【8】プランキング

         

 

 

 

 

 

 ← キールから数えて5枚目 

  (P5)をプランキングして

   いるところ

 

 いよいよGLでもっとも特徴的なプランク作業に入ることになる。プランクは

片側8枚、全部で16枚あり同じ作業の繰り返しであるので、段々に要領が解ってくると

易しく進めることができるようになる。ところが都合の悪いことに最初の左右1枚目のプ

ランクP1(ガーボードプランク)だけは他のプランクと比べると格別に難しい。従って

このP1については充分時間と手間をかける覚悟をして作業にかかって欲しい。ここが巧

く工作できればこの後のプランクは簡単であり、ここで手に入れたノウハウはこれから先

おおいに活用できるものとなってくる。なおプランキングの前に必ず「【10】船体の分

離」まで読んで概略を理解してから作業に取り掛かっていただきたい。

 

 

 

 

 ← 最初のP1(ガーボード・プランク)を

  切り出して、キールに沿って整形している

 まず最初にクリンカーの最初の1枚を用意するわけである。初めから長い外板をモール

ド部分に当てて切り出すことができれば簡単であるが、それでは不経済であり、作業も困

難を極める。そこでまず型紙を取ることにする。P1の部分におよその形に切った厚紙を

当て全長に渡って型を取る。出来上がったこの型紙から外板を切り出すことも可能である

が、バウ付近の曲線は厚紙だけではつかみきれない場合があるので、念のためこの型紙を

3mm位の建築用合板に移したうえでこれをモールドに当てて確認する。ここP1以外のプ

ランクでは型紙から直ちに外板を切り出すが、P1だけは形が複雑で、またバウのひねり

が大きいので厚紙では正しい線が出せない。そこで面倒でも確実を期してこの方法で切り

出すのである。なお型紙として厚手のケント紙が使える場合にはこの必要はないであろう。

 

    *** 工作のヒント ***

 型紙にはボール紙程度の丈夫な、長さ4m以上の厚紙を用意する必要がある。厚手のケ

ント紙がもっとも理想的であるが、荷造り用の包装紙、段ボールの原材料となるボール紙

等で代用してもよい。

     **************

 

 なおほとんどのマリン合板には表と裏があるので、切り出しの際左右で対照の板が得ら

れる様に注意する必要がある。

 

 説明の順番が逆になってしまったかも知れないが、スカーフについて考えよう。

市販のマリン合板の長さは2.4〜2.5mだから、をおよそ4mの長さにスカーフしなけれ

ばならない。これには2通りのやり方がある。

 一つは普通シングルチャイン艇の工作で行われる方法で、初めに120cm×240cmの

マリン合板を2枚スカーフしておいてから切り出す方法であり、これは面倒なスカーフ作

業の回数が少なく、切り出しの作業も簡単ではあるが、大面積のスカーフがかなり難しい

うえに、クリンカータイプのADでは外板にカーブがあるためにバウとスターンで木目が

斜に走るようになり、また合板の無駄が出やすいという欠点がある。

 

 

 

 

 

 

← 外板を切りだした後にスカーフする方法

  板の厚みの10倍の間隔で重ねて固定し、

  斜面に沿ってカンナをかけると

 

 

 

 

← 正確な斜面(スカーフ面)が得られる。

  このあと、スカーフ面を合わせて接着する。

  もう一つの方法はスカーフする前に型紙を当てておおよその寸法で切り出しその後にス

カーフする方法である。この方法だとスカーフの回数は多くなるものの各スカーフ面積が

小さいので作業が楽であり、合板の無駄も少なく、最終切り出しの前に直接モールドに当

てて確認することができるという利点がある。ただしスカーフ部分のほんの少しの狂いが

板全体に大きく表われてくるので、最終型取りのときにその修整ができるだけの大きさの

余裕をもって準備する必要がある。

 どちらの方法にも一長一短があるが、ここでは総合的な判断として2番目の方法をお薦

めする。 またいずれの場合にも8枚のプランクの同じような位置にスカーフ

個所が集中しないように配慮すること。スカーフを確実に行っていれば強度上のこの心配

は必要ないが、念のため隣どうしのプランクのスカーフ個所をできるだけ離すよう工夫し

て欲しい。

 

 

 

 

 

← P1のプランキング作業。

   キール側は仮釘で固定、ステム側は木ねじ

  と、クランプを併用、P2側(キールの反対

  側)はクランプのみで固定し、接着剤の硬化

  を待つ。

 準備ができたらまず片側のP1を接着する。接着剤を使用する個所はキール、ホグ部分、

ステム、トランサム部分であり、モールド部分(ステムとトランサム部分のモールドも

忘れないこと)にはポリシートを当てて接着剤が付着しないようにする。接着剤が硬化す

るまではキール側は木ネジ、ストリンガー側はクランプで固定する。この場合ネジ穴にも

接着剤を流し込むこと。続いて同じように反対舷のプランク作業を行って、左右1枚目の

プランク終了となる。

 ここでモールド側のストリンガーの刻みに鉛筆を添わせ、P1の内側にフレーム、バル

クヘッドの位置をマークする。

 接着剤の硬化が終わったところで2枚目のプランク(P2)作業に取り掛かる。ここか

ら先はP8まで全く同じ作業の繰り返しとなる。まずP1側のP2と重なる幅22mmの部

分(ランド)をカンナで斜に仕上げる。仕上がりの角度は2本目のストリンガー(S2)

にカンナの台尻を当てて削っていけば自然に得ることができる。これはホグのプランク面

を削ったのと同じ要領である。またバウ部分のステムから15cm位の間だけはノミをつか

って緩やかに沈み込むように仕上げ、ステムのところですべての外板がピタリと一直線に

「突き合わせ」の様に揃うようにする。

 

 

 

 

 

← ↑ ステム部分のプランクの重なりの状態

   船首部で徐々に沈み込んで、ストレートな

   ステムが現れる。

 

 次にP1の時とほぼ同様にしてP2の型紙を取る。この型紙を取る作業ではラップ(プ

ランクの重なり)の部分で前のプランクが邪魔になり直接型取りが出来ないので、まず型

取りが可能なストリンガーの内側(下側)に鉛筆を添わせラインを引き、その後でこのラ

インからバテンを使って22汪O側に移動すること。それをもとにしてベニヤ合板の一次

切り出し、スカーフ、サイズの確認、最終切り出しの順に作業を進める。

 ← キール部分と、P1、P2のラップ部分。

  トランサム(船尾)のプランクは沈み込まない。

 

 

 ↓ バテンを使ってラップ部のラインを引き、

  カンナで斜めに削って、次のプランキングに

  備える。

 

     *** 参考事項 ***

 ラップとランドというよく似た言葉は混同しても差し支えないが、厳密には重なりその

ものがラップであり、ランドはこのために削られた面を指す言葉である。

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 これでP2の準備がすべて完了したことになるので接着剤でP2をプランクする。この

時またポリシートを必ず適切に配置すること。ポリシートの端がプランクの間に挟みこま

れないようにも充分注意すること。ランドの部分にはもう今後木ネジは使えないので仮釘

を打ち、ステムとトランサム部分は木ネジ、ストリンガーに当たる部分はクランプで固定

して硬化を待つ。

 

 

 

 

 ← P6を型どりしているところ。

  トランサムを固定しているクランプの位置

  が下がっていることに注意。

 

 

← 最終のP8(シアー・プランク)のプラン

  キング作業の様子。

  ステム部分は角度が大きくなってくるので、

  クランプよりも針金で締め付けるのが良い。

  この例では、シアー・プランクのみ素材を変

  えて外観上のアクセントとしている。

 

 トランサムを仮止めしていた上部のクランプは段々下の方に移動し作業の後半には不要

となる。フレーム、バルクヘッドの位置のマークも毎回忘れないこと。また仮釘はハルの

変形を防ぐためにプランク作業が全部終了するまで取り除かないこと。以下P8までこの

一連の作業を繰り返すと努力の結晶(ハル)が完成する。この時点で初めて仮釘を全部取

り除く。仮釘の穴の跡が気になる場合には爪揚子の先に接着剤を付けて軽く打ち込み、硬

化後にノコギリ、サンドペーパーを使って滑らかに仕上げる。このとき爪揚子をあまり強

く打ち込むと、先がモールドまで届いてしまう。また爪楊枝を指で折り取ろうとすると、

穴がきれいに塞がらないので注意すること。

 

 

 

 

 

← プランキングが終了して、釘穴に爪楊枝を打ち込ん

 だところ、まるでハリネズミのようだ。

 

 キール表面を保護するため外板と同じ材料でラビングストリップを作り仮止めする。

次にステムを仮止めしていた木ネジを忘れずに取り外した後、アウターステムを接着する。

 

     *** 参考事項 ***

一連の作業でマリン合板をすべて切り出してからプランクを行えばもっと効率的に作業

が出来るのではないかという疑問をもたれる方があるかも知れない。確かにこの方法によ

ればストリンガーから直接型紙が取れるし、毎回スカーフしなくてもよいので作業効率が

良いのである。しかしこの様にして2本のストリンガーの外側で取った型紙は、前のプラ

ンクのランド部分の板の厚みを考慮していないので、完全な型紙とはいえない。このまま

で切り出すと外板がバウとスターンでキール方向にわずかに曲がってしまう。この誤差も

最初のうちは無視できる程度なのでやや無理な力を加えて正しい位置にプランクすること

ができるが、その代わりに中央部がわずかに浮き上がる。そしてプランクが進むにつれこ

れらの誤差が蓄積されてどうにも収拾がつかなくなってしまうのである。

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