勝負師(?)伝説……
その日、四人がひとつのテーブルを囲んでいた。
そう、麻雀である。
アスカ、シンジ、ミサト、そしてなぜか冬月。
「さーて、始めましょうか。」
配牌、それが終わると一同の表情が真剣になる。
ちなみにシンジは初心者、アスカはまあ普通だがミサトと冬月はかなり強いのである。
しかし、四人ともなかなか来ないらしく、リーチすらない。
結局流れ、シンジ一人がテンパイと言う予期せぬ形で終了した。
「くそ! つぎはきめるわよ!」
アスカが燃える。
ロンアガリしたら振りこんだ相手に罰としてじぶんが好きなことを命令して良いと言う設定からだ。
四人ともかなり酒が入っている事をここに明記しておく。
「ツモ!」
アスカが叫んだ。
「えーと、タンヤオ、ドラ6で……それから……16300点。さ、みんなちょーだい。」
「何でこんな時に親を……」
「むうーーーーー」
「ふむ……」
ツモでは罰は与えられない。
アスカは燃えつづける。
「ツモ! えーと、ドラ2だから……12000点。」
「うああ……」
「むうーーーーーー」
「むむ……」
シンジに罰と言ってあんな事やこんな事……
それがアスカを燃やしていた。
「ロン! ドラ1で、2900点。」
こんどはミサト。
罰の時間である。
「じゃあ〜。シンちゃん、アスカとキス!」
「ええーーー!」
「これは罰よ。でも、ほっぺたでいいにしてあげるわよん。」
ミサトはどうやらその反応を面白がっているようだ。
「アスカ〜……」
「あら、あたしは構わないわよ。」
「ほら、キース、キース!」(キスコール)
「うう……でも……」
シンジはまだ戸惑っている。
だがしかし。
「シンジ。ん。」
アスカが頬をシンジのほうに突き出す。
シンジ、撃沈。
「ア、アスカ……」
「ん……」
シンジはそっとアスカの頬に自分の唇をつけた。
「わーーーーー!」
パチパチと手を叩くミサト。
シンジは真っ赤。
「さ、次。」
そして麻雀再開。
しかし今回も中々来ないのかアスカとミサトのテンパイで終わった。
そして次。
「はい、アガリ。3900。」
ミサトが冬月のすてた伍萬でロン。
「さてと。じゃあ給料上げて。」
「仕方ない……」
いいのか?
良いってことにしておこう。
次。
ここで冬月が仕返しに来た。
「ロン。自風、ドラ3。8600だ。命令。さっきの増給を取り消せ。」
「はい……」
やっぱり冬月が上手か。
そしてつぎはミサトがツモアガリ。
たった1100点だ、問題は無かろう。
そして問題は次だった。
「ロン! ええと、これが混一色だから……6800点。」
そう、シンジが上がったのだ。
しかも振りこんだのはアスカ。
そして……
「じゃあ、あの……キ、キス……させてくれる?」
「な!」
驚くアスカ。
当然である。シンジがそんな事言うとは思っても見なかったから。
しかし、ここで逃げるのも性にあわない。
そっと、目を閉じた。
「じゃ、じゃあ……」
シンジが顔を近づける。そして、わずかに、ほんの一瞬だけ、唇が触れた。
どうやらシンジ、アルコールのせいでストッパーが働かなくなったようだ。
つぎは流れで冬月のテンパイ。
そして次はミサトの三色同順、振りこんだのは冬月。
「増給。」
「むむ……」
冬月の額に汗が流れる。
そして、次。
「ロン! わっるいわねーシンちゃん。平和、リーチ、一発ドラ1、12000点。
じゃあ命令ね、アスカとキス! 十秒間。」
「「ええーーーーー!」」
ユニゾンで叫ぶ二人。
アスカにしてみればアレな命令である。
まあ、この二人は両思いなのだが……アスカはシンジの気持ちに気付いている、が、踏み出せない。
シンジは完全に片思いと信じ込んでいる。
損な関係。
「さ、はやく。」
「じゃ……アスカ……」
「し、仕方ないわね!」
「アス……ん……」
「んん……」
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。
そしてゆっくりと離れる二人。
「つ、次やろうか……」
「う、うん……」
お互い真っ赤である。
そして次はミサトがアスカに振りこみ、ビール削減を命令される。
滝のような涙を流すミサト。
致し方ない事だ。
そして次も同じくアスカに振りこみ、料理を覚える事、ただし味見は碇司令にさせる事を命令。
けっきょく、アスカ1位、ミサト2位、冬月3位、シンジがビリだった。
ここで究極の設定が発動した。
1位の人は、2位の人に一つ、3位の人に二つ、ビリの人に三つ命令できる。
「ミサト! 部屋の掃除、自分でやる事。副指令! 増給、あと自由をちょうだい。さあ……シンジ!
あたしと出かけた時は全部シンジのおごり。それから、これから一周間晩御飯にハンバーグ。
最後は……後で部屋に来て、その時言うから。」
「う……うん。」
「ちょっと待ちなさいよ! もう一回やるわよ!」
ミサトが挑戦状をわたす。
「のぞむところよ!」
こうして2回戦が始まった。
「リーチ!」
最初にリーチになったのはシンジだった。
そして3順後。
「ツモ! 七対子、それから……10600点。」
「くっ!」
「やってくれるわね!」
「む……」
命令はなし、次をはじめる。
「ロン。三色同順、8300点だ。アスカ君、増給はなしだ。」
「ぬぬーーー!」
見事に振りこんでしまったアスカ、その背中に焔が見える。
そして次、シンジのツモ。
たった1100だ、関係はない。
つぎ。
「ロン! 七対子! 9000。」
アスカが冬月に反撃。
「増給。」
「ぬお……」
こちらも激しい戦いだ。
そして次は流れでシンジがテンパイ。
次も流れ、シンジとアスカのテンパイだった。
シンジが力をつけてきたのか。
次に上がったのは冬月だった。
一気通貫のドラ2。
幸か不幸か、ツモアガリだった。
そして。つぎ。
「ロン。 悪いわねミサト、3900、ずぼらなカッコであたし達の前に出ない事。」
「い、いいわよザンクくらい……ふん。」
「あ、間違えた。4900。」
「……ふん。」
つぎ、上がったのはアスカ。
「ロン! 七対子……ドラ2……あとこれで、13300点。」
「ぬぬ……」
振りこんだのは冬月だった。
「本部の中でビール飲んだら罰金って言う規則作って。」
ミサトはただ涙を流しつづけていた。
つぎは流れてシンジと冬月のテンパイ。
次はアスカのツモアガリで7100点だった。
そして次、アスカがミサトに振りこんでしまった。
「3200……アスカ、コマネチ。」
「……え……い、いやよぉーーー!」
「命令よ、ア・ス・カ。」
「ああーーーーー!」
近くにあったビールを一気に飲み干すアスカ。
実はシンジの飲みかけだったりする。
「こ、コマネチ! こ、これでいいでしょう!」
耳まで真っ赤なアスカ、ミサトは大爆笑。
シンジはくっくっくっと声を殺しながら笑い、冬月までもが笑いをこらえている。
『みてなさいよお! し返しは必ず!』
更に燃えるアスカ。
しかし、もう終わりである。
「じゃあ僕が一位だね。ミサトさん。家にはまっすぐ帰ってくる事。家を留守にする時は、戸締り。
おつまみは一品で我慢する事。副指令……僕も増給。あと父さんの性格を何とかしてください。
それからアスカ……は、あとで。」
こうして麻雀は終了した。
今、午後八時半である。
●
十一時。
ミサトはビールの飲み過ぎで寝てしまっている。
アスカはシンジの部屋にいた。。
「「…………」」
お互い黙ったままだ。
酔いがさめたせいで、先程自分達のしていた事を冷静に判断できるようになってしまったのだ。
やがて、同時に口を開いた。
「あの、アスカ」
「ねえ、シンジ」
「「…………」」
『『気まずいなあ(わね)……』』
再び黙り込んでしまう二人。
しかし、やっと、シンジが話し出した。
「あのさ……アスカ……あの、何なの……ほら、最後の……」
「シ、シンジこそ……」
「「…………」」
「じゃ、じゃあ……一緒に言おうか。」
「うん……」
「「いっせーのーで、」」
「僕と付き合って!」
「…………」
アスカの方は何も言わない。
シンジもしばらくぼーっとしている。
やがて、
「ず、ずるいよ! 一緒に言うって言ったのに!」
顔を真っ赤にしてシンジ、だがアスカは俯いて何も答えない。
それを見て、シンジは『振られた』と確信した。
「ご、ごめん……いやだよね……今のは別に、無視していいか「シンジ!」
シンジの言葉をさえぎるアスカ。
ゆっくりと顔を上げると、最高の笑顔を見せ、口を開いた。
「あたしの最後の命令よ……あたしの苗字を『碇』にして。」
fin.
先日相互リンクさせていただいた「EVANGELION THE NOVEL」のマンガンさんが早速SSを投稿してくださいました!
すっげぇ嬉しい! どうもありがとうございますマンガンさん!
さてさてワクワクしながらお話を読んでみますと……。わはは、最高! 面白い!
シンジ、アスカ、ミサト、そして冬月(!)の4人打ち麻雀! しかも打ち込みをしたら相手の言う事を何でも聞かなければならない!
いやもうこの設定ナイスすぎですな。冬月とミサトの「給料増減」のやりとりで爆笑してしまいました(w
そしてそして忘れちゃならないのがシンジ君とアスカさんのLAS。
ミサトの意地悪で「キスをしろ」や、お酒の力を借りてシンジが「キスしてもいい?」なんて言っちゃうシーンもたまりませんが、極めつけはやっぱラストシーンでしょう。
告白したシンジに対し、アスカが言った言葉はなんと「あたしの名字を碇にして」…。
ぬはー、言いますなアスカさん! えびはもうドキドキWooHooでLAS万歳って感じデスヨ!! ←馬鹿
作者のマンガンさんに是非ご感想を!
素晴らしい作品を本当にどうもありがとうございましたマンガンさん。めっちゃ面白かったっすよ〜。
この作品を読んでたら無性に麻雀やりたくなってきました。どなたか今度東風で打ち合いませんか?(w
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