NinaのOPディンギー自作ストーリー

[1話] はじめに(2015/12)
[2話] 艇の構想(2016/1)
[3話] 作業環境整備(2016/2)
[4話] 艇の製作開始(2016/5)
[5話] 合板接合(2016/7)
[6話] 接着(2016/9)
[7話] 番外編(2016/11)
[8話] ひとやすみ(2017/2)
[9話] 塗装(内側)(2017/3)
[10話] 構造強化(2017/5)


<1話 はじめに>


私たちNinaは20フィートの木造の固定キール艇でセーリング活動をしているグループです。2015年末に「GL-Labo」の管理人さんと出会って刺激を受け、小型の船を作ることを決めました。

今回は、10フィート以下で、軽量で持ち運びが可能で砂浜に乗り上げられる小型ヨットにしようということになり、OPディンギー(2.3mの1〜2人乗りのヨット)をベースにしたオリジナル艇を製作しようと考えました。2016年1月に、かねとく工房さんやTさんの工房を見学させていただきました。

余談ですが、将来的にはアメリカ・シアトルのWoodenboat Centerのような環境をつくり、大人のみならず、子供たちの身近な工作、さらには海の遊びに繋がる出発点にもできたらいいなと妄想を膨らませながら、今回の艇の製作活動をスタートします。


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<2話 艇の構想 〜どのような船にするか〜>


2016年1月、週末早朝にカフェで集まり、艇の仕様や機能を自作の模型などを使いながら検討しました。

乗る人の視点では、「ソーラーパネルをつけたい」「パドル(櫂)や艪をつけたい」「釣り具を収納するケースも備え付けにしたい」などの意見を出し合いましたが、まずは、基本はOPで、水漏れがなく、設計から排水量を計算した上で問題なく浮かぶことを目標としました。この構想のステップは、一人ではなくグループでものづくりをするときの、一つ目の大きな山かもしれませんが、その分、製造過程の中で、良いアイデアが出てくると思います。

制作側の視点では、作業記録を毎回とっていくことにしました。合わせて、軽量化とコストを抑えた生産も意識しようということにしました。ともかくは基本形はOPで、排水量(艇の重量)は30kg程度を想定。計算上の満載積載重量は300kgくらいですが、乗組員数はまずは一人から。もっとも体格の良いメンバーのO君がテストパイロットとなることが決まりました。

[2016/1/9]
・作業内容:艇のデザイン
・材料:鉛筆・スケッチブック
・スキル:想像力・デッサン力・ヨットの基礎知識・数学物理(体積計算など)
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<3話 作業環境整備>


2016年2月、製作をするにあたって、まずは工房の環境整備からスタートしました。

工房は、元々牛舎として使われていて、その後しばらくの年月使われていなかったために、工房内の清掃などが必要で、作業環境の整備は、なんだかんだで時間がかかります。今後は艇の製作と並行しながら、工房の環境整備をしばらく続けていくことになりそうですが、それも活動の一興です。

まずはともあれ、作業台を作ることにしました。ホームセンターで2x4(ツーバイフォー)材を購入し、艇の製作のための作業台を作りました。台がぐらつかないように筋交いもつけました。作業台は3-4時間くらいで完成しました。

[2016/2/13]
・天気:曇り後、小雨が続く
・気温:最低13℃/最高18℃
・湿度:45%〜65%
・作業内容:工房内の清掃、作業台の製作
・工具その他:電動丸ノコ、電動ドリル、サンダー、ネジ
・作業人数:4人

それから、GL-Laboのエポキシ談義エポキシ安全情報を学んだ上で、艇の製作作業を行うために必要となる材料を購入しました。

[購入材料]

・耐水性合板
・補強用(船底、ガンネル用)ラワン材
・1.2mm銅線
・エポキシ主剤
・硬化剤
・ガラステープ
・2x4材

それと、祖父の船大工道具一式を工房に運び入れました。今回のOPの製作になくてはならないもの、というわけではないのですが、今後、少しずつ道具の理解をしながら道具自体のメンテナンスを含めて使っていきたいと思います。また、日本では数少なくなった船大工。いずれ、工房の一区画を博物館のようにしてみたいと企んでいます。

また、新規の工房の環境づくりをしながら、次の設備・備品類の準備をしていくことにしました。

・ゴミ箱の製作or設置(作業で発生する有害ごみと一般ごみの分別のため)
・小型掃除機(埃やゴミの吸い取り)
・「安全第一」の看板(意識を高め合うため)
・掛け時計(タイムキープのため)
・温度計・湿度計(エポキシの利用環境条件確認のため)
・文房具、作業記録日誌(メモのため)
・工具入れ(良く使う工具入れ)
・可動式トレイ(そのとき必要な工具や道具、小物を選択して可動式トレイに載せて作業台近くに置く)
・蚊取り線香、虫除けスプレー
・休憩用テーブルと椅子(休憩用)
・扇風機(換気用)
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<4話 艇の製作開始>


実際の艇の製作開始は、2016年5月となりました。今回はOPであることからS&G(ステッチ&グルー)工法で製作することにしました。

OPの設計図をベースにして、展開図を作成しました。そして、現図を作成して、転写用紙をつかって合板に転写し、合板をジグソーでカットしていきました。その後、銅線1.2mmで合板どうしを接続していきました。ただ、艇の全長が2300mmなので、合板は、本当は4x8(1200mmx2400mm)が理想だったのですが、3x6(900mmx1800mm)のサイズを購入していたため、後で苦労するであろうことを今更覚悟しました。合板についての知識は、 合板を理解するで勉強になりました。この日(5/3)は夜になるにつれ荒天となりました。

[2016/5/3]
・天気:晴れ一時曇り、夕方以降に風が強まる
・気温:最低14℃/最高21℃
・湿度:70%〜88%
・作業内容:設計図から展開図の作成、合板への転写、合板の切り出し、ステッチ用穴あけ
・材料:耐水性合板、補強用ラワン材、1.2mm銅線
・工具:ジグソー、銅線穴あけ用1.5mmドリル、定規、鉛筆
・必要な技術:算数(足し算・掛け算・割り算)、正確な寸法取り、木取り
・作業人数:3人
・作業時間:5時間

[2016/5/4]
・天気:雨のち晴れ、強風が続く
・気温:最低19℃/最高23℃
・湿度:97%〜50%
・作業内容:ステッチ作業、仮組み上げ
・工具:ペンチ
・作業人数:3人
・作業時間:3時間
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<5話 合板接合>


2016年7月。前回の作業は5月でしたので、約2か月ぶりとなります。前回組み上げたステッチですが、日射の影響か、板の反りが大きく隙間が空いてしまった箇所も多くありました。エポキシパテで、隙間を埋める作業を行いました。パテを塗り込むのに、ヘラを使いましたが、隅っこのパテ埋めはなかなか苦労しましたが、最後に試したスプーンの利用が功を奏しました。バウについてはその上からガラステープを貼り、エポキシを塗りました。パテの乾燥にはその後半日はかかりました。あと溶剤臭がきついので、エポキシ安全情報にあるように、換気、休憩しながら作業をすすめました。それと、この時期の最大の問題の一つは、”蚊”です。蚊取り線香は欠かせません。

[2016/7/16]
・天気:曇り、一時晴れ
・気温:最低21℃/最高27℃
・湿度:98%〜70%
・作業内容:ステッチ作業、仮組み上げ
・材料:ガラステープ、刷毛、エポキシ主剤・硬化剤、アセトン、マスク、スプーンなど
・必要な技術:有機溶剤に関する知識、正確な計量
・作業人数:3人
・作業時間:4時間

[2016/7/17]
・天気:曇り、一時晴れ
・気温:最低23℃/最高29℃
・湿度:98%〜88%
・作業内容:ステッチ追加修正、パテ塗り、ガラスクロス貼り(バウのみ)
・必要な技術:ガラスクロスの取り扱い
・作業人数:3人
・作業時間:4時間
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<6話 接着>


2016年9月。前回の活動が7月でしたので、今回も2ヶ月ぶりです。ここまでに、船の形の基本形は完成した印象です。ガンネルについて、曲率をいい具合につけることを検討しました。ラワン材をお湯でふやかしてから矯正曲げをトライ。しかし、15mmの厚みがあるのでちょっと厳しいので再考。あと、まだまだ、蚊は多い。

[2016/9/17]
・天気:曇り、一時晴れ
・気温:最低20℃/最高28℃
・湿度:99%〜72%
・作業内容:スターン側のステッチ作業、隙間パテ埋め、エポキシ塗装、ガンネル用補強材曲げ
・材料:ガラステープ、刷毛、エポキシ主剤・硬化剤、アセトン、など
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

[2016/9/18]
・天気:曇り、一時雨
・気温:最低25℃/最高27℃
・湿度:94%〜89%
・作業内容:エポキシ塗装
・材料:ガラステープ、刷毛、エポキシ主剤・硬化剤、アセトン、など
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

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<7話 番外編 冬季の学習>


2016年11月24日から25日にかけて、三重県鳥羽市にある「海の博物館」を訪問しました。伊勢志摩は祖父の出身地でもあることからも、以前から一度は行ってみたいと思っていたところでした。今回、初めての訪問となりました。

博物館の受付で入館料を支払い、建物をぐるっと見渡すと、天井がアーチ型になっていて木の香りがして気持ちの良い空間が私を迎えてくれます。

受付の方の勧めで、まずは伊勢志摩の海女の歴史文化の記録映画を鑑賞しました。日本では、伊勢志摩の海女が全国の約半数を占め全国最多の1000人がいるのだそうです。しかし、最盛期は昭和20年代で伊勢志摩で6000人がいたとのことです。また、海女という文化は日本と韓国にしかないとのこと。海女の文化や地域性も面白いと思いました。

そして、海女の使う道具や夫婦で漁をする様子がよくわかりました。興味深かったのは、セーマンドーマンという魔除けの風習です。海には「共潜(ともかつぎ)」という妖怪がいるということから根付いた風習らしいです。

映画を見終わり、館内の見学へすすみました。館内はコースというものがなくて行ったり来たり自由にしてもらうのが趣向らしく、それも心地が良かったです。数で言うと100隻に及ぶ、大小の木造船の展示があり、漁に適した船の形状などが計算されているなど、非常に面白かったです。

それから、灯台の歴史文化についても学ぶことが出来たのは収穫でした。灯台守の時代からの海の安全を見守るシステムの歴史についても勉強してみたいと思いました。

今回の訪問で、鳥羽・伊勢志摩の歴史、海女、造船の文化について学ぶことができました。本当にオススメの、鳥羽でした。あとから、GL-Labo管理人さんもわずか2日前に鳥羽付近を訪れていたことを聞きました。なにかとご縁があるようです。

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<8話 ひとやすみ>


2017年2月、作業計画をブリーフィングしました。googleのchromecastをトライしました。写真や動画をTVに映せるのは良かったのですが、ドキュメントやスプレットシート、スライドなどの資料が映せず、作業計画を議論するための情報共有のツールとしては機能せずに残念。

この日はとても寒く、作業はほとんど進みませんでした。隙間のパテ埋めをした程度です。夜になるにつれてさらに気温が下がりました。晩は鍋料理をしました。

[2017/2/18]
・天気:晴れ
・気温:最低0℃/最高8℃
・湿度:58%
・作業内容:隙間のパテ埋め
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

[2017/2/19]
・天気:晴れ
・気温:最低0℃/最高8℃
・湿度:58%
・作業内容:特になし
・作業時間:0時間

綺麗な梅の花が咲いています。春はもうすぐです。

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<9話 塗装(内側)>


2017年3月、補強材関連の接着、塗装(内側)を行っています。

[2017/3/18]
・天気:晴れ
・気温:最低1℃/最高14℃
・湿度:29%〜64%
・作業内容:船体内側のエポキシ塗装
・材料:エポキシ主剤・硬化材、刷毛
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

[2017/3/19]
・天気:晴れ
・気温:最低3℃/最高17℃
・湿度:19%〜65%
・作業内容:補強材のエポキシ接着
・材料:エポキシ主剤・硬化材、刷毛
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

いつも猫が製作状況をチェックしにきてくれます。


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<10話 構造強化>


2017年5月、バルクヘッドの設置とエポキシ接着をおこないました。構造材として欠かせないバルク。艇として剛性が一気に高まりました。今夏には進水式をできたらいいなと思っています。サイドの合板のつなぎあわせた箇所が気になっていたのですが、バウからスターンにかけての綺麗なカーブを作ることができて、とても満足感があります。

[2017/5/5]
・天気:晴れ一時曇り、夕方以降に風が強まる
・気温:最低12℃/最高23℃
・湿度:53%〜81%
・作業内容:バルク用合板の切り出し、エポキシ接着
・材料:耐水性合板、
・工具・材料:ジグソー、エポキシ主剤・硬化材
・必要な技術:数学(三平方の定理など)、正確な採寸・計量
・作業人数:3人
・作業時間:4時間

[2017/5/6]
・天気:晴れ、午後2時以降くもり。強風が続く。
・気温:最低15℃/最高24℃
・湿度:69%〜87%
・作業内容:ガラステープによるバルク接着
・工具・材料:ガラステープ、エポキシ主剤・硬化材
・作業人数:3人
・作業時間:3時間

製作をすることを決めた2016年2月に植樹した桃の苗木は、順調に成長して、今綺麗な花が咲いています。工房の入り口に看板をつくりました。時々、通りがかりのご近所さんにも、艇の製作の進捗をお知らせしていこうと思います。

Ninaは、船の製作のほか、農作物にも関心をもっています。猫は夜の工房の番をしてくれています。

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<連絡先>Ninaまで
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