新世紀エヴァンゲリオン  GAG & LAS


張れ、ケンスケ君!7  〜禁断のネタ&オチ編〜




 相田ケンスケ、14歳。
 第三新東京市第壱中学校2年A組。
 成績優秀、容姿端麗、品行方正のまさにスーパーマン。
 いろいろ世話を焼いてくれる可愛い彼女がいて、
 同級生はもちろん、下級生や上級生からも人気のあるヒーロー。

 これはそんなナイスな彼の、とある日の物語である。





 カーテンの隙間から眩しい朝日が差し込んで来る中で、彼はそりゃもうとっても幸せそうな表情で眠っていた。
 時折ニヤニヤっと笑っているのは、夢の中で何か良い事でも見ているのであろうか。

「………おばさま、おはようございますっ!」
「あら、アスカちゃんおはよう。今日も可愛いわね」
「や、やだもーおばさまったら! 変なこと言わないでくださいよ」
「うふふ。でも毎朝毎朝悪いわねぇ、ウチの馬鹿息子をわざわざ起こしに来てくれて」
「いえ、もう慣れっこですから。それじゃあ早速起こしてきますね!」

 ドア越しに聞こえてくる、母と、そして彼の幼馴染である彼女の元気な声。
 その声のボリュームはかなり大きなものなのだが、この部屋の主である少年はそんな声なぞお構いなしという感じで、グースカぴょーと気持ち良さそうに眠っているままだ。

「……こぉらっ! いつまで寝てんのよっ!!」

 ドアを開けるや否や、幼馴染の少女=アスカは、目覚まし時計が驚くような大きなキンキン声を発した。

「…………ん…」

 流石にこの声には目を覚まされたらしい。少年は眠そうな目をシパシパさせながら、ボケーっとした顔でアスカを見ている。

「ようやくお目覚めね。ったく、寝ぼすけなんだから」
「……なんだ、アスカか」
「なんだとは何よ! せっかく幼馴染のこのあたしが、こうしてわざわざ起こしに来てやってるのに!」
「うん、ありがと。だからもうちょっと寝かせて……」

 そう言いながら布団を被り、再び眠りに落ちて行こうとする少年。

「あ! なにまた寝ようとしてんのよ! さっさと起きなさいっての、このバカケンスケ!!

 もちろんそれを勝気なアスカが許すはずもなく、大声を上げながら布団を勢い良くガバッと引き剥がした。

 ……………………。
 って、あれ?

「うひいいいいい、さむうううううう」
「さむー、じゃないわよ、バカケンスケ。ほら、早く起きないと遅刻しちゃうわよ」
「へいへい」

 アスカに起こされた少年、この物語の主人公である相田ケンスケは、ベッドの傍らに置いてあった愛用のメガネをかけると、くせっ毛の髪を片手でさっと掻き揚げた。
 朝日を浴びてやけに美しく見えるその様子を、自分は意識せずとも思わず見とれてしまうアスカ。

「んー? 何だよアスカ。じっと俺の顔を見ちゃって」
「な、なんでもないわよっ!」

 ケンスケの言葉に慌てて視線を外すが、アスカの顔は恋する乙女仕様に真っ赤に染まってしまっている。

「ははーん。さては幼馴染のこの俺のカッコ良さに気付いて、見入っちゃったんだろ」
「あああ、あんたバカァ!? そ、そんな事ある訳ないじゃない!」

 ツンツン全開でこんな事を言ってはみるが、どう見てもこれは照れているだけ。そんな彼女の様子を苦笑いを浮かべながらも優しく見やり、ケンスケは両手をグッと上に上げて身体を伸ばした。

「OK、分かった分かった。それじゃ朝飯食って、元気に学校へ行こうぜ」





 学校へ続く道を、いかにもスポーツが得意な様子で軽快に歩を進めるケンスケと、美しく長い紅茶色の髪を躍動感たっぷりに弾ませているアスカが、仲良く肩を並べながら走る走る。

「んもー。せっかくあたしが起こしに行ってやったのに、結局また走る羽目になっちゃったじゃない」
「仕方ないだろ。朝飯に時間掛かっちゃったんだからさ」
「あんたが朝からご飯3杯とか食べるからでしょ?」
「なんだよ、アスカだっておかわりしてたじゃないか」
「だっておばさまの朝ご飯、すっごく美味しいんだもん」
「はは、太っても知らないぜぇ?」
「乙女に向かって禁断の台詞を…! えいっ、このバカケンスケ!」
「あたたっ! ご、ごめんアスカ。許してくれ〜」
「許さないわよっ! えいっ、えいっ!!」
「お許しを〜」

 口調は怒っていながらも、楽しそうにケンスケの頭をポカポカ叩くアスカ。そしてケンスケの方も叩かれて痛そうな顔をしてはいるが、こちらも楽しそうだ。
 恋人同士が仲良くじゃれ合っている……まさにそんな言葉がぴったりなこの二人が走りながら道の曲がり角へ差し掛かった時――。

「きゃあっ!」
「うわっ!」

 道の反対側から走ってきていた少女と、アスカよりちょっと前に位置していたケンスケがちょうど曲がり角の所でぶつかってしまった。

「いってー」

 ぶつかった衝撃で思わず尻餅をついてしまったケンスケが、若干ズレてしまったメガネの位置を直しつつ目線をあげると、そこには自分と同じように尻餅をついて座っている少女の姿が。
 年頃は同年代のようだが、ここらでは見慣れぬ制服。軽くジャギの入ったショートな空色の髪に、透き通るような白い肌。

「…………………」

 それらが何だかとても新鮮かつ眩しく思えて、現在の状況を忘れてケンスケはポケーッと少女を見詰めてしまう。

「いった〜い」

 ケンスケとぶつかった少女も地面にぶつけてしまったお尻をさすりつつ、視線を上へあげた。

「…………………」

 自分を見詰めているメガネの少年。その少年、つまりケンスケと視線が合った少女は、不意に身体の中を駆け巡った衝動に思わず頬をポッと赤らめた。

「ちょ、ちょっと大丈夫? ケンスケと……それに、あんたも」

 そこへ大きな声と共に割り込んできたアスカ。
 アスカは敏感に感じ取ったのだ。ケンスケとこの青髪の少女の間に発生した、自分にとって好ましくない空気を。

「あ、う、うん、大丈夫!」

 アスカの声に驚いた青髪の少女は慌てた声を出すと、足を開いて尻餅をついてしまっている自分の格好に気付いてスカートを直し、これまた慌てて立ち上がった。

「ちょっと急いでたから……。ごめん! 本当にごめんねっ!」

 そう叫ぶと二人にペコリとお辞儀をして、鞄を持ち直してあっという間に駈け去ってしまった。

「ははは。元気だなぁ、あの子」

 小さくなっていくその後姿を見ながら、思わずケンスケは苦笑してしまう。

「……むー」

 駆け去った少女と、そしてまだ尻餅をついたままのケンスケを交互に見やり、アスカは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
 せっかくケンスケと一緒に楽しく登校してたのに、変な女に邪魔されたばかりか、なんかいい雰囲気で見詰め合っちゃって……。

「もーいつまで座り込んでるのよっ、バカケンスケ!」
「お、おお。っとアスカ、手ぇ貸してくんない?」
「知らないっ! バカ、バカッ!」

 幼馴染のケンスケとアスカ。いろいろ複雑なのであります。





「きりーつ、れい、ちゃくせき!」

 2-Aのクラス委員長であるヒカリのハキハキした声が教室内に響き渡り、続いてこのクラスの担任である国語教師のミサトが、コホンと咳払いをして言葉を続けた。

「喜べ男子〜。今日は噂の転校生を紹介しちゃうわよん。さ、入って入って」
「はい!」

 ガラリとドアが開いて、教壇の所まで進んできた少女。男子生徒のどよめき声と、女子生徒の好奇心溢れる視線の中で、少女は元気良く一礼した。

「第二新東京市から転校してきました、綾波レイといいます! 皆さん、よろしくお願いしま〜っす!」
「ああ〜っ!!」

 にっこり挨拶した転校生の少女であるレイの声をかき消すかのように、大きな声があがる。

「ど、どうしたのさ、ケンスケ」
「なんや、いきなりどないしたんや」

 シンジとトウジが驚いて、急に大声を発した人物……つまりケンスケに声を掛ける。すると当然レイは大声を発したケンスケに視線を向ける訳で。

「あーっ、あんた今朝のパンツ覗き魔!」
「ちょっと、言いがかりはやめてよ。あんたがケンスケに勝手に見せたんじゃない!」

 レイの言葉に間髪入れずに席を立って反応するアスカ。いろいろな意味でこれからライバルになるであろうレイとの再会に、もう本能的に割って入ってしまったのだ。

「あんたこそ何? すぐにこの子かばっちゃってさ、何デキてるわけ二人?」

 アスカの剣幕にカチンときたレイも挑発的に言葉を返す。

「け、ケンスケとはただの幼馴染みよ、うっさいわねえ」

 「デキている」という言葉に思わず頬を染めてしまったアスカは、ちょっとしどろもどろ。

「ちょっと授業中よ! 静かにしてください!」
「あら、楽しそうじゃない。私も興味有るわ〜、続けてちょうだい」

 ヒカリが何とかこの場を収めようとするが、担任のミサトは予期せぬ青春絵巻に面白さを感じて、ニヤニヤしながら逆に煽る。

「おいおい、落ち着けってば、アスカ」
「うっさいわよケンスケ! 元はといえば全部あんたが悪いんだからねっ!」
「あー。やっぱり二人はデキてるんだぁ。やらしー」
「転校生もうっさいのよ! そ、そうよ、あたしとケンスケは幼馴染で、デキちゃってるのよ! お互い好き合ってんのよ、文句あんのっ!?」

 売り言葉に買い言葉。もうアスカはパニくってて、自分でも何を言っているのか良く分かっていないのであろう。
 だがこの爆弾発言に、教室の中は更に大混乱。

「アスカったら、ず、ずるいわっ! わたしだって本当はケンスケ君の事が好きで、いつかわたしが作ったお弁当を食べてもらいたいな、って思ってたんだから!」
「アスカはともかく、洞木さんまで……。やっぱりケンスケ君は大人気ねん。といいつつ、私もケンちゃんの事をずっと可愛いなーって思ってたのよね。うっしここは私も宣戦布告といきますか。さあ小娘達、大人の魅力たっぷりの葛城ミサトもケンちゃん争奪戦に参戦よん!」

 あわわわわ。ヒカリとミサトまでケンスケに対する本音を暴露しちゃって、もうこれは収まりがつきそうにありません。

「待った待ったあー! ここは美少女転校生が彼と再会するって大事な場面なのに、肝心のわたしを置いていかないでよお! もちろんこの綾波レイちゃんも、運命の出会いを果たしたメガネの美少年、ケンスケ君のハートをゲットするため頑張っちゃいます!」

 更にレイまでこんな事を言っちゃって。
 ワーワーキャーキャー大喧騒の中、モテモテのケンスケの友人達は呆れたような、羨ましそうな表情でこの事態を眺めている。

「だ、大人気だね、ケンスケは……。凄いなぁ」
「そうだねぇシンジ君。ケンスケ君のこのモテっぷりはこの僕の美貌を持ってしても、到底かなわないよ」
「アホ言うなや渚。ケンスケは次元が違うんや、モテの次元がな」

 そしてこの混乱の張本人である、ケンスケはというと……。

「はっはっは。いやー参ったな、モテる男は辛いぜ。あーほらほら、アスカも、委員長もミサト先生も落ち着いて。それにほら、転校生のレイちゃんも冷静に。あーっはっは、これは困ったなぁ。だーっはっはっはっはっは」

 大人気のケンスケを中心とした、愛と友情と感動のこの物語はまだまだ続きます。
 続きをお楽しみにっ!!




 流石だケンスケ!!
 絶対無敵だケンスケ!!
 君の未来はもう薔薇色! 向かう所敵無し!
 ニクいぜコンチキショー。




















































「……ってな感じの内容で、「第1回 チキチキ 新春だよ!2-A特別自主映画大会」を開催しようと思ってるんだよ。どうよ、このストーリー。完璧だろ? いやーやっぱりこの相田ケンスケに掛かればこのぐらいのストーリー創作なんてお茶の子さいさいな訳だ。はっはっは、あーっはっは、だーっはっ」
「あんたバカァ!?」

ドガスッ!!

 新学期が始まった2-Aの教室で、大声でアホ笑いしているケンスケの顔面に、アスカの「ジャンプ大P → しゃがみ大P → ちょうアッパー → ダブル」がクリーンヒット。

「うげげげげげっ! な、何すんだ惣流! 新年早々、4ヒットコンボを決めるんじゃないっ!」

 軽く鼻からパターン赤の液体を流しているケンスケ。
 やはりケンスケ閣下はこうでなくちゃアカンですね!

「うっさいわよ作者! 超超超超超超お久しぶりなこのシリーズだってのに、しかも2007年1発目の作品だったのに、なに訳の分からない前フリを延々と書いてるのよっ!」

 いやほら何といいますか、書いてたら止まらなくなったといいますか、ちょっと読者さん達を騙してみようかなーと思ったといいますか。

「しかも、このあたしと変態軍事オタクが幼馴染でラブラブですってぇ! 本編基準でも、アフターEOEでも、学園ものでも、異世界ものでも、世の全てのLAS小説ではあたしとシンジは永遠の恋人だってぇのにっ! 元祖ツンデレ娘をなめるんじゃないわよ! がおおお!!!」

 あうあー、シンちゃん助けて。

「え、えっと……。あの、そのぐらいにしておきなよ、アスカ」
「えーでもぉ」
「怒っているより笑っている方が、太陽みたいに眩しいアスカには似合ってるからさ。ね、ほらもう怒らないで」
「あん、もうシンジったら……。でもシンジがそう言うなら、もう怒らないわ」
「ありがとうアスカ。僕のお願いを聞いてくれて嬉しいよ」
「えへへっ。じゃあご褒美に……アレちょうだいっ」
「アレって……アレ?」
「そ。愛情がたーっぷり詰まった、キ・ス」
「もう、しょうがないなーアスカは。甘えんぼさんなんだから。じゃあ目を瞑って……」
「ん……」

ちゅ

「……シンジぃ」
「アスカ……」

 あーもーシンジ君とアスカさんは今年もLAS満開ですね! これを書いてる作者はもうオッサン化したので、この程度の文章でも、恥ずかしくて恥ずかしくて悶絶死しそうですよ!

「ま、シンジと惣流のイチャイチャは放って置いてと。しかしケンスケ、お前の作ったその自主映画シナリオ、誰がどう見たって無茶苦茶やぞ」

 ナイスフォローでLASに脱線し掛けたお話を本筋に戻すトウジ。さすが、新ドライモンでスネちゃまの声を当てているだけあるな。

「どこが無茶苦茶なんだよトウジ」
「お前がモテモテってのはこの際置いておくとしてもやな、んな1人の男がモテまくるちゅーのが気に食わん。何やねんそれは」
「アホだな! 古くは天地○用、ちょい前ではラブ○な、そして最近では巷に溢れるご都合主義のギャルゲー群などなど、ハーレムでウハウハは男の夢なんだぞ!」

 瞳に炎を浮かべて、力いっぱい力説するケンスケ。

「そんなに力むなや、鬱陶しいわ」
「うっとうしいとか言うな! しかも漢字で! なぁ渚、お前には分かるだろ? ハーレムは男の夢だって事が!」

 ケンスケに声を掛けられ、レイと共に皆の傍らに立っていたカヲルが自慢の銀髪をフワッとかき上げた。

「世のお姉さま方、こんばんわこんにちわ。ふふ、2007年も優雅で華麗な渚カヲルです。さてさて相田君、この僕にそういう風に振られたって、ハーレムなんてものに興味が無い僕にはどうにも答えることが出来ないよ。ねぇ、数年ぶりのνタイプのエヴァの表紙で、主人公のシンジ君を差し置いて共に表紙を飾った綾波さん」
「わたし、知らない。商業的な大人の事情とかに興味無いもの。それよりあなた、今度の映画「REBUILD」では最初の方から出てくるみたいね」
「それだけ僕の人気が高いってことだよ。伊達に正義なんて名前のモビルスーツに乗って、節操もなくあっちの軍に行ったりそっちの軍に戻ったりして、幼年学校の頃からの親友と耽美なやり取りをしてはいないさ。ふふふ」
「幼年学校の頃からの親友……月?
「それは死ノートだよ。まぁこっちの方でも、月とLの耽美な世界を描いた有志作品は、山のように存在しているみたいだけどね。フフン」
「どうでもいいわ。ヤオイには興味ないもの」

 あー赤い瞳のお二人さん、あまりアレでソレな事は言わないように。
 何はともあれ、今年は「REBUILD OF EVANGELION」もありますし、ページのリニューアルもしたいと思ってるし、このシリーズの新作はもちろん、中途半端になってるのも含めて出来るだけ多くの作品を書いていきたいと思ってるんで、ひとつ宜しくお願いしますよ。

「言うだけなら簡単よねー。ま、新年早々文句ばっかり言うのも何だし、話半分として聞いといてやるわ。さあシンジ、一緒にあたし達二人の愛の巣へ帰ろっ!」
「うん、そうだね。あ、でもアスカ。二人の愛の巣って、あの家は一応家主はミサトさん……」
「んもーシンジったら、野暮なこと言わないで。あんなビヤ樽女なんてあたし達の愛のパワーの前では空気も同然なんだから、思いっきりラブラブしながら今年の抱負を語り合いましょ。ね?」
「う、うん。去年まではアスカに引っ張ってもらってばかりだったけど、今年はいろいろ積極的に頑張ってみるよ」
「積極的って……。きゃーもう、シンジのえっちぃ〜☆

 ……何だかアスカ嬢のキャラが違ってますが。
 ま、シンちゃんとアスカさんが仲睦まじいのは何よりです。あなた達あってこそのLASです。今後もよろしく。

「フンフンフン〜、哀Podはいいねぇ。通勤通学時間の辛さを忘れさせてくれる。窓を小馬鹿にしたマッカー臭がキツいあのCMは気に入らないけど、これぞまさに林檎社が生み出した小型ミュージックプレイヤーの極みだよ。よし綾波さん、僕らも帰るとしようか」
「……お腹空いたわ」
「む。じゃあ何か軽く食べて帰るかい?」
「ええ。軽くじゃなくて、いっぱい食べるけど」
「むむむ。もちろんそのメニューは……」
「そう、お約束のずんだ餅よ。メタボリックシンドロームなんて、わたしには関係無いもの」

 定番中の定番の台詞をどうもありがとう。カヲル君とレイちゃんのカップルは、LASに続く強力なものだと思ってますので、今年も諸々よろしく。

「ほならイインチョ、ワシらも帰ろか」
「うん! 今年も頑張って美味しいお弁当作ってくるから、いっぱい食べてね」
「おう、まかしとき! なんだったらお弁当だけじゃのうて、イインチョまで食べたるでー!」
「も、もうっ! 鈴原ったらお正月だからって調子に乗りすぎ!」

 初々しいですねー。もちろんトウジ君とヒカリさんのカップルも微笑ましくてナイスですよ。
 じゃあ主要メンバーも帰りましたし、この辺でお開き……

「ちょっと待ったぁあああああああっ!!!!!」

 うわー古っ。ねるとんですか。

「んな事はどうでもいいんだよっ! この話の主人公は俺だろ!? 主人公様を無視して締めようとするなあああああぁ! イナバウあああっっっっ!!!!!

 必死に叫ぶケンスケの声に、帰りかけたシンジやアスカ達がゾロゾロと戻ってくる。

「もう、なんだってのよ。ウザいわねー」
「黙れ黙れ! 壱中のハンカチ王子と呼ばれるこの相田ケンスケを完全シカトで帰ろうとするとは、一体どういう料簡だっ!!」
「イナバウアーとか、ハンカチ王子とか……。流行りものの言葉を無意味に使うのは良くないと思うよ、相田君」
「うん、そうだね。流行に敏感っていうより、逆に流行に踊らされている感じがするよ、ケンスケ」
「ヒカリとシンジの言う通り! 大体あんたはハンカチ王子じゃなくて、ハレンチ王子って感じじゃなーい」
「わはは、うまいな惣流。まさにその通りやで」
「……ハンカチ玉子? それは美味しいのかな」
「98年少年エース5月号(コミックス第5巻の56P)でやった、頬に手を当てて小首を傾げた仕草をするな綾波! 中尉殿も「あれは笑えばいいと思うよ綾波スマイル級の反則だね」って言ってたんでありますぞ!!」
「フフン、相田君。その軍隊口調はケ○ロ軍曹の真似なのかい? パクりは好意に値しないよ」
「ちがーーーっう!!」

 皆に攻められてボロボロのケンスケ。
 ああ主人公閣下……。

「今年も初っ端から! しかも久々のこのシリーズなのに!! もうこれでもかって馬鹿にしまくりやがって!!! ふざけんじゃねえええぇれえれqあwせdrftgyふじこlp!!!!」




















「はっ!」

 暗い室内で、ケンスケは目を覚ました。

「…………知ってる天井だ

 暫し天井を見つめた後、一応エヴァっぽい台詞を呟いて、ベッドの上のケンスケは再び目を閉じた。

「そうだよな、いくらなんでもあんな酷い展開で終わる訳ないもんな。ここは俺の部屋。そしてさっきまでのは全部夢の中の話。よしよし」

 フゥっと息を吐き出し、安堵の表情を浮かべる。
 っと、その横で何やらモゾモゾ動く物体が。

「……んん。どうしたのぉ、あなた」
「あ、起こしちゃったかな。ごめんよアスカ」

 可愛らしい仕草で寝ぼけ眼をコシコシしているアスカを優しく見やり、そっと頭を撫でてあげるケンスケ。
 すると、今度は逆の方向の物体がモゾモゾ動いた。

「……アスカばっかりずるい。わたしも頭をナデナデして」
「ごめんごめんレイ。君まで起こしちゃったね。ほら、頭をこっちに近づけてごらん」

 嬉しそうに身を寄せたレイの頭を、ケンスケは愛情を持って撫でてあげる。
 ケンスケの右側にはアスカ。その逆の左側にはレイ。つまりケンスケは、アスカとレイに挟まれている格好で寝ていたのだ。

「サードインパクトから早10年。いやいや、この国が一夫多妻制になって本当に良かったよ。こんなに可愛い二人を奥さんに出来たんだからさ」

 アスカとレイを両腕に抱えてご満悦。
 さすがはケンスケ閣下。中学時代はもうどうしようも無い最低君だったけど、実はやる時はやる男だったんですな。

「んー、なんだか目が覚めちゃったなぁ……」

 スケベっぽくニヤリと笑うと、美女二人を抱いている手をワキワキと動かし始めるケンスケ。

「やぁん。またするのぉ?」
「……えっちなんだから。あん」

 悩ましいアスカとレイの声に興奮度数が高まったのか、ケンスケはジャンプ一番、二人の待つベッドへとルパ〜ンダイブ。

「祝! 遂にこのサイトも18禁解禁!! ふっじこちゃ〜ー〜ん!!!



















「……ってな感じの内容で、二次小説を書いてるんだよ。どうよ、このストーリー。読者もアッと驚く三段オチ。そしてこの先は嬉し恥ずかし18禁描写満載の展開。完璧だろ? いやーやっぱりこの相田ケンスケに掛かればこのぐらいのストーリー創作なんてお茶の子さいさいな訳だ。はっはっは、あーっはっは、だーっはっ」
「あんたバカァ!?」

ペシペシペシドガガガガガッ!!!

 新学期が始まった2-Aの教室で、大声でアホ笑いしているケンスケの顔面に、アスカの「しゃがみ小K×3 → しゃがみ中K → 飛燕鳳凰脚」がクリーンヒット。

「うげげげげげっ! な、何すんだ惣流! 新年早々、17ヒットコンボを決めるんじゃないっ!」

 鼻と口からパターン赤の液体をドクドクと流しているケンスケ。
 やはりケンスケ閣下は、不幸がお似合いですね!

「うっさい! 同じような台詞をコピって使ってんじゃないわよっ!」
「そ、それは俺は知らん!」
「……いいわけして、いいわけ?

ガスッ!!

 倒れているケンスケに、無常にダウン攻撃を加えるレイ。

「ゲフッ! ちょっと待て綾波、微妙な洒落を言いながら蹴るなっ! 作者が手を抜いてるんであって、コピペ云々は俺のせいじゃない!!」

 必死の抗議も空しく、トウジやカヲルをはじめ、ヒカリも冷ややかな顔でケンスケを見ている。

「待て待て待て待て! この際それは置いておいて、それよりもこの二次小説、つまりファンフィクションの内容を見てくれよ。なぁトウジ、お前もエロいの好きだろ?」
「そりゃ好きか嫌いかって聞かれたら、好きやけどな。んでも自分が主人公で、綾波と惣流を嫁にしてアレコレするっちゅーんわ、ちょっと痛すぎるで」
「フフン、そうだね。自分の分身をオリジナルキャラとして二次小説に登場させるのは、余程上手くやらないとただの自己満足だけで終わってしまうからねぇ」

 やれやれ、という風に呆れているトウジとカヲル。

「作品に登場させられたアスカと綾波さんが怒ってるのは仕方ないとしても……。ほら、最愛の人を勝手に使われて碇君も怒ってるよ。普段は温厚だけど、碇君がキレたら大したもんだよ? 小力どころの話じゃないわよ?

 ヒカリの言葉を聞いて、恐る恐るシンジの方を見てみると……。
 そこにはユラユラと殺意の波動を発しているシンジが。これはヤバイ。

「し、シンジ、すまんっ! ちょっと調子に乗りすぎた、悪かった!!」
「……ケンスケ。僕のアスカを勝手に小説に登場させたりして、本当に悪かったって思ってる?」
「思ってる思ってる!」
「反省してる?」
「してるしてる!」
「……じゃあ今回は許してあげるよ。でもまた同じような事をやったら……僕怒るからね」
「お、おう。肝に命じておく」

 ギリギリの所で、シンジが完全に殺意の波動に目覚めるのは回避できたみたいです。
 取りあえず張り詰めていた空気が和らぎ、平穏な雰囲気が場を支配する。でもこうなると調子に乗るのがケンスケ閣下の悪いクセでありまして……。

「いやー参った参った。でもさ、俺の書くファンフィクションってすっげー人気あるんだぜ。巨大匿名掲示板の弐チャンネルの該当板に、俺の作品専用のスレッドが立つぐらいなんだから。はっはっは、才能が豊富って、ある意味罪だよなー」
「……ウソね」
「えっ……?」

BGM:不安と蜜月

「あたし知ってんのよ、あんたが自分でスレを立てて、おまけに自作自演までしてるって事。ほら、いつもみたいにやってみなさいよ、ここで観ててあげるからっ!!」

 嘲るような視線をケンスケに送りながら、アスカは弐チャンネルが画面に映し出されているノートパソコンをデデンと机の上に置いた。


【溢れる】相田ケンスケの作品を語るスレ【才能】

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:34:42 ID:SA0MVOr30
天才SS作家、相田ケンスケの作品について語るスレです。

この人の作品は最高!

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:36:14 ID:+t1wFHdv0
2げと

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:42:43 ID:SA0MVOr30
>>1
おお、遂にスレが立ったか!
本当にケンスケ氏の作品は素晴らしいよね〜。

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:46:23 ID:SA0MVOr30
良スレ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

ケンスケさんはマジですごいよ。
文章構成能力も、ストーリー作成能力も、まさにプロ級。

5 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:51:02 ID:aCDXx/Z3
>>1
>>3
>>4

自作自演乙

6 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:52:15 ID:SA0MVOr30
自作自演?
意味分からないんだけど?
荒らしですか?

7 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:55:54 ID:Sdb9oA3u
>SA0MVOr30
本人か? 自作自演はイタイだけからそのへんでやめとけ。

8 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:57:18 ID:cYP1Htt/
             ___
.            |(・∀・)|
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         △
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   __△|_.田 |△_____
      |__|__門_|__|_____|_____

9 :名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/01/08(月) 01:59:21 ID:syBbzVQD
            , '´  ̄ ̄ ` 、
          i r-ー-┬-‐、i
           | |,,_   _,{|
          N| "゚'` {"゚`lリ     や ら な い か
             ト.i   ,__''_  !
          /i/ l\ ー .イ|、
    ,.、-  ̄/  | l   ̄ / | |` ┬-、
    /  ヽ. /    ト-` 、ノ- |  l  l  ヽ.
  /    ∨     l   |!  |   `> |  i
  /     |`二^>  l.  |  | <__,|  |
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  .|     {.|  ` - 、 ,.---ァ^! |    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{   ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
  }/ -= ヽ__ - 'ヽ   -‐ ,r'゙   l                  |
__f゙// ̄ ̄     _ -'     |_____ ,. -  ̄ \____|
  | |  -  ̄   /   |     _ | ̄ ̄ ̄ ̄ /       \  ̄|
___`\ __ /    _l - ̄  l___ /   , /     ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄    |    _ 二 =〒  ̄  } ̄ /     l |      ! ̄ ̄|
_______l       -ヾ ̄  l/         l|       |___|



「うわっ……」
「思いっきり自作自演バレバレだね。これは好意に値しないよ」
「しかもソッコー荒らされとるし。これはアカンやろ」
「ID出てるの気付かなかったのかな?」
「…………最低」

 先程より強烈な冷たい皆の視線が、ケンスケに注がれる。

「昨晩せっかく俺が立てたスレなのに……って、ち、違う! これは違うっ!!」
「…………………」
「ここここれはマズいでありますぞ中尉殿! すぐに削除依頼を……そそそそうじゃないっ! 俺は知らないっ!」
「…………………」
「そ、そんな目で俺を見るな! お願いだから、冷ややかな中にも哀れむような要素を含んだ視線で俺を見ないで!! 汚いものでも見るような視線で俺を見ないで!!!」
「…………………」
「やめて見ないでやめて見ないでやめて見ないでやめて見ないでやめて見ないでやめて見ないでだfdfさqあwせdrftgyふじこlp!!!!」




















「………………………ご主人様!」
「はっ!」

 ぷりてぃなメイド服を着た女性に揺り動かされて、口を馬鹿みたいに開けて寝ていたケンスケは慌てて起き上がった。

「大丈夫ですかぁ? ご主人様ン」
「あ、ああ、大丈夫。ちょっと疲れて寝ちゃったみたいだ。はははっ」

 ここは秋葉原の某所にある、メイドカフェ「ねるふ♪」。
 「ミサト」と名札を付けた、ちょっと……いやかなり年齢はいっているが、超ナイスバディのメイドさんに一目惚れしたケンスケは、特別料金を払ってこのメイドさんを同席させて独占中、つい居眠りをしてしまったのだ。

「もー、ミサト怒っちゃいますわよん。ぷんぷん」
「わっはっは。やっぱミサトさんは大人の魅力があっていいなぁ。色気とメイド言葉の絶妙なコラボ! こりゃ堪りませんなぁ。ひひひっ」

 おっさんくさいぞ、ケンスケ。

「いやいやマジで。このムンムンの色気に比べたら、綾波や惣流なんて、まだまだ乳臭いガキだね」
「あらん、ご主人様ったら嬉しいこと言ってくれちゃって。お礼にパフパフしてあげちゃう♪」
「ぱぱぱぱ、パフパフ!? それは亀○人も切望していた、あの伝説の!!??」

 いやはや凄い展開となってきました! ドキドキですね!!
 ……え?
 どうせこれもケンスケの夢とか、それに類するものなんだろうって?
 まぁぶっちゃけその通りなんですけどね。

えいっ! パフパフよん!
「おおおおおおおっっ! こ、こりは凄い! せーらームーンの月野兎でもなく、種死の魔乳でもなく、もちろん新ドライモンのノビ太のママでもない! 正真正銘のミサトさんの胸!! 凄い、凄すぎるぅぅぅぅぅっっっっっ!!! 男相田ケンスケ、生まれてきて良かったであります!!」




















「…………という妄想を見ていますね、彼は」
「なるほど、ありがとう。もう十分にデータも取れたし、妄想とはいえ、いつまでも彼にいい思いをさせておくのも癪だし。マヤ、電流でも流して起こして頂戴」
「はい先輩! ピリッと電流を流しちゃいまーす。ポチっとな」

ビビビビビビビビ

「ゲゲえげげええええげげえええげげっ!!!」

 激しいフラッシュと共に、身体にガイコツが描かれるお約束の描写で痺れているケンスケ。

「ううう………な、なんだ? どこだ……ここ?」
「ふふふっ、グッドモーニング、Mr相田」
「おはよー、相田君!」
「あ、赤木博士に、伊吹さんっ! ってことは、ここはもしや……」
「そう、私の研究室よ」

 そう、妄想から強制的に目覚めさせられたケンスケが居るのは、ネルフ職員が恐れ戦いて誰も近付かない赤木リツコ研究室。通称『悪魔の実験室』。

「ま、また俺ってば両手両足を固定されてベッドに寝かされてるけど……。あ、赤木博士!」
「なに?」
「毎度毎度のお約束で、今回も子飼いの黒服メン達を使って、俺を拉致してきたんですね!?」
「そうよ。だからなに?」
「ひ、酷い! 今までの展開をぜーんぶ怪しげな実験の結果だとか、捻りも何にもないオチにするつもりなんですねっ!?」
「あーもう……」
「とにかく酷い! なにもかもが全部酷すぎる! 人権侵害だっ! 弾圧だっ! 圧政だ! 恐怖政治だ! 特権権力の不法行使だ! 気合だ! 気合だ! 気合だ!」
「黙れ! このカトンボが!

ダンッ!

 力一杯机を叩くリツコ。その音に驚き、ケンスケは思わずビクッと肩をすくめてしまう。

「最後の方のは何? アニ○浜口の真似? 私はあの親父、ガーガーうるさくて品が無いから嫌いなの」

 白衣のポケットから煙草をライターを取り出して、リツコはカチリと火をつける。
 そして紫煙をくゆらせながら、まるで家畜でも見ているような視線でケンスケを見下ろしている。これは怖い。

「せんぱーい。さっきの「カトンボ」って、もしかして乙のシ○ッコの真似ですか?」
「ふふっ、マヤは聡明ね」
「わーい、当たった!」
「ハマ○ンの「俗物が!」も捨て難かったんだけど、今回はシロ○コの台詞にしてみたわ」
「さすが先輩! ブラ○ト艦長も裸足で逃げ出す的確な判断です!」

 と思いきや、ダムネタで盛り上がる先輩と後輩。この人達の思考回路は凡人には到底理解できません。

「あ、あの〜、ご歓談中に申し訳ないんですが、そろそろ解放してくれませんか……?」

 存在を忘れられつつあったケンスケが、恐る恐るリツコ達に声を掛ける。

「あら。居たのね、あなた」
「居たのって……ひでぇっすよ……」
「ま、いいわ。じゃあ相田君も寂しがっているみたいだし、続けてもう一発実験やってあげましょうか」
「げげげげっ! い、いや、いいっすよ! もういいっすよ!!」
「マヤ。アレとソレとコレを調合した、デンジャラスな例の薬を彼に注射してみて」
「らじゃーです!」

 ジタバタと暴れるケンスケ。が、当然手足は固定されているので身動きは取れない。
 そんな彼に、いつの間にかナース服に着替えたマヤがニコニコ笑顔で近付き、えいや!と針を突き刺した。

「ぎゃあああああああああああああ!! いってえええええええっっっーーーーーーー!!!!」




















「はっ!」

 暗い室内で、ケンスケは目を覚ました。
 キョロキョロと周囲を見渡して、ここが自分の部屋だと知ると、思わずホッと安堵の息を吐いた。

「いやー、何だかいろんな夢を見てたような、見ていなかったような……。というか、俺はいつの間に寝ちまったんだろう」

 上体を起こして、改めて自分の現在の状態を確認してみる。

「椅子に座ってるって事は、俺ってば机に突っ伏して寝てたのか。うーんと……あ、そうか! 我が愛用デジカメ、ミランダちゃんのお手入れをしてたら急に眠気が襲ってきて、ついそのまま寝ちゃったんだな。この俺を眠りの底に誘うとは……ミランダちゃんはなんて魔性たっぷりの子なんだ! ニクイねこのっ! 我輩の負けでありますぞっ!!」

 無駄に元気だね、チミは。

「そいや今何時だろ。んーと……21時か。19時ごろからミランダちゃんのお手入れ開始したから、2時間も寝ちゃったのか。まー明日からの旅行に備えて、英気を養えたと思えばいいか。旅行……そう旅行! 明日の大晦日から、シンジ、惣流、綾波、渚、トウジ、委員長のいつものメンバーで、年越し温泉旅行に行くんだよおおお! いやー楽しみだなぁ。ん? ミランダちゃんのお手入れ? そうだよ、明日からの旅行で激写に次ぐ激写をする為にお手入れしてたんだよ。も・ち・ろ・ん、湯上りの綾波の白い肌に火照ったうなじや、はしゃぎ過ぎて浴衣がはだけちゃった惣流の豊満な胸元や、座った時に浴衣の裾からチラリと見える委員長の健康的な太ももを、もうこれでもかってぐらい、撮って撮って撮りまくるんだぜええぇ! ポケ○ンゲットだせぇええええ!!

 思いっきり説明口調な独り言、どうもありがとう。

「ふー大声出したら喉渇いたぜ。冷蔵庫のジュースでも取ってくるか……。ん? 留守電がメッセージ有りで光ってるな。寝ている間に誰か電話掛けてきたのかな? 再生ボタンをポチッとな」


ピー
11件ノメッセージガアリマス



ピー
12ガツ30ニチ ゴゴ20ジ36プンデス

あ、もしもし? あたしよん、葛城ミサトでっす!
携帯にかけても出ないから、留守電にメッセージ入れるわねん。
んふふー。実はね、今加持君の家で忘年会やってるの。リツコとマヤ、青葉君と日向君もいるわよん。
でねー、ちょっちお願いがあるんだけど……。
予想以上にハイペースで飲みすぎちゃって、お酒が足りなくなりそうなのよねー。
それでぇ、ズバリ、相田君に買ってきて欲しいの!
パシリには君しか……あーじゃなくて、こんな事を頼めるのは、優秀な相田君しかいないのよー。
じゃあ待ってるわねん! なるべく早めに買ってきてね!!


ピー
12ガツ30ニチ ゴゴ21ジ15フンデス

もしもーし。
ちょーっち遅くない? まだかなー??


ピー
12ガツ30ニチ ゴゴ21ジ41プンデス

あたしをこれだけ待たせるとは、いい度胸してるわね……。
まぁでも、今すぐお酒持ってきてくれるなら、別に怒ったりしないわよん。


ピー
12ガツ30ニチ ゴゴ22ジ3プンデス

がおー!!!!
酒が足りないぞおおおおお!!!!!!


ピー
12ガツ30ニチ ゴゴ23ジ17フンデス

あ〜い〜だ〜ぁぁぁぁ!!
あんた、いい加減にしなさいよっ!
人のことなんか関係無いでしょ! 嫌ならここから出て行きなさい。
エヴァや私達の事は全部忘れてもとの生活に戻りなさい! あんたみたいな気持ちで乗られるのは迷惑よ!
がおううううううおおおおおお!!!


ピー
12ガツ31ニチ ゴゼン0ジ2フンデス

相田…………ぶっ壊す


ピー
12ガツ31ニチ ゴゼン9ジ43プンデス

…………………
…………………
…………………
私だ、ネルフ司令、碇ゲンドウだ。
葛城三佐から聞いたのだが、今晩から泊り掛けで温泉旅行に行くようだな。
…………………
そこでだ。写真の腕だけは一級品という君の腕を見込んで、息子シンジと……将来義理の娘となるアスカ君の、青春真っ盛りな嬉し恥ずかしラブラブショットを可能な限り撮ってきて欲しい。
いずれ生まれてくる孫と共に見て楽しむ……ゴホン、まぁそれはどうでもいい。
…………………
とにかく君には期待している。しっかりと撮ってきてもらいたい。
見事私が満足するものを撮ってきた暁には、前々より君が欲しがってたと聞いている「ネルフ諜報部謹製ひみつ道具7点セット」を進呈しよう。
万が一写真を撮り忘れたという場合は、私の失望に対する謝罪及びネルフ司令の依頼を反故にした罰則として、それ相応のお仕置きを与えるので覚悟するように。
以上だ。


ピー
12ガツ31ニチ ゴゴ18ジ57フンデス

あ、もしもし、シンジです。
何回も携帯にかけてるけど、全然出ないからこっちにかけました。
駅に18時に集合なのに、どうして来ないの? みんなずっと待ってるんだけど……。
……え? もうこれ以上待ってたら、宿に着くのが遅くなるから行っちゃう?
うん、うん。…でも………あ、そうかも……うん、分かった。

ごめん、ケンスケ。せっかくケンスケが企画してくれたんだけど、もう時間が無いんで僕らだけで行っちゃうね。
……あ、うん。ごめんアスカ、すぐ行くよ。
アスカが呼んでるから切るね。それじゃ!


ピー
1ガツ2カ ゴゴ14ジ06プンデス

明けましておめでとう。赤木リツコよ。
あなた、シンジ君達と温泉旅行に行かなかったのね。どうして行かなかったかは、興味無いから詮索しないけど。
という事で、あなた今暇でしょ?
新年会と称した「相田ケンスケ弄繰り回し大会」をマヤと共に催してあげるから、30分以内に私の研究所に来なさい。
ちょっとでも遅れたら……分かってるわよね?


ピー
1ガツ2カ ゴゴ14ジ41プンデス

赤木です。
とっくに30分過ぎてるんだけど?


ピー
1ガツ2カ ゴゴ17ジ11プンデス

赤木。
私の誘いを無視、ね。ネルフ技術部部長の私も舐められたものだわ。
あなたの気持ちは良く分かりました。
週明けを楽しみにしていなさいな。とびっきり強烈で危険で、ソレでナニな薬を使って人体実験してあげるから。
ふふふ。


ピー
メッセージノ再生ヲオワリマス



「…………………」

 震える手でテレビのスイッチを入れて、日付を確認するケンスケ。

「…………2007年1月2日の21時過ぎ……。俺は丸々3日間以上も眠りこけてたというのか? その前に連続徹夜で撮り溜めた写真を整理して「2006年美少女コレクション・冬」を作ってたのが災いしたのか? …………ありえない、ありえないでありますぞ…………」

 顔面蒼白なままブツブツと独り言を呟き、ヨロヨロとベッドに潜り込む。
 あーもーこれは、誰がどう見てもかなりの精神的ダメージを負ってますね! いやーんな感じですね、閣下!

「……激写に次ぐ激写の予定だった温泉を寝過ごして行けないばかりか、ミサトさんにはぶっ壊され、碇司令にはお仕置きされ、赤木博士には人体実験されるってのか?」

「…………………」

「き、きっとこれもまた夢だったとか、二次小説だったとか、妄想だったとか、そういうオチだよな、きっと。うん、絶対にそうに決まってるさ!」

「…………………」

「…………あー、早く目が覚めないかな……」


「…………………」


「…………中尉殿…………目が覚めないでありますぞ……」



「…………………」



「…………うううっ、ぐすっ……うう…………」



「…………………」



「…………現実は知らないところに、夢は現実の中に…………で、あります………」


 無理矢理エヴァっぽい台詞が出たところで終わります。
 はい、お疲れさまでした。





 頑張れケンスケ!!
 負けるなケンスケ!!
 そのうちきっと、いい事があるさ!
 ……多分ね。







えびです。最後まで読んでくださってありがとうございました。
って事で超久々(実に6年半ぶりぐらい;)に頑ケンの新作書いてみました。
タイトル通り、ネタとオチがもうズルい手を使いまくってて、しかも滅茶苦茶ですね(;´Д`)
あーもーいろいろすいませんすいません。
ちょっと悪ふざけし過ぎ(2chネタとか)てる感がしますが、まぁ久々って事で勘弁してください;

感想なんかありましたらえびまでお願いします。
単純ですので、感想もらえるとかなりやる気メーターがアップします。

同人の方も含め、ここ数作はシリアスとかひねくれたのしか書いてないので、すっごく王道系なLASが書きたい!
って事で、次回作は学園エヴァな王道系LASな短編になるかと思います。
無事公開できましたら、懲りずにまた読んでくださると幸いです。


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