佐藤克司短編集
           「 包丁人 政夫 」

 第1話 「包丁人誕生」

 晴れた日の午後だった。政夫は包丁を買った。イワシがさばきたくなった。(つづく)

 第2話 「乱れ雲」

 イワシがさばきたくなった政夫であったが、魚屋にイワシはなかった。そこで、ふ
んぱつして刺身の盛り合わせを買ってきた。政夫はウキウキしていた。

 第3話 「宿敵」

 政夫は家に戻るとさっそく刺身の盛り合わせのラップをとった。しかし、このまま
では料理とは言わない。そこで政夫は考えた。そうだ!寿司にしてみよう。
 さっそく政夫は寿司造りに挑戦した。
 「できた!」父、政志を呼んだ。「父さん、俺の寿司を食ってくれ!」しかし、そ
の父の顔に笑みはなかった。政志は一口寿司を食べるなり「愚か者!こんなものが寿
司とは。キサマ、今まで寿司を食ってきて、なにを学んでいたのだ!!」と怒鳴った
。「お言葉ですが・・・。」政夫が反論しようとした瞬間、政志の右ストレートがう
なった。「そこで待っていろ!今私が本当の寿司を造ってきてやる。」そう言うと政
志はキッチンの方へ歩いていった。
 10分が過ぎたころ、政志の寿司が完成した。政志の持ってきた寿司をみた政夫は自
分の重大なミスに気がついた。「しまった。ガリだ!俺の寿司にはガリがない!」さ
らに政夫はその寿司を一口食べて愕然とした。「このワサビは、特選生ワサビ。俺は
刺身についてきたワサビをそのまま使ってしまった。俺の負けだ!」
 この日から父政志は政夫の最大のライバルとなった。 (つづく)


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