Walking Under The Blue Moon
Part 3:弱き者よ、汝の名は女なり


By:アニマ





どのくらい走っただろう。太陽が傾いて、空を綺麗に染め上げている

あてどなくさまよって辿り着いた公園に、シンジはいた。

(やっぱり僕は・・・いらない人間なんだ・・・)

(やっぱり僕は人を傷つけることしかできないんだ・・・)

(そんな僕を本当に必要としてくれる人なんて・・・いないんだ・・・)

(僕が必要だって言ってくれる人もいる。・・・でも、それは僕じゃないんだ・・・)

(エヴァに乗ってる僕が必要なんだ・・・それは、僕じゃないんだ・・・別に僕でなくてもいいんだ・・・別に僕以外のだれでも・・・)

(アスカは・・・アスカは違うと思ってた。エヴァに乗ってる僕じゃなくて、僕を・・・僕自身を必要としてくれてるような・・・そんな気がしてた・・・・)

(でも・・・・やっぱりそんな人は・・・・いなかった・・・・)

(僕に笑いかけてくれる人も、そうやっていずれはいなくなるんだ・・・いずれ僕がいらなくなるんだ・・・僕を見捨てていくんだ・・・)

(だから、僕からのほうから去ろう・・・・・・僕のほうからいなくなろう・・・・・・その方が・・・見捨てられるよりは・・・ずっといいから・・・)

(その方が・・・一緒にいて傷つけあうよりは・・・ずっといいから・・・)

(寂しいけど・・・大好きな人に嫌われるよりは・・・大好きな人を傷つけるよりは・・・ずっといいから・・・)

アスカの笑顔が脳裏をよぎる。

(・・・・・・初めて・・・・・・・)

(・・・初めて僕を・・・僕自身を必要としてくれた人だって・・・そう・・・思ってたのに。)

(・・・初めて人を・・・心から愛せたのに・・・)

「・・・う・・・ふぅ・・・ぐ・・・うぅ・・・」

臆病で優しい少年の涙が、とめどなくあふれる。

シンジは第三新東京市を見渡せる位置にある石でできたベンチに腰掛けた。

夕日が放つオレンジ色の光とビルからのびる細く長い影が、幻想的な光景を創りだしている。

(・・・一生懸命・・・練習したんだけどなぁ・・・)

シンジは頭に染み付いているあの歌を、震えた声で口ずさみ始めた。

「FLY〜ME TO THE MOON〜・・・」

(・・・アスカのために・・・がんばってきたのになぁ・・・)

自分のこけた頬にそっと触る。

(・・・僕はまたアスカに会いたかったんだ・・・でもアスカはそうじゃなかった・・・)

(アスカは・・・僕が嫌いだったんだ・・・)

(なんでだろう・・・なんでこんなに悲しいんだろう・・・・・・人から嫌われることなんて・・・・・・とっくになれてたはずなのに・・・・・・)

ぬぐってもぬぐっても出てくる涙。初めて流れたかのように。全てを、洗い流そうとするように。

(・・・・・また・・・話したいな・・・・・)

(くだらない話でもいい。僕を馬鹿にしてくれるんでもいい。)

(またアスカと話したいな・・・・・)




「バカシンジ!」


「シンジぃ〜、早くご飯つくりなさいよぉ〜」


「ねぇ、シンジ。あれとって、あれ。」


「おっはよ!」


「もう!アンタはアタシがいないとホントにだめね!」


「シンジ!ゲームしよ!ゲーム!」


「アンタは黙って言うとおりにすればいいの!わかった?」


「バカ!もう、知らないっ!」


「ねぇ、シンジ!アタシ、プレゼントほしいナ〜。ねぇ〜?何かちょーだい!」


「なぁによこれぇ〜!?」


「ごっはん〜、ごっはん〜!シンジ!早くぅ!」


「あ〜!!アンタ、アタシの分のアイス食べたでしょ!?信じらんな〜い!」


「なぁ〜にバカ言ってんの!」


「シンジぃ〜、顔赤いわよ〜?どぉ〜したのぉ〜?」


「あははは、シンジおもしろ〜い!」


「しょ〜がないわね。このアスカ様が力になってあげるわ!感謝なさい!!」


「アンタ、バカぁ!?」


「あの・・・シンジ・・・・ごめんね。許してくれる?」


「見て見て!シンジ!」


「シンジ!ありがと!」


「明日もちゃんと起こしてよ!」


「お休みシンジ。また明日ね。」


「また、明日ね。」


「また、明日ね。」


「また、明日ね。」





「キライ!キライ!大っキライ!!」




(・・・・あのころに・・・戻りたい・・・・)

「あのころに戻りたいよぉ!・・・・・またアスカと話したいよぉ!」

「また笑いかけてほしいよぉ・・・・・アスカ・・・・・アスカぁ!・・・・・アスカぁぁ・・・・・」

「ぐっ・・・ぐぅっ・・・・うううぅぅぅ」

もう、歌えなかった。喉の奥からしぼりだされる嗚咽が、歌うのを許してくれなかった。胸のうちからあふれ出る叫びが、歌うのを許してくれなかった。

そのとき、向こうの方から足音が聞こえてきた。ゆっくり近づいてくる。

足音はシンジの目の前で、夕日をさえぎって止まった。

ゆっくり顔を上げると、目の前に青い髪の少女の顔があった。

「あ、綾波・・・」

レイは返事の代わりに、優しく、優しく微笑み、シンジの涙をそっとぬぐった。

(綾波・・・僕の・・・ために・・・?)

(・・・いや、そんなはずないよね・・・そんなはず・・・)

レイはベンチに座っているシンジと目線の高さを合わせるために、膝をついて座っていた。膝に土がついて汚れてしまっているが、本人はまったく気にせず、シンジを優しく、包み込むような目で見つめている。

「綾波・・・・あの・・・・汚れるよ・・・?」

「・・・・・・・・いいの。」

「・・・え?・・・でも・・・」

「・・・いいの・・・何も・・・言わないで。」

レイはそう言って、シンジを優しく抱きしめた。

微かにシクラメンの香りがただよう。

「いいのよ・・・何も言わなくて・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・」

体をこわばらせていたシンジも、力を抜いてレイに体を預ける。

(・・・・・・母さん・・・・・・)

「そう・・・いいのよ・・・・たまには人を頼っても。・・・悲しかったのよね・・・寂しかったのよね・・・碇君・・・」

レイがシンジを抱きしめたまま、優しく頭をなでる。

「うっ・・・うぅぅ・・・ぐ・・・っっ・・・うううぅぅぅ・・・・・・・ぅわあぁぁぁぁ・・・・・・」

シンジの悲しみが、堰を切ったようにあふれだした。

レイはそれをこぼさないように、静かに、優しく、しっかりとシンジを抱きしめた。








(これで・・・良かったのよね・・・)

(だって・・・シンジも私を見てくれなかったんだもの。)

(初めて・・・私を・・・本当の私を見てくれる・・・そう・・・思ってたのに・・・)

(結局、最後にはみんな私を見てくれないのよ。表面だけ適当に付き合って、本当の私を受け入れてくれる人なんていないのよ。)

(だったらもう、最初から何もいらないわ・・・だって・・・傷つくだけだもの・・・みんな・・・私を傷つけるだけだもの・・・)

「ちょっとアスカ、聞いてるの!?」

「はいはい、聞いてるわよ。」

病室にはまだ、とげとげしい空気が流れていた。

「シンジが毎日見舞いに来てたってんでしょ。それがどうしたのよ?」

「・・・あなた・・・なんとも思わないの・・・?」

「見舞いったって、どうせ学校帰りにちょろっと寄る程度でしょ!?何でこのアタシがその程度でアイツに感謝しなきゃいけないのよ!?」

「・・・シンジくんは・・・今、学校に行ってないわ・・・行けないのよ・・・」

ミサトが悲痛な表情を見せる。

「あ〜ら、ごめんなさい。ついに引きこもっちゃってたのかしら?」

アスカが思いっきり皮肉を込めて笑った。

その言葉は、アスカをためを思って、努めて冷静にふるまっていたミサトの逆鱗に触れるのに充分な内容だった。

「・・・・・・アスカ・・・いい加減にしなさい・・・・・・・」

ミサトが静かに・・・とても恐ろしい目でアスカをにらむ。

「何よ!?シンジの悪口を言われるのがそんなに不愉快!?」

「ええ!不愉快よ!シンジくんがどんだけあんたを心配したか・・・どんだけアンタのために自分を犠牲にしたか・・・・・・。何も知らないアンタが被害者精神盾にしてシンジくんをけなすのは、いくらアタシでも我慢ならないわよ!!」

ミサトも、先ほどのレイと同じ表情になっていた。そう、目には大粒の涙をこぼれんばかりに溜めて。

「何よ何よ何よ!シンジばっかり甘やかして!シンジがいったい何を犠牲にしたってーのよ!?アタシがこんなになってる間、のほほんと暮らしてたアイツがいったい何を犠牲にしたってーのよ!?笑わせないでよ!!」

「アンタ、シンジくんのあの変わり果てた顔をみなかったの!?シンジくんは今日までアンタのために生活のほとんどを犠牲にしてきたわ!知らないでしょう!?シンジくんが独房に入れられていることも!アンタを助けようと、命令を無視してそうなったことも!」

「・・・・・・え?」

アスカに初めて動揺の色が浮かぶ。

「そ、それ・・・どういうこと・・・?」

ミサトは勢いをなくしたアスカを見て、興奮した自分を落ち着けるために深呼吸をしている。

「ね、ねぇ、ミサト?どういうこと?」

「・・・・・・・・・」

「ねぇ、ミサト!」

「・・・・・・シンジくんね、あの日・・・アスカが使徒と戦った日、あなたの生命維持が限界に近づいたときに本部に出撃要請をしてきたの。もちろん司令に却下されたわ。初号機は凍結中だったし・・・」

ミサトの声は心なしか少し震えている。

「でもね、彼は待機命令を無視して出撃を強行。拘束具を引きちぎり、第七ケイジを破壊。本部の制止を振り切り、あなたの救出に向かったの。その後、司令の判断でL.C.Lを圧縮。シンジくんはあなたの元に辿り着く前に意識を失ったわ。」

「・・・・・・うそ・・・・・・」

「戦闘後にシンジくんを拘束。戦闘時における、命令無視、本部破壊、エヴァの指摘占有の罪で30日間の独房入りが決まったの。」

「・・・・・・うそ・・・うそよ・・・・・・」

「そのとき・・・・シンジくんからね、拘束中の非常時パイロット召集の条件が出されたの・・・・・・なんだったと思う?」

アスカが悲しみにゆがんだ顔を、ゆっくり横に振る。

「・・・・アスカのお見舞いに行きたい・・・・って言ったの。自分の生活改善の条件もいろいろ出せたはずよ。でも・・・それでも、シンジくんはあなたを選んだの。自分の生活より、あなたを選んだのよ・・・・アスカ。」

「・・・・・・シンジ・・・・・・」

「・・・シンジが・・・・・・私の・・・ために?・・・・・・シンジが?・・・・・・」

アスカはうつむいてしまっていて、その表情をうかがい知ることはできない。

「そうよ。シンジくんは結果はどうあれ、あなたを助けようとしたの。そして自分の生活よりアスカのことを考えて、今日まで暮らしていたわ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

(・・・・・・シンジ・・・私を助けようとしてくれてたの・・・?)

(・・・・・・シンジ・・・私を・・・見てくれてたの・・・?)

(・・・・・・シンジ・・・私のせいで閉じ込められてるの・・・?)

(・・・・・・シンジ・・・私のせいであんなに辛そうだったの・・・?)

アスカの視界の隅にチェロが転がっている。

(・・・・・・シンジ・・・私のために弾いてくれたの・・・?)

(・・・・・・私たちの思い出の歌、私のために弾いてくれたの・・・?)

(・・・・・・シンジだってつらいのに、私のために弾いてくれたの・・・?)

(・・・・・・シンジだってつらいのに、毎日来てくれてたの・・・?)

(・・・・・・アタシさっき・・・シンジに何を言ったの・・・?)

(・・・・・・あんなに優しいシンジに・・・何を言ったの・・・?)

(・・・・・・あんなに優しくしてくれたシンジに・・何を言ったの・・・?)

(・・・・・・あんなに傷ついたシンジに・・・何を言ったの・・・?)

(・・・・・・あんなに傷つきやすいシンジに・・・何を言ったの・・・?)

(・・・・・・私の大好きなシンジに・・・何を言ったの・・・?)

「・・・アンタ、ここで何してんのよ・・・」


「・・・余計なことしてくれたわね・・・こんなとこ、帰ってきたくなかったのに・・・」


「・・・じゃあ、何もしないで・・・アンタ、私を傷つけるだけだもの・・・ホントは私のことなんかどうでもいいくせに・・・近くに来ないで・・・」


「うるさい!アンタ、ファーストがいれば、あとはどうでもいいんでしょ!?早くここから出て行ってよ!!キライ!キライ!・・・大っキライ!!」


「キライ!キライ!・・・大っキライ!!」


「キライ!キライ!・・・大っキライ!!」


(・・・・・・私・・・・・・シンジに・・・・・・シンジに・・・・・・・)

(・・・・・・私・・・・・・シンジに・・・・・・なんてことを・・・・)

黙りこんでしまったアスカを見て、ミサトがとても穏やかな口調で語りだす。

「シンジくんね、毎日欠かさずあなたの手を握って、優しく話しかけてあげてたわ・・・自分だってつらいはずなのに、笑顔でね。」

「・・・・・・・・・・・・」

「今日だって、あなたのために覚えた曲を楽譜もなしに弾いてた。シンジくんらしい、優しい、癒されるような音色だったわ。あなたも聞いたんでしょう?だから戻ってきたんでしょう?」

「・・・・・・もう・・・やめて・・・・・・」

「アスカにずっと伝えたかったことがある。今日はそれを伝えるんだって言ってた。恥ずかしそうだったけど・・・それよりも、ずっとうれしそうだった。あのときの顔・・・忘れられないわ・・・シンジくんのあんな顔、始めてみたもの・・・」

「・・・・・・お願い・・・っ・・・もう・・・っ・・・もうやめて・・・・・・」

アスカはうつむいたままだったが、いつの間にか、彼女の服を涙が濡らしていた。

「でも、あなたは拒絶した。シンジくんの優しさを・・・あなたにだけ向けられた想いを・・・全てを拒絶した。」

アスカの脳裏に、病室を跳び出て行く瞬間のシンジの顔が浮かぶ。

「もうやめて!!・・・聞きたくない!!・・・お願い・・・っ・・・もうやめてよぉ・・・・・・うぅ・・・・・・ぐすっ・・・・・・・」

そう言うとアスカは耳を塞ぎ、ちぢこまってしまった。

「アスカ、今あなたが泣いたって何も変わらない。事情を知らなかったとはいえ、あなたはシンジくんを拒絶し、彼は深く傷ついた。それはもう変えることのできない事実よ。私には傷ついた彼をどうすることもできないわ。・・・おそらく・・・レイにもね。」

「・・・う・・・うぅ・・・ふ・・・ぐすっ・・・シンジぃ・・・・シンジぃぃ・・・・」

「でもアスカ。あなたなら、なんとかできるかもしれない。シンジくんを・・・彼の想いを・・・傷ついた心を救ってあげられるかもしれない。・・・・・・いえ、あなたにしかできないわ。碇シンジが自分を犠牲にしてまで救おうとした、あなたにしか。」

アスカが涙でくしゃくしゃになった顔をミサトに向ける。

「私・・・どう・・・っ・・・・すればいいの・・・?」

「それは自分で決めなさい。彼を傷つけたのはあなた。だからあなたが自分で決めなさい。自分の間違いは自分で正しなさい。」

「・・・・・うぅっ・・・・ぐすっ・・・・・ううぅぅ・・」

アスカはまたうつむいてしまった。

「いい?アスカ。間違ってもいいの。間違わない人間なんていないわ。」

そう言って、ミサトがアスカの頭を優しくなでる。

「でも、問題はその間違いをどう正すか。そこからどう先に進むか。背中を少し押してもらうくらいはいい。でも最後は自分の足で、自分の意思で先に進むの。そうしないと何も変わらない。人に頼って今を解決したとしても、またいつか同じことを繰り返すわ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「私はあなたの背中を押したつもりよ。・・・・・・一晩じっくり考えてみなさい。今日のこと。私の言葉。」

うつむいたまま嗚咽をもらすアスカにそう告げて、出口に向かうミサト。

「・・・・また明日来るわ・・・・・・それじゃ。」

ミサトは病室を出て、ドアにもたれかかる。

「・・・・・・ふぅ。」

「アスカ・・・がんばるのよ・・・」

小さな声でそうつぶやくと、ミサトは歩き始めた。そのとき、

ガッシャーン!!

今出てきたばかりの病室から、何かが倒れるような大きな音がした。

「アスカ!!」

病室に駆け込んだミサトの目に、倒れてバラバラに散らばった計測機器と、床に這いつくばってなんとか前に進もうともがいているアスカが飛び込んできた。

「だめよアスカ!じっとしてなきゃ!あなたは今筋肉が弱ってしまってて歩ける状態じゃないのよ!?」

慌ててアスカを抱き起こすミサト。それでも、アスカはもがいている。

「アスカ!!じっとしてなさい!!」

「・・・・・・あやまんなきゃ・・・・・・」

「え?」

「私、シンジにあやまんなきゃ・・・・・・シンジに・・・あやまんなきゃ・・・・・・」

「アスカ・・・」

アスカの目はずっと病室のドアに向けられている。

「ひどいことしちゃった・・・・・・シンジにひどいことしちゃった・・・・・・あやまんなきゃ・・・シンジに・・・・シンジに」

うわごとのように繰り返すアスカ。目からは涙がとめどなくあふれている。

「アスカ!落ち着いて!今日はもう無理よ!また明日・・・」

「来てくれない!!」

ミサトの言葉をアスカの悲痛な叫びがさえぎる。

「来てくれない・・・あんなこと言っちゃったんだもん・・・シンジ・・・絶対来てくれない・・・来てくれるはずない・・・だから・・・だから私が行かなきゃ・・・」

「アスカ・・・シンジくんに謝りたいの?」

アスカを自分のほうに向き直らせ、ミサトが問う。

泣きながらゆっくりうなずくアスカ。

「・・・シンジくん・・・許してくれるかどうかわからない。それで彼が癒されるかどうかわからない。それでもいいの?・・・覚悟は・・・ある?」

「許してくれなくてもいいの・・・・・・あたし、それだけひどいことしちゃったから・・・」

アスカが一瞬悲しそうにうつむく。だが、すぐに涙をいっぱいにためた目で、ミサトを見上げた。

チェロを持ってきてくれ、と頼んだシンジと、同じ目だった。

「でも!・・・でもいいの。シンジにね・・・シンジに、私の気持ち、知ってもらいたいの!ホントはすごくうれしかったって・・・・・・・ありがとうって言いたいの!」

またアスカがもがき始める。

「だから、行かなきゃいけないの!お願い・・・・邪魔しないで・・・・」

アスカの顔は涙と擦り傷でくしゃくしゃになっている。

「歩けないくらい何よ!!シンジだってがんばってたんだもん。私のためにがんばってくれたんだもん!!私だって・・・・私だって・・・・」

「・・・わかったわ。」

「え?」

アスカの動きが止まる。

「あなたの気持ちは良くわかったわ。覚悟も伝わった。だから明日、あなたを必ずシンジくんに会わせてあげる。そのかわり今日は安静にしてなさい。」

「・・・そんなのいや!私は今日がいいの!きっとシンジ、今も私のせいで苦しんでるわ!そんなシンジを明日になるまで放っておけって言うの!?そんなのごめんよ!?」

「今日はどの道無理よ・・・シンジくんは面会謝絶なの。認められた時間も・・・今日はもうほとんどないわ。」

「で・・・でも・・・」

「あなたも万全な状況じゃない。だから今日はがまんして。明日、必ず会わせてあげるから・・・ね?」

「・・・・・わかった・・・・・」

ミサトがアスカを担ぎ上げ、ベッドに静かに寝かせる。

「・・・・・・ミサト。」

「ん?何?」

「・・・・・・さっきは・・・ごめん・・・・・・ミサトにもひどい事言っちゃった・・・」

「ん?ああ、いいのいいの。気にしてないから。」

にっこり微笑んで見せるミサト。頬にはまだ、涙の筋が残っている。

「ごめんねミサト・・・ありがとう。」

「いいのよ。気にしないで。あなたの気持ちも・・・少しわかるから・・・」

服の上からセカンドインパクトのときについた古傷を触るミサト。

「・・・・うん。」

「また・・・また家族みんなで・・・一緒に笑いあえるわよ・・・・・・シンジくんも・・・きっとわかってくれる。」

「・・・・そうかな・・・・シンジ・・・許してくれるかな・・・?・・・またみんなで・・・楽しく暮らせるかな・・・?」

アスカが、すがるような目でミサトを見る。

「ええ!・・・だって、あなたもシンジくんも・・・とっても優しいじゃない・・・・・・こんなに優しいじゃない・・・・・・きっと・・・きっと大丈夫よ・・・」

ミサトが優しくアスカをなでる。

「うん・・・。そう・・・なるといいな・・・」

「はい!悲しい顔はおしまい!そんな顔してたら、うまくいくもんもうまくいかなくなっちゃうわよ!!」

「・・・・うん・・・・」

笑顔を無理やり作って見せるアスカ。

「んも〜!はいほら!元気出して!ほれほれ〜」

「や!ちょっとやめてよミサト!くすぐった・・・・きゃははっ、はははは」

「ほれほれ〜、笑え笑え〜!」

「ちょっとくるし・・・・いや〜!」

筋肉が衰えているために、抵抗できないアスカ。

「そうそう!そういう顔のほうがアスカらしいわよん。」

一通りくすぐり終えて飽きたのか、病室の外に向かうミサト。

「待てこら〜!」

「じゃあね〜!」

逃げるように出て行くミサト。

「ったく!ミサトったら、あいかわらずね!」

だが、久しく忘れていた、「笑顔」を取り戻せたような気がした。

「・・・・・・ミサト・・・ありがと・・・アタシ・・・がんばるから・・・」








「もういいよ。ありがとう・・・」

そういうとシンジはレイから体を離した。

「大丈夫・・・?碇君。」

「うん。もう平気。ありがとう。綾波のおかげだよ・・・」

言葉の内容と対照的な、痛々しい作り笑いを浮かべるシンジ。

「・・・そう・・・」

「よし、そこまでだ。」

突然後ろから声がかかる。

「加持さん・・・」

「よう!しばらく見ない間にひどくやつれたな。ちゃんと食ってるのか?」

黒服に身を包んだ加持が、ゆっくり近づいてくる。

「ええ、大丈夫です。」

「そうか?そんな風にゃあ見えないぞ。」

「・・・・・・僕を連れ戻しに来たんですね?」

「・・・ま、そういうことだな。」

シンジの頭に優しく、ポン、と手をのせる。

「わかりました・・・・・・行きます。」

「おいおい、そんな暗い顔するなよ?なんか俺が悪いことをしてるみたいじゃないか。」

シンジを元気づけようと、加持がおどけてみせる。

「そうですね・・・悪い事したのは僕ですし・・・」

「いや・・・悪い。そんな意味で言ったんじゃあないんだ。すまん。」

加持がシンジの頭を優しくなで,そっと肩に手を回す。

「それじゃあ・・・行こうか?」

「・・・はい・・・」

「レイも来るかい?送っていこうか?」

「私は・・・大丈夫。ひとりで帰れます。」

「そうか。いい子だ。」

加持はレイに微笑むと、シンジをつれて歩き出した。

すると突然、シンジは服が何かに引っかかるのを感じた。

振り返ると、レイがうつむいたままシンジの服のすそをつかんでいた。

「・・・綾・・・波・・・?」

「・・・・・・どこにも・・・・・・」

「え?」

「・・・・・・どこにも行かないよね?・・・・・・碇君・・・・・・」

レイが不安そうに顔を上げる。

シンジは返事をせずにしばらくうつむいた後、服をつかんでいるレイの手をとってしっかりと握手をした。

「・・・ありがとう・・・綾波・・・」

そして手を離し、振り返りながらポツリとつぶやいた。

「・・・・・・さよなら・・・・・・」

夕日に、長い影を落として二人が歩き始める。

「・・・・・・碇君の・・・・・・碇君の・・・・・・ばか・・・・・ばか!・・・・・・」

公園には、すべてを悟り、泣き崩れるレイだけが残された。

まるで宝石のような太陽がはなつ幻想的な光だけが、彼女を慰めていた。








日も落ちて静かになった病室の中、アスカは月明かりをあびながら、物思いにふけっていた。

「月が・・・・・綺麗・・・・・」

久しぶりに見た月。久しぶりに見た空。空に浮かぶ蒼い月は、あの自分の中の暗闇にさした、外の世界への光に似ていた。

「今こうやって、あの綺麗な月が見れるのも・・・・シンジのおかげなのね。」

私のために必死に頑張ってくれた。うれしかった。あのまま帰ってこないつもりだった。こんなとこ帰って来たくなかった。みんな私のこと、どうでもいいと思ってる。そう信じてたから。

でもママの言うとおり、そう思ってたのは私だけだった。勘違いじゃなかった。ミサトは・・・シンジは・・・家族は私を見てくれてた。

ママ・・・新しい家族ができたわ・・・私・・・とってもうれしいの・・・家族・・・自分の居場所・・・とってもあったかいの・・・

でも・・・私・・・傷つけちゃった・・・一番傷つけちゃいけない人・・・一番傷つけたくない人・・・傷つけちゃった・・・



「シンジ・・・ごめんね・・・」



漆黒の髪、漆黒の目、華奢な体、整った顔立ち。

はじめてみた時、さえないヤツだな、って思った。



自身のない態度、周りのことばかり気にしてる言動、おどおどした目、内罰的な性格。

とても、好きになれそうもなかった。

・・・そう思ってたのに。



けんかした後の寂しそうな顔、いつも見せてくれる優しい目、私を気づかう温かい言葉、誰よりも臆病で優しい心。

一緒に暮らすうちに、シンジのことが見えてきた。とても気になる存在になった。加持さんに対する気持ちとは違う気持ち。



加持さんは・・・あこがれだった。

私、はやく大人になりたかった。はやく一人前になりたかった。はやくみんなに認めてもらいたかった。

だからみんなに認められている人に私を見ててもらいたかった。私を認めてほしかった。

私に振り向いてほしかった。それが「好き」って事だと思ってた。でも・・・


私はいつもの加持さんしか知らない。

いつもの「かっこいい加持さん」。それだけ。

加持さんは他の加持さんを見せてくれない。


私はいつもの私しか見せられない。

いつもの「素直でかわいい、私じゃない私」。それだけ。

私はいつもの私しか見せられない。



こんなの・・・「好き」とは違う・・・・そう、思う。

私・・・ひとりぼっちだった。

とても・・・寂しかった・・・



シンジは・・・私だった。

私と同じ感じがした。他の人に認めてもらいたい。誰かに必要とされたい。まるで私みたいだった。本当の私みたいだった。

だから私の気持ちがわかると思った。私を理解してほしかった。私を受け入れてほしかった。

私のそばにいてほしかった。これが「好き」ってことだって思った。




私、いろんなシンジを知ってる。

「情けないシンジ」「頼りないシンジ」「バカシンジ」「怒ったシンジ」「不機嫌なシンジ」「面白いシンジ」「照れて真っ赤になってるシンジ」「私を心から心配してくれるシンジ」「落ち込んでるシンジ」「悩んでるシンジ」「自分の殻に閉じこもったシンジ」「泣いてるシンジ」


「とっても・・・優しいシンジ」


シンジは私に、いろんなシンジを見せてくれる。




私はシンジに、いろんな私を見せることができる。

「高飛車な私」「意地悪な私」「他人を見下した私」「怒った私」「不機嫌な私」「声を上げて笑っちゃう私」「照れて真っ赤になる私」「シンジを心配する私」「落ち込んでる私」「悩んでる私」「自分の殻に閉じこもった私」「泣いてる私」


「とっても・・・素直な私」


私はシンジに、いろんな私を見せることができる。




そう・・・これが「好き」ってことなの。

私・・・シンジになら素直になれる。シンジといると・・・とても安らぐの・・・とても心地いいの・・・

自分を演じなくてもいいから・・・自分を隠さなくてもいいから・・・

シンジも私に全部見せてくれるから・・・シンジは私をわかってくれるから・・・どんなにつらくあたっても、ずっとそばにいてくれたから・・・

私・・・ひとりぼっちじゃなかった。

寂しくなんか・・・なかった・・・


私・・・シンジが大好き・・・





だから・・・あのとき許せなかったの。私はシンジを信じてた。絶対助けに来てくれると思ってたから、我慢できなかった。

それなのに、なにもしなかったくせに私に会いたいだなんて、私のためにだなんて、許せなかった。

でも違ったの。それは私の勘違いだった。シンジはやっぱり私を見てくれてた!自分のことより私なんかのことを大事にしてくれてた!

シンジは私の気持ちに応えてくれてたの。



目を覚ました瞬間の、シンジのうれしそうな顔がうかぶ。

「そんなに・・・うれしかったんだ。」

泣きながら近寄ってくるシンジの顔。

「私が目を覚ましたことが・・・そんなにうれしかったんだ・・・」

見ているこっちが痛くなるような、シンジの泣き顔。

「私、シンジにそばにいてほしくて・・・シンジはそばにいてくれてて・・・」

「それなのに、自分からシンジを遠ざけちゃった・・・シンジを傷つけちゃった・・・」

壁に立てかけられたチェロが、月明かりを受けて蒼白く輝いている。

「シンジ・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」

アスカが枕を抱きしめる。

「シンジ・・・許してくれるかなぁ・・・?・・・シンジ・・・許してくれるかなぁ!?」

思わず声が高まるアスカ。

「ごめんね・・・・こんなバカな女でごめんね・・・・嫌な女でごめんね・・・・」

アスカの泣き声が病室に響く。

「でもあたし、シンジにそばにいてほしいの!またそばにいてほしいの・・・ずっとそばにいてほしいの!」

「だめかなぁ・・・シンジ・・・?もうだめかなぁ!?・・・・シンジぃ!・・・・シンジぃぃぃ・・・・・」

アスカの心を、寂しげに光るチェロだけが聞いていた。

月の綺麗な夜だった。








「さぁ、アスカと約束したはいいけど・・・どうやって・・・」

翌朝、愛車のルノーに乗りながらミサトが愚痴をこぼしていた。

一晩考え抜いたはいいが、シンジをアスカと会わせる有効な手段は、結局何も浮かばなかったようである。

(だめもとで面会申請でもしてみるか・・・)

「・・・ん?」

視界をチラッと、シンジらしき人物が通り過ぎていった。

確認しようにも、その愛車ルノーの自慢のスピードのおかげで、もう後姿さえ確認できなかった。

「・・・ま、いっか。そんなはずないものね。」

そして、ルノーは走り去っていった。

悲しみに打ちひしがれる、彼を残して。








「なんですって!!?釈放!?」

思わず声を荒げるミサト。

「そうよ。彼は正式にパイロットを辞めることになったの。そんな人間を拘束していても、仕方ないでしょう?」

リツコが冷静に答える。

「何で連絡しなかったのよ!!」

「したわよ。自宅にも、携帯にも何度もね。」

「でもコール音は一度も・・・・・」

そこまで言って、ミサトの動きが止まる。

(ちっ・・・そうだったわ・・・・)

ミサトは昨日、考えに集中するため、自宅の電話はコール音を、携帯は使徒襲来時連絡用の緊急回線以外、電源を切っていた。

(くそっ、墓穴掘っちゃったわね)

「それで、彼どこ行ったの!?」

「さぁ、自宅に荷物でも取りに行ったんじゃない?」

無表情のまま、リツコが答える。

「あんた・・・なんとも思わないの!?」

「・・・・・・」

「どうして止めなかったのよ!!」

「・・・・止めたわよ・・・・」

よく見ると、リツコの机には締め切りに昨日の日付が入った真っ白な残業書類と、缶コーヒーの山がある。

「私だって・・・必死に止めたわよ・・・パイロットがいなくなるのは痛いし・・・何より、一緒に戦ってきた仲間がいなくなるのは寂しいじゃない。」

疲れたように背もたれにもたれかかるリツコ。

「でも彼は聞いてくれなかった。何を聞いても返事をするだけで、一度も目を合わせてくれなかったわ。」

「・・・・・・ごめん。」

「いいのよ。それより、彼、何かあったの?アスカは目覚めたって報告聞いてたから、てっきり上機嫌でいると思ったのに・・・」

「実はね・・・・・・昨日・・・・・・・」

昨日のことを話すミサト。

「そう・・・なるほどね・・・それでシンジくん・・・」

「とにかく、アタシはシンジくんを引き止めに行ってみるわ。アスカとの約束をまもらないと・・・」

「じゃあ、加持君にも連絡しておくわね。」

「アイツに?」

「あら、あなた、一人で探す気なの?」

「でもアイツ、アルバイトがばれたのに・・・のこのこと出てきて大丈夫なの?」

「心配要らないんじゃない?加持君もバカじゃないわ。まだ消されてないって事は、取引でもして丸くおさめたんじゃないかしら?」

「・・・何を取引したのかしら・・・?」

「さぁ?今度聞いてみれば?とにかく彼は大丈夫よ。昨日だって、シンジくんが逃げ出したときすぐに取り押さえられなかったのは彼のおかげなのよ?」

そう、シンジが病院から走り出してきたとき、すぐ捕まえようとした黒服の男たちを止めたのは、他でもない、加持リョウジその人だった。

そして、シンジの心の傷が少しでも癒えるそのときまで、彼を自由にさせていたのも彼だった。

おかげでシンジはレイと会うことができた。

だが、レイはシンジをつなぎとめることはできなかった。

「そうね。わかった。お願いするわ。」

「急ぎなさい。そろそろシンジくんがここを出て、一時間になるわ。」

「OK!あ、このこと、アスカにはふせときなさいよ!」

「わかってるわ。」

「それじゃ!」

そういってミサトは、リツコの研究室のドアを、蹴破らんばかりの勢いで出て行った。








「シンジくん!?」

ミサトが自宅に着いたとき、もうシンジの姿はなく、空っぽの部屋だけが残されていた。

「間に合わなかったか・・・駅に急がないと・・・」

「ん?なにかしら・・・」

テーブルの上に「葛城ミサト様」と書かれた封筒が置いてあった。

「これは・・・」

ミサトが封を乱暴に破る。



ミサトさん、いままでどうもお世話になりました。

いきなり、パイロットを辞めることを許してください。

僕には人を傷つける才能しかないみたいです。

アスカのためにと思って、この二週間頑張ってきました。

でも、僕はアスカを傷つけてしまったんです。

僕が人のためにできることなんてなんにもないんです。

傷つけることしかできないんです。

だったら、何もしないほうがいい。



アスカも

綾波も

ミサトさんも

リツコさんも

加持さんも

トウジも

ケンスケも

委員長も

大好きです。

みんな、大好きです。

こんなに楽しい日々、生まれて初めてでした。

ずっとこんな日々が続けばいい。

ずっと一緒にいたい。

そう思ってました。

でもきっと、一緒にいると

僕は傷つけてしまいます。

大好きなみんなを傷つけてしまいます。

トウジにしてしまったように・・・

そして、

アスカにしてしまったように・・・

そしてみんな、そんな僕が嫌いになるんです。

他人を傷つけることしかできない、そんな僕を見捨てていくんです。

僕は怖い。

大好きなみんなを傷つけるのが。

そして

大好きなみんなに嫌われるのが。

怖いんです。

嫌なんです。

もう、そんなの嫌なんです。

僕のせいで傷つくみんな。

僕を憎むみんな。

そんなの、もういらない。

だから、前いたところに戻ります。

あそこには大好きな人なんていないけど、

傷つけるのが怖い人もいませんから。

あそこには大好きな人なんていないけど、

憎まれるのが怖い人もいませんから。

あそこには何もないけれど、

何かを失うよりはいいですから。

僕が寂しいだけですむなら

それが一番いいですから。

ミサトさん、お体に気をつけて頑張ってください。

ミサトさんと暮らしたのは少しの間だったけど、

とても暖かかったです。

帰れる家があって、

家族がまっていて・・・

初めて家族って何か、わかったような気がしました。

ミサトさんのこと、お姉さんみたいに思ってました。

思い出を・・・ありがとう。

ミサト姉さん。

アスカをよろしくお願いします。

お元気で。

どうか、ご自愛ください。

さようなら



大好きなミサトさんへ

碇シンジより



「・・・・あのバカ!!」

ミサトは走り出していた。

(行かせて・・・たまるもんですか・・)

(・・・・こんな・・・・悲しい思いさせたまま・・・・)

(こんな悲しいすれ違いさせたまま、行かせてたまるもんですか!!!)

ミサトはドアにロックもせずに出て行った。

ミサトが握り締めてくしゃくしゃになった手紙が、テーブルの上で風になびいている。

シンジの性格を物語っている几帳面な字が、涙でにじんでいた。








(この街ともこれでお別れか・・・・)

第三新東京市の中に、駅に向かって歩くシンジの姿があった。

(いろいろ・・・あったなぁ・・・)

(嘘みたいに忙しくて・・・・嘘みたいに大変で・・・・嘘みたいに毎日が早くて・・・・)

(・・・・嘘みたいに楽しかった・・・・)

(でも・・・・もういいんだ・・・・)

(これで・・・・いいんだ・・・)

駅が見えてくる。

まだ遠くてはっきりとは確認できないが、誰かが駅の前に立っているようだ。

(こんな平日の昼間に・・・・誰だろう・・・・)

だんだんと人影がはっきりとしてくる。

(・・・あれは・・・!?)

青い髪の少女が、何か覚悟を感じさせる目でこちらをじっと見据えて、改札口にたたずんでいた。






TO BE CONTINUED



どうもみなさん、アニマです
またやってしまいました。またのびてしまいました・・・・
つぎこそ!Part4こそアラエル編完結です!お願いだから見捨てないで・・・
例のごとく、ご意見、御感想をよろしくおねがいします。
ほんの一行でもいいんで、メール送っていただけるとうれしいです。元気が出ます!
みなさんのメールだけが、私のパワーです!!
それでは次作もよろしくお願いします。
アニマでした。


アニマさんに「Walking Under The Blue Moon」のPart3を送っていただきました〜。
どうもありがとうございます、アニマさん!

今回も切ないお話でした。
せっかくアスカが自分が感じていた気持ちが誤解だったと気付いたのに、シンジはすれ違った想いを抱えたままで…。
もうもどかしくて本気でハラハラしちゃいます。
この辺のそう思わせる描写の上手さは流石ですね。アニマさんお見事です。
あとえびがこの作品を読んでいて最初から感じていたのが、シンジやアスカに限らず、ミサトもレイも加持もみな、登場人物たちがとても優しく、魅力的に書かれているなという点です。
ハッピーエンド志向の私としては、もうこういう作品が本当に好きなんですよ。
だから最後にはみんなが笑って終わって欲しい…。切にそう思います。

作者のアニマさんに作品のご感想をっ!
感想は作家の元気の源、是非お願い致します。

あー続きが気になる!(w
駅で待っていた青い髪の少女ってきっとレイですよね。どういった展開になるんだろう。
Part4の完成を楽しみに待っております。頑張ってくださいね、アニマさん!



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