8月22日(月) 曇りのち雨
「目指すはマンガ家!」朝、みんなで朝食を食べた。出発前の相席の人との会話は、この宿に泊まった人同士の最後のコミュニケーションとなるわけだ。稚内から行ける所は「オホーツク海方面」、「日本海方面」、そして「フェリーで島に渡る」と言ったところか。
中には「宗谷岬まで行ったら、この旅を終える」という人もいて、それぞれおかわり自由のパンをほおばり、出発に備えていた。
でも僕は、パンのおかわりはホドホドに済ませた。それは「からふと食堂」にもう一回行ってみたかったからだ。
9時。もう店は開いてるはずだ。曇り空の中、バイクを再びノシャップ岬に向けて走らせる。
そしたらなんと!今日に限って開店が10時半からだって!?
10時半まで待ってたら、旅の行程にあたりが出る!仕方なく先を急ぐことにする。
今年のステッカー欲しかったな!(※後で調べたら、バンダナもオマケで付いたらしい)ノシャップ岬はこのどんよりとした曇り空の中でも、スケジュールにしたがって観光バスが出入りしていた。
僕もいつかは、「天気が悪かったら、晴れるまで待つ」ような旅をしてみたい。観光客とノシャップ岬を眺めながら、そう思った。
道道254号線から国道40号線に入り、宗谷岬を目指す。もう何度も何度も通った道だ。
途中「最北端のホクレン」にも立ち寄ったが、案の定”最北端のホクレンの旗”は無くなっていた。
国道40号線から国道238号線に入り、なだらかな左カーブの海岸線を走る。肌に当たる風が少し湿った感じで、今にも雨が降ってきそうな天気だ。
普通に宗谷岬に行っても面白く無い。そこで、道道889号線に入って、牧場を通ってみることにする。宗谷岬の南側は、丘の上に広がる牧場になっているのだ。
トコトコと丘に上ると、牛よりも先に目に付いたのは、そこココに設置された風車の一群だった。ここも風力発電の風車が年々増えている場所なのだ。
細かい霧が丘の上に流れ、曇り空が光っている。その中を丘の上の風車が静かに回っている。
そして近くには黒い牛が雨の中、草を食んでいた。
このまま宗谷岬まで道なりに行ったところで電話を見ると、昨日babiさんから紹介していただいた、北国の帽子屋さんから着信した記録が入っていた。でも僕の持ってる電話はPHSなので、宗谷岬は圏外。それではと、最北端の電話ボックスから電話をかけてみる。
(案の定)お仕事中であった。にもかかわらず、ほんの少しではあったけどお話が出来たのは良かった。以前にもお会いする機会を逃していた(?)のだが、また一緒にお話できる時が来るといいですね。
(その時、オススメの温泉情報を聞いたのだが、結局タイミングを逃していた・・・)
カモメが飛び交う宗谷岬を観たあと、国道238号線をオホーツク海側に走り出す。浜頓別を抜けたあたりで、細かい霧のような雨が降り出す。
天候は、もはや夏の香りが薄れた寒々しさが漂っていた。ジャケットのおかげで寒くは無いけど、涼しさがどこか寂しさを感じさせる。夏ではないな。ちょうどお腹が減ってきたところで、道の駅「マリーンアイランド岡島」がある。鮭の親子丼とウニのおにぎりを食べ、地図をパラパラとめくって午後のルートを考える。
このままサロマ湖まで走っても良いけど、何か物足りなさを感じていた。
出発前に得た情報なんだけど、名寄の東にある下川町には、「ウッシーとの日々」で有名なマンガ家、はた万次郎さんが住んでいるらしい。
サロマ湖か?下川町か?さーて、どっちに行こうか。”迷ったときは、新しい事をやってみるべきだ”
決まった!下川町に行ってみよう!上手くいけば、ウッシー(=はた万次郎さんの飼っている犬)にも会えるし、サインももらえるかも・・・!
幌内から道道60号線に入り、しばしの間海岸線を離れる。入ったところで雨が強くなってきた。とうとうザーザーと降り出す。うっわぁ〜!来なきゃ良かったか!?
しかし、幌内越峠を越えたあたりから徐々に雨が止みはじめ、下川町まであと少しのところでは、青空も見えてきた。下川町に行くルートである道道60号線には、言っちゃあ何だけどボロの空き家が多い。探しに行くはたさんの家も、かなりのボロ家らしい。写真でチラッと見た事あったけど、すでに記憶に無い。
「お、あれがはたさんの家か?こっちがはたさんの家か??」走りながら通り過ぎる家を眺めていた。
途中に開けた弾丸ストレートの道。右手の遠くの方には、丘の上に展望台が見える。地図にも載っていない隠れた名所が発見できればラッキー!
まだ時間があるし、行ってみるか。展望台に続くとおぼしき道を、丘の上めがけて駆け上がった。すると目の前に現れたのは、老朽化の激しい鉄骨作りの展望台。登ると根元から折れて倒れるイメージがよぎる・・・
意を決して階段に行って見ると、そこはバリケードで塞がれていた。どうやら、登ると根元から折れて倒れるらしい。再び下川町に向けて走り出した。国道239号線に出たところでガソリンを入れる。”下川町の名所”とはた万次郎さんの家について聞いてみる。
僕:「あの〜、はた万次郎さんの家って、どちらですかね?」
店員さんA:「ちょっとわからないなぁ〜、おーい!だれか知ってるか!?はた万次郎さんの家ってわかる人!」
店員さんB:「はたさん?あぁ、あの犬のマンガを描く人ねー 確か、(・・・自主規制・・・)って言ってたけど」
店員さんC:「中に町内の地図があるから、ちょっとこっちに来てみて」うっわぁ〜!なんか意外にも大騒ぎになってしまった。ガソリンスタンドのトイレの前には、町内の地図が貼ってあり、その前でこれ以上無いくらいに丁寧に道を教えてもらった。地図で示された場所には、はたさんの本名で載ってるよ・・・
それに店員さん、ボールペンでグリグリと印なんか付けちゃって、いいの?あまりに丁寧に教えてくれる行為に多少クラクラ来たあと、「ウッシーに会えるといいね〜!」と言葉を頂いて、その場をあとにする。
先ずは下川町の名所「万里の長城」だ。あまり知られていないと思うけど、下川町にはミニ万里の長城がある。
町民みんなで作ったもので、現在2kmくらいになってるらしい。積み上げられた石には、積んだ人の名前が刻まれており、その中には有名人もう含まれているらしい。中は公園になっていたが、時間の都合で少ししか居られなかったのは残念だった。次に来る時には、もう少し時間を割いてみようかな。はた万次郎さんは、一の橋という集落に住んでいるらしい。うろ覚えの家の外観と先ほど教えてもらった道を頼りに、散策を続ける。「多分・・・この家だよなぁ・・・」ある家に辿り着いた。
隣の畑では、おじいさんが畑仕事に勤しんでいた。僕:「あの〜、はた万次郎さんの家って、こちらですか?」
おじいさん:「あぁ、そうだよ。でも今は、留守だよ」家の前にはクルマが停まっているし、はたさんの暮らしを考えると、クルマを2台も買うとは思えなかった。
車が新しい。印税が入ったのかな(笑)?
近所の人は、観光客などには、いつも留守と言ってるのかな〜と疑ってみる。”絶対中にいる”
かなり確信めいたものがあった。けど、いつものように家の中で寝袋で寝てるかもしれないし、人とあまり会わなくていいから下川町に移り住んだことを知っていたので、これ以上生活に干渉するのは気の毒だ。
突然ドアがガラッと開いて本人が出てくることも期待したけど、このまま今夜の宿に向けて走ることにした。
このまま国道239号線を走ると、オホーツク海に出ることが出来る。しかし、オホーツク海に近づくごとに雨が徐々に降り始めた。夕暮れの薄暗い雨の中、ひたすら今日の宿「サロマ湖畔ユースホステル」に向けて走る。
サロマ湖畔ユースホステルに到着したが、予約時間が遅くて夕食をとれなかった。外は雨、どこかに食べに行く気にもなれない。
今夜の夕食は「サッポロクラシック+カロリーメイト(フルーツ味)」!なんと侘しいメニューだろうか。
談話室で話をしながら、「夕食(のようなもの)」を食べる。
時間になると、食堂でミーティングとしてビンゴゲームをやるらしい。おぉ!ここのユースではまだビンゴやってたのか!?
談話室のみんなはビンゴゲームの参加に対してノリがいまいちだったが、ゲームを始めると賞品がかかってる事とビンゴゲーム自体の面白さのために、みんな熱くなってるのがわかる。やはりこういうイベントには参加してみるもんですよね!
結果、僕はリーチにはたどり着いたがビンゴを出せず、賞品をゲットすることが出来なかった。だけど、その後それまで以上に、談話室でみんなとワイワイ話をすることが出来たのが良かった。
10時前に解散。明日はさっき教えてもらったところに行ってみよう。晴れるかな・・・
本日の走行距離:402.4km
本日の音楽:「Lick It Up」(KISS)