白山神社 石川県羽咋市滝町 旧・村社
現在の祭神 菊理姫命
[合祀] 天照大御神 <野村神社>
本地 十一面観音

「羽咋市史 中世・社寺編」

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白山神社 滝町
鎮座地 滝町の西出の高所すなわち山出にあり、南面して滝港を見おろす好地に鎮座する。 境内地1358.6坪(神社明細帳)
祭神 明細帳では祭神を菊理姫命・大照大御神とする。 天照大御神は明治四十年に合併した村社野村神社の祭神である。
社格 明治初年に村社に列し、昭和十八年四月に神饌幣帛料供進神社に指定された。
由緒 創祀の由来は明らかでない。 気多神社の摂社白山神社(菊理姫命)の分霊を奉祀したものだともいわれている。 明治の初めまで本地仏として奉斎された十一面観音は、往昔、桃の木に乗じて滝浦に漂着したと伝えられ、明治の神仏分離にあたって一ノ宮の西教寺に預けられたが、後に滝部落に堂宇を建てて安置してきた。 六月一八日は漂着の日と伝えられるところから、毎歳この日に西教寺を請じて読経する慣行となっている。
 なお明治前の本社の社名は、宝暦十一年(1761)・文政三年(1820)・同十一年・慶応四年(1868)の書上類には湍津姫大明神あるいは湍津姫社としているのは鎮座地の滝にちなんだものであろう。 また文政三年の書上では湍津姫大明神を俗に十一面観音と唱え申し候と記し、慶応四年の書上では玉依姫尊としている。 しかし十一面観音によって知られる通り、本社は白山社だったのである。 そこで文政一一年・慶応四年の書上では相殿の神として白山の菊理姫命をかかげ、明治になってからは菊理姫命を主神とし、湍津姫命は名を表わさないようになったのである。 もっとも村方においては「観音」とよんでいたようである。