ネルフ地下深く・・・・・そう、ヘブンズドアのすぐ近く・・・・
ゲンドウ他、数少ない人数しか知らない場所・・・・一人の男が作業していた。
「おかしいぞ?」
何がおかしいのか、その男はほとんど機能していない部屋の中で唯一動いているMAGIに繋がる端末に何かを打ち込み始めた。
その端末は男専用で、MAGIに接続されているのを知っているのは現MAGIの管理者である赤木リツコ博士と、ゲンドウ、そして男の妻だけだ。
左手の薬指にはまっている指輪が男が手を動かす度にキラキラと光っていた。
世界復興の要として機能し始めたネルフにおいて、唯一、前使徒との戦いの記憶の残している場所。
「こ、こりゃ!」
男はバン!と扉を開けると全速力で走り出した・・・・
Dream to Eva2
byもきゅう
第1話 再び・・・
今日の授業もすべて終わり、掃除が無いアスカは、同じく今日は掃除が無いシンジの腕にしがみつきながら話しかける。
「ねえ、シンジ。今日の帰り買い物に付き合って〜お願い♪」
今まで緊張の連続だった反動だろうか、誰にも止められない程シンジに甘えるアスカ。
使徒との戦いが終わり、その上母親が帰って来た事でアスカの隠れていた本来の性格が表に素直に出てくる様になっていた。
自分の好きなモノ、そして信頼出来るものにはとことんまで甘える・・・と、いっても頼るわけでは無く、言葉通り子猫が母親に甘える様になっていた。
今アスカの喉元を撫でたら、喉をごろごろと鳴らす事だろう。
その位甘えていた。
シンジもそんなアスカに甘えられ嬉しくてしょうがないのだ。
両親達にからかわれて、顔を真っ赤にし恥ずかしがるが、次の日にはそんな事もすっかり忘れ、毎日アスカと手を繋いで学校へ通っていた。
そんなシンジだ。勿論アスカの誘いを断る訳が無い。
「勿論、良いよ。だけど、何か買うの?」
でも、主夫歴2年・・・すっかり染みついた主夫魂はアスカの無駄な買い物を許さない。
ちゃんと重要な部分ではシンジがしっかりとアスカの手綱を引いていた。だが普段はそんなシンジなのでしっかりアスカに手綱を引かれている。
こんな二人だからこそ巧く行くのだろう。
「ううん、何も買わないわよ」
「えっ?だって買い物に付き合って欲しいんでしょ?」
「そうよ、ウインドゥショッピングにね。今日はちょっとシンジと町を歩いてみたくなったの」
何て事はない。
アスカはシンジと帰り道にデートがしたくなっただけだった。
「そうなの?だけどな〜、アスカがウインドゥショッピングした次の日曜日ってどういう訳か荷物持ちになるんだよね。どうしてかな?」
「もう!そんな野暮な事言わないでよ」
頬を膨らませぷいっと横を向いてしまうアスカ
勿論、二人とも本気で言っているわけ無い。
素直に相手に気持ちを伝えられる事が嬉しいのだ。
「ははは、ゴメンゴメン。もう言わないから機嫌直してよ」
「むー、じゃ後で・・・・・・・・あれしてくれる」
「えっ、あ、うん。勿論だよ」
ザワザワ・・・・
アスカがモジモジと顔を赤らめ言った”あれしてくれる”この言葉にクラスメート達が騒ぎ出した。
皆が納得している相思相愛の中の二人が顔を赤らめ言う言葉だ。
色々と想像するだろう・・・
「ちょ、ちょっとアスカ!まだ貴方達中学生なのよ!」
さすがに皆の騒ぎにクラスの委員長ヒカリが言い寄った。
「えっ、何、ヒカリ?」
「えっ、何?じゃないわよ。二人とも中学生らしく節度を持ったお付き合いをしなさいよ。よりにもよって”あれ”をするんですって、不潔よ。不潔だわ!」
「ちょ、ちょっとヒカリ、何言ってんのよ」
「イヤ、イヤ、聞きたくないわ。口にも出せないような事をするんでしょ」
何時か見た時の様に顔を両手で隠すと嫌々と首を横に振る。
アスカも判ったのだろう。顔を真っ赤にすると
「な、何言ってんのよ!そ、そんな事なんてしてないわよ!!あれっていうのは!・・・・!」
クラス中がアスカの言葉にダンボ状態だ。
はっと思ったアスカはヒカリの耳に口を寄せる。
「あれって言うのは・・・・・・(ぼそそ)」
「えっ、うんうん・・・・・きゃー、そうなの?良いな〜アスカ。碇君にそんな事して貰うんだ」
「うん」
顔を赤くしてモジモジとヒカリに頷く。
ヒカリとアスカが話をしている時シンジは、アスカの声が小さすぎて聞こえないクラスの男子生徒達に拉致されていた。
「おい!碇。惣流さんとあれって何だよ」
「そうだ!教えろ!!」
「あ・・・あの・・・・」
「お前ばっかり〜」
クラスの隅に固まった男子はシンジを囲み言い寄る。
この位の年齢の男の子の想像力は無限大だ。
鼻から湯気を吹き出さんばかりの勢いで顔をシンジの顔へと近づけ、シンジからは魚眼レンズで見たみたいに見える。
「・・・・・・・・・・・」
シンジが回答に困っていると、廊下の掃除当番になっていた、シンジの親友達3馬鹿トリオ(すでにシンジは3馬鹿トリオでは無く、トウジを筆頭にカヲルとケンスケの3人だった)が現れてシンジを救い出した。
「おのれら、センセイに手〜出したら承知せえへんど」
「何だよ鈴原!碇と惣流さんが”あれ”するって言うから何か聞いているだけじゃねえか!」
「「「「そうだそうだ」」」」(多数)
「この呆けらが!!そんなんせんせいと惣流の問題やろ。己らに関係あるかい!!」
「じゃ、じゃあ鈴原は気になんねえのかよ」
トウジ一人に多数のクラスメート達はちょっと腰が引き気味になっていた。
みんなより身体が特に大きい訳では無い。だが、喧嘩では負け知らずだ。
そして、トウジは特に義に厚い。一度親友となったシンジの為なら身体を張ることを厭わない。
「なるかい。呆け!!」
トウジだって男だ。勿論、気にならないと言えば嘘になるだろう。
だが、親友のそういった個人的な事まで首を突っ込むほど馬鹿では無いし、昔のシンジと張るくらい鈍感だが野暮では無かった。
「お前ら考えても見ろよ。”あれ”って言ったってお前達の考えている事と違うかも知れないじゃない?
惣流は兎も角、碇がお前達の思っている様な事を学校で言うと思うか?」
ケンスケも皆を見回しながら言う。
「ぐっ・・・・・」
「ふっ、そうだね。それにシンジ君は僕と永遠の愛を誓い合った仲な」バキッ!
カヲルの言葉尻に鈍い音が重なった。
その時のH嬢の証言を・・・
「私は見たわ。いいえ見えなかったと言った方が正しいと思う。私と楽しくお話していたらいきなり消えたの。そうしたら渚君が床に伏せていたわ。紅い疾風だった」
アスカは跳び蹴りを喰らわせ、すでに気絶しているであろう、カヲルを一睨みすると今度はケンスケを睨む。
「カヲルと誰があんたと永遠の愛を誓い合ったっていうのよ!!
それとメガネザル!シンジは兎も角、誰なら何を言えるんですって・・?」
「あ・・・・あの・・・そ、それは・・・碇を救う。そう!碇を救うための方便なんだ」
「そう、本心で言った訳じゃないのね」
アスカに睨まれカクカク首を縦に振る。
今のアスカに逆らおうモノなら死を覚悟しなくてはならない。
「ふ〜ん、じゃあ今回は特別に許してあげるわ」
アスカはシンジに言い寄っていた男子生徒達を一睨みすると、カヲルを心配そうに見ていたシンジにいきなり腰をしならせてシンジの腕を抱え込みながら上目使いで言う。
「ねえ〜、シンジ行こうよぉ」
「う、うん・・・」
まだカヲルを心配そうにしているシンジの背中を押して鞄を持たせる。
アスカは笑顔で、シンジは後ろ髪引かれる思いで教室から出ていった。
「はぁ〜・・・マジでビビッタで・・・マジで赤鬼やった」
「俺、殺されるかと思った」
まだ硬直のとれない生徒達と違い、ケンスケとトウジにはまだ感想を言える余裕があった。
さすがに二人との付き合い・・・それも学校だけでは無い付き合いの長さの賜だった。
「ホント、惣流さんは乱暴だね」
「うをっ!な、渚大丈夫なんか?」
「ふっ・・・シンジ君との愛を貫くためならこれくらいどうって事無いよ」
「お前も相変わらずだね」
今は綾波と名前を変えていたが、皆レイと間違えるといけないので渚と旧姓で呼んでいた。
二人が腕を組んだまま階段を下り、下駄箱へやってきた。
「あっ、シンちゃん、アスカ、今から帰るの?」
そこで今日のここの掃除当番をしているレイと会った。
レイもこの半年で凄く変わった。麗子と融合した時程劇的な変化では無いが、誰にでも明るく素直な笑顔を見せる様になった。
シンジが好きな事に代わりは無かったが、それ以上にシンジとアスカがお互いを見つめ合っている所が好きだった。
お互いを思い、優しい目で話している二人を見ると、自分の横恋慕など全く忘れてしまう程だった。
「うん。これからちょっとシンジと町に出ようと思ってるのよ」
「アスカって良いな〜。シンちゃんみたいに優しい人が彼なんだもの。あ〜あ、私もシンちゃんみたいな彼が欲しいな〜」
本心と疑心、両方の籠もった言葉だった。
シンジは麗子から前にレイの気持ちを聞いていた。だからちょっとだけ暗い顔をする。
そんな事を知らないアスカは笑顔をレイに向けると
「カヲルなんて良いじゃない。一緒に暮らしてるんだし、そんな気持ち芽生えて来てるんじゃないの?」
「駄目駄目カヲル君、学校じゃピシッとしてる様に見えるでしょ?だけど家に帰ると大変なの。家でもあのままだから自分の部屋の掃除してよって言っても、
ふっ・・・僕には必要ない事だね。とか言ってしないのよ。
麗子さんだって呆れてるわ。カヲル君って何か手の掛かる弟みたいな感じなの」
箒に目を落とすとふ〜とため息を吐く。
「それはカヲル、レイに自分の部屋を掃除して貰いたいんじゃないの?」
その言葉をちょっとにやっとアスカが言った途端、
バーーン!!
ウゥゥゥゥゥゥゥーーーー!!
「えっ!何?」
3人は咄嗟に校庭に出る。反応の早さはまだ、あの時のままだ。
高台にある学校からは町の様子が手に取るように分かる。
そこには・・・
「「「使徒!!」」」
遠目からでも判る。
特にシンジには・・・・・・そう、あれは第三使徒と呼ばれたサキエルだった。
『学校に残って居る生徒は至急シェルターに入れ!!』
慌てる先生の声が放送で流れた。
「なんだあれは!!あれはネルフの連中がすべて倒したのでは無かったのか?!」
「判りません。ただ10分前に急に空中に出現、町中に降り立ちました」
UNの作戦本部に着き、モニターを見た軍高官は驚きの声を上げる。
ネルフからは使徒はすべて殲滅、ネルフは一機関として世界の復興に力を注ぎ、すべての武装を解除したとの通達が正式に来ていた。
それは本当の事だと判っていた。世界中の人達はシンジとアスカに触れたのだから・・・
だからこそ使徒の出現に慌てていた。
「ネルフに通達しろ!あれはお前達の責任において殲滅せよと」
昔なら数万の犠牲を出したとしてもUN軍で使徒を殲滅しようとしただろう・・・
だが、シンジ達に触れ、少し心を開いていた高官はN2爆弾を使うといった最悪の命令だけは出そうとはしなかった。
「やはりあの反応は使徒でしたね」
「ああ・・」
司令室にはネルフ高官すべての人間が集まっていた。
ゲンドウ、冬月、ミサト、リツコ、ユイ、キョウコ、そして地下で一人作業をしていた加持・・・
加持が地下で作業し、慌てて飛び出した理由がこれだった。
加持がリツコにファイルを渡すとリツコは司令室のモニターに映し出した。
「あれは第三使徒のパターンと姿が酷使しています。第三使徒は初号機の活躍により自爆、完全に地上から消え去りましたので全く同一のモノではないと思います・・・・・が、使徒である以上多分ATフィールドは備えていると思われます。
そして、現時点でのガイアシステムの開発率50%・・・・まだ採用できるレベルではありません・・・」
「どうする碇、今の我々に残された唯一のエヴァは参号機だけだぞ。それもコアを壊されている状態だから起動もせんだろう」
その言葉を聞いたユイとキョウコは一歩出る。
「貴方、いえ、碇司令。コアの交換を提案します」
「空のコアへの交換は1時間もあれば終わりますから」
そう、二人はまたエヴァに取り込まれようとしているのだ。
例え自分が取り込まれたとしても、もう子供達は大丈夫だと確信しての言葉だった。
ゲンドウは黙ったまま二人を見つめていた。
沈黙の時間が流れる・・・・その時、子供達が到着したとの通信が入った。
「チルドレンはすぐに司令室に直行の事」
冬月が通信に告げる。
少しすると、シンジ達チルドレンと呼ばれる子供達4人が司令室に入ってきた。
「父さん!使徒だよ」
「ああ・・判っている」
慌てるシンジにユイがゆっくりと近づきシンジの肩に手を置いた。
「シンジ貴方はもう立派な男の子に成長したわ。だから私が居なくても大丈夫よね。
アスカちゃんをちゃんと守ってあげるのよ」
「えっ・・?か、母さん?」
キョウコもアスカに近づく・・・
「アスカちゃん・・・・・」
「も。もしかしてママ達・・・!!」
こくんと頷くユイとキョウコ・・・
ユイはゲンドウを振り返り
「碇司令。お願いします。使徒に対抗できるのは同じ力を持つエヴァだけです」
「と、父さん!そんなの駄目だよ。折角母さん帰ってきたんだよ」
「止めてーー!!」
「・・・・・・・・・・・・」
また沈黙の時間が流れる。
「ユイもキョウコも犠牲にならなくたって大丈夫よ」
そう、ここに居なければならない重要な人物が一人抜けていた。
その人物が扉から入って来た。
「麗子!!一体何処にいたのよ。ここに集合って事になってたじゃ無い」
「ご免なさい。でも、ガイアシステムをいつでも組み込める様に準備してたのよ」
基本的に麗子はネルフの人間では無い。だが、ユイと同レベルの知識力は必要とされていた。
だから内密にガイアシステムの開発にリツコに力を貸していたのだ。
麗子の言葉にリツコは反論する。
「ガイアシステムはまだ実験段階で使い物にならないわ!貴方だって知っている筈でしょ!」
「皆さん一つ忘れていませんか?」
麗子はみんなを見回すとシンジとアスカの間に足を進める。そして二人の肩に手を置いた。
「この子達の力を・・・・絶対力の存在を。
二人にはそれだけの力があるのよ。二人が願えば何でも叶う。そう、例えそれが初号機と弐号機を出す事だとしても」
「「「「「「「「「あっ!」」」」」」」」」
ゲンドウと言った麗子以外の人間はすべて驚き、そして納得した。
「で、でも、ガイアシステムは50%の開発率なのよ!そんな危険なモノを使うのは・・」
「判っている。だから残りの半分はこの子達に頑張って貰うわ。
勿論、危険なのは承知の上よ。でも何がしなければ人類は滅ぶわ。だったら今までずっと奇跡を起こし続けて来たこの子達に任せてみたいのよ」
麗子の言葉にシンジはぐっと何かを決めた時に見せる顔をする。
アスカもシンジのその顔を見た途端に決めた。
「僕、やります。僕にしか出来ない事。僕になら出来る事。それがある内はすべてを試してみます」
「私もやるわ。だってシンジ一人に任せておけないモノ。それにいつもシンジと一緒に居るって誓ったし」
「アスカ・・・」
「シンジ・・・」
「ほらほら、二人で見つめ合うのは全部終わった後ね」
「「あっ・・」」
加持はシンジの成長を心から喜んでいた。
自分を本当の兄の様に慕っていてくれている事は知っていたが、こんな重要な場面で昔、自分が語った事をシンジが躊躇いもなく言った事に・・・
見つめ合う二人を麗子がからかい顔を真っ赤にした二人を見た時、みんなすでに使徒を殲滅出来ると確信していた。
「そうと決まったら即決行よ。シンジ君、アスカ、ゲージに向かって。
そこで初号機と弐号機を召還後、すぐにコアとガイアシステムを取り付けて使徒を殲滅。
あの使徒がそのまま黙っているとは思えないけど、特殊装甲もあるし、こちらまで2時間は掛かると思う。だからその間にすべての作業を終わらせるのよ」
テキパキと作戦を決めるミサト、昔取った杵柄、作戦本部長だった時代の冴えを見せる。
皆は一様に頷くとそれぞれの配置につくために移動した。
「シンジ、アスカちゃん、準備は良い?」
「「はい」」
スピーカーからは麗子の声が聞こえてくる。コア、そしてガイアシステム搭載に関しては、ネルフ内で一番二人の力を理解している麗子が担当になった。
こんな事は起こり得ないと思っていたのでプラグスーツは用意されていない。
準備・・・といってもシンジだけだがインターフェイスを頭につけただけだ。
「まずは初号機を二人で思い浮かべて」
「「はい」」
二人はゲージに収まっている初号機を思い浮かべた。
半年前とはいえ、命を懸けて乗っていたエヴァを思い浮かべるのは二人にとって簡単な事だった。
大きなモノが出現するとき特有の空間の歪みも無く、気が付いたらそこにあったという感じで初号機が現れた。
だが、普段は拘束具に固定され立たされていた初号機だったので、何の支えも無くすぐに倒れてしまった。
「初号機は気にしないで、次は弐号機よ二人とも」
「「は、はい」」
弐号機もあっけなく現れると初号機と同じように倒れてしまった。
「ご苦労様って言ってもこれからが大変だけど・・・二人は少し待機してて」
コア、ガイアシステムを搭載したらすぐに発進と決まっているので、二人は傍にあるベンチで作業を見守りつつ待機していた。
作業中にガイアシステムについて説明しておこう。
ガイア=地球を母胎として考え出されたシステム・・・
すべての生命の源である元素の海・・・LCLからすべての人類の持っている要素だけを抽出し、それを母親と見立てシンクロする。
ユイやキョウコ、本当の母親が乗っていた時の様に驚異的なシンクロ率は出すことが出来ないが、誰でも例えチルドレンで無くてもシンクロ出来るといった利点があった。
医療の分野でこのシステムが発達すれば義手や義足をそのシンクロで自分の思った通り動かすことが出来る。
他にも応用が利くため、世界の要としてのネルフの中心的なモノだった。
だが、今のガイアシステムは不安定なものであるし、まだ未知のシステムなのでいくらチルドレンの二人とは言え、多分20%もシンクロしないだろう。
その分、二人は絶対力という二人だけしか持たない力で補うのだ。
一方、参号機のゲージでは・・・
「君は本当に死んでしまったのかい?」
エデンとの戦闘で吹き飛ばされた体は生体部品も含めて再生されていた。
外回りは完全に戻ったが、コアだけは傷ついたままになっていた。
「君はコアを持たない使徒なんだよ。エヴァに取り付いているからコアが破壊されたら死んだとおもっているんじゃないのかい?」
カヲルが話しかけても参号機は答えない。
「まだ復活の時では無いと言うことなのかな?」
カヲルが言った言葉はまるで予言の様だった。
使徒が来るのが今回だけでは無いのではないかと・・・カヲルには参号機はこれから現れるかもしれない使徒に対抗するために自己進化をしている様に見えていた。
変わって、作戦室・・・
半年前まで使っていた作戦室は、MAGIを管理する集中管理室になっていた為にいろいろな所に配線が回されていて、歩き難くなっていた。
だが、機能的にはあのころより数段上になっていた。
「ミサト、変だと思わない?」
「何が?」
「使徒よ。貴方も判っているでしょ?」
「あれ見りゃ誰だって判るわよ」
二人の見つめているモニターの先の使徒・・・町に降りた後、ピクリとも動かない。
そう、誰かを待っている様な・・・
「もしかしてエヴァを待ってるの?」
「う〜ん、そうなんじゃないの?全然使徒らしくないけど、そう考えると納得行くわ」
その場から全然動かない使徒の行動はそうとしか考えられない。
だけど、何故?
二人はモニターを見つめながら全く目的の判らない使徒に辟易していた。
「終わったわ。二人ともエントリーして」
作業終了を告げる麗子の声がスピーカーから流れる。
シンジとアスカは一気に気を引き締めるとすでに拘束具に固定された初号機、弐号機へと向かう。
「二人とも気を付けてね」
「「うん」」
レイが二人の前に立っていた。
本当だったら零号機も二人に出して貰い一緒に戦いたかったが、エヴァ一機でも世界の驚異になり得る。
完全に武装解除したはずのネルフにまだエヴァが4機も揃ってしまったら、内密にエヴァを再生していたと疑われるだろう。
その事でネルフと日本政府が対立する事はさけなければならなかった。
「二人で買い物行くのよね。私、買ってきて貰いたいモノがあるんだから絶対に帰ってきてね」
「判ったわ。レイの買ってきて貰いたいモノも知りたいし絶対に帰ってくるわ」
「うん」
シンジとアスカは笑顔をレイに向けるとそれぞれのエヴァのエントリープラグへと入っていった。
すべてがあの頃と一緒・・・・コックピット自体も、通信モニター兼外部モニターも・・・
シートに座るとシンジはすぐに弐号機へと通信を開いた。
「何だが懐かしいね。もう座ることは無いって思っていたのに、ここに座るとなんだか落ち着くよ」
「うん。二度とエヴァには乗らないって思っていたのに、どうしてかしら?」
辛い戦いを終え、平和な日常を暮らし、その暮らしが気に入っているというのに身体の芯では戦いを忘れていなかったのかも知れない。
シートに座った途端、その身体が覚えていた事を思い出したのかも知れない。
二人とも不快感も無く、それをそのまま素直に受け入れていた。
「二人とも半年ぶりだし、LCLを使っての呼吸方法覚えてる?」
「もっちろん。私は普通に空気を吸って生きている時間と同じくらい長い間LCLに浸かっていたわ。だから大丈夫。でもあの不快感だけはいつも嫌だったけど」
「僕も大丈夫だと思います」
「それじゃ、服濡れちゃうけど・・・LCL注入・・」
何の音もなく足下からLCLが上がってきた。
二人はLCL呼吸法を自然に始める。深く息を吐き出しゆっくりと吸い込む・・・・そうする事で肺の中にLCLを満たしていく。
エントリープラグ内がすべてLCLに浸かった。
「二人ともシンクロを始める前にガイアシステムについて簡単に説明するわ。
さっきも説明したけど、ガイアシステムはすべての人類の源である元素から作り出されているの。
だから今までと同じエントリー方法でいけると思うんだけど、こちらの予想では多分二人でもシンクロ率20%も行かないと思うのよ。
だからエヴァが思うように動かなくても慌てないで。
後の所は二人の絶対力で補って貰うわ」
「「はい」」
「久しぶりの戦闘だし、あの頃と全く同じようには出来ないと思う。
だから、戦闘を主に考えて絶対力は補助的に使う方が良いと思うのよ。戦闘に入ったら後は二人の判断に任せるわ」
「「判りました」」
「じゃ、シンクロ開始するわね」
麗子の声が途切れる。
そして、見慣れた色彩模様がモニターを流れた。
「エヴァ起動確認。やはりシンクロ率は予想通り19.7%、1/10000まで二人とも同じ数値を表しています」
「やっぱりそんなものね。改良の余地がまだまだありそうだわ。
今のままじゃ義手義足を作っても杖代わりにもならないわ」
ガイアシステムの目標は勿論シンクロ率100%そして、義手義足の中に入るくらい小さくコンパクトにすることだ。
麗子は改めて根本的な見直しを考えていた。
だが、今はそれどころでは無い。
「じゃ、二人とも無事に帰ってくるのよ」
「「はい」」
「それじゃ葛城さんにモニター回すわ」
作戦室に居るミサトへとモニターが移り変わる。
「二人とも行けるの?」
「はい、大丈夫です」
「もっちろん。ミサト私達に任せておいて」
ミサトは心配そうに話しかける。だが二人とも緊張していない。
お互いがすぐ傍に感じ取れるから。
その姿を見たミサトは安心し使徒の様子を二人に話す。
「じゃあ、もしかして僕たちを待っているかもって事ですか?」
「まあ、あれを見る限りじゃそう・・・・見えるわね」
「出てみれば判るでしょ。何もしなかったら簡単に殲滅出来るんだから」
「それと二人にお願いしたいんだけど、町中で戦ってもし使徒が自爆する事になると数千人の犠牲者が出るわ。
だから、何とか町の外まで使徒を連れだして貰いたいのよ」
「判りました。前に使った方法で移動させてみることにします」
もう使徒が来ないと思い、第三新東京市は迎撃都市としての機能はすべて失われていた。
昔の名残でシェルターは残っていたが兵装ビルもすべて人が住めるビルへと立て直していた。
そんな町を心配したミサトにシンジの言った前に使った方法・・・それはイスラファル前哨戦で使ったATフィールドで使徒の周りを囲み、底面の摩擦係数を0にして滑らせる方法の事を言った。
ミサトはシンジの意見に頷く。
「あんまり町を傷つけないようにね」
「そんなの判っているわよ。早く上に出して」
「判ったわ。エヴァ射出口へ!」
三号機以外のエヴァが無くなり、武装解除も手伝って大したモノを整備出来なかった鬱憤からか、整備員達からは喜々とした声で、第一ロックボルト外せとか了解!!とか言っていた。
「シンジやっぱり身体が重いね。絶対力を使いましょうよ」
「そうだね。じゃ、エヴァが身体の一部分だったあの頃を思い浮かべよう」
「うん」
二人は自分の思った通りに動いていたエヴァを思い浮かべる。
エヴァはすぐに二人の思った通りに動き始めた。
その姿を見てマヤは不思議に思った事をリツコに尋ねてみた。
「先輩ちょっと思ったんですけど、何でシンクロが必要なんですか?シンクロ率はそのままであれだけ動かせるのに・・?」
「マヤ、よく考えて見て。もし、もしもよ。二人の内一人が戦闘で気絶したらどうなると思う?」
「あっ!」
「そう、絶対力は切れるわね。物を出した時なら兎も角、純粋な思いがエヴァを動かしていたら、エヴァは動かなくて使徒にやられるのを見ているだけになるわ。
20%とは言えシンクロしてエヴァが動けば撤退だって出来るかも知れない。
死のぎりぎりの所で戦っているあの子達に私達が出来る最大の事をしてあげるのが当たり前じゃないのかしら?」
「そ、そうですよね。すいません」
マヤは顔を真っ赤にするとパネルへと向き直った。
ミサトとリツコは互いに顔を見合わせ、肩をすくませた。
「エヴァ発進位置に着きました」
「判った。・・・・・・・・・エヴァ発進!」
ミサトの声に合わせてエヴァを乗せたエレベーターが火花を散らして地上へと向けて射出し始めた。
地上まで数秒で着くエレベーターはLCLに入ってショックを押さえていなければ気絶するほどの勢いだった。
「二人とも無事に帰ってくるのよ」
司令席の横に立っていたユイ、キョウコ、冬月、そして席に座っているゲンドウ。
皆思いは一緒だった。
ガコンッ!!
地上にエヴァ2体が着く。
今まで全く動かなかった使徒がエヴァの姿を見た途端、エヴァに向かって動き始めた。
「やっぱり、エヴァを待ってたの」
予想していたとはいえ、やはり驚きを隠せないミサト。だが驚いてばかりはいられない。すかさず次の命令を下した。
「最終安全装置解除!エヴァ発進!」
肩にはめ込まれた最後の固定を外すとエヴァは猫背になり自らの足で地上に立った。
「さて、まずは使徒を町の外に出さないとね」
「そうだね。それじゃ行くよ!!」
シンジのかけ声と共に二人はATフィールドを思い浮かべ使徒の周りに展開する。
それでも使徒はエヴァに向かって歩き続ける。勿論、ATフィールドに阻まれそれ以上前に進むことは出来ないが・・・
「あれ、シンジ?何かエヴァの動きが悪くなった?」
「そうみたい・・・」
絶対力が効いている内は素直なエヴァも、他の事に絶対力を使った途端、元の20%の動きしか出来ない。
今までも本当はそうだったのだ。
元来のシンクロ率の高さから気が付かなかったが、絶対力は一回で一つの事にしか使えない事に、今気が付いた。
「まあ良いわ。動きが鈍くたってあっちはちょっと押せばずっと走っていくんだから」
弐号機を進ませると使徒の進行を防いでいるATフィールドを軽く押した。
押した力に比例して、使徒を囲んだままのATフィールドは町中を進んでいく。そして、そのまま町の外へと追いやられてしまった。
二人は動かない体をおして、使徒を追いかける。
そして山裾で引っかかりそれ以上進めない所まで行った使徒を見つけるとATフィールドを解き放ちエヴァを思った通りに動かせる様に再度絶対力を使う。
使徒は何も無かったようにエヴァに向かって来た。
そして、元のサキエルの同様に手の平から光のパイルを延ばす。
「ATフィールド!!」
ガキンッ!
「シンジ!!」
シンジはATフィールドを持って受け止めた。
だが、ATファールドとは人を拒絶する力、今のシンジ達はその心が余り無くなっていた。
プラス、20%の力しか出せないエヴァ。
シンジの張ったATフィールドはあっけなく貫通される。幸いにも狙っていた位置からずらす事だけは出来たので、身体を掠っただけですんだ。
「ちょ、ちょっとリツコ!一体どういう事!!」
ミサトの問いにリツコは先に書いた事をミサトに言った。
「そ、それじゃ、使徒のATフィールドは絶対に破れないって事!!」
「そうね。そうなるわね。絶対力を使えば簡単に破れるだろうけど、そうすると今度はエヴァが動かない・・・・どうにもならないわ・・・」
「そ・・・そんな・・・」
ミサトとリツコが話している間も二人は使徒の攻撃をかわしながら、攻撃を仕掛けていた。
だが、その攻撃は尽くATフィールドに阻まれ、使徒本体まで届かない。
すべての武器は破棄した為、今の手持ちの武器はプログレッシブナイフだけだ。
「この!このー!!」
「何でATフィールドを中和出来ないんだ!」
焦る二人に司令席に居たユイが叫ぶ。
「シンジ、アスカちゃん!一度使徒から離れて!」
ユイの声を聞いた二人は悔しい思いをしながらも一度使徒から離れる。
少し離れた所でモニターに写っているユイに話しかける。
「な、何か手があるの。母さん?」
「おばさま、ATフィールドが邪魔してどうにも出来ないの」
「二人ともよく聞いて、貴方達二人が連続して攻撃して、何とか使徒を蹌踉めかせて。
そうしたら、飛び上がって二人で蹴るのよ」
「だけど、そんな事してもATフィールドに阻まれてどうにもならないよ」
「大丈夫。飛び上がって蹴る体勢が出来たら今度は絶対力でエヴァのATフィールドの強度を上げるの。
体勢が出来てしまえばシンクロ率が20%だろうがそのままの力で使徒のATフィールドを蹴れる破れるわ。そうすれば、使徒を殲滅出来る」
「「あっ!!」」
ユイ達と話をしている間も使徒はそのままエヴァに向かって来る。
シンジとアスカは目配せすると一瞬で作戦を決めた。
「判ったよ、母さん。やってみる」
「私とシンジの絶対力で!!」
「アスカ、行くよ!」
「うん!」
まず、シンジが迫ってくる使徒に向けて走り出した。
アダムと戦った時の様な目にも留まらない程の速度ではないが、落下してくる使徒を受け止めた時に出した速度と同程度の早さで。
そして、その後を追うように弐号機も走り出す。だが弐号機は使徒に向けて走り出した訳ではない。
使徒の横に向けて走り出した。
使徒は目の前に迫り来る初号機に向け光のパイルを延ばす。
シンジはそのパイルをATフィールドを張らずに紙一重で避ける。
そして超接近戦、使徒の直前まで来た時に手にすべての力を注ぎ込んだATフィールドを使徒に叩き付けた。
「でぃやーー!!」
だが使徒もその時にはすでにATフィールドを張っていた。
全身に張るだけのATフィールドを両手に集めぶつけても使徒のATフィールドは破れない。
それもシンジとアスカの計算には入っていた。
使徒がATフィールドの前で止まっている初号機に掌を向けた時、弐号機が横から走り込んできた。
そして、初号機と同じようにすべての力を両手に集めて使徒にぶつける。
「ったーーー!」
真正面の攻撃には耐えられたが、真横は死角になっていた。そのままでの力で押す。
ATフィールドを破るためでは無い。相手に隙を作るために
その行動は巧く行った。
思わぬ死角からの力に耐えきれなくなった使徒は蹌踉ける。
「「今だ!!」」
即座にタイミングを合わせ飛び上がる2体のエヴァ。
使徒に向けて蹴る体勢を作るとユイの言った通り、エヴァのATフィールドの強度を上げる。それはゼルエル以上の強度だった。
蹌踉けた使徒は2体のエヴァをATフィールドで受け止め様とした・・・・・
「くっくっく・・・・」
闇の底ではその戦闘を見ていたモノの暗い笑い声が響いていた。
「ねえ、シンジ”あれ”しよ」
「うん」
使徒やエヴァの回収他、残務整理の為、シンジとアスカだけ先に家に帰ってきていた。
リビングで隣り通しに座った二人はお互いにいつも身につけている指輪を出し、結婚式にするようにそれぞれ相手の指にはめる。
そして、左手同士を重ね合わせる。指輪の部分をぶつけ合う様にして・・・
カチンカチン・・・
「アスカ・・・・」
「シンジ・・・・」
その音は見詰め合う二人には幸せのチャペルが鳴り響いた様に聞こえていた。
おわり
あとがき
おい!予定と違うぞ(笑)
もっと簡単に使徒を倒す予定だったんじゃなかったのか?DtE2は自分の思った通りに書くんじゃなかったのかい(笑)
おひおひ、これじゃDtEより辛い展開は目に見えてるぞ!(爆)
書いてて自分で思った事です。
やっぱりすでにDtEは僕の手から離れているのかな?
続きを書くのが怖いなんて思いながら・・・
でわでわ