8月24日(水) 晴れ
「ロシアの灯」

さて、今日はコース的には知床横断道路を通ることになるな。けど、そのままストレートに行ったんじゃツマラナイ。
と言うことで、昨日仕入れておいた情報から、「宇宙展望台」と「江鳶山(えとんびやま)展望台」の2つに行くことにした。
どちらも今年のツーリングマップルには載ってないので、目印を忘れないように教えてもらう。
宇宙展望台は、サーモンパークが目印。そこまで行けば、何とかなるらしい。迷わずにあっさり到着してしまった。

しかし今日は天気がいい!青空が最高の日だ。宇宙展望台は最近建て替えたようで、まだ柱が新しい。展望台の途中には鐘があり、自由に鳴らすことができる。平和を願って、一度鳴らす。宇宙展望台からの眺めはとても良い。特にここからの斜里岳の眺めは最高!

また夕日で逆光になった斜里岳も見に来たいものだ。

次は江鳶山展望台だ。すぐ近くなのだが、江鳶山奥林道の途中にあり、ダートで半分位の所まで入った場所にある。
林道の入り口は鎖で門が閉じられており、これを開けないとは入れない。エゾジカなどの農作物への被害防止のバリケードになってるのだ。しかし入り口にはアブが大量発生しており、ヘルメットやグローブを外すと、すかさず血を吸いに群がってくる。うわぁ〜!何だここは!?

ようやくバイクを中にいれ、慌てて入り口を閉じて(鎖で鍵をかける)、走り出す。林道内はフラットダートだが、当然のことながら対向車などいない。何かあっても助けも呼べない。
トコトコと上りのダートを走り続ける。

ん・・・あれか?ようやく江鳶山展望台に到着・・・なんだけど、3m位のボロボロの台がポツンとあるだけ。他には何もなし。

それとトンデモナイ事だが、まわりにはスズメバチがワンワンと飛んでいる。さしもの旧ソ連軍の駐屯地の周りを飛びまわる”ハインドD”のような感じだ。
静かに静かに、恐る恐る展望台にのぼり、写真を撮るとすぐさま逃げるようにバイクに戻る。

門のところまで戻り、アブに注意しながら門を開閉、何とか生還を果たす。

この後国道334号線を走ってオシンコシンの滝でちょっと休憩して、知床五胡まで走る。

知床が世界遺産に登録された。当然旅行会社はツアーを組む。
知床横断道路は、観光バスが数珠繋ぎになっていた。それと同時に、今まで知床に見向きもし無かった人が車で押し寄せる。結果、知床五湖駐車場の自動車は、入場制限で行列が出来ていた。
今まで何度も知床五湖に来たけど、こんなに混んでるのは初めて。なんかもうオカシイよ、こんなの。

駐車場の売店でサーモンフランクを食べて、早々に立ち去る。知床五湖の散策ルートは、人・人・人・・・行くのやめ。

カムイワッカの滝への道は今の時期、斜里バスしか通れない。強行突破しようかな〜とチラリとダートの入り口を見てみると、キッチリ見張りを立てている。う〜ん、残念。今年はパスだな。
知床峠のパーキングエリアまで走りきると、そこには真っ青な空を背景とした、緑色の羅臼岳が待っていてくれた。

これは素晴らしい!何枚も写真を撮る。
ここの天気は大変変わりやすく、あっという間に霧が立ち込めたりするのだ。今の瞬間に晴れてくれたのは、ラッキーだった。

知床横断道路も半分を超えた。次に目指すは露天風呂「熊の湯」だ。
ここは露天風呂といっても脱衣場もあり、男女別浴。手入れも地元の人のおかげで行き届いている。とても入りやすい温泉だ。しかし、手入れをする地元の人が、それを鼻にかけたところがあったりなかったり・・・と言った噂も聞く。しかし、入りやすい温泉はどこも、手入れをしてくれる人あってのものだと思うのだが、果たしてどうだろうか。

僕が入ったときには、丁度湯加減を調節してくれた後だったらしい。熱いと噂を聞いていた熊の湯だが、とても良い湯加減だった。
聞くところによると、この熊の湯も年々湯量が減ってきているらしい。いつかは無くなっちゃうのか?入るなら、今のうちだぞ。

無事に知床を横断した。このまま南下しても良いのだが、道道87号線を北に向かう。何年もここの道を走ってなかったので、行ってみたくなったのだ。
この道沿いにも、「セセキ温泉」と「相泊温泉」という露天風呂がある。
「セセキ温泉」は、ドラマ「北の国から」で吉岡秀隆と唐十郎が入っていたので有名ですね。

途中、ヒカリゴケを見た後、2つの温泉を目指して走る。

あれ?「相泊温泉」に先に着いてしまった。先に「セセキ温泉」が見えるはずなのに。通り過ぎたかな。

ま、いいか。ブルーシートで隠された海岸線の温泉につかる。そういえば、1日に2つの温泉に入ったのは、初めてじゃないかな。セセキ温泉にも入れば、3箇所。もう1つ入る時間はあるな。

どうせだったから、道道87号線を行き止まりまで走る。あ、野生のエゾジカがいる!
う〜ん・・・なかなかこちらを向いてくれない。ゆっくりと近づき、シャッターを切る。

そういえばお昼御飯がまだだった。だいぶ遅いけどお昼御飯にしよう。丁度ここには、「味処 熊の穴」がある。

ここは熊やトドの肉が食べられるところだ。
様々なメニューの中から、「熊ラーメン」を選んだ。840円也。
この熊ラーメンは、チャーシューの代わりに熊の肉を入れてある。
この熊肉は、かなり独特の味だ。決して美味い肉ではないが、経験程度にはどうぞって感じ。
「熊を食ったぞ〜」という気分に浸れるぞ!
(ちなみに、熊を食べた証明書をくれる)

帰り道に、セセキ温泉を発見!あぁ・・・潮が満ちてきて、温泉が海で洗われている・・・!

タイミングが悪く、本日は終了らしい。仕方なく、遠くから眺めるだけにしておく。今度入りに来るからね!

再び南下。国道335号線を走り、目指すは中標津。道道774号線沿いのホクレンスタンドでは、ここ独自の旗があるらしい。でもこの時期、もう無いだろうな〜期待薄。と思って入ってみると、まさしく旗はもう無かった。
次に来る時こそは!幻のを手に入れて見せるぞ!!

今夜の宿は、とほ宿「地平線」。今日は人が少ない日だったようで、僕を入れて2人しか泊まらないらしい。

荷物を置いて、開陽台展望台に行く。しかし、中標津の空は雲に覆われており、景色がよろしくない。当然、ライダーの憧れの道「開陽台北19号線」も然り。

とほ宿「地平線」は、かなり歴史があるようで、ここのご主人は、すぐ南にあるとほ宿「ミルクロード」(以前泊まった事あります)のご主人が旅人だった時から、旅人の宿をしているらしい。惜しむらくは、今日は人数が少なくてワイワイとした雰囲気になりにくいこと。ま、こういう時もあるさ。

食事の後、中標津の温泉旅館まで風呂に入りに行く。とほ宿のお風呂って、こういうのが多いのかな。
うち風呂じゃなく、公営の浴場とかに入りに行くパターン。「ミルクロード」の時もそうだったし。。。

帰りに、開陽台展望台に連れて行ってもらう。暗闇の中、高い位置にある薄い雲の下を、厚い雲が通り過ぎていた。
遠く海の向こうを見る。真っ暗な海の向こうに、北方領土が見える。そしてそこには、灯が点々とはっきり見える。
人・・・住んでるんだなぁ・・・日本人じゃないけど。
ここから見える灯が、日本人の灯となる日は、いつになるのだろう。ただの家の灯なのに、感動と感傷を覚える景色だった。

帰ってみるとそこに、とほ宿「地平線」の常連さん(?)と会った。

北海道の景色を色々と撮り歩いているらしく、見せてもらったビデオは、どれもアマチュアの映像とは一線を画したレベルのものだった。
冬の北海道、ツルの求愛ダンスや、農家の風景、それから、干草ロールの出来る過程など、映像としてとても面白かった。なんでも、某国営放送でも紹介された映像もあるらしい。すごいですねぇ〜!

もう少し見ていたかったが、明日のことも考えて、0時過ぎに寝ることにする。
明日は、最東端まで走るぞ!明日の晴天を祈って、布団に入る。

本日の走行距離:283.8km
本日の音楽:「Northern Lights」(The Rippingtons featuring Russ Freeman)