【21】セイルについて    

                    

 そろそろセイルの準備に取り掛かっておかなければならない。 この写真に示すよう

にセイルはメインとジブの2枚である(従ってADはスループというタイプに分類される)。

メインセイルには2列のリーフ(縮帆)ポイントが用意されていて、強風下ではセール

面積を減じ、風圧中心の位置を引き下げる事ができる。

 セールは自作できそうに考えられ勝ちであるが、まず充分な強度を持たなければならず、

空力特性は即性能に表われて来るので、満足なものを自作することは非常に困難、かつ

割の合わない仕事である。従って専門家(セイルメーカー)に作ってもらうことにする。

セイルを専門家に作ってもらったからといって、自作者として何ら恥ずかしいことではな

いと思われる。

どうしてもセイルも自作と云う場合は、熊沢時寛氏著 舵社発行「小型ヨット 工作の

実際」をまず参照の事。

 

 順序が逆のように思われるかもしれないが、セイルが出来上がって来てから、マストな

どのスパーの製作に取りかかるのである。それはボルトロープの実際のサイズやピークボ

ードの形状などを確認の上でグルーブを彫らなければならないからである。また特にAD

のようなガンターリグの場合はマストとガンターとが重なってセールのラフを支えるので、

実際のガンターの必要な長さを決めるのには出来上がったセイルのグロメット(鳩目)

の位置などを確認する必要がある。

 1ポイントリーフは一般的な強風用であり、艇のヘルムに大きな変化は生じないが、さ

らに強風用の2ポイントリーフとするとセイルの風圧中心がより前方に移動するので、ジ

ブセイルを併用しているとかなりのリーヘルムとなる。この場合ジブセイルを降ろしメイ

ンセイルのみの帆走を行なえば適切なヘルムに戻る。

 

参考事項:

 このHPではセイルプラン(実際の寸法を含む図面)を示さないことにしています。

それは「GLラボ」がアマチュアが自作を始める支援(応援?)のためのwebであり、

「AD艇」はこんなにしたら合板艇でも美しいフネが出来ますよと言う、実例として掲載

しているからです。

それにハルと違って、セイルやリグ(帆装)は、ビルダーの好みや帆装技術の向上に伴い

幾らでも変更して試すことができるモノなのですから。

 

 【22】スパー(円材)類の製作

                                                                     

  スパーとしては以下の3本が必要である。

マスト 直径64〜68mm 長さ400cm

ガンター 50mm×40mmから30mm×35mmまで変化 長さ355cm

ブーム 45mm×30mm 長さ270cm

 

ADは最近のスマートなディンギーと比べるとやや古臭いガンターリグというリグ

を採用している。このリグは帆走性能を多少犠牲にして、その代わりに強風下

での帆走、離着岸、停泊など帆走全体の操作性を重視するという方針で採用しています。

この考え方はハルのデザインとも共通のものである。また最近の研究によりガンターリグ

の帆走性能が見直されていることを付け加えておく。更に艇の輸送、保管などの点でもガ

ンターリグはマストが短い(ほぼ艇の長さと同じ)ため有利であり、結果的に艇の状態を

良好に保つことができる。

 

 スパーの材料として可能ならアラスカヒノキを使用する。マスト、ガンターは30mm厚

板2枚の積層で、このとき木目が同じ方向に走らないように注意する。ブームは30mm×

45mm角材をムクで使用する。

 マスト頂部にはハリヤードのために滑車を備えることになるので、このためのスペース

を滑車のサイズに合わせて積層前に準備すること。マストの断面は円形であ

り、直径は一定でテーパーはない。2枚の積層が終わったら、幾何学の授業

を思い出しながらマスト材の隅の部分にラインを引き、まず8角形のマストを削り出す。

後はカンナとサンドペーパーで丁寧に仕上げる。丸カンナが利用できると効率が良い。

 

 

 ← 左の2部材はマストの積層前の状態

  頂部にスリーブ(滑車)のスペースを

  準備している。 

  右の2材はガンターの積層前の状態

 

 

   

 ← マストを積層接着しているところ。

  長い材の積層は、平面で確実に接着する

  必要がある。 さもないと曲がったまま

  積層されてしまう。

 

 

 

 ガンターには積層の前にセールロープが通るグルーブ(溝)を彫っておかなければなら

ない。 この作業にはルーターを使用するのが理想的であるが、この作業の

ほかにルーターを使う事は無いので高価なこの機械は人から借りて使うのがよい。ただし

このためのルータービットはあまり一般的でないので、独自に適切なサイズの物を用意す

る必要がありそうである。ルーターが利用できない時は、骨の折れることではあるが丸ノ

ミとサンドペーパーでグルーブを仕上げることになる。グルーブ内部を塗装してから2枚

を積層し、硬化が終わってから所定のテーパーに仕上げる。ガンターのマスト側先端に所

定のジョーを取り付けること。

 

 ← ガンター下端部のジョー

  この隙間にマストを挟み込むようになる。

  セイルの通るグルーブ(溝)が見える。

 

 

 

 

 アラスカヒノキに代わる材料としては、マストにはラワンの円材(階段手擦り用等に売

られている)、ガンターとブームには米ヒバなどが考えられる。

 これらの他にウイスカーポールを作っておくとよい。