いつものコンフォートの一室、いつもの夜

突然、彼女は言った


「はい」

・・・はい?






48


By:メラミ





「な、なに?アスカ?」

「だから、これあげる」


このアスカの突拍子のない行動・・・白い腕から突き出されたペンダント
これはどう言う意味と受けとれば・・・


「く、くれるの」

「うん」

「あ、ありがとう」

「返事、適当にしないでね」

「・・・えっと、返事って」

「自分で考えなさい」

「???」


いつもながら、アスカの行動は理解できないことが多い

これってアレ、プレゼントってやつですか?何で11月の今?

ってか返事?・・・あぁそうゆうことか、やっと理解できたよ

来月のアスカの誕生日プレゼントのことか、やっぱり今年も3倍返しかな?いや、アスカからプレセント貰ったから・・・5倍返しかな?


「来月のアスカの誕生日プレゼントはどんなのがいい?」

「・・・ハァ?まぁ察しの悪いバカシンジだもんね、わかんないか」


む、察しが悪くて悪かったな


「“数字”の意味を考えて」

「・・・?」


さっぱりわからない

何が言いたいのか・・・とりあえず来月のプレゼントに関することではないのはわかった


「アンタ、もう大学生なのよね」

「う、うん」

「人生について考えないといけないよね」

「そう・・・だけど」


頭の周りに?がいっぱいだ


「今はまだわからなくても、わかったら真剣に考えて」

「はぁ・・・」


一瞬、ジッと僕の目を見つめて、自室へ戻っていった

アスカ、どうしたんだろ?あんなに真面目な顔をしたアスカを見たのは数年ぶりだ

自分の手の中にあるペンダント、はっきり言って派手好きなアスカらしくないものだ

茶色の木片のような物にチェーンが付いただけのもの

・・・いや、裏に数字が書いてある、


48


・・・48?48がどうかしたのかな?

先ほどのアスカの言葉もあるので深く考えてしまう





数時間後、考え過ぎて気が付けば24時

・・・ヤバい!レポート書かなきゃ!








今僕は大学2年生、理工学部数理情報科に通っている

・・・実はこの大学自体、元々ネルフだったりする


ネルフはサードインパクトの後、人々が還ってきた後にやはり解体されてしまった

でも、父さんや副指令が尽力してネルフを新たな大学に再建した

まぁ、ほぼ当然の成り行きで理工学部しかないわけで

ちなみに、僕の通っている学科の教授は日向さんだ

助教授も大体元オペレーターの人達だし、比較的楽しく大学を過ごせてる

アスカは・・・実は生命科学学科の助教授をやってる

赤木リツコ“博士”の推薦でね


でも、アスカ最近忙しくて・・・たまにしか一緒にご飯を食べれないよ

・・・へ?大学生にもなってまだ一緒に暮らしているのかって?

まぁ、まだ一緒に暮らしているんだ・・・それに、うん・・・えっと、アスカのことが好きだしさ

・・・たまに信頼されているのか、男として見られていないだけなのか、かなり悩むんだけど








「・・・シンジくん、聞いているかい?」

ハッ!しまった!

「遅刻した上にレポートが不十分、それでいて講義を聞いていないとはね・・・」

「ス、スイマセン・・・」


・・・この後、罰として日向教授の研究室へ雑用に行くことになった

新しいパソコンを導入するからそのセッティングを手伝え、だそうだ・・・面倒くさい








「ただいまー・・・って今日は誰もいないか」


結局帰宅したのは夜中

アスカは今日は研究室泊まりだそうだ



シャワーに入り、買い置きしてあるカップ麺を食べながら、ふと昨日もらったペンダントに目を落とした

(“数字”の意味を考えて)

・・・数字に意味ってあるのかなぁ?

ボリボリと頭を掻いて、昨日と同じように紙とペンを取り出して考え始めた


昨日は確か、48自体が暗号か何かかと思って調べたんだよな

でも・・・結局意味はわからないや

そうだ、今日は数学的に動かしてみるか

まずは・・・素因数分解でもしてみるか

素因数分解とはある数字を素数の因数に分解することを意味する

例えば自然数6を、

6=2×3

のような形にすることだ

あ、自然数っていうのは整数で、かつ正の数字のことね

48=22×3

・・・?

分解したけど・・・何もわからないぞ?

待て待て、まだ終わった訳じゃない

出てくる数字は2と3と4の3つ

並べると・・・234か

よし、今度は234を素因数分解してみよう

234=2×32×13

一つわかった

はっきり言って無駄な計算だった

全く情報が出てこない・・・


むぅ、48にはどんな意味があるって言うんだ?







「あ、麺伸びちゃった・・・」








去年の11月から半年後・・・恥ずかしながらまだわからない

アスカからも何もこのことについては言われない、あ、ちなみに去年のアスカへの誕生日プレゼントは髪留めを買ってあげた

ヘッドセットが無くなってからは髪を留めてなかったからね



大学の図書館で独り、自然数48と格闘中

約数を考えてみようかなぁ?

約数とはある整数を割り切ることのできる整数のことだ

例えば12の約数は1、2、3、4、6、12の6つだ

48を割り切る数字は

2、3、4、6、8、12、16、24、48の9個

さて、ここからどうするか・・・えぇい!全部足してしまえ!

2+3+4+6+8+12+16+24+48=115

・・・また詰んだ

ん〜・・・どうしよう



「せ〜んぱい!なにやってるんですかぁ?」

ぅわぁぁぁ、びっくりしたなぁ

後ろには・・・あぁやっぱり、管弦楽サークルの後輩のミチルさんだ

「急に驚かさないでよ、それにここは図書館なんだからさぁ・・・」

「へっへっへ、すいませんねぇ」

ぷぅっと頬を膨らませてるよ・・・何を見てるの?

「先輩、これって?」

紙の横に置いてあるアスカからペンダントを指さしながら言った

「あぁ、ちょっとね・・・まぁ、何と言うか・・・」

「これ、誰からもらったんですか?」

ニヤニヤしながらこっちを見るなぁぁぁ!

「やっぱり惣流助教授からですかね?おぉ!そのペンダントに何か書いてあるのか!」

やけにハイテンションだなぁ・・・いやいや、なんでアスカからもらったってわかったんだ?

「アスカからもらったんだ」

「おぉぉぉ!呼び捨てとは・・・やはり噂は本当なんですかね?」

「う、噂ぁ!?」

「先輩と惣流助教授が同棲しているって噂ですよぉ〜、むふふ、モテモテっすね、先輩」

・・・そんな噂知らなかった

てかなんでバレたんだ!?同棲じゃなくて同居だけど・・・

「その顔は事実なんですねっ!へぇ〜先輩もやるじゃないっスか」

「・・・同棲じゃなくて同居だけどね」

「それって同じことですよ!で、これをもらったんですか・・・ふむふむ、48ですか」

今度は紙を見ながら話しかけてくる

まったく・・・忙しい娘だ

「・・・もらう時何か言われましたか?」

「えっと・・・返事がどうのって言われたけど・・・?」

うわっ!ミチルさんいつの間にか真面目な顔になってる!

「どんなことをやってるんですか?」

「あぁ・・・約数を出して、全部足したんだけど・・・」

「先輩、まず、48の約数ミスってますよ」

「あれ?あぁ!」

あぁ!1を書き忘れている!

「でも、答には1は必要ないですね」

・・・答にいらないって?どういう意味だ?

いやいや!答え知ってるのか!?

「ミチルさん、答え知ってるの!?」

「へへへ、知ってます〜キチンと返事しなきゃですよ!・・・じゃ私バイト行ってきまぁす!」

ピッとおどけた敬礼をして出て行こうとした

ところが、出口付近でくるりとこっちに振り向いて叫んだ

「自己主張ばかりしてたらダメですよぉ!相手のことも考えて!」

図書館では静かに!と司書の人に怒られ、ペロッと舌を出して図書館を出て行った

・・・自己主張?

?ばかりだ・・・いや、“自己主張”!?



はっと、思った

まず、“自己主張”―――― 足すときに、48自身を除いてみる・・・

2+3+4+6+8+12+16+24=75

そして、“相手のことを考えて”―――― 75も同じ操作をしてみる

75を割りきる数字は・・・1、3、5、15、25、75

そして、1と自分自身、75を除いて足してみる

3+5+15+25=48

・・・答え、発見








「48と75・・・一般にこの2数の関係を“婚約数”と言うわ」

「・・・こ、婚約!?」

あの・・・婚約て・・・あの〜リツコさ、赤木教授?

「どうしたの、シンジくん?急に私の研究室に来るなんて・・・アスカに会いに来たのなら、今カフェテリアに行っているんじゃないかしら?」

「え、あ、い、いいいいいや!アスカに会いに来たんじゃなくって・・・」

アスカに関わりあるのは確かだけど・・・

「ふふ、あなた顔が真っ赤よ?大学生にもなって、まだ初心なのね」

・・・顔がかなり熱い、茹でダコみたいになっているんじゃないかなぁ

「・・・この数字はそのペンダントでしょ?」

「ふぇ?あ、ああぁ!はい、そうですが・・・」

「まぁ・・・あの子がやることだもの、大体想像はつくわ・・・返事はどうするの?」

「・・・」

いくらなんでも話が飛びすぎている・・・結婚って、まだ付きあってもないんだよ?

そりゃもう何年も一緒に暮らしているけど・・・あれ?ってことはアスカも僕のことが好きってことなのか?

いや・・・まさかそんな・・・?えぇぇ!!もう頭がぐ〜るぐる・・・

「すぐに答えを、じゃなくてもいいんじゃないの?まずは付きあってから、ってね・・・あなたには直球に聞いたほうが良さそうね・・・好きでしょ、アスカが?」

「えぇ!!えっとぉ・・・」

何でわかったんだ!?

・・・そんなに僕ってわかりやすいのか

「“なんでわかったのだ!?”って顔をしているわよ?あなた、最近感情が顔に出やすいもの」

「あ・・・うぅ」

・・・言葉が出ない

「あなたのことだから、適当に答えを出したりはしないと思うけど・・・同情はしないで」

「そんなことは、絶対にしません」

「そう・・・」

リツコさんはにこりと笑った

「あらいけない・・・明日、他の大学さんと共同研究するんだったわ、準備しないと・・・また今度ね、シンジくん」

「あ、すいません、ありがとうございました」








一人、帰路に就く

帰りの電車、周りの音が聞こえなくなるくらい、考えた

自分はどうするべきか

何をするべきか

答をどうするか


結果・・・



「・・・あぁ!!」

降りる駅を通り過ぎてしまった








数年後・・・

アスカ、返事は75でいい?








サードインパクトがすでに遠い昔になった、ある日、ある大学の、午後の研究室

「お久しぶりです、先生」

「あぁ、君は・・・卒業以来だね、どうしたの?」

「あの・・・実は今付き合っている彼氏から数字が書いてあるこんなペンダントをもらって・・・」

「どれ・・・140か・・・」

「“答えはいつでもいい”って・・・全くわからなくて」

「実はね、これはちょっとした暗号文だよ」

「暗号・・・ですか?」

「うん、この数字の1以外の約数を足すとわかるよ」

「1以外の約数を・・・足すんですか?」

「そう、ただ少しポイントがある」

「ポイント?」

もうじき28になる女性は不思議そうな顔で、その“先生”に聞いた








「“自己主張”ばかりじゃなく、“相手のことを考えて”だよ」

その“先生”と呼ばれる助教授の首からは、いつも48と書かれた木のペンダントが下げてあった




Fin



どうもメラミです、初投稿をさせていただきました
僕の他のssを読んだことのある方ならわかるかもしれませんが・・・えぇ、数学ネタが多くてすいません(泣
自分、文才がないので別のものに頼らないと書けないです(号泣

文章作成能力向上にを日々努めます!
もし感想なんて頂けたら・・・なんて(汗

では、またお会いできたら!


メラミさんに初投稿していただきました「48」を公開させていただきました〜。
どうもありがとうございます、メラミさんっ!

作品タイトルとして珍しい数字だけの「48」というのを見て、てっきり某アイドルグループに関係する内容なのかな?と思ってしまったのですが、全然違いいましたです。短絡的でスイマセン;
「48」、「婚約数」…。むむむ? 不勉強なえびは思わずWikiで調べてしまいました。

(以下ウィキペディアから引用)
婚約数(こんやくすう)とは、異なる2つの自然数の組で、1と自分自身を除いた約数の和が、互いに他方と等しくなるような数をいう。準友愛数とも呼ばれる。
一番小さな婚約数の組は(48, 75)である。


なるほどなるほど。そういう意味があったのですね。
いやーこれは構成的に素晴らしいなぁ。
最初はアスカからペンダントを受け取ったシンジと同じく「??」だったのですが、最終的には「おおお!」ってな感じでしたw
ラストのシンジの「アスカ、返事は75でいい?」ってセリフもとてもいいですね。
「75と48は婚約数の組」……うーん、本当にお見事でした!

作者のメラミさんに作品のご感想をっ!
感想は作家の元気の源、是非お願い致します。

素晴らしい作品を投稿してくださり、ありがとうございました。非常に楽しませていただきました。
メラミさん、次回作も楽しみにしておりますっ!



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