2006年11月25日(日)  GPSログ
上神梅駅〜草木湖〜足尾〜間藤駅 52km 晴れのち小雨 


     

 久しぶりのツーリングに、東武鉄道りょうもう3号/上野7時40分赤城行きに乗り込みました。9時22分に相老駅 に到着。跨線橋を渡り、チョコレート色をした2両編成のわたらせ渓谷鐵道に乗り換えました。
 車内は比較的空いていて一番後ろの席を陣取れたので、後部の窓から写真を撮ったりして車窓からの風景を楽 しめました。 わたらせ渓谷鐵道は、切符は車内で車掌さんに自己申告をして購入、輪行袋は手回り品\350が必 要です。



     

 紅葉の中を通りながら、僅かづつ高度を上げて進んで行きました。3つ目の上神梅駅で降り、自転車を組み立て 出発。昼まで晴れて午後から下り坂という天気予報通りで、まずは青空が広がっていました。



   
 
レトロな駅舎の上神梅駅(かみかんばい)を出発し、渡良瀬川を越えて国道と122号線と反対側を走る地方道に向 かいました。車も全く通らず、とてもよい雰囲気でシメシメと思ったのもつかの間、進んでゆくとすぐに道路崩落のた め通行止の看板。 多少の崩落なら自転車でも通れるかも、と乗り越える誘惑に駆られたものの、日照時間が短 いので、このまま進んで途中から引き返すことになると時間が足りなくなる恐れと、熊に遭遇する可能性も考えて潔 く撤退して駅まで下り、国道で足尾方面に向かって再び登りはじめました。 



    


 国道122号からみると先程の県道の行き止まりのところから少し先のところに崩落ヵ所があり、見事に道がばっ さりと無くなっていました。 進んでいたとしても突破は難しそうに見えたので、引き返したのは正解でした。
 国道は比較的交通量が多く、また時々バイクの集団が爆音を轟かせて通ってゆくので、「道の駅」くろほね・やま びこで軽食を摂った後、水沼から国道から逃れて再度県道に入りなおしました。
 こちらは車の通りがほとんど無い代わりに、お約束の<熊出没注意>の看板があったので、夏の北海道に行く際 に入手した熊鈴を取り出し、人気のない道をゆっくりと進みました。
 もうすぐ12月という時期でしたが、まだまだ紅葉は見頃。 紅葉を見るならゆっくり登りながらいうのが一番。 下 りだとスピードが出てしまい、わざわざブレーキをかける気にもならないので、あっという間に通り過ぎてしまいます ので。



      

 渡良瀬川に落ちる小さな滝を見ながら小休止していると列車の音が聞こえ、ちょうど良いタイミングで渓谷鐵道を 撮影。 路面は良好で、自転車には絶好の道でした。



  ひっそりと佇む草木湖の様子

 草木湖に出る直前に、橋見下ろすととてもきれいな滝に遭遇。 小さな華厳の滝という感じです。帰ってきてから 調べると不動滝と言う名前だそうです。 国道からは少し離れているせいか、見物する人も少なく、とても得した気 分になりました。橋から下まで降りることができましたが、階段が急なので底の滑りやすいサイクリングシューズは 要注意です。 草木湖ダム湖で、国道と反対側のためか、売店も何もなく静かな佇まいでした。



    

 草木湖から先は再び国道122号に戻りました。途中のトンネル脇に旧道があるのを見つけて進んでみると、大量 の落ち葉が積もっていました。 しかもかなりの厚みがありびっくりです。 その昔、足尾銅山が鉱毒を撒き散らす までは、洪水起る度に土地が肥え、その年は被害が出るものの翌年には損害以上の収穫が得られたということで すが (宇井純:公害原論より)、この大量の落ち葉を踏みしめてゆくとそれも納得です。 この旧道は、植樹されて 徐々にその姿を消そうとしていました。 
 国道脇に廃校となった小学校がありました。 看板を見ると原小学校という名前で、明治6年に開校し平成8年に 閉校、ピーク時の生徒数201名、最後は10名だったそうです。



   旧選鉱所

 今日の最終目的地の足尾銅山跡までやってきました。変電所跡など、当時の建物がそのまま立ち尽くすように残 っています。 
 ずいぶん昔ですが高校生の時に、どういう経緯だったか記憶がありませんが日本の公害闘争のリーダーであっ た宇井純さんが書かれた<公害原論>を読んで、とても感銘を受けたことがあります。 その宇井さんが、足尾銅山 がご自身の出身地の栃木県に存在したことが活動の原点になったと語っていたと記憶しています。宇井さんが先 月11月11日に亡くなったという訃報をニュースで知り、今年最後の遠出に足尾を選びました。



旧精練所   明治23年竣功の古河橋

 宇井さんは、『人生には、自然を破壊したり人びとを苦しめたりしないで済む、そういう選択をする機会が必ずあ る』と語られていたそうですが、化石燃料を消費せず排気ガスもない自転車にも少し通じる言葉ではないかと思い ます。



 

 渡良瀬渓谷鐵道の終着駅・間藤駅付近の山並です。 銅の精製過程で出来た亜硫酸ガスによって、今だにこの あたりの山肌には木がほとんど生えていないようです。 地元の方が削り取られた土を人力で担ぎ上げ、そこに植 樹するなど復旧活動が長く続けられており、最近ではかなり回復してきたところもあります。 かつての日本の公害 の原点は、植樹活動の原点となっているそうです。

 天気予報よりもいく分早く小雨が降り始めたので早目に間藤駅(まとう)に向かい、自転車を輪行袋に詰め込み渓 谷鐵道で帰路につきました。 そういえば、今年最初に出かけたところが渡良瀬遊水池だったことを思い出しまし た。 現在は、首都圏の洪水対策として存在しているようですが、当初は足尾銅山の影響を受けた渡良瀬川の水 の浄化を目的に作られたとのことです。

 今日のコースは、渡良瀬川沿いの紅葉や滝、最後に足尾銅山跡と変化に富み、勾配もそれ程きつくないので、と ても充実感のある1日でした。  




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