8月21日(日) 曇り
「拾いたての栗」ユースホステル時代もそうだったのだろうが、「ペンション 天狗山」はスキー客メインの宿らしい。ゲレンデがすぐ目の前なので、冬場が一番忙しいのだろう。夏の盛り時期もそれなりに忙しいとは思うけど、今は8月下旬。既にピークは過ぎているはずだ。
一体何が言いたいのかというと、ペンションで働いている人が実質2人しかいないのだ。
それも見るからにアルバイターと思われる。それでフロントから料理までやってるので、対応がおぼつかない。
朝食は隣の「山麓館」で出されるなんて、聞いてないって!
早速待たされた数人+僕は2人のうちの1人に連れられて、隣の「山麓館」に到着。
手早く朝食(YH時代よりも、微妙に質素になってたな・・・)を済ませると、バイクに荷物を積み込み出発!
曇り空の小樽を飛び出し、国道5号線から337号線を駆け抜ける。途中、昨日フェリーで小樽に着いたであろうバイク、小樽を通り過ぎるであろうバイク、今日小樽からフェリーに乗るであろうバイクを沢山見かける。
国道231号線に入ると、昨年食べるのを見送った特大のおにぎりを求めて「サーモンファクトリー」に立ち寄る。
まだ9時過ぎたところだよ。中では明かりがついてるけど、開店時間は10時!?
しばらく待って、何とか早めの9時40分におにぎりを買う事ができた。
「紅鮭」「ハラス」「あきあじ」「たらこ」など何種類かある中で、僕は「ミックス(すじことハラス)」を食べてみる。
一口大きくかじってみると、中からは具が飛び出してきた。美味い!鮭の味が口の中に広がる〜♪ちょっと食べにくいけど〜♪
第2の朝ゴハンも済ませたことだし、先を急ごう!
ひたすら国道231号線を北上する。曇り空だけど、北海道の快適な道に、自然とスピードも上がる。厚田の辺りだろうか・・・何だアレは!?
急ブレーキで減速し、バイクをガード横に停める。”浮き”にアザラシが戯れているぞ!
ほぉ〜、これは珍しい・・・と写真を1枚撮る。ふと見るとガード向こう側のがけに、1人のご婦人が座っていた。
僕:「何やってるんですか?」
そのご婦人:「ダンナを待ってる」
ん?よく見ると浮きの近くにいたのは、ウェットスーツを着た男の人だった。
話をしてみると、旦那さんはたまに、この時期こうやって潜っているそうだ。僕も昨日北海道に着いたばかりなんですよ〜と話し出す。
しかしこんな急な崖を、よく降りられたもんですね?疑問に思っていると、どうやら裏にトンネルがあるらしい。
案内してもらうと、道路の下を直角に掘り進んだようなトンネルが海までなだらかに続いていた。これなら簡単に海に入れますよね!
ご婦人:「待っときな。とれたての(栗)食わしてやっから・・・」
僕:「え、いいの〜?」
クルマに積まれたクーラーバッグから、何故かイガの動いてる(栗)を1つ取り出し、小さなナイフの柄で割って、指ですくって食べさせてくれた。
甘〜い!いつも新鮮だと思って食べてる(栗)よりも、はるかに風味がいい!!
僕:「甘いですね〜」
ご婦人:「そりゃそうさ。店で売ってるのは、ミョウバン使ってるから苦味があるのよ。」1個の(栗)からとれる(実)(身ではなくあくまで”実”)は少ないけど、新鮮さは素人でもよく分かる。
割ったところも見たけど、へぇ〜あまり(栗)の割ったところって見たこと無かったよなぁ・・・いつも見るのは、割った後の(実)の部分だけだもんなぁ。
(栗ご飯)(=ご想像におまかせします・・・)とかするんだったら、何個も(栗)が必要なんだろうな・・・また少し話して、ご馳走になったお礼を言い、再び北を目指す。
増毛、留萌を駆け抜け、バイクは快調に北を目指す。
そういえば前来た時よりも、風力発電の風車の数が増えたよな〜
苫前の手前。ツーリングマップルによると、風車が40機近くも並ぶ景色が見える丘があるらしい。
この辺りだけど・・・一体どこから入ればいいのだ・・・?おぉっと!危うく通り過ぎてしまうところだった!
小さなわき道が、丘の上まで続いていた。丘一面が見える広場(空き地)から周りを見渡すと、そこはまるで、風力発電の風車に囲まれているかのような場所だった。
すご〜!こんなに沢山の風車をいっぺんに見たのは初めて。側まで歩いていける風車のに近づくと、シュンッ!シュンッ!と回転する翼が風を切る音が聞こえます。近くで見ると、思った以上に迫力アリです。「翼に掴まったまま振り落とされそうになってるのを必至に耐えている夢」を見そうなくらいスゴイ迫力です!
そういえば今年は、今までと比べてチャリダーが多い。今日が初日みたいなものだが、沢山のチャリダーとすれ違ったり追い越したりした。中には、折りたたみ自転車のプジョーで北海道を旅するチャリダーもいた。何だか独自のポリシーを感じる。
実は今日、「日本海オロロンライン トライアスロン」が開かれており、オロロンラインは至るところ交通制限をしていた。一定感覚で監視の人が座り、最後のマラソンに入った人が次々と南下していく。
道の駅「富士見」に着くと、そこはマラソンの出発ポイントだったようで、次々とバイク(=チャリ)が入ってきてはラストのマラソンに出て行く。
オロロンラインでは車に乗った観光客だろうか。小さな子供たちがトライアスロン出場選手に次々と歓声を上げていた。選手もそれにニッコリと笑って答える選手が多かった。声援に応えるだけでも、消耗するだろうに・・・だけど、こういう瞬間って、いいよね。
サロベツ原野パーキングエリアでひと休みした後、パンケ沼の南にあるビジターセンターに行ってみる。
そうだ!去年はタイミングが悪くて会えなかった、Babiさんに電話してみよう。
電話に出てくれた!今年はようやくお会いできそうだ。思えば初めてお会いしたのが6年前、前回お会いしたのも5年前になるのか・・・もう、そんなになるの?
バイクをBabiさん家に向かって走らせる。道なんて全くのうろ覚え状態であったが、目印となるポイントは幾つか頭の片隅に残っていたので、5年前のルートを再現できた。Babiさんの家だ。感動的な再会!というよりは、幾分かあっさりした感じの挨拶から会話は進む。去年は絶妙のタイミングで会えなかった事、お子さんのこと、最近の生活のこと、ネコの話・・・
旦那さんも入って会話は進んだ。だけど、5年分を話すには時間は限られていた。
最後に旦那さんから、バイクなどのゴーグルに付けるクイックリリース用のアタッチメントを頂いた。有難うございます!大切に使わせてもらいますね!!(実際、こういうのがあるなんて知らなかったよ。これで、ゴーグルを外す時にとても楽になった!)もうBabiさんの家に着いて2時間位経ってるの!?
もうそろそろ今夜の宿に向かわなくては。8月も下旬に入ると、日がだんだん短くなってるのが分かる。今夜の宿、北海道ツーリング開始後最初の宿は、おなじみ「稚内モシリパ ユースホステル」。もう何度も泊まった(帰ってきた)北の拠点だ。
着いたのはもう7時。当然夕御飯は時間切れ。でも大丈夫。稚内には「からふと食堂」という強い味方がある!「外で食事してきます!」
荷物を降ろしたバイクを、ノシャップ岬方面に走らせる。「ウニ丼、ウニ丼〜♪ステッカー、ステッカ〜♪」すると何と「からふと食堂」のオーダーストップは午後7時!閉店は午後7時半!!店の電気真っ暗!!!
なんてこったぃ!トボトボとユースホステルに引き返すこととなった。
思えば朝から、殆どなんにも食べて無いことに気付く。何も食べなくて走ってても、何とかなるものですね。その日の晩は、1Fで心おきなく10:30までおしゃべりを楽しむ。チャリダーの女の子(高校生かと思ったら、大学生でした)、北海道初めてのライダーさん、列車の旅をしている女の子二人組、はたまた某国営放送の特派員さんがいたりと、ユースはまさに人間交差点です。
今年もこんな毎日が始まったんだなぁ〜・・・
目を閉じるとき、あらためてそんな風に感じるのであった。本日の走行距離:379.4km
本日の音楽:「Centerfold」(The J.Geils Band)