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PC-88VA

 

(1997/05/12 update)


噂の88は16bit!!

 シャープがパーソナルワークステーションと銘打って発売したX68000は、その優れたグラフィック機能と、この価格帯のパソコンには似合わないスプライト機能やオーディオ機能を装備し、一躍ホビーストのあこがれのマシンとなり、好評な売れ行きを見せていた。8bit機ではPC-8800シリーズ、16bit機ではPC-9800シリーズがそれぞれのシェアを握っていたNECがこれを黙って見逃すはずはない。 「NECがX68000の対抗機を発売する」 、ユーザの間でこういう噂が広まっていた。
 そしてこのようなユーザの期待の中発売されたのが、PC-88VA(以下VA)であった。
 VAはPC-8800シリーズではあるが、なんと16bitのCPUを持ったマシンである。CPUはNECオリジナルのμPD9002で、クロックは8MHz。実はこのCPUはPC-9801VM等でおなじみのV30とソフトウェア上で互換性があり、V30の特徴でもあった8080エミュレーション(Z80の前身であるi8080をエミュレートする機能)をZ80エミュレーションに変更したものである。VAはこのZ80エミュレーションを使ってV1モード、V2モードのアプリケーションを動作させるのである。そして、16bitネイティブで動作するV3モードが新たに搭載された。

驚きのグラフィック機能

 PC-88VAのVAとは Visual Audio の略。VAはグラフィック機能も従来の88とは大きく異なっている。
 テキストVRAMはPC-9800シリーズと同じように漢字を表示できるように拡張され、さらに1行につき20回までしか色変更ができないといったV1/V2モードの制限がV3モードではなくなっている。
 グラフィック機能も 拡張 され、320×200ドットで最大65536色を2画面、640×400ドットでも256色を同時に表示できるようになった。さらにスプライト機能も標準で搭載され、サイズ可変(最大256×256ドット)のスプライトを32個まで同時に表示することができた。
 またVAはビデオ出力端子を備えており、家庭用TVに接続することも可能である。別売のビデオボード(PC-88VA-11)を使えば、スーパーインポーズ、ビデオディジタイズ(静止画キャプチャ)が可能になる。

V3モードとPC-Engine

 VAはV1/V2モードとV3モードがあり、V1/V2モードは本体のスイッチで切り替える。V3モードはPC-Engineシステムディスクで起動することで本体のスイッチに関係なく起動する。
  PC-Engine とは、V3モードのOSで、PC-9800シリーズにおけるMS-DOSの関係と似ている。事実、PC-Engineのコマンドも MS-DOSとほぼ同じ で、内部のファンクションコールもMS-DOS(V2.1相当)とある程度互換性がある。PC-Engineの大部分はVA内部のROMに搭載されており、ROM内にはTool-Boxと呼ばれる各種BIOSや強力なコマンドが内部コマンドとしてサポートされている。たとえばデバッガであるPC-Engineモニタ(MON)、フルスクリーンエディタ(EDIT)等である。またVAでは標準で辞書ROMと日本語フロントプロセッサ(JFP)が搭載されているため、フロッピーベースで運用する場合、PC-9800シリーズのように巨大な辞書ファイルをフロッピィディスク内に持つ必要がないため、フロッピィディスクの容量を気にする必要もない。
 V3モードのBASIC(N88-日本語BASIC V3)も、PC-Engine上で動作し、V1/V2モードのBASICプログラムも特別なコンバート作業なしにそのままロードすることができる(当然、機械語ファイルはCPUのモードが違うため動かない)。
 PC-EngineのファイルシステムはMS-DOSとまったく同じものであるが、V1/V2モードのディスクもコンバートなしでそのまま読み書きできるようになっている。

 ちなみにRAMは512KB、グラフィックVRAMは8bit機の48KBから256KBに大幅に増えている。RAMの増加分はV1/V2モードからは拡張RAMに見える。

V1/V2モードは従来と変わらず

 V1/V2モードは従来と変わらないが、エミュレーションの関係上、動作速度が若干異なり、ソフトウェアでタイミングを取っているゲーム等は従来機にくらべてタイミングがずれることがまれにあった。そして、N-BASICのROMが初めて削除された(N-BASIC ROMの領域はPC-EngineのROM領域になっている)。カセットインタフェースも削除され、拡張スロットも従来のものとは異なり、PC-9800シリーズの拡張スロットと同じものになったが、 PC-9800シリーズの拡張ボードは使用できない 。なお、V1/V2モード用のシステムディスクは別売になっている。

デモンストレーションが・・・

 VAにも他のPC-8800シリーズと同じように、デモンストレーションディスクが添付されている。これもVAの機能をフルに使ったデモンストレーションだった。88シリーズのデモンストレーションプログラムはシステムソフトが制作していたのは有名な話だが、このVA用デモンストレーションの一部は、あの「たいにゃん」氏が作成している。なんでもたいにゃん氏の初めての8086プログラムだそうだ(プログラム内の落書きより)。もしVAのデモンストレーションディスクを持っていたら、ぜひダンプしてみてほしい。
 ちなみに、PC-Engineのシステムファイルの1つ、ADVGBIOS.SYSにもクレジットがある。こちらはあのTHEXDERの作者、五代響氏の名前がある(五代氏はVAのフリーソフトも数多く作っていた)。これもユーザはぜひ確かめてみてほしい。


「NECがX68000の対抗機を発売する」
 私はそう信じたくなかった。なぜなら、単に対抗機として開発したのなら、ToolBoxのような高機能BIOS群は必要なく、PC-9800シリーズと同じくらいの水準のBIOSでよかったはずである。

Visual Audio
 NECはつい数年前まで「AV機器」といわず「VA機器」といってた時期があった。

グラフィック機能の拡張
 グラフィック機能は従来の8ビット88シリーズと比べて飛躍的にアップしている。ここに示したのもほんの一部で、320×200ドット、4096色中16色表示を2画面重ねあわせ可能など、ゲーム作りに最適なモードまで存在する。変わったモードとしては320×400ドットという横長ピクセルのモードもある。

PC-Engine
 家庭用コンピュータゲーム機「PCエンジン」とは異なる。ゲーム機の方は PC Engine だが、VAのOSは、 PC-Engine である。ハイフンが入っているかいないか、大きな違いだ(これを俗に「重箱の隅」という)

MS-DOSとほぼ同じ
 PC-EngineにはMS-DOSにおける「標準入出力」という概念がないため、標準入出力を使用するアプリケーションは動作しない。MS-DOSは画面表示やキーボード入力も標準入出力なので、画面対話形式のアプリケーションは機種依存性がなくてもVAでは動作しない。但し、ファイル操作だけのアプリケーションならVAでも動く場合があった。ちなみに、フリーソフトウェアでPC-EngineにMS-DOS相当の機能を付加するMSE(MS-DOSエミュレータ)が公開されている。 VA-LINKに掲載されている「くるみさんのホームページ」にもアップロードされている。

PC-9800シリーズの拡張ボードは使用できない
 これはNECの公式なコメント。しかし信号線やタイミング等、PC-9800シリーズの拡張バスに酷似しており、デバイスドライバさえ作成できればPC-9800用の拡張ボードも使用できるものがある。事実、PC-9800用SASIハードディスクのインタフェースボードはVAでそのまま利用でき、PC-Engineでもきちんと認識される(当然、インタフェース上のROMは殺しておく必要がある)。RAMボードもバンクメモリや一部のEMSメモリが利用可能である。但しデバイスドライバが必要。
 VAは元々PC-9800とPC-8800の両方のソフトが動くマシンとして開発されたのだが、バグが取れなかった為に98互換機能を外して発売した、という噂もある。

 
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PC-88VA2 / PC-88VA3

 

(1997/05/12 update)


付属ソフトウェアが強化されたVA2/VA3

 PC-88VA2/PC-88VA3はPC-88VAの後継機で、PC-8801FA/MAで搭載されたステレオFM音源を標準装備し、辞書ROMの増加(512KB)、JFP学習領域の増加、テキストVRAMの増加(64KB→256KB)、数値演算コプロセッサ(8087-2)ソケットの装備等の改善を行っている。また、従来では別売であったアニメーション作成ソフトウェア「アニメフレーマー」を標準添付し、PC-88VA用NEC製ソフトウェア(NET-ACCESS V3等)の体験版を添付している。

VA3には9.3MBフロッピィディスクドライブを初搭載

 VA3には、新たに9.3MBの3.5インチマイクロフロッピィディスクドライブが1台標準で実装されている(V3モードでのみ使用可能)。この9.3MBというのは、メタル磁性体を使用した専用のメディアを使用して、従来の2HDの3倍密度、3倍トラックを実現しているもので、俗に2TDと呼ばれた。なおメディア形状は通常の3.5インチ2HDフロッピィと変わらず、2DDや2HDのディスクも読み込みのみ可能である。ちなみに2TDのメディアの価格は定価で1枚5000円程だったと記憶している。
 なおVA/VA2にも外付けの3.5インチ2TDドライブがインタフェースボードとともに別売された(外付けドライブには最大2台までドライブを増設可。VA3には接続不可)。

PC-EngineはV1.1へ

 VAシリーズのOS、PC-EngineもV1.1にバージョンアップされた。これはBIOS ROMの増加によって実現されたもので、内部コマンドの増加や機能拡張が主な内容である。
 アニメフレーマが標準添付になったことで、内部コマンドでアニメフレーマで作成した音楽、アニメーションを演奏できるようになり、ディスクの最適化(MS-DOSやWindows95でいうデフラグ)、UNDELETEコマンド等も追加された。スクリーンエディタであるEDITは、なんとキー定義、マクロ機能までサポートするようになった。
 N88-日本語BASIC V3もバージョンアップし、V3.1になった。内容はアニメフレーマのデータを直接利用することのできるコマンドの追加、数値演算コプロセッサのサポート、拡張されたFM音源のサポート等である。

VA用にソフトウェアバージョンアップボード発売

 初代VA用に、PC-88VAソフトウェアバージョンアップボードが発売された。これは増設された辞書ROMと追加BIOS群を収めたROMで、これを拡張スロットに装着することで内蔵のPC-Engine V1.0がV1.1にバージョンアップする。但し数値演算コプロセッサは装着できないため、数値演算コプロセッサ命令は使用できない。

 
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PC-98DO

 


PC-8801 + PC-9801 = PC-98DO

 PC-98DOはなんとPC-9801VM11相当とPC-8801MH相当を1つのボディに収めたマシンである。VAシリーズとは異なり、98モードと88モードという2つのモードがあり、それぞれに別々のCPUが搭載されている。98モードはμPD70116(V30)10MHz、88モードではμPD70008AC-8(Z80H相当)を搭載しており、それぞれのモードはスイッチで切り替える(システム立ち上げ時にのみ変更が反映されるので98モードと88モードを切り替えながら運用するといったことは不可能)。

どちらも中途半端な内容

 基本的にDOはPC-9800シリーズのため、周辺機器はPC-9800シリーズのものを使用する。98モードの仕様としてはPC-9801VM11相当で、当時のマシンがPC-9801RX(CPUは80286相当)等が普及している中、98としては時代遅れといわざるを得ない。また拡張スロットも1つ、ハードディスク内蔵不可となっているので、拡張性は低い。
 88モードではPC-8801MA/FAが登場している中で、拡張FM音源を搭載しなかったことも中途半端である。ちなみに88モードではRS-232Cは使用不可、拡張スロットなし、PC-8801用マウスは使用不可(PC-9801用マウスを使用)、キーボードはPC-9800シリーズのものを使用、となっている。また88モード用システムディスクは別売となっている。

 
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PC-98DO+

 


88モード、98モードともバージョンアップ

 PC-98DO+はPC-98DOの後継機で、それぞれの機能をバージョンアップさせた機種である。98モードは従来のμPD70116(V30)10MHz駆動から、μPD70136A(V33)16MHz駆動となっている。拡張性への回答として、ハードディスクを本体に1台内蔵可、そして98NOTE用メモリカードを増設可能となっている。しかし相変わらず拡張スロットは1つのままである。ちなみにこのV33というCPUはV30を高速化したCPUで、PC-9800シリーズでは後にも先にもこの機種だけの搭載となっている。
 88モードではCPUの変更はないものの、サウンド機能がようやくPC-8801MA相当となった。また、別売マウス変換コネクタによりPC-8801用マウスも使用可能になった。相変わらず拡張スロットはなし、RS-232Cは使用不可、システムディスクは別売となっている。

不可解な98モードのFM音源

 88モードでOPNAを搭載したものの、98モードではハードウェア的にOPNとしてしか認識されなかった。これは非公開のI/OポートによりOPNAの拡張ポートを有効にしてやらないと98モードからOPNAが使用できないようになっているためである。当時の98ユーザとして、ハードウェア的に非常に興味深かった個所ではないだろうか?ちなみにPC-9801-86(新サウンドボード)もこれと同じようなしくみを持っている。


Copyright © 1997 by Hiroshi Ariki / <hariki@lares.dti.ne.jp>

Last modified May 12, 1997