【14】デッキビーム取り付け

                

    デッキビームはゆるやかな円弧の形をしているので準備するのが面倒であるが、

このカーブは出来上がりの美しさのみならずデッキの強度上からも重要であるので念入り

に作業を進めること。艇全幅にわたるデッキビームはL2、L5を除く7個所に配置され

るが、マストより後方のL1、L3、L4、L6の4本は幅160cmに対して80mmのキ

ャンバ(円弧の高さ)ですべて同じ曲率を持っている。このサイズのデッキビームは「【5】

トランサム」の項で述べた様に、既に1本使用している。この後「【15】バルクヘッド」の

項でもさらに1本使用するのであと5本切り出す必要がある。またこのうちコクピット部

分のL3、L4の2本のデッキビームは「【16】カーリン」の作業で中央部分が切り除

かれ、そのとき切り出された部材はL2、L5のショートビームとなって取り付けられる。

またバウの3本のデッキビームはそれぞれカーブの半径が異なるので注意が必要である。

L6のデッキビームの中央上部から、ステム内側のデッキの位置までを直線で結び、L7、

L8、L9それぞれのデッキビームの中央上部がこの線に達するようにカーブを与え

るのである。これをやらないで同じ半径のデッキビームを並べていくとバウのデッキが素直

に張られず、中央が沈み込んで出来上ってしまうので注意が必要である。

 

 

 

← 1枚のケヤキ板から7本のデッキビームが切り出せた。

  材料の板の幅が狭いと、切り出せるデッキビームの本数

  は少なくなって、効率が悪い。

 デッキビームの材料は厚さ14mmのケヤキ、マホガニー等、長さ150cm、幅は広いほ

ど無駄がなく、木取りが楽なので、出来るだけ幅の広い板から切り出す。

積層フレームと同じ方法でデッキビームを作るのも良いアイディアである。この場合は5

〜6mm厚の板を使用して全体で25mmになる様に積層する。

 

 形を整えたらビームシェルフの所定の位置にノッチを刻み、これにデッキビームを取り

付ける。この部分のノッチは小型で強度上心配な感じがするが、これにデッキを張り付け

ると充分な強度となる。取り付けの終わったデッキビームにもベベル調整をすること。

 

 

 【15】 バルクヘッド

                 

    デッキビームの取り付けが終わったらL1、L6、L7の3か所にバルクヘッ

ド(船体隔壁)を取り付ける。フレームとデッキビームに添って厚紙を当てて型紙をとり

6mm合板から切り出す。 L1、L7の2枚は前後のデッキ下部エアータンクを形成する

ので、点検ハッチのための準備が必要だ。 L6は収納スペース(物入れ)の仕切となる

ので、開口部分を用意してから接着する。

 

 硬化を待ってバルクヘッドの開口部裏側やマストステップ下部を補強し、水抜き孔(ド

レーンホール)をホグの脇に2個づつ開けておく。

 

 

 

 

 

← この穴は、完成後にコルク栓で塞ぎます。

次に前部デッキにキングプランク(左右のデッキが合わさる中央部分の受け材)とデッキ受け補助

材を配置する。

 

 

← 中央のキングプランクはデッキビームに溝を

 切って、取り付ける。

 デッキ補助材はデッキの強度を高めるために

 この様に2本配置する。

 トランサムとL1との間にもう1本デッキビームを取り付ける。これは後部デッキの中

央を補強するための物であり、バルクヘッドは必要ないのでこの部分には積層フレームも

配置していない。このデッキビームの中央とホグとを結ぶ支えの柱のみ取り付ける。同様な

支えをL8のデッキビームにも取り付けること。

 

 

 

 

← トランサムと後部バルクヘッドの中間にも

 補強のためデッキビームを追加する。

 見づらいが、中央で細い支柱に支えられている。

 コクピット内を横切るL3、L4の2本のデッキビームは、次の【16】カーリン取り付け

作業に備え左右のビーム取付け部分をハンギングニーで支えるように補強する。

 

 

 

← L3、L4の2本のデッキビームはこの様に

  コクピットを横断しているので、後に切って

  しまいます。 だから、その前に両端を固定

  しておく。 

 

 

 

 

 

← ハンギングニーの接着が終わった状態。

 温度計は、接着作業においては重要な計器です。

  エアータンク、収納スペースの内側部分はデッキを張ってしまうと手が届かなくなるの

で、今のうちに塗装をしておく。塗装は最低4回、できれば6回位したいので早目にチャ

ンスを見つけて1回づつ済ませておく。内部の塗装が終わったら、前部点検ハッチを取り

付ける。このハッチは物入れの奥に隠れてしまうため、取り付けを後回しにすると大変苦

労することになる。実際にはこのハッチを覗いて内部を調べることは不可能に近く、点検

ハッチとしての実用性は低いが、エアタンク内部を乾燥させる通気口として重要なのであ

る。これに対して後部点検ハッチはコクピットに隣接しているので実用性は高く、セーリ

ング時にドライな物入れとしても便利に使える。この後部ハッチは完成後に取付ければよい。

 

 

【16】カーリン(または カーリング)

                    

  船体中央部にコクピットのスペースを準備する。まずサイドデッキの位置を決

めるため4本のデッキビーム(L1、L3、L4、L6)上に左右のビームシェルフから

200mm取ってマークする。このマークに沿ってカーリンを取付けるのであるが、その為

には2本のデッキビームの中央を切り取る必要がある。しかしこの部分を切り取ると、ビー

ムが前後に動いて位置が狂ってしまう。そこでビームシェルフから斜めに補助材でビーム

を支え、固定した後にビームの不要な部分を切り取る。

 

 

 

 

 

← デッキビームの切り取りに備えて前後方向にも

 この様に仮止めして、カーリンの位置を定める。

 

 

 

 

 

← 切り取られたデッキビームの木口にカーリンが

 取り付けられたところ。

                 カーリンの部材の寸法は、他の部材と比較すると

異常に大きいと感じられるが、この部分に特有な強度上の理由から14mm×35mm角

とする。長さは205位になるが現場合わせである。これくらいの寸法の角材になると

カーリンのような曲線に沿って素直に曲がってくれないものである。これはカーリンが水

平面と垂直面の両者に対して曲がりを持っているからである。そこでカーリン材をわずか

に傾けて取り付けてやると、実に素直に曲がってくれる。スォートとカーリンの接合部は

隙間なく整えて接着しスォートの裏側からは木ネジを打って補強する。

 

 

 

 

← ショートビームを追加して、カーリンの曲線

 を滑らかに仕上げる。 

 コクピットの内側に支えを入れてから接着する。

 ところでこの方法でカーリンを取り付けると、どうしても中央付近で折れ曲がったよう

な不快な曲線になる。その理由はカーリンの固定がL3、L4の2カ所に集中した位置

で行なわれているからである。これを防ぐためL2、L5の位置に内側からの支えを当て、

カーリンを滑らかな曲線に仕上げる。次にこの支えを付けたままL2、L5の位置でカー

リンとビームシェルフにノッチを刻み、この間を補助デッキビーム(ショートビーム:

L3、L4で切り取ったビームを流用する)で結合した後ハンギングニーで補強する。

ここでL3、L4のデッキビームの支えと、L2、L5のカーリンの支えを取り外す。

 サイドデッキは片持ち式という構造であり、主に下向きの荷重に、時には上向き荷重に

も堪えなければならず強度が要求される個所であるので、デッキの荷重がうまく分散する

ように補強材(ハンギングニー等)を配置しなければならない。しかし補強材を配置し過

ぎると、デッキの下のスペースが有効に使えなくなってしまい悩ましい部分である。ハン

ギングニーの形はこの悩みの深さを表わしていて興味深い。

 

 

 

 

← コクピットの4隅に取り付けるニーの

 積層作業。 積層フレームと同じ材料を

 適当に重ねて接着する。

 

 

 

 

← このニーは見た目にも優雅で、乗り手も快適、

 デッキの強度も高まり、一石三鳥なのです。

 面倒がらずに取り付けましょう。

 次にコクピットの4隅に積層ニーを取り付け、コクピットのラインを柔らかにすると共

に、モノコック構造のハル全体の強度を高める。