オーシャンズ11

Ocean's Eleven
2001年/アメリカ/1時間57分

監督
スティーヴン・ソダーバーグ

脚本
テッド・グリフィン

撮影
ピーター・アンドリューズ

音楽
デイヴィッド・ホルムズ

出演
ジョージ・クルーニー/ブラッド・ピット/ジュリア・ロバーツ/
アンディ・ガルシア/マット・デイモン/ドン・チードル/エリオット・グールド

フランク・シナトラ主演の『オーシャンと11人の仲間』を原作に、
アカデミー賞監督ソダーバーグがオールスター・キャストを
低予算で獲得し撮り上げた犯罪群像劇。


★★★★☆

オールスター・キャストが功を奏したのか
公開2日間で8億7千万円を稼ぎ出し、
10週目の『ハリー・ポッターと賢者の石』を抜いて1位に輝いた本作。
お正月・夏休み映画を除いて過去最高の滑り出しを見せたが、
この勢いを『ロード・オブ・ザ・リング』公開まで保てるか?

作家性の高い『セックスと嘘とビデオテープ』や『トラフィック』。
娯楽性の高い『アウト・オブ・サイト』や『エリン・ブロコビッチ』。
ソダーバーグのキャリアを強引に二極分化させると上記のようになるが、
共通しているのはいずれもスタイリッシュであるということに異論は無いと思う。
後者である本作は、『スパイ大作戦』『ルパン三世』『スニーカーズ』と同ジャンルで
目新しい素材に乏しいものの、古き良きハリウッド映画の香りを漂わせつつ、
ソダーバーグならではのテクニックでスマートにまとめられた良質の娯楽作である。

とは言え、諸手を挙げて絶賛できるかというと、そうでもないのだ。
ネオ・クラシックを意識するあまり、
『カジノ』に代表されるラスベガスの暗黒面を徹底的に排除した結果、
あらゆる見せ場が無難に薄っぺらくなってしまって、
ニヤリとはさせられても高揚感はついぞ覚えることが無かった。
「冷酷なホテル王」アンディ・ガルシアは「冷静なビジネスマン」にしか見えないし、
アイディアを駆使して奪い返すほどの魅力を今回のジュリア・ロバーツには感じない。
クルーニーとブラピとマット・デイモンにポイントをおく演出戦略は至極まっとうではあるのだが、
使い古された構図をねらいすまして提示されても「萌え」感には至らない。
そこにソダーバーグの芸風の限界があるのだろう。
彼はやはりエンターテイナーである前にスタイリストなのだ。

(2002/02/08)

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