婆羅さんの「櫓でカヌーを‥‥」実験レポート(特別ページ)2001/12/31
読者の「婆羅さん」からいただいた実験レポートを掲載します。
婆羅さんのメッセージは、掲示板(BBS)の39番発言以下を「スレッド表示」でご覧ください。
婆羅さん、お約束が遅れてすみませんでした m(_ _)m
私も櫓を作りました。
7月ころから 海釣り、素潜り用にと3.6mのアウトリガー付セーリングカヌーを作っていました。
ちょうどその頃インターネットで土井さんの櫓の実験を知りました。 以前から櫓を作って漕いでみたかった私は「そうだ、このカヌーに櫓をつけよう」と急におもいたち、カヌーの帆装はおあずけにして、9月から櫓の製作をはじめました。
3.6mアウトリガー付セーリングカヌーに櫓を取り付けたところ。
上を歩いたり、寝転んだりできるようにデッキはまっすぐ まっ平らだけれど、平底、V型、トランサム船型はサバニ。櫓遊びに無中になってしまったため帆装が出来ずまだ未完成。

1作目の櫓(改良後)
櫓の材料としては、試作品なので強度があれば耐久性は必要ないので、櫓腕に39φの軽量薄肉鋼管を、櫓足(ブレード)に30×100×2000mmの杉板を使いました。
腕は先端から1200mmのところでパイプベンダーで 7°の角度に曲げました。 1325mmのところに櫓を支持する7φの鉄棒を直角に曲げた金具を溶接してあります。櫓受けとして 厚さ3mmの鉄板に13φの穴をあけた金具をカヌーの後ビームにネジ止めします。
私の櫓の特徴の一つはこの櫓の支持方法です。この方法ですと,櫓受けに櫓を装着するのは簡単ですが、櫓が外れることはありません。櫓を逆に動作すれば船を後進させることもできます。櫓は左右に各90°返すことができます(在来の櫓受け、櫓ベソでは90°返すと櫓がはずれてしまう)。 また、櫓(ブレード)を90°返した状態(ブレードを垂直に)では櫓を舵としても使えます。
櫓柄は12cmの木片をパイプにボルト止め。腕の先端部は手の当たりが柔らかくなるように木の丸棒を10cmはめこんであります。
Uボルトを外して分解したところ。腕の曲がり角度は7度。
ブレード断面は円弧状で、先端が約200mmR、鉄パイプ接続部あたりで約100mmRです。
ブレード中心線と腕の中心線はUボルト止めなのでずらすことができ、右舷漕ぎ、左舷漕ぎどちらにも対応できます。
杉材のブレードは電気カンナで先端部をR200mmくらい、根元をR100mmくらいの円弧状に削りました。揚力効果を期待して(気にして)のことですが、なぜこの R なのかは定かではありません。はっきり言ってよくわからないのです。櫓の断面形状は各地でバラバラのようだし参考資料もないので自分で試行錯誤しながら一番よい形を求めていくしかないようです。
ブレード下面はそのままの平らです。ランダムサンダーでなめらかに研いでから仕上がりに ニスの代わりにシリコンコーキングを塗って布で磨きます。このシリコンの皮膜が水をよくはじいてくれます。
櫓腕とブレードの接続は2本の Uボルトをつかいます。ブレード中心線と腕の中心線は Uボルトをゆるめればずらすことができ、右漕ぎ、左漕ぎどちらにも対応できます。
櫓の全長は3400mm±100(長さ調節可)。櫓の重量は約4Kg.制作費は家にあった材料を使ったので タダ。購入しても三千円くらいでしょう。
製作時間はブレードに2時間、腕に4時間、調整に1時間、計7時間でした。
カヌーには前後のビームに補助デッキを渡してデッキ幅を650mmとし、その上に立って櫓をこいでみました。が、比較的穏やかな焼津沖の海でしたが、こまかくて不規則な揺れがあって立ち漕ぎでは落水しそうなため、立ち膝の格好で漕いでみたけれど,カヌーは右に左に振り回されてスピードがでない。近くの堤防の上を歩く人よりも遅く、1ノットあるかないかの期待はずれの結果でした。しかし、櫓そのものは悪くなく、カヌーと櫓との相性が悪いと思われました。
そこで、次の実験艇として庭の隅に使われなくなって放置されていた ヤマハ シーホッパー(14フィート)を引っ張り出してきて、左舷船尾に櫓受け台を取り付けました。実験場所は御前崎港内。岸壁に沿って430メートルの間を往復。櫓は前回と同じ物で、海況は風浪ほとんどなし、晴れ。
所要時間は13分40秒。平均速力 3.7Km/h, 2ノットが得られました。
この櫓はブレードを改良すればもっと可能性があると思われます。速力の目標を3.5ノットとして、実験はまだ続きます。
実験艇シーホッパーの船尾、 ↑櫓受け台を後ろから見たところ。 ↑櫓受け台を横からみたところ。
櫓の実験(その3)
翼(プロペラ)の揚力効果って櫓にあてはまるのでしょうか? 水中の櫓のブレードの動きを見ていて、
揚力効果というもの、あまり櫓には関係ないのではないかと思いました。それよりも、徳次郎さんの
指摘された櫓の あおり効果 のほうが大きいのではと考えました。
そこで、腰が柔らかくて弾力性のある、揚力効果を無視した平べったい櫓をつくってみました。
試作ブレード 3ミリのベニヤ板を積層成形 長さ2メートル 幅100〜150ミリ。
厚さ 先端から3〜6〜9〜12〜15ミリの厚さになっていてかなり腰が柔らかく弾力性がある。
シーホッパーに取りつけて漕いでみると魚の尾びれを思わせる。
魚が尾びれで後進できない様にこの櫓も後進ができない。
揚力効果を無視した平らな櫓だけれどスピードが出そうな感じがする。
漕いでいるうちに3ミリの先端部40cmが音もなく折れて脱落。
が、そのまま860mの距離を漕いでみると、2.5ノットの速力がでました。
櫓の実験(その4 カヌー用の櫓)
全長2.5m、櫓腕 0.9m(櫓受けから)、腕は25φの薄肉鋼管で 7°の角度に曲げてある。
ブレードは杉材で、寸法は長さ1.5m、幅10cm、厚さは2〜25mmのテーパー状になっていて、
揚力効果無視の平らな断面になっている。腕とブレードは2本のUボルトで止める。重さ1.9Kg。
焼津沖の2.7Kmの距離を試走。海況は波浪1m、風力1〜2m。往路はムキになって漕いだ
けれど 47分かかりました。 復路は、少々疲れたのと、手にマメができて痛くなったので、
ムキにならず、船のトリムを考え、櫓の角度を30°くらいにしてムダ波をたてないようにして
漕いで見ました。所要時間は35分、約2.5ノットの速力が得られました。
この平べったい、弾力のあるブレードの水中の動きを見ていると、やはり、揚力効果よりも
徳次郎さんの あおり効果、角度は小さいけれどオールが水をかく効果、さらに魚(イルカ)
の尾びれが水をかくような効果などが櫓の推進力に大きく関係しているんではないかと
思いました。
櫓の水面との角度は30〜35°くらいがよく推力が得られました。角度をさらに大きくして
垂直近くなるとブレードの動きはシュナイダープロペラを思わせます。

試作櫓ブレードを並べたところ。 上から 竹の櫓 薄く削った竹の櫓 杉の1号櫓 ベニヤ櫓 カヌー用の櫓。