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腎障害を伴う高齢者高血圧の治療

 腎障害と高血圧の関係については「腎機能が低下すると、血圧を高くしなければナトリウムを排出できない。また、血圧が高くなることにより、腎血管が障害を受ける。このように腎機能障害と高血圧は互いの促進因子になる」と説明されている。
 腎機能の指標としては一般に、糸球体濾過量(ml/min)が用いられており、それを血清クレアチニン値(mg/dl )から算出するためには、男性の場合「(140−年齢) ×体重(Kg)/72×血清クレアチニン値(mg/dl)」という式がよく使われている。女性の場合は、この式による値を0.85倍にして求める。
 この式をふまえると高齢者の腎機能について、例えば70才で血清クレアチニン値が1mg/dlの場合、糸球体濾過量を算出すると70ml/minくらいになる。つまり、高齢者では血清クレアチニン値が一見正常なようでも、実際には腎機能障害を来している場合のあることになる。
 腎障害を伴う高血圧の臨床的特徴は、食塩の影響を非常に受けやすいことである。したがって腎障害を伴う高血圧患者では減塩が特に重要だと考えられている。
 治療について(1)本態性高血圧に腎障害を伴っている場合、(2)非糖尿病性腎症に高血圧を伴っている場合、(3)糖尿病性腎症に高血圧を伴っている場合の3タイプに大別して対応することが重要だと言われている。
 ただし、降圧薬の選択についてわが国では、どのようなタイプの高血圧でも基本的にカルシウム拮抗薬が第一選択薬になるようである。
 そこで次のように考えることが出来る。
 (1)カルシウム拮抗薬だけでは十分な腎保護作用が得られないので、ACE阻害薬を併用する。この場合、カルシウム拮抗薬は通常量で、ACE阻害薬は通常量に比べて2分の1あるいは4分の1を使用する。
 (2)高齢者の場合特に朝方の高血圧が問題となる。カルシウム拮抗薬にACE阻害薬を併用しても血圧が十分に低下していない例、朝の血圧が比較的高い例ではα1 遮断薬(あるいはα1・β遮断薬)を積極的に併用する。
 (3)高齢者での降圧目標については、まだ明確な指針はない。また、高齢者の場合、他の臓器の合併症も多い。そこで、例えば心疾患や脳血管障害の有無などを踏まえて、降圧療法を行っていかなければならない。
 また、臨床の現場においては、血清クレアチニンの具体的な値への対応が問題となることも多い。それに関し本態性高血圧に腎障害を伴っている場合と、糖尿病性腎症に高血圧を伴っている場合では、血清クレアチニン値が3mg/dl で同じだとしても、それが意味することは全く違う事を十分に考慮して治療を行わなければならない。
 とにかく、血管障害合併症としての認識のもとに治療計画を考えなくてはならないのは当然である。
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