【19】ガンネル

                   

 

  8枚目の外板(シアープランク)はデッキから立ち上がったままで、まだシアー

部分が補強されていないので、内側にガンネルを、外側にはアウトウエル(又はラブ

バンド、防舷材)を取付ける。一般的にはガンネルとアウトウエルを合わせてガンネル部

分と呼ぶことが多いが、工作の過程では区別していくことにする。アウトウエルに30mm

×15mm、ガンネルには30mm×18〜20mmの角材を使用する。 アウトウエルの

材料が工作中の材で(マストを除く)最も長いことに気が付かれるであろう、約4mである。

普通4m以上の木材は仕入れるのが困難になる。AD艇のサイズはこんな所からも決められ

たのである。 シアーの補強はハルの変形防止のためにもっと早い時期に行うのが望ましい

が、(内側の)ガンネルを取付けてしまうとデッキを張る作業の邪魔になるので、ここまで

延ばしてきたのである。ハルが変形しやすく心配な場合には先に(外側の)アウトウエルだ

け取付けてからデッキを張ってもよい。

 

 

 

 

← オールロックを取り付けるため、ガンネルの

 該当箇所を補強しているところ。 取り付けは

 しっかりと。

 

 

← オールロックの種類に応じてだが、この例

 では単純な落とし込みのタイプを採用した。

 外板を損なわぬように、金具の外径の穴を用

 意している。

 ディンギーでは凪の時や、ポンツーンからの出入りの為、補助的にパドルかオールを使

って漕ぐことが必要になる。補助推進器としてはオールの方がより強力に漕げるので理想

的であるが、最近のディンギーはデッキの構造上オールが使えないので止むを得ずパドル

で漕いでいるようである。この点ADはデッキから古風にガンネルが立ち上がっているの

で純粋のローボートとして楽しむことも可能である。 この場合はより長目のオール(2m

以上)が使いやすい。オールロックの取り付け位置は、スォートに腰掛け、オールを

握って腕を延ばして実際に漕ぐ動作をして決める。オールロックには色々なタイプがある

ので、手に入るものの形状に合わせてガンネルの補強などの下準備をすること。

 

   

 ガンネル部分が出来上がったら、バウにアンカーロープを通すホースホールを用意する。

これはアンカーリングの時にロープを定位置に保ちボートを安定させる役に立つ。14

mm厚の木片を接着した後、25×40mm前後の楕円形の穴を設ける。穴の周辺には丸みを

持たせロープを痛めないように注意する。 ホースホールは極めて実用的な装備であるが、

それのみでなくバウの表情のワンポイントともなる。 これが取り付けられると、動物画に

眼が描き入れられた時の様に、艇全体が生き生きとしてくるのが何とも不思議である。

 

 ここまで出来たらもうアウターフレームも不要となる。「どうもご苦労様でした」と

感謝の意を表したら、先にモールドを貸してあげた次の自作者に渡すのが一番であろう。

先のモールドは分解しないで渡したが、このアウターモールドは単純な構造であるから分

解して移動してもよい。

 アウターモールドから外し、久し振りにハルを裏返して適当な高さに置き直してみよう。

センターボードスロットは変形を避けるため長い間未完成のままになっているので、ス

ロットの接続部分を切って取り除き、正規の長さのセンターボードスロットを完成する。

次にキール部分に当ててあったラビングストリップ(摩材)を一旦取り外し、ハルの塗装

に備える。

 

 

 

 【20】ラダー、センターボード 等

                  

   使い慣れた6mmのマリン合板を3枚積層してラダーブレードとセンターボー

ドを作る。これらは面積が大きいので、積層時クランプが掛かり難いが、釘で台木に打ち

付けるなど工夫する。 釘穴には後で爪楊枝などを埋めること。センターボードはケース

にピッタリと納まらなければならないので、大まかな形のまま積層し、先に用意した型板

(【6】センターボードケース 参照)から正確に切り出し、カンナ、サンドペーパーで

仕上げる。この時ベニヤの積層面が等高線の役目を果たし、左右対照な正しい断面を削り

出すのに助けとなる。つまりこの等高線が滑らかに、しかも適当な間隔で現われるように

仕上げるのである。

 

 

 

← 6mm 合板3枚を積層して、センターボード

 を作っているところ。 面積が広いので、中央

 部は釘を打って仮止めしている。

 ラダーブレードも同様に積層する。

 

 

 

 

← センターボードとラダーブレードを削って

 仕上げる。

 センターボードは実際にケースにピンで仮止めし、自由に上下することを確認すること。

僅かな塗装による厚味の増加分を考えておかないと、完成後の動きが堅くなるので注意

すること。

 

 

 

 

← ラダーブロック部分の積層作業。

 この隙間にラダーブレードが収まり、上下する。

 ラダーブロックは7枚積層してラダーブレードを引き揚げられる構造にする。

このためにラダーブレードのヒンジの周りの板厚を全体で約1mm薄くなるよ

うに仕上げる。 またティラー、ティラーエクステンションもここで準備する。

 

 

 

 

 

 

← トランサムに設けた、ティラーが通る穴。

 ラダーブロックとティラーが完成したら、次にトランサムにティラーが貫通する穴を設

ける。これはADの特徴であり、普通のこのクラスの艇とは違っている。このためトラン

サムにメインシートトラベラーを取り付けることが出来るようになり、高度なセーリング

が可能となる。但し最初からトラベラーを準備する必要はなく、セーリングに慣れてきて

もう一段の性能向上を目指したい時に取り付けるのが良い。

 まずトランサムにラダーブロックを当てて、ティラーがスムーズに動くように穴の位置

を決定する。穴のサイズは横90氈A縦はティラーのサイズに約8汢チえ、40汨O後と

する。この穴はボートの持ち運びの際、手を掛けるのにちょうど良いので、強度上の理由

からデッキ面すれすれに設けること。しかしこのままではトランサムの内側でティラーが

この穴のサイドに接触し、ラダーの動く範囲が制限されてしまう。これを防ぐため、穴の

左右両側を45度ほどの斜めに仕上げること。

 ここでもう一種別の目的の穴をシアープランク(P8)に設ける。帆走中に飛び込んだ

飛沫がサイドデッキの低くなったところに溜まるので、これを艇外に排出するための小穴

(スカッパー)を左右に数個開けるのである。位置はハル最大幅付近のデッキすれすれ、

形状は真円楕円など自由であるが直径10汨鞄魔ニしこれより大き過ぎてはいけない。

穴はハル内側から見て少し後ろの方向に斜めに開いた状態にしておくこと。これにより艇

がヒールしてここが水面下となっても海水が入りにくくなる。