8月25日 晴れ
「ツルを見ました」朝起きると、とほ宿「地平線」のご主人は居なかった。聞くところによると、早くも仕事に出かけているらしい。
てっきり宿商売だけで暮らしているのかと思いきや、畑仕事とかそういうのもこなしているとのこと。そういえば、とほ宿「ミルクロード」のご主人もそうだったような。
宿の奥さんと3匹の愛犬(この3匹がまた、人なつこいんだわ・・・泥だらけになったよ。)に別れを告げた後、早朝の開陽台展望台に向けて走る。
天気は晴れ。日差しも美しい。空気は少しひんやり。昨日も通った開陽台北19号線。もう一度写真にトライ!ライダーならずともみんなが順番待ちで写真を撮るポイントである、北19号線の展望台側カーブ部分。そこにいた人に、バイクで走ってくる写真を撮ってもらった。
その方は、キヤノンの一眼デジカメに高価なLレンズ群を車に乗せ、旅をしているらしい。この人ならお願いしても間違いなさそうだ。
カメラを渡し、バイクにまたがり、アップダウンの手前まで引き返して戻ってきた。
パシャパシャと何枚か撮ってもらう。ありがとうね〜!開陽台には朝9時過ぎにもかかわらず、沢山の人がいた。ここでキャンプをしてる人もいるんだけどね。
開陽台展望台からの景色は、昨日の空とはうって変わり、真っ青な空に白く重厚な雲が流れる。素晴らしい眺めだ。遠くには、国後島がよく見える。
再び開陽台北19号線から道道775号線、国道272号線(通称:ミルクロード)を走り、海岸線の国道244号線に入る。左手にはどこまでも遠くを感じさせる青い空と、透き通るような透明感の、また違った青さを魅せる海とが広がっていた。横風が少し冷たい。途中、白鳥台パーキングエリアでソフトクリームを食べて休憩した後、国道243号線から国道44号線に入る。
目指すは最東端の地「納沙布岬」だ。途中、道の駅「スワン44ねむろ」でまたひと休み。ここ風蓮湖は白鳥の飛来地ということで、レストハウスにはいくつものスコープが備え付けられていた。
レストハウスの近くには、白鳥などさっぱり見かけないが、遠くの方を見ると、点のような野生の白鳥発見!!
手持ちのズームレンズを300mmにしても、点にしか写らないけど、とりあえず一枚!
レストハウスのスコープで白鳥を探すと・・・いたいた!対岸につがいで仲良くエサを食べている。高倍率スコープのかげろう揺らめく光景ではあったが、野生の白鳥を観察できたのはラッキーだった。根室市内、丁度市役所や中央郵便局が立ち並ぶところで何気に携帯を確認すると、久々にNARUさんから留守電が入っていた。2日前にかけてくれたのだが、電波が届かないところばかりにいたため、全然気が付かなかった。PHSはこういう時、良くもあり悪くもありだな。早速電話だ!おぉ、自宅の電話だけど、出てくれたよ〜!
ほんの少しのお話だったけど、久しぶりに聞く声は元気そうだった。また名古屋に遊びに行きます!このまま納沙布岬に行く前に、ツーリングマップルをよく見ると、ノッカマップ岬というところがある。
入り口はぬかるみがひどく、フルカウルのオンロードバイクなら躊躇するところだと思うけど、そこはそれ、僕のバイクはオフロード。ぬかるみの中でも比較的穏やかな場所を選んでスタンディングで切り抜ける。
野生の花が群生する中、野道をトコトコと走ると、ポツンと灯台の建つ岬に着いた。
まわりには誰もいない。というか、この時ここに来られる人は限られているのだろう。真っ青な空と白黒カラーの灯台。黄色い花が咲き乱れるなだらかな土地。遠くにはいくつもの風力発電の風車。風は少し冷たいがそれが心地良い。そんな世界を独り占めだった。お、遠くには国後島も見える。
ノッカマップ岬。また一つ、北海道に隠れ家的な場所が見つかった。
再び道道35号線を走り、ようやく納沙布岬に到着。とりあえず、お昼御飯だ!
お昼ごはんはあれこれ迷った挙句、「サンマ丼」にした。800円。高くないかい?しかし、サービスの添え物ででた昆布がとても美味しかった。何だかほとんど、昆布で元を取ったような食べ方だったが、この昆布でご飯3杯はイケます!
納沙布岬。もう何度も訪れた地だ。遠くにかすむ歯舞諸島を何度も見てきた。いつの日か、遠くにかすんだこの島を日本が取り戻した時、その時にこうして同じように、ここに立って眺めることが出来るのだろうか。それはいつだろう。
納沙布岬にお別れを告げ、今夜の宿はどこになるかな〜と考えつつ走り出す。
このまま国道44号線を戻っても面白くない。出来るだけ海岸線を走ろう!ということで、道道35号線から310号線、142号線を走り、ムツゴロウ動物王国をスルーして、ちょっと寄り道がてらに霧多布岬にたどり着く。
風が強かったが、その時の光線の具合、それから幾筋もの細い雲を散りばめた空と相まって、霧多布岬はとても壮大な景色だった。霧が多いらしいが、この日の景色はとても澄んでいた。
再び道道123号線に戻り、琵琶瀬展望台ではまたもやツルを発見!2羽いるが、こちらもさすがに点にしか写らん!
次に現れたのは、あやめヶ原。以前訪れた時は、少し霧が出ていて幻想的な風景だったが、今回は傾きかけた太陽を受けて馬が放牧されている景色に遭遇した。
太陽を浴びて、シルエットに近い馬が静かに草を食む。もう少し見ていたかったけど、時間がない。先を急がねば。今夜の宿は、「厚岸愛冠YH」に刻むのも一つの手だったが、後々のことを考えると、釧路までは行きたい。というわけで、「釧路湿原とうろYH」にした。当然、夕食には間に合わない。
厚岸から国道44号線に行けば、少しくらいは早く釧路に着くだろうけど、「出来るだけ海岸線を走りたい!」との考えから、よせばいいのに道道142号線に折れる。
ローソク岩、タコ岩などがあった(らしい)のだが、とりあえず走りきるって感じで黙々とバイクを操る。
途中、太陽に虹のような、日笠のような不思議な光景に出会った。
これも、道道142号線を走ったから見られたのだろう。旅はアクティブな方向を選ぶと、何かご褒美をくれることが多い。これもそんなものの1つかな。夕食は釧路で食べておいた方が無難だろう。というわけで、お馴染みの和商市場へ。
着いた時はもう6時ギリギリで、店は次々と閉め始めていた。
そんな中、ほとんど言い値と言うような勝手丼をほおばる。2700円也。ご飯ほとんど無し!ほとんど具だけ!って感じだったが、これで今夜はぐっすり眠れそうだ。
しかしここから、「釧路湿原とうろYH」までは、20km以上あるのだよ。
釧路市街地を出る頃は薄暗いだけだったが、国道391号線を走り出した時にはもう真っ暗!
街頭や照明の一切無い道を、走る車のランプを頼りに着いていく。当然看板など見えるわけが無く、とうろ駅付近まで何とかたどり着いた。日が暮れてから走るもんじゃないね。とうろ駅方面は何とか見当がついたのだが、肝心のYHの場所が全く分からない。
周りは民家が立ち並ぶ。丁度そこにいた人にYHの場所を聞いたけど、まだわからん!ぐるぐると何度も右へ行ったり左へ行ったり・・・もう1人別の人に道を聞くと、親切にも車で先導してもらう。助かった〜!ありがとうございます!
着いてみると、とうろ駅からは目と鼻の先。YHからホームが見えるではないか。
暗くなると、全然分からないものですね〜
7時過ぎ、先に着いてた人は食事の最中だ。僕は部屋に荷物を置き、風呂に入る。電話ボックスみたいなシャワールームだったけど・・・
この日リビングで話をした人は2人。その中の一人は、僕と去年、8月19日に会っているらしい。場所は稚内モシリパYH。僕も8月19日は「バイクの日」で旗をもらったので、確かにモシリパにいたことは覚えている。
ということは、2Fの談話コーナーで話していた人か?今となっては覚えていないが、どうも僕のことを知っているらしい。長年北海道に来ていると、こういうコトもあるんですね・・・僕のベッドは、ロフトの上だ。
おぉ!ここはヘタすると落ちて確実にけがをするぞ!
慎重に慎重に・・・荷物を運ぶ。
天気予報では、明日は天気が崩れるらしい。
でも、「その時はその時・・・」と、まさに”ノー天気”にまぶたを閉じる。
明日は何が待っているか?それだけが楽しみでならない。本日の走行距離:380.8km
本日の音楽:「Sing Me Away」(NIGHT RANGER)