連載 転校生

第二話
わたしはフィアンセ
by真田






退屈。

それはまさに、第三一校で二年の日本史を担当している、この老教師のためにある言葉かもしれない。

授業が始まってまだ15分である、クラスの三分の一は催眠術にかかったかのように夢の中だ。残る三分の二も大半が船を漕いでいる。



そして転校初日の碇シンジはというとすでに

「・・・・・・ス〜ス〜・・うっ、うぅん。」

爆睡していた。転校して始めての授業である、かなりの大物なのかそれとも、ただのマイペースな人間なのか、シンジは間違いなく大物ではなく、マイペースな人間である。

(なっ!アイツもう居眠りなんかしてふざけたヤツね)隣の席のアスカは暇そうにしながら、左手で頬杖突き惰眠を貪るシンジを横目で盗み見ていた。

ゴンッ

教室に鈍い音が響く。何事かとクラスの何人かが大海原へと舟を漕ぐのをやめて、重い頭を起こしてあたりを見渡すと、窓際後ろの席の転校生が頭を押さえて机につっぷしている。どうやら頭をぶつけたようだ・・・老教師もちらりとシンジを見ただけで催眠授業を再開した。隣のアスカは声を殺して笑っている。熱心にカメラをいじっていたケンスケが「大丈夫か?」と声をかけている。トウジは夢の中に入っていて、そんなことには気づいてもいないようである。シンジはというと、ケンスケに小声で無事を知らせると、クラスメイトの視線と隣で笑うアスカに耐え切れず、顔を耳まで赤くしながら机に伏せて、狸寝入りを決め込んだようである。



そんなこんなで、クラスになじみ始め午前の日程も終わりお昼の時間となった。

「おう。センセは昼飯、購買でかうんか?」

授業ではまるでやる気を見せていなかったトウジだが、飯を食うことに関してはやる気十分である。

「いや、僕はお弁当だから。トウジは購買なの?」

二時間目からはまじめに授業を受けていたシンジが教科書を片付けながら聞く。

「わしか、わしも弁当じゃ、今は飲み物買いに行いこおもてな。シンジのも買ってきてやろか?」

そういって、お金を見せるトウジの腕には、さきほど授業が終わるとすぐにヒカリのもとにもらいに行った、デカイ弁当箱が抱えられている。それを見たシンジは、

「…愛妻弁当…」

ぼそりとつぶやく。

「どないした?」

トウジはなかなか返事の返ってこないシンジを見つめていた。

「あっいやなんでもないよ。あのそれじゃ、お茶買ってもらってきてもいいかな?」

シンジが遠慮がちにそういって、財布を出そうとすると、

「ええよ、おごったるわ。」

と、トウジが言う。それに対しシンジがお礼を言っていると、

「じゃ、私はミルクティーね。」

「おれは、コーラをたのむ。」

ヒカリとしゃべっていたアスカと、いつの間にか購買から帰ってきていたケンスケも加わってきた。

「なんやと、わしはお前らなんかにおごるなんていうてないぞ。」

怒り出すトウジにアスカは、

「そんな、ケチくさいこというんじゃないわよ!ヒカリは何がいい?」

また喧嘩が始まると思い止めるタイミングを見計らっていたヒカリは、いきなり自分に話を振られたので驚いている。

「えっ私?でも鈴原君に悪いわよ。」

そういって遠慮するヒカリだが、

「何言ってんのよ、毎日このジャージに弁当作ってあげてるのは誰よ?」

アスカはそんなヒカリを尻目にジャージを睨んで言う。

「それは、鈴原君いつもパンだし、家ではご飯作りすぎちゃうし…」

モジモジとしゃべるヒカリにトウジは、

「ヒカリには、おごらんなんて言うとらん!ヒカリの弁当はうまいしなぁ。ジュース一本じゃたらんぐらいや。」

そういってヒカリに二カッと笑いかけるトウジ。それを見てニヤニヤするアスカ、照れている二人を激写するケンスケ、あの弁当は間違いなく愛妻弁当であることを確信するシンジであった。

事件も一段落し結局みんなのジュースをおごる羽目になったトウジは、ヒカリに飲みたいジュースを聞くと、買いに出かけようとするとシンジも席を立ちなにやらやっている。

「あれ、センセどないしたん。」

不思議に思いたずねるトウジ。

「いや、ぼくもちょっと用事を思い出してさ。」

そういうとトートバックから二個弁当を出し、青い袋に入った弁当を机に置き、もう一つの水色の巾着に入った弁当を手に取る。

「なんやそれ、弁当二個も食うんか?」

水色の巾着をしげしげと見ながらトウジがたずねる。

「ああ、これね、これは『ちょっとーシンちゃん何してんのよ。』」

2の1の教室内に元気のいい声がこだまする。その元気声の持ち主は、トウジたちが見つめる中を颯爽と教室に入りシンジの前に立つ。

「おそいわ、待ってたのに。」

むくれてそっぽを向いている。

「ごめんよ。ちょっといろいろあってさ、でもほらこれ。」

そういってシンジは水色の巾着をわたす。

「もう、今日のお風呂当番はシンちゃんにやってもらうから。」

「え〜また僕がやるの?」

情けない声を上げるシンジになんのことやら蚊帳の外にいたトウジが声をかける。

「あの〜センセ、この女の子は誰でっか?」

皆が抱いている当然の疑問にシンジが答えようとするが、

「ああっ紹介するよ。僕の『フィアンセのレイよ。よろしくね。』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「えっ?えええええええええええええええええええええええええ!!」

トウジ、ケンスケ、ヒカリ、アスカの驚きの声が上がる中。レイはニコニコ、シンジは苦笑い。

昼休みが始まってからまだ誰も、ごはんを食べてはいなかった。




 第二話 わたしはフィアンセ おわり




いやどうも、最後までお読みいただきありがとうございます。学校やらなんやらで書くのがおろそかになってしまいました。

できてみて思うのが、うまく人物達が動けていない。もっとトウジやアスカには(もちろんシンジにも)動いてもらう予定でしたが・・うまくいきませんですみません。次回にがんばりますんで許してください、てかこれが限界か!? 次回はシンジ達がなぜこの高校に転校してきたのか?レイはほんとにシンジのフィアンセなのか?そのあたりのことがわかりますんで次回も読んでいただけたら此れ幸いです。



真田さんに初投稿していただいた連載小説「転校生」の第二話でしたー。
どうもありがとうございます真田さん!

さて今回のこの第二話は最後で爆弾が投下されていますね。
シンジのフィアンセのレイ……。マジっすかあああああ!w
まぁきっとレイのお茶目だとは思うのですが、我らがアスカ嬢の心中はきっと穏やかではないでしょう。
いつものメンバーにレイを加えたことで起こるであろう今後の騒動。
第三話も楽しみですね。

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感想は作家の元気の源、是非お願い致します。



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