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小児科待合室

発熱    頭痛    腹痛

発熱


 

質問1
何度から発熱と考えたらよいのですか?

答え
古くから基準値として利用されている値は、水銀体温計による腋窩温の
10分間の計測値です。ですから一般には水銀体温計に赤字に表示されている「37.0℃」以上が「発熱」とされてきました。現在ではいろいろな種類の体温計が使用されるようになったため、「37.0℃以上は発熱である」と即断するわけにはいかなくなりました。体温が38.5℃以上あれば、測定部位や体温計の種類にかかわらず病的な発熱と判断してよいでしょう。ではそれ以下の測定値として「発熱」であるかどうか判断する必要が生ずるのは、37.037.9℃の場合になります。

 体温の測定は比較的簡単な手技ですが、値に影響を及ぼす因子は数多くあります。発熱しているかどうか評価するには、体温計の機種は問わず、健康なときに安静時の体温を23回測定し、その値をその子供の平熱としなければなりません。心配なときには同じ方法で測定し、平熱と比較しましょう。平熱との差が1℃未満で、全身状態がよければ病的なものでないと判断してよいと思われます。

 一般に腋窩温が測定されているわが国において、体温の計測値に影響を及ぼす要因を総合的に考えれば、現段階では「37.6℃以上は発熱である」という判断でよいのではないでしょうか。予防接種時の発熱の有無も非常に問題となるところですが、「37.6℃」で線引きをして「明らかな発熱を呈しているものとは通常37.5℃を越える場合」としてはどうでしょうか。

体温の計測値に影響を及ぼす要因

T.体温そのものによる要因
1)日周リズム
2)性ホルモンの周期(女性)、妊娠
3)年齢による差
4)測定時の状態:運動、入浴、食事、精神的因子などの負荷による差
5)個体差
6)体温調節中枢の機能障害
7)無汗症
8)各種の疾患による発熱、低体温
9)各種の処置(輸血、手術、予防接種)後の発熱
10)薬剤による発熱、低体温
11)心因性の発熱

U.体温計による要因
1)  体温計の種類による差
2)     体温計の使用方法による
3)     体温計自体の誤差による差

V.測定にかかわる要因
1)     人体をとりまく環境による差
   季節、環境温、湿度
2)     測定対象、部位による差
   腋窩、頚部、口腔内、直腸、膣、子宮内、鼓膜、食道、前  額、鼠径窩、臍腋排出直後の尿、足の親指
3)    測定時間の長さによる差
4)     測定方法による差
   体温計のあてる場所、角度、押さえ方
5)    体格(肥満度)による差
6)     詐熱

質問2
高熱が続くと頭が悪くなるといいますが、本当ですか?

答え
「こんなに高い熱が続いて、頭は大丈夫でしょうか」というお母さんやお父さんのお問い合わせがあります。教科書的には41℃を越えると熱射病・脳障害が生ずると記載されています。43℃以上の体温では生体は数時間しか耐えられないとして、高体温時には意識障害・譫妄がみられることがあり、これらの神経症状が「頭が悪くなる」という心配にむすびついたのではないかと思われます。また、高熱に伴ってよくみられるものに「熱性痙攣」があり、これも高熱に伴った頭の症状としてお父さんやお母さんの心配の種になります。高体温をきたすような病気として脳炎・髄膜炎などによって脳の障害が起これば、脳障害の主な原因は高熱ではなく原疾患によるものであろうが、一般の人にとっては、熱によって脳障害が引き起こされたと誤解されてしまいます。熱は視床下部でコントロールされており、上限なく上昇し続けることはありません。高熱のみによって、一義的に脳の障害が引き起こされることは考えにくいのです。

質問3
どのような場合に熱を下げたほうがよいですか?

答え
 熱の高さによって熱を下げるかどうか判断するのではなく、全身の重症度によって熱を下げるかどうか判断するとよいでしょう。38.5℃以上で頭痛・筋肉痛などの痛みを伴うとき、あるいは不機嫌・食欲低下・呼吸のあらさ・つらいなどの不快な症状を伴うときを目安とします。40.5℃以上の発熱、あるいは心疾患・栄養不良を合併する場合や熱傷・術後などの発熱には注意を払う必要があります。また、高熱時に痙攣を起こした既往がある場合あるいは譫妄状態になったことがある場合には、何らかの解熱の処置や解熱剤の投与をしたほうがよいと考えます。以上をまとめますと解熱剤を使用するメリットとしては、不機嫌やつらい状態を軽減するあるいは熱性痙攣の予防などに限られると考えてください。

発熱は生体防御反応の1つであり、解熱剤の投与により疾患の経過が長くなる可能性も指摘されています。疾患により解熱剤を使用すると副作用が出現する場合もあり、容易な解熱剤の投与は避けるべきでしょう。

質問4
坐薬と経口薬はどちらか早く効きますか?

答え
一般に、基剤に脂溶性のものが入っていると作用発現までの時間が短くなります。坐薬は早いものですと1520分で直腸粘膜より吸収されます。シロップや細粒の吸収は3060分ですので、個人差はありますが一般的にいえば坐薬のほうが早く効くといえます。

質問5
一番安全な解熱剤は何ですか?

答え
小児科領域では、アセトアミノフェンが頻用されています。いろいろな形の製剤があって小児に投薬しやすいこと、常用量ではほとんど副作用がみられないこと、血中でのタンパクとの結合が10%程度と低いこと、体内からの消失が早いことなどから、最も使用しやすいものとされています。次によく使われているのがメフェナム酸・イブプロフェンなどですが、これらはアセトアミノフェンより解熱作用がやや強いものの副作用の発現率も高いので非常に注意を払わなければなりません。

 アスピリンはかつて解熱剤として頻用されましたが、現在では解熱剤というより抗炎症作用、抗凝固作用を目的とした薬剤として使用されています。アスピリンは、アセトアミノフェンと比べると副作用の発現率が高いこと、インフルエンザや水痘に羅患しとときにアスピリンを服用するとライ症候群の危険性が高まるとされ、これらの疾患の発熱に対して禁忌です。

質問6
 どのような場合クーリングをすべきですか?

答え
悪性高体温症など、急速に熱を下げないと生体の恒常性を正常に維持できない場合はクーリングの必要があります。また、41℃以上の発熱があり、意識障害、譫妄、痙攣重積などがある場合もクーリングを行います。クーリングは積極的に行ってよいのですが、現在市販されている、額につけるような「冷え○○○」などは、実際にはクーリングとならず、親が子供に何かやってあげたというような行為に関する自己満足以上のものを出ていないことになります。

質問7
 デジタル体温計と水銀体温計ではどちらが正確ですか?

答え
最近発売された鼓膜体温計は核心温に最も近いといわれている鼓膜温を数秒で測れるとされていますが、実際には乳幼児では正確な鼓膜温の測定はむずかしいものです。測定先を鼓膜に向けることはなかなか困難であり、実際は耳道の皮膚温を測定している可能性が高いようです。しかしながら、腋窩で測定する場合にも小児の場合には同様に困難です。これらの問題点はありますが、使用しやすさ迅速さなどを考慮に入れ、測定することの限界を考えて上手に利用することが大切です。

質問8
腋窩、口腔、直腸、鼓膜のどこで測るのが適切ですか?

答え
脳、内臓を含む身体の中心部の温度はほぼ一定に保たれており、本来であればこれらを測定することが望ましいのですが実際上は難しいものです。そこで、一般には身体の外側の温度測定が行われ、測定場所として、腋窩・食道・鼠径窩・臍窩・排出直後の尿などでも測定することが可能です。わが国では慣習として腋窩で体温計測が行われていますが、腋窩測定は日本のほかロシア・ハンガリー・アジアの一部だけで、欧米では口腔内あるいは直腸で測定されています。どのような場所で測定しても構わないのですが、その計測値を正しく判断するためには、測定部位・計測機器・測定方法を一定にし、各個人の基準値である平熱を知っておくことが大切です。

質問9
熱で脱水を起こした場合には、補液に何を飲ませればよいのですか?

答え
上昇した体温を下げるために、皮膚から汗が大量に出ます。このとき、体液と電解質が失われ、ひどくなると循環不全を起こします。このため、補液としては電解質液望ましいことになります。口から飲めるような状態であれば、小児用のイオン飲料のような組成のものでよいでしょう。




頭痛


質問1
  どのような頭痛は放置しておいてよいですか?

答え
頭痛は種々の原因によって起こるのですから、放置してよいか否かはその原因によります。急性に起こる頭痛には、たとえば発熱や外傷などに伴って起こるものがあります。発熱の原因が単に咽頭炎や上気道炎などの特異的治療を要するものでなければ、頭痛も対症療法でよいわけです。すなわち、痛みが強い場合には、鎮痛剤を投与することになります。しかし、髄膜炎や脳炎などの重篤な疾患が疑われる場合は、ただちに診断の確定と加療を要することとなります。このときの加療とは髄膜炎や脳炎などの原疾患に対する治療と、同時に発熱や頭痛などに対する対症療法とが合せ行われます。頭部外傷後の頭痛に関しては外傷の状態や意識障害の有無、そして嘔気・嘔吐の有無、さらに神経学的異常所見などにより、そのまま経過をみることでよいのか、あるいはCTスキャンなど精査を必要とするか検討することとなります。また経過を観察する場合、頭痛の性状の変化、神経学的所見の変化に注意する必要があります。

  一方、慢性の頭痛は血管性頭痛や筋収縮性頭痛が多いものです。いずれの場合も、診断を確定して、それぞれの治療方針をたてることになります。

  うつ状態の際して頭痛など身体状態が主症状となることがまれでなく、この場合は仮面うつ病といわれますが、基盤にある病態を解明することにより適格な治療が可能となります。頭痛が高血圧など全身性疾患の一症状として急性にまたは慢性に出現することも少なくありません。この場合も原因疾患の治療が不可欠となります。心因性頭痛は他の原因すべて除外し鑑別したうえで診断することとなり、状況に応じて適切な指導などが必要となります。

  以上のように、頭痛の病態、病因を解明したうえで、その治療あるいは対症療法を行っていくので何もしないで放置してよい頭痛はないといえます。しかし、診断がされてしかるべき治療がなされた場合それでも残存する頭痛に関しては病因にもよりますが放置してもよい場合があります。ただしその場合も経過中症状の変化の有無に注意し、新たな病態出現しないか注意することが大切です。

質問2
 小児では、頭痛の原因になる病気としてはどのようなものがありますか?


答え

    頭蓋外に原因があり、急性または慢性に発症、経過するもの

      1.全身性及び中枢神経以外の限局性疾患に伴う頭痛。

a)      全身性感染症

   上記道炎などの感染症に起因する頭痛は最もしばしば見られるものです。

b)      頭部外傷

頭部外傷が打撲部分に限局性または全般性の頭痛を生じます。

c)       副鼻腔炎

局所痛のみのこともありますが、鼻汁、咳、発熱を伴う場合もあります。痛みは前額部、顔面にひろがる傾向があります。

d)      中耳炎

小児ではしばしばみられ、通常は耳に限局した激しい痛みを生じますが、頭痛を伴うことも少なくありません。

e)      目の異常

乱視、屈折異常、斜視などが頭痛の原因となることもありますが、小児ではそれほど多くはありません。

f)       歯の異常

虫歯、歯槽膿漏、咬合不全、額関節機能不全が限局性の痛みを起こすことが多いのですが、時に前頭部痛、側頭部痛を起こします。

g)      後頭神経痛

後頭神経の圧迫などにより起こる後頭部、上顎の痛みで、後頭部の外傷や口頭蓋部、上頸部の奇形に起因することもあります。

2.頭蓋内に原因があり慢性進行性のもの

慢性進行性の頭痛は頭蓋内の病態を示唆します。主として、頭蓋内圧亢進、大動静脈の牽引により、頭痛が生じます。

ただし、頭蓋内に原因があり急性・進行性のものに硬膜外血腫などがあり、注意を要します。

a)      脳腫瘍

小児期に起こる新生物では脳腫瘍は比較的多いものです。脳腫瘍による頭痛は頻度、強度とも進行性のことが多いようです。体位の変換、咳、排便など、頭蓋内圧亢進をきたすもので増悪傾向をとります。朝に多く、嘔吐により一時的に軽減することもあります。

b)      Psendo tumor cerebri

占拠性病変、水頭症、感染症などがないにもかかわらず頭蓋内圧亢進をきたすものです。

c)       水頭症

脊髄液腔の閉塞、髄液の吸収障害により、脳室拡大を呈します。頭蓋内圧が亢進すると頭痛を訴えます。

d)      脳膿瘍

まれですが、チアノーゼ性先天性心奇形、耳感染症、免疫不全などにおいてみられます。

e)      慢性硬膜下血腫

外傷(事故、虐待)、昜出血性などにより起こりますが、病歴に外傷が明らかでないこともあります。

f)       脳炎、髄膜炎

脳炎、髄膜炎が頭痛の原因となることは小児ではまれではありません。

 

3.急性反復性に起こる頭痛

a)      片頭痛

急性に起こる反復性の頭痛の代表的なものは片頭痛です。片頭痛は小児期にもしばしばみられます。

b)      他に片頭痛の範疇に入るが特異な臨床像を有し亜分類されるものには次のようなものがある。

群発頭痛:小児期にはまれです。

慢性性発作性片頭痛:悪心、嘔吐を伴わず、完全に一側性の激しい痛みです。

Basilar migraine:小児期の片頭痛では比較的多いタイプで、幼児期に発症する場合が多く、女児に多いようです。

Paroxysmal vertigobasilar migraineの亜型と考えられます。

Acute confusional state:いわゆる“不思議の国のアリス症候群”で小児に特有な片頭痛の一種とされています。

Migraine stupor

Trangient global amnesia

片麻酔性片頭痛:反復性に片頭痛に伴い片麻酔が起こるものです。

眼筋麻酔性片頭痛:眼痛と動眼神経麻酔が主症状です。幼児期以下にもみられます。

c)       てんかん

d)      頭痛がてんかん発作の一型としてあるか否かはしばしば問題となります。片頭痛患者に時にてんかん性脳波異常が診られること、突発的に起こる慢性頭痛に抗てんかん薬有効例があること、病歴上小児期のてんかん発作が後に頭痛発作に変わることが示唆される例があることなどはこの範疇の存在を示唆するといえます。

 

4.慢性非進行性の頭痛

a)      筋収縮性頭痛

一般に小児は少ないとされますが思春期以後、とくに女性には決して少なくないものです。

b)      うつ状態

うつ状態によると考えられる頭痛は小児期にもみられます。

c)       心因性頭痛

 

質問3
頭痛の種類と原因との関係はありますか?

答え
あります。頭痛は自覚的なものでその表現には個人差がありますが、よく知られたものに拍動性頭痛があり、これは血管拡張するものと考えられ片頭痛の特徴です。一方、しめつけられるような頭痛は筋収縮性頭痛に多いといえます。

次に頭痛の原因別に頭痛の種類を示します。

1)全身性感染症に伴った頭痛は全般性の頭痛で、体温上昇が血管拡張を生ずるので拍動性のこともあります。

2)頭部外傷は打撲部に限局性または全般性の頭痛を生じます。頭痛が増悪し他の神経学的微候、頭蓋内圧亢進を示唆する所見を伴ってくるときは頭蓋内病変の発生の可能性があるので注意を要します。

3)脳腫瘍にみる頭痛は全般性または限局性と一定しません。痛み感受性組織の牽引や髄液閉塞による水頭症によるものであり、性状も拍動性また圧迫するような痛みとなります。

4)片頭痛は前記したように拍動性で、多くの場合一側性ですが通常左右は不定です。痛みの持続時間はさまざまですが30分〜数時間が多く、頻発することが多いものです。前駆症状を伴うもの(古典型片頭痛)と伴わないもの(普通型片頭痛)があります。また嘔気、嘔吐など種々の症状を伴うことが少なくありません。

5)筋収縮性頭痛は前駆症状がなく、後頭部、両側頭部、前頭部のしめつけられるような痛みです。

6)心因性頭痛は頭痛が慢性に続いているにもかかわらず身体的、神経学的に所見がないものを示します。

7)てんかん性頭痛は発作性に急性に発症することが多く、脳波上てんかん性異常を呈します。

 

質問4
遺伝性はありますか?

答え
遺伝性がある頭痛は片頭痛です。家族歴として片頭痛の有無を注目するとよいでしょう。片頭痛は種々の要因が契機となったり増悪要因となることもよく知られていますが、基盤に素因があることが大部分です。片頭痛そのものの家族歴に加え、熱性痙攣、うつ病の家族歴も関連してくることがあります。これらの病態には一部片頭痛と共通性があるという考え方もあるためです。筋収縮性頭痛も片頭痛ほどではありませんが、緊張しやすい性格があって起こることが多いようです。明確な遺伝ではありませんが、性格が親ゆずりということもあります。

腹痛


質問1
乳幼児ではどのような場合に腹痛があると考えねばなりませんか?

答え
腹痛は本人からの訴えであり普通は“お腹が痛い”と言うところから診断が始まります。したがって、その訴えがないときは苦痛の存在を知ることはできないのが現状です。一般的には、“お腹が痛い”という訴えは言葉によってなされるので、このことは神経発達が著しい23歳以後の小児で可能となります。

 しかし言葉以外にも、小児の様子から腹痛があるだろうと診断されることがあります。新生児では腹痛があるときは、泣き叫び・四肢の屈曲・哺乳の拒否・時に著しい場合は発汗し、顔面は蒼白となりショック状態を呈することもあります。

 乳幼児では、3ヶ月以後は苦悶の表情を示し、6ヶ月以後はその泣き方によって痛みの程度・持続時間などを察することができます。幼児期で、1歳以後には表情と態度からだいたいどの部位が痛いかを知りうることができます。2歳以後は言葉で腹痛について説明することができます。また圧迫によってどの部位がどの程度痛いかを知ることができます。

 3歳児では恐怖心がないかぎり診察に協力し、表情・態度および言葉により腹痛の様子をかなり詳細に知りうることができます。

 学童では腹痛を自発的に説明できます。しかし症例により作為的であったり誇張されたりすることがあるので注意が必要です。

腹痛はそれだけが唯一の症状であることは少なく一般的には嘔吐・下痢・血便・便秘といった他の消化器症状に随伴することが多いものです。すなわち、嘔吐と腹痛のある場合は乳児は腸重積症・急性胃腸炎・かんとんそけいヘルニア・精索睾丸捻転・軸捻転症(異・S状結腸)・その他の腸管通過障害; 幼児・学童では急性胃腸炎・腎盂腎炎・尿路感染または急性中耳炎(発熱)・アセトン血性嘔吐症・軸捻転症・反復性腸重積症・総胆管?腫・膵胆管合流異常などがありますが、これらの疾患のときは患児がたとえ一時的に腹痛を訴えなくとも、いずれは腹痛が出現する推測されます。

また、下痢を伴う腹痛の場合も同様で、この場合では乳幼児では急性胃腸炎、幼児・学童では炎症性腸疾患(Crohn病、潰瘍性大腸炎)などがあること、このとき患児が腹痛を訴えていなくとも上記のように診断がついた場合はやがては腹痛が出現する可能性があります。

さらに、血便を伴う腹痛の場合キャンピロバクター腸炎・赤痢・腸重積症・Meckel憩室炎・腸管ポリープ・血管性紫斑病・胃ならびに十二指腸潰瘍などがありますが、この場合でも同様に腹痛がなくとも上記の通り診断がつけばいずれは腹痛が出現すると考えたほうがよいでしょう。

質問2
 腹痛の原因として年齢ごとに多いものに何がありますか?


答え
新生児・乳児では、ヘルニアのかんとん下痢・便秘・腸重積症・壊死性腸炎・消化管穿孔・虫垂炎・レイウス・腹膜炎などがあります。幼児以上の小児では、反復性臍仙痛・アセトン血清嘔吐症・下痢症・便秘・虫垂炎・赤痢・てんかん・血管性紫斑病・食事アレルギー・上腸感膜動脈症候群・肝炎・胆道炎・胃ならびに十二指腸潰瘍・膵炎・神経症・起立性調整障害・尿路感染症などがあります。

質問3
どのような腹痛では浣腸をしてみるべきですか?

答え
血便・便秘のあるときが原則ですが、腹部症状が強いときは浣腸により、かえって腸を刺激すことになること、また腸の中にガスを多くためるようにしてしますことがありますので注意が必要です。迷ったとき・症状が強いときは速やかに医療機関を受診することが肝要です。

質問4
また、浣腸をしてはいかないのはどのような腹痛ですか?

答え
穿孔性腹膜炎・腹部外傷のあるときです。Q3に述べたように、症状が強いときは速やかに医療機関を受診することが肝要です。

質問5
どのような場合に病院へゆかねばなりませんか?

答え

1)ショック徴候のあるとき、すなわち意識障害・血圧低下・頻脈・頻呼吸を呈するとき。

2)緊急処置を必要とするもの:急性虫垂炎・穿孔性腹膜炎・肝破裂・腸閉塞・急逝胆嚢炎・腸間膜動脈血栓症の病気が考えられるときです。すなわち体の症状の変化が強いとき、発熱・嘔吐・意識障害が認められ、右下肢を体肢に近づけるとき、血便などが見られるときは、すぐさま医療機関へ直行しなければなりません。

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Last update 2000/3/6