8月22日(日) 晴れ


「北海道最後の日 〜 旅のこころ」

昨日ベッドに入ったのが何時だろう。ふと目覚めると2時30分。4時に起きようと思って寝る。もう1度目覚めたときには、5時30分。あ〜!寝坊してしまった!
外の様子を見ると、曇り空満開。でも美瑛にいられるのは今日しか無い。着替えてカメラとヘルメットとタンクバッグを持ってフロントに下りると、そこには早くもマウンテンバイクで五稜の丘まで行ってきた人がいた。
どうやら天気が写真向きではなかったので、さっさと引き返してきたらしい。
それでも何かシャッターチャンスがあるんじゃないか?と思い、朝のシャープな空気感を味わいながらバイクを丘向かって走らせる。
丘の上では真上に青空がぽっかりと開き、周りに太陽に照らされた雲のかたまりが輝いていた。
まだ薄暗い丘の上で、ダイナミックに流れる雲を写真に収める。輝く雲の白さが、帰って空の青さを際立たせていた。

ふたたび「ながめすばらしい道」から


あ、キタキツネだ!
それから親子の木などを巡ってきたけど、どうにも雲が多くなってきたので、1時間くらいで引き返すことに。

「親子の木」

朝食の後、談話室で出発前の会話を楽しんだ後、北西の丘展望台を経由して、もう一度五稜の丘まで行ってみる。どうやら今回は曇り空ばかりだった。しかし一本の木や親子の木に行ってみたとき、空の青が徐々に増してゆき、丘の景色と空の景色のバランスが絵葉書のような美しさを演出し始めた。もう一度五稜の丘だ!・・・流れる雲と丘の景色。そして空の青さがすばらしい!まさに「ながめすばらしい道」だ!その後やたら観光地化が激しいマイルドセブンの丘を散策した後、美瑛駅に立ち寄りフィルムを買い足す。
駅前にポジフィルムを売ってる所があってよかった。

談話室にて、皆さんと一緒に。

丘に青空が蘇ってきた

流れる雲が印象的だった

マイルドセブンの丘の近く

美瑛駅

晴れた美瑛を堪能堪能したらお腹がすいてきた。もうお昼だ。
昨日情報を仕入れた「ゲソ丼」を食べに行こう!国道237号線を北上し、旭川駅近くにある店「花ちゃん」に入る。
「ゲソ丼」は呼んで字のごとくゲソのかき揚げにタレをかけた丼だ。一人前350円。安い!
僕はうどんとのセットを注文する。それでも450円!

ゲソ丼とうどんのセット


お、甘辛いタレとゲソの味で、思った以上に食が進む。おじょ〜ひんに食べるよりも、ガツガツと食べた方が格段に美味しい味わいだ。店のおじさんとおばさん、それからタクシーの運転手さんと、「虫刺され(スズメバチ含む)の対処法にはタバコ」などの意外な話を聞きながら、丼を空ける。壁に吊ってあったノートに感想を書いて(美瑛の「瑛」の字を間違えて書いた気がする)、店を後にする。

「花ちゃん」

小樽まで行くのに、道央自動車道に入った。深川・・・滝川・・・・・・眠い。
何やってるんだ、僕は?ダラ〜っと高速道路なんか走って、一体何が面白いんだ??
高速道路を走ってたって、何も発見できないじゃないか!

”何か間違ってる。いつの間にか、間違った感覚を持ってる。”

砂川SAでひと休みした後、奈井江砂川で降りて、国道275号線に入る。
この先には・・・サーモンファクトリーって面白そう。行ってみよう!
道道81号線に入り、石狩湾を右手に走る国道231号線に出た。
サーモンファクトリーは、シャケをはじめとする海産物が、所狭しと並んでいる。まさに食べ歩きメインの施設だ。特に特大の海鮮おにぎりにはかなり惹かれたけど、ガマンガマン・・・ここで食べてしまっては、小樽の蔵寿司が・・・!
結局、缶コーヒー買っただけで再び走り出す。今度来た時は、小樽出発の後におにぎりを食べたい。また新たな目標が出来た。

「サーモンファクトリー」

そのまま国道337号線、国道5号線を走り、無事小樽に到着。
太陽が徐々に沈む小樽の街を眺める。少しずつ闇に溶け込んでいく小樽運河を歩いたり、六花亭を散策したり、地元では売ってなかった北海道の地酒「国稀」を買ったりして、淡々とした時間を過ごした。

夕暮れの小樽運河

そろそろ蔵寿司に行こう。

店の扉を開けると、あの板さんが快く出迎えてくれた。いつものやつとばかりに、おまかせを注文。今年の北海道は、蔵寿司に始まり蔵寿司で終了するのかなぁ・・・
砂時計の残り少ない砂を見つめるような、そんな感覚を抱いているのが分かった。
「では、また来年!」
再会を板さんに約束して店を出る。

小樽運河は小樽の夜景を映し、観光客で溢れかえってるはずなのに、雑踏が帰って心地よいような、そんな景色に変わっていた。今夜のフェリーで帰る事が、そういう風に感じさせたのかもしれない。
橋の上では、バイオリン弾きのおじさんに人が集まっていた。

こんな夜にぴったりの曲を弾いてくれる。

そろそろ時間だ。フェリー乗り場へ行かなければ。小樽、またね。

停めていたバイクに乗り、フェリーターミナルの駐車場まで走る。
もうフェリーが目の前にいないとおかしい時間なのに、乗るはずのフェリーの姿が無い。
どうやら3日前の台風の影響がいまだに続いているらしく、入港が大幅に遅れているらしい。

フェリーターミナルで寝たり、周りのライダーと話をしながら、いつ来るとも知れないフェリーを待ち続けた。
みんな楽しそうにおしゃべりをたのしむ。しかしみんな、どこか現実に縛られているから仕方なく帰る、といった気持ちを抱えているようだった。僕も同じだ。あと1日欲しい。でももし、もう1日くれたら、さらにもう1日・・・

舞鶴行きのバイクが列を作る。

結局、その夜23時30分に出航の予定が、日が変わって0時30分にバイク乗船開始。フェリーの名は「あかしや」。
新造船は同じような構造らしく、またあの階段を荷物を持って上り、部屋に駆け込む。

1時30分出航。
遠ざかる北海道の土地を眺める。「今年も無事終了かな・・・」

小樽の夜景が、真っ暗な海に小さくなっていく。

夜の景色が、帰る寂しさを増していた。

ゆっくりと旅の思い出を振り返る夜。

本日の走行距離:252.3km
本日の音楽:「Colorful〜Rock Star Version」(The Verve Pipe)