GL以外の工法

新世代の木造艇、その工法の数々
            「KAZI」誌'95年9月号「アマコン・ジャーナル」より
           
本文:土井 厚   イラスト:中澤 金四郎 無断転載禁止

 このところ、アマコン・ジャーナルでは幾人かの自作者を紹介するとともに各種のボートの工作方法に触れてきました。例えば、カナディアン・カヌー工法、GL(グルード・ラップストレーク)工法、合板シングルチャイン、、等、これらはいずれも自作に適した新世代木造艇の代表的な工作方法であります。また「集まれ自作艇」では投稿によりS&G(ステッチ&グルー)工法による艇も紹介しています。しかしこれらの工法も名称だけの記述では自作志望の皆さんには解りにくいものかもしれません。そこで各々どんな工法なのか、整理してみようと思い立ちました。

 造艇の素材には、木だけではなく、FRP、スチール、アルミ、フェロセメント等が使われており、最近ではチタンを用いるようにもなったと言います。

しかし、今回はアマチュア・ビルダーにもっとも馴染みの深い材料と言うことで木造艇の、、しかも「新世代の木造艇」と分類される工法についての説明に限定し、これ以外の材料、工法ついては次の機会といたします。

 

 「新世代の、、」と呼ばれる木造艇の最大の特徴は外板やデッキがエポキシ接着による一体構造であると言うことである。伝統的な従来工法の木造艇は、全体的には一体構造のように見えるものの、隣どうしの外板は互い密着しているだけで、強度的には繋がっていないと考えられる。これに対してエポキシ接着はより完全なモノコック構造を構成できるので軽量で(フレームなしの構造の艇でも)充分な強度を持つようになり、従来の木造艇では考えられなかったカートップでの運搬が可能になった。部分的には木ネジやボルト・ナットが使われてはいるが、これらは接着剤が硬化するまでの間の固定(クランピング)の役目を果たすのであって、完全硬化後にはもはや強度を受け持ってはいないない。またすべての木部の表層はエポキシ系塗料の浸透により保護され水の浸透を極力防止している。これにより木部の腐食を防ぎ艇の寿命を大幅に延ばすことができるようになった。もはや強力なエポキシ系樹脂(接着剤、塗料など)なしにボート工作を考えることができない今日では、「新世代の、、」という言葉も中高年者以外では使われることはないかも知れない。冷静に見ると、この工法による艇を単に「木造艇」と呼び、エポキシ樹脂を使わない従来工法の艇を「旧世代の木造艇」と呼んで区別すべき次期に来ているとさえ思われる。

 

 さてそのエポキシ接着剤をどのように働かせるかによって幾つかの工法が存在するので、代表例を紹介しよう。

 

 造ろうとするハルの形態で分類すると、、

 チャイン艇   :フレームに合板プランキング

         :ステッチ&グルー(S&G)工法

 

 ラウンドボトム艇:カナディアン・カヌー(CCW)工法

         :コールドモールド工法

         :ストリッププランク工法

         :グルード・ラップストレーク(GL)工法

 

となり、外板(ストレーク)の材料を合板か否かで分類すると、、

 チャイン艇のすべてとグルード・ラップストレーク(GL)艇は合板艇であり、

 GL艇を除きラウンドボトム艇のほとんどは非合板艇である。

 

ではチャイン艇、ラウンドボトム艇、各々から代表的な2例をもう少し具体的に説明しよう。

 

続く