闇。
漆黒の闇。
その中に僕はいた。
…ここはどこ?
辺りを見回すけど何も見えない。
自分が立っているのか浮いているのかも良く分からない。
…………よ…
…何か聞こえる。
………目……よ…
…なんだ?
………目覚めよ…
僕の耳に聞こえるというより、頭に響くような声…。
地の底からうめき出るような…気味の悪い声。
…エヴァ……目覚めよ…
エヴァ…?
…エヴァ…力…目覚めよ…
……きなさい
気味の悪い声に重なるもう1つの声…。
何?誰?
…エヴァの力に目覚めよ
…起きなさい
もう1つの声…良く知ってる声だ…。
起きなさい!!
THE KING OF BATTLE
第1話 「闘いへの招待状」
「はっ!!」
目を開けた僕の前にあるのは…人の顔。
その顔は良く知ってる顔…。
栗色の髪をした幼なじみの女の子の顔……じゃない。
「…あれ…アスカじゃないの…?んでもって『バカシンジ!』って…」
「シンジったら寝ぼけてないで、早く起きなさい」
「あ…母さん」
「そう、お母さんよ。アスカちゃんじゃなくて残念だったわね」
僕を起こしにきたのは母さんだった。
ん〜、この展開だとアスカが起こしに来るのがデフォルトだと思ったんだけどなぁ。
「ほら、いつまでもボーっとしてないの。早くアスカちゃん起こさないと、朝練の時間無くなっちゃうわよ」
「あ、うん」
僕は反動をつけてベッドから起き上がり、洗面所でザバザバと顔を洗って眠気を吹き飛ばす。
その時、ふいに夢の中の言葉が頭に浮かんだ。
「……エヴァ…」
思わず口に出してみる。たしかそんな言葉だったっけ。
なんだろう…初めて聞く言葉だと思うんだけど、不思議と知っている気もする。
もしかすると小さい頃…アスカがこの家に来た頃に聞いた事があるの…かな?
「…そうだ!アスカを起こさないと!」
少しの間鏡をじっと見てボーとしていた僕は、頭をフルフルと振って彼女の部屋へと向かった。
「アスカぁ、朝だよ」
ドアをノックして声をかけるが返事はない。いつもの事だ。
このままだとしょうがないのでいつもの様に勝手にドアを開けて、部屋に入る。
えっ、なんで母さんがアスカも起こさないのかって?
それは…きっとスグに理由が分かると思うよ。
部屋の中に足を踏み入れると、ベッドから聞こえてくる規則正しい寝息。アスカってばまだ夢の中みたいだ。
それにしても…凄い寝相…。上にかけてあったタオルケットなんて思いっきりはいじゃって、大の字になって寝てる。全く、年頃の女の子だってのに…。
「アスカ、起きてよ」
間近で声をかけてもアスカは僕に背を向けるよう寝返りをうっただけで、起きる気配は全くない。
「ほらアスカ起きて。朝練しようよ」
肩に手を置いて軽く揺すってみるけど、アスカは相変わらず気持ち良さそうな寝息をたてている。
「ねぇ起きてよ、目を覚ましてよ。…アスカってば!…………助けて…助けてよ…またいつもみたいに僕をバカにしてよ!」
ってあれ、なに言ってるんだ僕は。
変な電波を受けて思わず彼女を揺すってた手に力が入ってしまい、アスカの身体がこちらの方へ向き直る。その反動で胸元がはだけてアスカの胸が……なんて事は全くなかった。
目に入ったのは、物凄い形相で僕を睨み付けてるアスカの顔だった。
「や、やあ…おはよ」
「…よくも人の睡眠を邪魔してくれたわね…」
と言ってアスカは拳を握り締める。
「ちょ、ちょっとタンマ!朝イチで必殺技は…」
「問答無用!!ちょうアッパ〜!!!!」
「うわぁぁ!」
強烈なアッパーが炸裂し、吹っ飛ばされる僕。
……ね、分かったでしょ、母さんがアスカを起こさない理由が…。
それにしても起こしに行って女の子に必殺技をくらう僕、トホホ〜な感じ。……最低に情けないな、俺って…。
「やっ!」
「たあっ!」
部屋いっぱいに響き渡る気合声。
ここは僕の家にある武道場。必殺技を繰り出してやっと目が覚めたアスカと僕は、毎朝の日課である朝の組み手の練習の真っ最中だ。
おっと、まだ僕たちの自己紹介をしてなかったっけ。
僕は碇シンジ。14歳の中学2年生。
なぜ僕の家に武道場なんてものがあり、朝から練習してるかというと………僕らは若くても格闘家だから。
小さい頃から僕は、先祖代々に伝わる「炎を操る武術・碇流古武術」を父、碇ゲンドウから徹底的に仕込まれた。
修行が辛くて僕が逃げ出しそうになると「いずれこの拳で倒さなければならない相手が現れる」って碇流古武術師範の父さんにさんざん言われたっけ。
「倒さなければならない相手」なんて言われても、全然ピンと来ないんだけどね。
その父さんは1年前くらいから、修行に出ると言って家を空けている。
母さんは「どこかで時が経つのも判らないぐらい修行に没頭してるんでしょ」なんて言って笑ってる。…さすが父さんと結婚した人だなぁ、肝っ玉が座ってるよ、母さんは。
僕の前で稽古に頬を上気させて構えをとってる女の子は、幼なじみの惣流アスカ。
栗色の髪に蒼い目をしたドイツと日本のクォーターで、僕と同じく14歳。
アスカのお父さんは世界に名を響かせている「極限流空手」の創始者で、日本のみならず世界のあちこちに道場を構えている。
アスカのお父さんと僕の父さんが昔からの親友で、世界中を飛び回っている多忙なアスカのお父さんに頼まれて、娘のアスカが小さな頃に僕の家に預けられたんだ。アスカのお母さんは彼女を産んですぐに亡くなっちゃったから…。ウチの母さん、碇ユイは「可愛い娘ができた!」って大喜びしてたけどね。
アスカももちろん極限流空手を習得してて、女の子なのにその実力は天才といわれている。時々日本に帰ってくるアスカのお父さんも舌を巻くほどの上達ぶり。
こうして僕とアスカはかれこれ10年近く一緒の家に住み、毎朝練習をしてるってわけ。
「ふぅ、そろそろ終わりにしようよ。学校に行く準備しなきゃ」
「え、もうそんな時間?」
「うん。シャワー浴びてご飯を食べて…ギリギリだよ」
「最後にひとつだけ付き合って。ちょっと試してみたい技があるの」
「えっ…でも…」
「ね、シンジ、お願いっ!」
アスカはちょっと首をすくめて、手と手を合わせてお願いのポーズを取る。僕がこうゆう仕草に弱いってのを十分知ってのアスカの行動だ。分かっているんだけどこんな可愛らしいポーズを取られて嫌と言える訳がない。僕はコクンとうなづいてしまう。
「へっへ〜。じゃあ、あたしに向かってパンチを打ってきてみて」
「パンチを?大丈夫なの?」
「大丈夫よ。それをあたしが当て身を取るから」
「当て身って…アスカそんな技を使えるの?」
「ふふん、この天才アスカ様に不可能はないの。いいから早く打ってきなさいよ」
「う、うん」
ちょっと…いや思いっきり不安だったけど、これ以上なにか言うとアスカが怒りそうだったからおとなしく言うことを聞く事にした。
「じゃあ行くよ!」
僕はちょっと助走をつけて拳をアスカに向かって突き出す!
っとその瞬間、お約束のごとく足を滑らせて前につんのめる僕。
「わわわっ!!」
「きゃっ!」
ドンガラガッシャ〜ン
「いつつつつ…」
痛みを頭を押さえながら目を開けるとそこにはアスカの…胸。
ちょうど僕がアスカに覆い被さる格好になっちゃってる。
「!!ご、ごめん」
あまりのお約束な展開に慌てふためきながら立ち上がった僕に飛んできたのは、これまたお約束のセリフとお約束の音。
「エッチ、バカ、変態!!バカシンジ!!」
パンッ!!
「じゃあユイおばざま、行ってきます!」
「……行ってきます…」
「は〜い、行ってらっしゃい」
母さんの声を背にして学校へと走る僕とアスカ。
ちなみに僕の頬にはまだ真っ赤な手形の跡が残っている。
「もぉ〜、もっと急ぎなさいよ、遅刻しちゃうでしょバカシンジ!」
「だってさぁ、2人分の荷物持ってるんだよ僕」
「あたしの荷物を持つのは当ったり前でしょ!なんたってあんたは乙女の胸に触れたんだから!」
「う…」
「罰として当分コキ使ってやるんだからね!憶えときなさいよ!!」
「…とほほ」
10年前からずっと、アスカには頭が上がらない僕なのであります。
アスカにガミガミ文句を言われながらも、なんとかギリギリセーフ。
勢い良く教室に駆け込んだ僕らに友人達が声をかけてくる。
「おっセンセ、頬っぺた腫らしおって…どないしたんや?」
「朝から惣流と夫婦喧嘩かぁ?」
僕の親友の2人、鈴原トウジと相田ケンスケだ。
僕らの通うこの第壱中学校はちょっと特殊で、スポーツや武術を国によって奨励している学校だ。それぞれに秀でた生徒が日本全国から集められ、授業の内容もその生徒に合ったカリキュラムが組まれている。
僕のクラス、2年A組は武術に優れた生徒が集まっていて、当然僕とアスカは同じクラス。
そして僕の親友2人も武道を修めている。
トウジはタイ生まれの大阪育ちという変わった経歴を持っていて、タイの国技、ムエタイ使いの達人だ。タイでムエタイを習得して、日本に来てからもこの学校に入るまでジムに通って訓練していたらしい。
ケンスケは普通の家庭に育ったんだけど、独学で棒術を学び、その腕は一級品。なんでもアメリカから軍事用の教本を取り寄せて本格的に勉強したらしいんだけどね。
「んで、今日のケンカの原因はなんなんだよ」
「にひひ…惣流に隠れて浮気でもしてたんとちゃうか」
「そ、そんなんじゃないよ!」
くだらない会話をしていた僕らに1人の女の子が近づいてきて、トウジの耳をギュっとつねった。
「あたたたた!な、なにすんじゃイインチョ!」
「鈴原!あなた週番でしょ!ちゃんと日誌は取ってきたの?」
トウジにイインチョと呼ばれた女の子はA組の学級委員長を務める洞木ヒカリさん。
アスカの親友の彼女もこのクラスにいるわけだから、当然武術をやっている。
委員長のお父さんは有名なテコンドー使いで、本場の韓国でのトーナメントでも何度も優勝している。
そのお父さんが日本でテコンドー道場を開いている関係で、彼女も幼い頃からテコンドーをみっちり仕込まれたんだって。なんだか僕やアスカと似てるな。
武術に優れたこのA組でも、僕とアスカ、そしてトウジ、ケンスケ、委員長の5人は自慢じゃないけど他の生徒より実力がズバ抜けてて、学校中の生徒や先生達からも一目置かれている存在だったりする。
それが理由ってわけじゃないけど、僕ら5人は大体一緒に行動をしてるんだ。
「ヒカリ〜、そんなバカは放っておいて、昨日のドラマのお話しようよ」
「うん、そうねアスカ。いい鈴原?ちゃんと週番の仕事するのよ!」
委員長はトウジに念を押すと、嬉しそうにアスカとお喋りを開始した。
それを見つめる僕ら3人。
「シンジもトウジも…奥さんが腕が立つからいろいろと大変だよなぁ」
「あ、アホ!何言っとるんじゃおまえは!」
「そ、そうだよケンスケ!」
ケンスケのセリフに思わず赤面してしまう僕とトウジ。
そんなこんなしているうちにチャイムが鳴り、先生がやってきた。
「おはよ〜ん。今日も元気にパァーっと行くわよ」
やたら元気なこの先生。
僕らA組の担任、葛城ミサト先生だ。
ミサト先生も武術の達人なんだけど…詳しい事はまた今度。
授業が終わると、僕とアスカは一緒に家に帰る。
今日は試合形式の練習をする予定だからね。
「ただいま〜」
「おかえりなさい。あ、そうそうシンジとアスカちゃんに手紙が来てるわよ」
「手紙ですか?」
「そう、2人に同じ手紙が来てるのよ」
僕らを出迎えた母さんのそのセリフに思わず顔を見合わせる僕とアスカ。
ホントだ、「碇シンジ様」「惣流アスカ様」ってなってるけど、見た目はほとんど同じ手紙だ。
誰からなんだろう?
差出人を確認しようと思い、手紙を裏返してみるとそこには「R」という文字だけが書いてあった。
そう、この手紙が僕とアスカを誘う、闘いへの招待状だった…。
<第2話 Aパートへ>
って事で20000ヒットを記念して始まった連載ものであります。
もちろんベースはSNKの格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS」であります(笑)
筆者のゲーム好きのせいで、エヴァキャラでKOF…うわ〜設定に無理がありすぎ(^^;
しかもタイトルが「THE KING OF BATTLE」…。
ひとつの単語を変えただけやん!(^^;
見切りでスタートしたこの連載、見捨てないで暖かい目で見守ってください(^^;
基本的にKOFを知らなくても楽しめる様にする…つもり…です(^^;
いろんな補足とかをする、キャラクター紹介ページなんてものも作りましたんで、良かったら見てください。
ご意見ご感想、なめんな!ここをこうしろ!とかありましたら
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本ページに掲示板を作りましたので、
よろしかったらそっちの方でもいいんで、感想いただけると嬉しいです。
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