてジャングルの奥地に消えて行った。 「全く・・・もう。」 何に対してという訳じゃないが勝手に口から飛び出した。 相変わらず店の冷房がキンキンになっており、 太陽の光を体一杯に受けているのに何だか体が寒々してきた。 「やっぱり宇宙人は無理が有ったか・・・」 そんな事を思っていると、 向かい側に座っているあゆみがちょっと不思議な視線を俺に投げかけてた。 「あんな御友達居た・・・・RAI?」 あゆみの目線を追うと、 天下の道路上で 盛大な鬼ごっこを楽しんだ面々が ジャングルの切れ目からまさに獲物を狙う目付きで入り口付近に居た。 「原住民じゃ無さそうだな。」 この”くそ熱い”最中、 真っ黒な背広を着込んでいるなんて普通な人々な訳が・・・ そんな奴等の中に俺の友達が居るとも思えない。 「平穏な時を楽しんでいる者を侵略しに来やがって。」 如何にも被害者って気持ちが高まりそう呟いた。 俺達の周りの席は人気が無いのか、 それとも 見るからに騒々しい雰囲気を発散させている俺達に 関わりたくないのか俺達しか居なかった。 連中がジャングル越しに睨んでいる。 この店一番、いや唯一”マトモ”な席を。 人違いではなさそうだ。 俺が視線を投げかけるのが合図となったのか、 彼らの中でも一際”デカイ”男が真っ直ぐこっちに向かって 歩いて来た。 「で、どうするの? RAI」 「・・・どうするも何も。 どうしたほうがいい?」 質問に対して質問する形で答えてしまった。 俺の間抜けな返事に対して”御姫様”達は顔を見合わせて頷くと、 二人してこちらを向いた。 「が・ん・ば・っ・て・ネ!」 ニコニコしながら二人 声を揃えてそう宣告されてしまった。 間抜けな返事をしたお陰で、 俺が”Jocker”を容易く引いてしまった。 ババを握った俺の姿を楽しんでいるのか、 御姫様達はニコニコしながら俺の表情を読み取っている。 「・・・人の苦労も知らないで。」 と 小さく毒づいて席を立った。 急ぐ訳でもなく、ごく普通にカラスに向かった。 「あゆみが 面白がるのは分かっていたけど、 エリちゃんまで寂しい事を言うとは・・・ ショックだよなぁ〜」 と悲しい気分になった所で、 カラス軍団の隊長らしき人と向き合う形になった。 「まいど!」 今度は元気な声で震えも無かった。 楽しめそうだ。 「こちらに引き渡してもらおう。」 カラス隊長は、低く迫力ある声で迫ってきた。 「渡せば受取書にサインをくれる?」 そう言うと同時に軽くウインクまでしてやった。 だが意外とホントに恐い人らしく、 カラス隊長は眉一つ動かさずに俺を無視する形で 横を通りすぎようとした。 「おろろ。」 一悶着有るだろうと構えていたのに、 肩透かしを食らって驚いていると・・・御姫様達の逆襲が始まった。 店に居るほかの客達の雰囲気を壊したのはもちろん、 立ち入り禁止のブラックリスト登録確定な事をしてしまった・・・ 先ほどまでの激戦を象徴するかのように、 「ひょっとして出された分より増えていない? 」 ってな感じの残飯(残骸)をカラス隊長目掛けて投げつけた。 あまりにも突然の行動だったので、 攻撃は可哀相にカラス隊長をまともに直撃したようだ。 投げつけた皿が隊長の胸辺りに炸裂し、 折角の一張羅が見るも無残な状態になった。 胸元からは、ちょっと触る気になれない物が滴っている。 「 きゃ!」 時間差攻撃となったエリちゃんの攻撃は、 コントロ−ルを失ったUFOの如く、俺に向って一直線に飛んできた。 先ほど苦戦しつつも撃破した宇宙人達の残骸が、 派手な音を立てて俺の足元で炸裂した。 「ごめんなさい! RAIさん。」 ハッとした表情でエリちゃんが見ている。 幸いにもエリちゃんの攻撃だったお陰で、 俺の所までは届かず手前で炸裂しダメ−ジはなかった。 しかし、直撃してカラス隊長の様になったのを考えると、 気分が悪くなりそうだった。 なんだか匂いまで漂ってきそうだっ・・・。 「ん・・ホントに匂うぞ!?」 カラス隊長に視線を戻すと、 胸元やら肩やらに宇宙人の足だったであろう物体が、 不気味な液体と共に肩の辺りに張り付いていた。 「おぞましい・・・。」 丁度その横では カラス隊長に見事命中させ、 更に次を投げ付けようとしていたあゆみが目を輝かせた。 「あ!その手があったわ♪」 その手に持っている物は、 先ほどと同じく宇宙人の残骸が派手に盛られていた。 「ちょ・・ちょっと タイム!」 明らかに俺を目標に構えだした。 「俺を狙うとは・・・ 御機嫌直ってなかったのね あゆみちゃん」 悲しくなりながらも、 恐怖の攻撃を避けようと体が勝手に動き出した。 あゆみから逃げ出す形となって・・・・ あゆみの攻撃力は、 エリちゃんのように”手加減”と言うものが無く 「ブワァ〜〜ン」 と唸りを上げてこちらに飛んできた。 「もうだめだぁ〜」 と観念し身構えていると、その唸りの衝撃は背後から来ることもなく、 頭上を「ブゥワ〜〜ン」と追い越していった。 次の瞬間、逃げようとしていた方向で食事を中断し ”残飯投げ”観戦をしていた女性二人のテ−ブルで弾けた。 この席も我々と同じく店の自慢料理でテ−ブルを埋め尽くしていた。 それらがスロ−モ−ションで周り中に弾け飛んだ。 「ぎゃぁ−−」 と、黄色い声ではなく、 腐ったレモンのような声がフロア全体に響き渡った。 ドキドキしながら、 肩越しにあゆみを振り返り 恐々質問した。 「・・・・・狙ってない?」 「え? まさかぁ、そんなことないよ。 作戦作戦♪」 「・・・・・・」 「RAIも参加しなさい♪」 「・・・・・らじゃぁ〜〜 (T_T」 作戦内容もまったく判らないまま、 元気に返事してしまった。 隊長の命令は・・・・絶対であるから。 −−−To be continued.−−− NEXT
−−鼻、もとい 華 募集−− RAI.へmail GO〜 あなたからの感想を心待ちにしています。RAI.へmail GO〜
”挿し絵”なんてあればいいかなぁ〜って・・・・ 何方か”作っちゃる!!”って御方いませんか? ぜひMAILにて ”作っちゃる!!”と。(^0^

TOPへ戻る


自動ホームページ作成 GO!