扁額


焼火神社に保管されている扁額は、持明院権中納言基輔卿の二 男、京都東寺観智院僧正賢賀の筆になるもので、松平定信(楽翁)の編になる 「集古十種」の扁額の部に掲載されており、同僧正の筆になるものが当社のも のもふくめて三点入れられている。当社に原書並添翰が保存されているので併 せて紹介する。旧源福寺にも「隠岐院」の扁額が保存されているが、この書も 持明院基延筆(文政十年ー原書なし)で書法は全く同じである。持明院家には こうした扁額用デザイン文字の書法が代々伝えられていたのである。「添翰。 山陰道隠岐国島前焼火山雲上寺当住善純法印者予資也。観智院法未年歳既久。 有権現神祠礼拝成群華表在海辺也。法印来於京師、語曰神廟荘厳縡已周備、未 掲額字冀労師筆、為永世偉宝牟予謂累代勝縁何敢 黙尓向千八襄且羅微恙不得 肆力予別無一長可取、徒執筆成字非放以為正也。古人言観其書慕其人牟吾学額 字也。元禄年間志学之比、従祖父基時卿得此伝也。且野山西方院春深興使筆法 於千歳之下此等法皆在吾寺。不得止而筆之者垂四十餘国二百餘所、就中萬歳楽 之三字、一枚施薩州之僧、一枚献大守、一枚贈琉球国波上山三光院真言宗国祷 寺、鳴呼何幸加之方今子之懇請何復容辞。若待予之暇書則至来年、亦不可知船 便亦希、於是率應其需因勒蕪陋之詞以贈焉。宝暦十年龍集庚辰六月七日。真言 一宗惣本寺、東寺定額僧貫主、観智印僧正賢賀(書判)。(松浦康麿) 島前の文化財 6巻

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