8月21日(土) 曇りのち雨その後晴れ
「霧の日の出 〜 それぞれの旅」朝4時に目覚める。写真を撮りに行くためだ。早朝の丘を散策して、観光客で溢れる前の景色をおさめたい。
一階に下りていくと、ひげの長いおじさんが、大きなiBookをカタカタと操作して、写真をインデックスにまとめていた。
今午前4時過ぎだよ。何時からおきてたんだろう。
あれ?・・・僕の靴が無いぞ。同じGOLDWINでもビミョ〜に違うトレッキングシューズはあるんだけど。
誰かに間違えられたに違いない。こんな靴を間違えるのは、同じバイク乗りに違いない。バイク置き場に泊まっているバイクから察するに、このV-MAXに乗っている人に違いない。
V-MAXに乗っていそうなのは・・・昨日夜遅くまでデジカメの話をしていたあの人に違いない!
どこだ?どこに寝ている??どうやら本館がいっぱいだったので、離れに泊まっているようだ。
離れの方に歩いていくと、当のV−MAX氏が出てきた。彼も写真を撮りに出かけるようだ。「あの〜シューズ間違えてません?」
事情を説明すると、あっ!という顔をして僕のシューズが奥から出てきた。彼は早朝写真を撮ると、そのまま出て行く予定だったらしい。危ないところだった〜!!
これでよし!安心してYHを出発して、北西の丘展望台に行ってみた。外は台風の影響からか、うっすらとモヤがさし、時折霧のかたまりが通り過ぎていく。
静けさと霧が印象的な朝。
展望台には、YHでレンタサイクルを借りた人が来ていた。同じく早朝散策をしているのだけど、こんな時はバイクの方が機動性がイイね。静寂の中、エンジン音を響かせて、YHの前を通り過ぎると、先ほどのひげのおじさんが一眼レフデジカメで写真を撮り続けていた。このまま五稜の丘(ながめすばらしい道)までいってみよう。
美田小学校と五稜小学校の側を通り、ポテトの丘YH言う所の「ながめすばらしい道」に到着。丘の上は曇り空と雨上がりのひんやりした地面を、登ったばかりの太陽が照らしていた。朝の静かな静かな景色。
「ながめすばらしい道」にて
日の出を静かに眺める。
ひょいと見ると、そこにはV−MAX氏もいた。彼は先に着いていたようで、ひと通り写真を撮ると丘を下りていった。僕はもう少しだけ、景色を楽しむ。
その後、セブンスターの木に行ってみたが、濃霧がひどくなってきたので、サッサと引き返してしまった。YHの談話室でぼ〜っとしていると、レンタサイクル組も帰ってきた。
談話室では先ほどのひげのおじさんが、撮影した写真をiBookでせっせと整理していた。どうやら写真データは消さない主義らしい。もう何GBも写真データが納まっているようだ。写真の中からいくつかピックアップしてCD−Rに焼いて配ったりと、少し皆とは違った雰囲気がある。この人を交えておしゃべりしていると、いつの間にかパソコンの話になっていた。
その時僕が「僕は初めて使ったパソコンって、MSXだったんですよー」というと、「そうか、西君世代か。彼は学校の後輩でね」とおっしゃる。
(西君・・・?)
MSX絡みで「西」と名のつく人といえば、あの西和彦氏しか思い浮かばないけど・・・この人、何者?二階からひげのおじさんの奥さんが呼ぶ声がする。出発のためダラダラと片付をしているおじさん。
その後奥さんが談話室に踏み込んできて、「あたしが呼んだら、すぐ来なくちゃ困るでしょー!」
”ぱちーん!”(おじさんの頭を叩く音。いい音したなぁ・・・)
(エライケンマクやね・・・)絶句する周りの人。「あ〜コワイコワイ」と言いつつ、連行されてしまいました。
※帰ってから調べてみると、とてもエライ大学の教授であることがわかった。僕の生まれる前から、CGの研究とかしてるらしいが・・・!
着ていた桃岩荘のTシャツに、非常に興味をもっておられました。
外は相変わらず曇り空。僕はここにもう一泊するので、洗濯でもして晴れるのを待つことにした。
11時ごろに晴れ間が出てきた。写真を撮りに行くぞー!もう駅の西側は人が多くなってきてるので、美瑛駅をまたいで東側に行ってみる。こちらは観光コースには入ってないので、写真を撮るには都合が良い。
西側のような有名な木は無いけど、絵になる風景を自分で探すのも楽しい。あ!畑の真ん中に、キタキツネがいる!真ん中の”点”がキタキツネなんです!
この日は徐々に雲が増し・・・
雲が再び多くなってきた。雨が降りそうな気配がどんどん増してくる。
ポテトの丘のほうを見ると、黒い雲がかかっている。どうしようか。ポテトの丘に戻るべきか?ちょっと迷ったけど、ポテトの丘に戻ることを決意した。途中、雨が激しさを増し、雨粒がどんどん大きく、激しくなっていくのがわかる。
YHに戻ってから数分後、ものすごい豪雨になった。ペアレントさんの話では、こんな天気になるのは、美瑛では珍しいとのこと。危なかったぁー!ポテトの丘YHから嵐を撮影
YHで雨宿りをしていると、仕事をやめて旅に出てきたという人と話をすることになった。
美瑛ポテトの丘YHの裏手にある洋食屋さん「ブランルージュ」で一緒にお昼御飯を食べる。ここのビーフシチューは絶品!一度お試しあれ。
一緒に行った彼の話を聞くと、今までいろんな仕事をしたけど、どうも続かないらしい。お金はあまり無いけど、気分を一新するために旅に出てきたとか。みんないろんな悩みを抱えてるんだな・・・
何となく彼の食事をおごってしまった。その昔、僕も旅先で見ず知らずの旅の先輩に、おごってもらった事があったからかも知れない。僕もいつしか、そんな年齢になってしまったのかも。
「就職決まってからまた北海道に来ることがあったら、誰かにおごってあげや〜」
そう言って、彼と別れた。そのまま夕方の5時頃まで再び談話室に入り浸り、雨があがるのをひたすら待ち続けた。子供と「黒ひげ危機一髪」なんぞしながら。
ようやく雨があがり、厚い雲のかたまりが流れる空の下を、再び五稜の丘までバイクを走らせる。
「ながめすばらしい道」から見渡すと、先ほど豪雨を降らせた雲が遠くの方に見える。その下に雨を降らせているのが良くわかる。あぁ、あの辺りは雨なんだな。
夕方の丘を散策すると、カメラと三脚でじっと粘る人が随所にいた。
空の済んだ青は徐々に深みを増し、丘の木々たちは夕闇に包まれていく。小さな月がポツンといる深い青と、少しずつシルエットになっていく丘。
美しい。今回の旅は、この景色に出会うための旅だったんじゃないかと思う。空と雲、そして丘の景色が美しい。
空には小さな月が出ていた。
闇につつまれていく丘の景色
その夜も、御飯をおかわりし、地ビールを飲みながら昨日とは違う人々とおしゃべりを楽しむ。
外では遠くの方で花火が上がっている。僕も2階の窓から眺める。明日は北海道最後の日。ついさっきまで旅はいつまでも続く気がしていたが、だんだんと終わりを感じさせるように気持ちが切り替わっていくのを感じた。そんな夜だった。本日の走行距離:93.9km
本日の音楽:「The Stars in E」(Bert Matschat)