「ねぇアスカ、買い物に行くけど何か欲しいものある?」

 リビングでボーっとしてたあたしに、そんなシンジの声が聞こえてきた。

「買い物?」
「うん。晩ご飯の材料とかミサトさんのビールとか買いに行くんだけど」

 なんだ、普段と変わらないじゃない。
 とは言っても、特に欲しいものなんて無いし……
 まぁ、いまは暇だから、何か暇つぶしになるものでも買ってきてもらおうかな?

「アスカ? なにかある?」
「んー、暇つぶしになるもの」

 玄関の方に向き直ってそう言うと、そこには苦笑したようなシンジの顔。

「そんなに暇なら、一緒に買い物に行く?」
「え?」

 突然の、シンジの提案。
 普段だったら『じゃぁ、なにか買ってくるよ』とかって行っちゃうのに、珍しいわねぇ。
 ……よし!

「わかったわ。このあたしが特別につきあってあげようじゃないの!」
「あ、あの……アスカ?」
「ただし! このあたしがついていく以上、無様な買い物は許さないからね!」
「……買い物に、無様もなにもないと思うんだけど」
「なんかいった!?」


夏コミ直前! 突発思いつきSS


欲しいものはなんですか?

Written by JG



 というわけで、あたしとシンジは商店街にやってきていた。
 あたしも時々は来るけど、よるのはせいぜい本屋くらいだから、詳しいことはほとんど知らない。
 けど、こうやって見回してみると、結構色々な店があるのねぇ……

「んで、どこで買い物するの?」
「う〜んと、とりあえずスーパーを見て回って、そのあと酒屋でビールを頼むくらいかな」
「なんだ、大したことないのね」

 正直言って、ちょっとがっかり。
 シンジって、魚屋とか肉屋とか、そ〜ゆ〜ところを一軒一軒じっくり見て回るタイプだと思ってたんだけど。

「じゃあ、さっさと行くわよ!」
「あ、うん。でも……アスカ?」
「なによ?」
「スーパー、そっちじゃなくてこっちだよ?」
「…………」
「…………」
「う、うるさいわね! わかってんならさっさと行く!」







「今日は魚が安いなぁ。あ、でも冷蔵庫にたしか――」
「…………」
「う〜ん、でもこっちの方が量も多いし……ねぇ、アスカはなにが食べたい?」
「……つまんない」
「アスカ?」
「あぁ、もぉっ! いったい、たかが買い物に何時間かけるつもりなのよ! あんたは!!」
「え? でも、まだ来たばっかり……」
「どこがよっ!」

 そうシンジに言ってやると、あたしは、自分の腕時計を思いっきりシンジに突きつけてやった。
 【4:48】
 その表示は、シンジにもはっきりと見えているだろう。
 ちなみに、スーパーに入ったのは確か4時半ごろだったはず。

「まだそんなにたってないじゃないか」
「あんたバカぁ? もう20分近くたってるじゃないの!」
「え、でもそれくらい――」
「を? シンジ君、今日は彼女連れかい?」

 シンジと言い争っていると、ふいに、後ろから呼びかけられた。
 振り返ってみると、この店の制服を着た若い男の人が一人。
 どうやら、シンジの顔なじみってとこらしいけど……

「あたしはこいつの彼女なんかじゃないっ!」
「あ、そうなんだ」

 とりあえずそう言ってやると、そいつは意外にあっさり“シンジの彼女説”を撤回してくれた。
 ま、今のシンジじゃこのあたしには釣り合わないもんねぇ。
 ……なんて考えていたら

「ぢゃぁ、やっぱりこの前連れてた娘の方が彼女なんだ」
「この前……連れてた娘!?」
「そうそう。色白で、ショートカットの可愛い娘だったっけ」

 色白。ショートカット。
 ……間違いなくあの女ね。それ以外に考えられないわ!

「……さぁて、シンジ。どういうことか説明してもらいましょうか」
「え、あの、えっと……」
「はっきりしなさいっ!」
「こ、この前たまたまここで会ったんだよ。それで一緒に買い物を――」
「言い訳なんか聞きたくないわっ!」
「そ、そんな……『説明しろ』って言ったのはアスカじゃないか!」
「問答無用っ!!」

ドガッ!

「で、結局どっちが本命なんだい?」

 倒れ伏してピクピク痙攣しているシンジにそう問いかける店員を後目に、あたしはスタスタとその場を立ち去るのだった。







「そもそも、なんであたしが怒らなくちゃいけないのよ」

 あれから数分後、ちょっとだけ冷静になったあたしは、その事ばかりを考えていた。
 別に、シンジが誰といたってあたしには関係ない。
 はずなのに、なぜかああなってしまった。

「せやなぁ。ワイが思うに、シンジがニブちんだからやろ」
「アスカも素直じゃないから」
「誰が素直じゃないって!?……って、ヒカリ!」

 いつからいたのかしら?
 ふと気付くと、あたしの横には買い物袋を下げたヒカリが立っていた。
 それと、おまけが約1名。

「誰がおまけやねん!」
「あんたに決まってるでしょ、鈴原。で、なんでヒカリがここにいるの?」
「そりゃぁ、私だって買い物くらい来るわよ」
「そ、それもそうね……」

 そういえば、ヒカリっていつもお弁当自分で作ってたっけ。

「それはそうと、いいの? 碇君放っておいて」
「なんであたしがシンジと一緒にいなきゃいけないのよ!?」
「え? で、でも……碇君、アスカが殴り倒してからまだ起きてこないけど……」
「ヒカリ……見てたの?」
「だ、だって、あれだけ大きな声で言い合ってたから――」
「いいのよ、あいつは。自業自得なんだから」

 そう、自業自得だ。でも、何が自業自得なんだろうか?
 あたしが、あいつを殴った理由って……

「んなこと言うとったかて、ホンマはシンジのことが気になっとるんやろが?」
「あんたは黙ってなさい!」
「なんやとぉ!?」

 あぁだこうだとわめいている鈴原の手にも、やはり買い物袋。
 そういえば、こいつはなんでここにいるのかしら?
 とてもじゃないけど、料理って柄とは思えないし。

「で、あんたはなんでここにいるのよ?」
「ワシか? いいんちょの荷物持ちや」
「……なんで?」
「いやな、ワイが今日は誰も家におらんのを言ったら、いいんちょがメシを――」
「わあああああっ! そ、それじゃアスカ、私達はもう行くから!」
「へ? ちょ、ちょっとヒカリ!」
「それじゃ、碇君と仲良くね〜」

 ひきつった笑顔でそれだけ言うと、ヒカリは鈴原を引きずりながら行ってしまった。
 ヒカリ……意外にパワフル……







「あ、あれ? アスカ?」
「遅いわよ、このバカシンジ!」

 ようやくここに訪れたシンジに、あたしはまず文句をぶつけてやった。
 あれから、30分以上もスーパーの出口で待っててやったんだから、それくらい当然でしょ?

「待っててくれたんだ。てっきり、もう帰ったと思ってたのに」
「家の鍵、今日は持ってなかったからよ」
「あ、そうなんだ……」

 シンジの、ちょっとがっかりしたような声。
 まったく、何を期待してたのやら……

「さ、もう買い物終わったんでしょ? さっさと帰るわよ!」
「あ、うん……でもさ」
「なに、まだなんか買い残しがあるわけ?」
「そういうわけじゃ、ないんだけど……結局、アスカは何も買わなかったから、それでいいのかなぁって」
「いいのよ。暇つぶしで来ただけなんだから」

 それだけ言うと、あたしはシンジをおいてさっさと歩き出した。

「ちょ……待ってよアスカ!」

 案の定、情けない声を上げてシンジが追ってくる。
 でも、シンジに追いつかれるのもなんか悔しいから、あたしは急に走り出してやった。

「ほら、早く来なさいよっ!」
「そんなこと言っても、荷物が重いんだから……」

 あたしとシンジの、奇妙な追いかけっこ。
 それがなんだかおかしくて、あたしは、いつまでもシンジから逃げ続けた。

 ず〜っと、こんな楽しい日が続けばいいのに。
 ヒカリや、ミサトや……そして、シンジと一緒に。

「ね、シンジっ!」


 ……すんません、まとまってねぇですm(_ _)m
 うぅ、夏コミ原稿以来、久々にEvaSS書いたと思ったらこのありさま……読者のみなさまには申し訳なく思うばかりです。
 そもそも読者なんかいねぇんぢゃねぇか? という声は、この際完全に無視します(笑)

 というわけで、いかがなもんだったでしょうか?
 ホントは、もっと書けることあったんだけど、力不足で書ききれませんでした……
 #たとえば、ラストのアスカはちゃんと家の鍵を持っていたこととか(^^;
 今回はこんなんですが、夏コミの同人本では、もっとクオリティー高い作品が勢揃いしておりますので、是非是非買ってやってくださいな♪

 って、結局宣伝して終わりかよ……あぅ〜(T-T)




おおお、Gehenに久々にSSの投稿が!(汗
って事でJG君が送ってくれた「欲しいものはなんですか?」でした〜。学校バイトと忙しいのにJG君Thanx!

今回もJG君お得意のSS形式(過去の彼の投稿作品を参照なさってください)かなーと思いきや、アスカ視点のスタイルで来たね(w
勝ち気で素直になれないアスカにニブニブシンジ。今更だけどやっぱLASはいいよねー。
スーパーの店員さんから「色白で、ショートカットの可愛い娘」の話(もちろんレイの事)が出た所なんて最高やね。アスカってば問答無用でパンチ(キック?)かましてるし(w
SSタイトルの「欲しいものはなんですか?」とは、「アスカが想う、みんな(特にシンジ)と過ごせる楽しい日々」かな、きっと。
…しかしヒカリはやりますな。トウジの家に押しかけ女房とは…。←違う

作者のJGさんに是非ご感想を!
そしてJGさんのページはこちらです!
 「JG's EVANGELION Page!!」

投稿本当にありがとうねJG君。
いやー投稿SS全然来なくてGehen存続の危機だったよ!(滝汗

JG君の後書きにもありますが、この夏のコミケでGehen同人誌出します! しかも2冊! もちろんどちらも思いっきりLAS!
スタッフ一同が睡眠時間&命&魂削って作った自信作です。宜しかったら是非是非読んでやってくださいませー。
もちろん通信販売も行います。詳しくは機密書類保管庫にて!



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