シンジからの告白。
1年という長く辛い時を経て、ようやく、想いが通じ合った、二人。
あれから数日の時が流れた、今日、宇宙の片隅で、午前1時。
自室の鏡の前で髪をとかしているアスカは、深夜という時間帯には似つかわしくない装いをしていた。
「・・・・・よしっと。」
身鏡の中の自分の格好を一通り確認し、ミニスカートを調整し終えて、軽く微笑む。
おっと、あんまり待たせちゃ悪いわね。
そして、今日も胸を高鳴らせながら、約束の時間とは少し早めにシンジの部屋へと忍び足で向かうのだった。
「今日、宇宙の片隅で」
第7話、「Everything Is Good.」
シンジの部屋。
「ふぅ、こんなもんかな。」
パジャマから、白のポロシャツとジーパンに着替え終わったシンジは、ベッドに腰を下ろす。
後は、もうすぐこの部屋に訪れるであろう、少女を待つばかり。
まだかな、アスカ・・・。
想いを打ち明け、通じ合った、あの日以来。
二人は、毎日のように深夜ベランダへ行き、語り合うのが日課だったのだが、今夜は違う。
昨夜のベランダで、アスカに話したこと。
シンジがここに来たばかりの頃、ミサトに連れて行かれた、峠の展望台から見渡す第3新東京市の眺めが
とても良かったということを告げた矢先。
『あたしも行きたい。ミサトとだけなんて、ずるい。』
そういうわけで、今日、今夜、そこへ赴くことになっていた。
もう、アスカってば、連れて行ってくれなきゃ絶交だなんて言うんだもんな。
そんなコト言われたら、なんでもしてあげなきゃいけなくなっちゃうよ。
苦笑混じりに呟くシンジだが、内心は嬉々としているのが事実。
シンジにとっても、峠の展望台は思い出深い所。
そんな思い出のスポットを大切な人に紹介するというのは、とても楽しみなことなのである。
ただ、この時間帯ってのは、ちょっとなぁ・・・。
トントン・・・
小さな、襖を叩く音。
言葉で無くても、誰だか分かる。
言葉で無くても、何を意味するか分かる。
「あ、ちょっと待って、アスカ。」
「早くしてよね。」
「うん。今行く。」
襖越しの、恋人の会話。
シンジは、忘れていた腕時計を巻き付けて、襖を開けた。
部屋から出てきたシンジを、まじまじと見つめるアスカ。
「なぁーんか、普通の格好ねぇ。」
「アスカだって、普段着じゃないか。」
「あたしは顔が可愛いからいいの。」
「なんだかなぁ。」
「ほら、早く行きましょうよ。」
シンジの手を取って、玄関へと向かう。
深夜の外出。
深夜の散歩。
言い換えれば、深夜のデート。
湧き出てくる好奇心を抑えきれないアスカは、深夜にも関わらず、鼻歌混じりに外へ出て行った。
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「んんーーーーーーっ。なぁーーんか気持ちイイわねぇーーー・・・。」
深夜のひんやりと冷たい外気を思い切り吸い込みながら、両腕で背伸びをする。
清々しさを、思い切り全面に出した、その顔。
「深夜に外に出たコトなんて、無かったな・・・。」
少し以前までなら、今頃はとっくに夢の中の時間帯。
おもむろに夜空を見上げるシンジは、なぜか湧き出てくる高揚感を覚えた。
「でしょ?なんていうか、すっごく新鮮で、インスピレーションが沸いてくるわ。」
「うん。なんか、新鮮な感じがする。」
「へへへぇーーー。」
そんなことを話し合いながら、二人は並んで歩き出す。
深夜の第3新東京市。
元々人口が少ないということもあってか、見渡す限り、全くと言っていいほど人気が無い。
夏の匂いのする夜風をかきわけて、二人は歩く。
聞こえるのは、コンクリートの路面を歩く二人の静かな足音のみ。
「深夜の星空の下で散歩だなんてさ、すっごく素敵な感じよね。」
夜空を見上げながら、アスカ。
「うん・・・。」
アスカを優しく見つめながら、シンジ。
「な、なによっ。あたしの顔に、なんかついてる?」
「ああ、いや、違うよ。」
「じゃあ、なによ。」
「なんか・・・、アスカ、変わったなって・・・。」
すぐ目の前で見つめられて、アスカは慌てて視線を地面に戻す。
そのまま見つめていたら、シンジの黒い瞳に吸い込まれてしまいそうだから。
「だ、誰のおかげで、あたしがこんなになっちゃったと思ってるのよ・・・。」
「あ、いや、そういう意味で言ったんじゃなくて・・・。」
「天才美少女で、天下無敵で、気高いあたしの心を、奪ったくせに。」
「あ、あの、その・・・。」
「唇も。」
「えっ、あれは、アスカが・・・。」
「体も。」
「え!?そ、そんなコトしてないだろ!?」
「・・・・・、ふふっ、なぁーーーんてねっ。」
「ア、アスカぁ・・・。」
散々にからかわれて、トホホとため息をつく。
得意げに舌をチョロっと出したその顔を見るたび、
シンジはアスカの何もかもが許せてしまうような気がする。
アスカには、適わないよなぁ・・・。
「ま、心を奪われちゃったのはホントだけどねー。」
「あ、その・・・。」
赤い顔で、今度はシンジが俯く番。
もっとも、アスカも平然と言ってはいるものの、赤くなる顔は誤魔化しきれないのが事実。
「ふふっ、で、あんたはどういうつもりで言ったのよ。あたし、そんなに変わったかな?」
「うん。なんていうか、最近つやつやしてるっていうか、一層綺麗になったっていうか・・・。」
「・・・・・、まぁ、あんたのおかげよね。」
「そうなの?」
「そ。あんたのせい。」
そんな砕けた雰囲気の中、どさくさに紛らわすように、アスカがシンジの腕を絡め取った。
「だから、ご褒美よ。」
「え、あ、うん。」
「あたしにからかってもらえて、あまつさえ腕を組んでもらえるなんて、あんた、宇宙一の果報者よね。」
「あ、ありがとう・・・、なのかな?」
「とーーーぜんっ。」
「あははっ、アスカらしいや。」
「へっへぇーーーん。」
誰もいない深夜の第3新東京市。
峠の展望台へ向かい、ゆっくりと歩く二人。
峠の展望台までは、まだある距離。
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沈黙。
正しくは、神秘的な静寂。
かつて二人きりでいる時、これほどまでに沈黙を心地良く感じたことはあっただろうか。
そんなコトを思いつつ、アスカはおもむろに口を開いた。
「そういえばシンジ。」
「ん?」
別にこのまま、何もしゃべらずに歩き続けても良かった。
もう、お互い、変に詮索し合う必要は無いのだから。
何を言わなくても、通じ合える関係になれたのだから。
でも、やっぱり、ちょっぴり気になることはある。
だから、アスカは言葉でそれを完全に埋める。
シンジとの間に、隙間なんか、作らせない。
「今日、他の女と話してたわね。」
「えっ、あれは、掃除のゴミ捨てを頼んだだけだよ。」
チラリと横目の視線を飛ばしてやると、やましいことなどないのに、シンジはわざわざ慌ててくれる。
そのシンジの戸惑った表情こそ、アスカの元気の源。
「ダメ。あたし以外の女とは、しゃべっちゃダメ。」
「そんなぁ・・・、無理だよ。」
「ダメよ。知ってるでしょ?あたし、宇宙一ワガママな女なのよ。」
「参ったなぁ・・・。」
「別にイヤだったら、嫌ってくれてもいいのよ。嫌いになれるもんなら、ね。」
フンフンと得意げに鼻歌を歌いながら、アスカが道ばたの小石を軽く蹴飛ばす。
カツン、カツンと、静寂に包まれた第3新東京市に音を響かせながら、地面を水切りしながら飛んで行く小石。
シンジはそれを目で追っていって、電柱にカツンと当たった所で、はぁっとため息を吐いた。
「もう、嫌いになれるワケないじゃないか。意地悪なんだからなぁ。」
「お誉め言葉を、ア・リ・ガ・トっ。」
そう言うと、心底嬉しそうな顔で、シンジの腕にギュッとしがみつく。
そして、苦笑するシンジの顔を見上げては嬉しそうに笑い、顔を見上げては、嬉しそうに笑う。
自分でも滅茶苦茶な言い分だとは重々分かっている。
自分は、なんと、ワガママな人間なのだろうか。
なのに、シンジは怒りもせず、そんな自分を優しく受け止めてくれる。
「だって、ワガママでも、意地悪でも、僕は、そんな綺麗なアスカが好きなんだからさ。」
それが、嬉しい。
だからアスカはいつも、ついつい、シンジを困らせてしまう。
「ふふっ、やっぱあんたって、ばかよ。普通、ワガママとか意地悪とかを綺麗だって言うヤツなんかいないわよ。」
「でも、僕はそう思うんだ。他の人とは、違うよ。」
「そ。だから、あたしも、そんなあんたが・・・、その・・・、い、いいのよね。」
ちょっと、卑怯な言い方、だったかしら・・・?
もじもじとしながら言い終わって、チラっとシンジの方を見てみると、アスカの頬がほんのりと桜色に染まる。
シンジは、アスカの大好きな微笑みを向けていた。
「・・・・・、ありがとう、アスカ。」
「ど、どーーいたしましてっ。」
これだから、シンジは最高よ・・・。
アスカは、思わず緩みそうになる顔と声を引き締め、精一杯、気丈を振る舞う。
しかし、それは、鈍感なシンジにすら一目で見透かされてしまう程度の、薄っぺらなハリボテ。
そんなアスカを、シンジは温かい眼差しで見つめていた。
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誰もいない深夜の第3新東京市。
峠の展望台へ向かい、ゆっくりと歩く二人。
峠の展望台までは、もう少し。
「でもさ・・・、アスカ。」
「なぁに?」
道中のシンプルな明かりを灯す街灯を、ぼんやりと見上げながら、アスカがそっと返事をする。
街灯の白い光を反射して、ぼんやりとした輝きを放つアスカの白い肌。
アスカにはシンプルな街灯が良く似合うと思いつつ、シンジはおずおずと口を開いた。
「あのさ・・・、ホントに、僕なんかで、いいの?」
「はあ?なによ今さら。」
きょとんと、アスカが目を丸くして聞き返す。
「だって、アスカは勉強も出来るし、スポーツも出来るし、その、すごく可愛いし、人気もあるのに・・・、
そんなアスカが、なんで、何の取り柄もない僕なんかを選んでくれたのかが、信じられなくて・・・。」
「・・・・・、ふふっ、ばかねぇ。」
やれやれとした呆れ顔から、優しい微笑みに変えると、アスカはシンジの腕をグイッと引き寄せる。
「ばかシンジ。あんたのいい所、教えてあげよっか。」
「え・・・。」
「あんたはね、あたしをちゃんと見てくれる。あたしを心配してくれる。あたしを綺麗だって言ってくれる。あたしに優しくしてくれる。あたしを助けてくれる。あたしを受け入れてくれる。あたしの痛みを分かってくれる。」
アスカの口から、シンジの良い所が、滞り無くスラスラと滑り出てくる。
自信たっぷりといった、その口調。
「その他にも一杯あるけど、それも全部含めて、あんたの取り柄よ。」
「そ、そうなのかな・・・、自分では、良く分からないけど。」
「あたしがそうって言ってんだから、そうなのっ。」
「うーーん、でもなんか、僕の取り柄って、アスカに対するコトばっかりだね。」
「あったりまえじゃないっ。あんたの良い所は、全部、あたしだけのモノなんだから。」
「ははっ、ありがとう。」
誇らしげに、そして自慢げに言うアスカは、一際輝きが映えて見える。
シンジは、自分がアスカの誇りと自慢の一部になれたような気がして、とても嬉しく感じた。
「それにあたしだって信じられないわよ。こんな醜いあたしを選んでくれた、あんたが。」
「なに言ってるんだよ。アスカは綺麗だって。」
「・・・・・、でもやっぱり、そうは言っても、ね。」
「本当だよ。もしアスカを醜いなんて言うやつがいたら、許せないよ。」
真摯な顔で、シンジが一心に見つめてくる。
大きな嬉しさと安堵、そして、ゾクリとするものが、こみ上げてくる。
なによりも、どんな言葉よりも、その顔に説得力が感じられてならない。
「だから、そんな風に自分を醜いだなんて言わないでよ。僕が辛いんだ。」
「・・・・・、うん。」
地面に視線を落として、ポツリと小声で言う。
こういう時のアスカは、シンジの目に、とても小さく映って見える。
なによりも、綺麗に見える。
「でもね、あたしを守ってくれるのは嬉しいけど、絶対、無茶は、しないで・・・。」
「でも・・・。」
「いいの。あたしの為にケガなんかしたら、絶対許さないんだから。」
「う、うん・・・。」
アスカを気遣って、シンジは頷く。
しかし、それは、あくまで、表面上。
なぜなら、シンジはすでに、心で誓っている。
アスカは、たとえ自分が死んでも、守ると。
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そして、辿り着いた、峠の展望台。
「ここだよ、アスカ。」
「うわぁー・・・・・・。」
展望台の手摺りに手をかけ、思わず身を乗り出して目を見開くアスカ。
そのあまりの景色の美しさに、しばし時を忘れる。
「綺麗ねぇ・・・・・・。」
以前、シンジがミサトに連れてこられた、この展望台。
そこから見える第3新東京市の奏でる色とりどりのネオン。
ダイアモンド・ヘッド。
満点の夜空に輝く星々が、霞んで見えるほどに美しい。
「あたしたちの街って、こんなに綺麗だったんだ・・・。」
「うん。僕らが守った街だよ・・・。」
「・・・・・、そうね・・・・・。」
峠という場所もあってか、時折吹き付ける夜風が二人を優しく包み込む。
そうして、しばらく、景色の美しさに魅了されていたアスカ。
しかし、もっともっと自分を魅了するものが、すぐ隣りにあることを、アスカは知っている。
だから、頭をこつんと、もたれかかる。
シンジは何も言わずに、アスカの肩に手を回す。
心地良いシンジの温もりに、包まれた。
ふふっ、分かるようになったじゃない・・・。
「スケベシンジ。」
「えっ、そのっ・・・。」
自分の言葉に、はっとなるシンジの顔を間近に見て、アスカは、この上なく上機嫌になる。
「ふふっ、冗談よ。」
「まったく・・・、そんなに僕をからかって楽しい?」
「うん、とっても・・・・・。」
本当に、心の底から絞り出すように、アスカが言う。
少し身をよじって、シンジに体を委ねる。
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二人は寄り添いながら、しばし言葉を忘れて第3新東京市を眺める。
そうしていると、自然と、二人の顔に微笑が浮かんでくる。
シンジには、アスカが。
アスカには、シンジが。
お互い、望んでいる人と身を寄り添わしているからこそ。
お互い、望んでいる人と同じ場所で、同じ時を過ごしているからこそ。
それらの条件さえ揃う時ならば、何をしなくても、何を言わなくても、いつまでだって心は満たされる。
そう、至福の時。
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「ねぇ・・・。」
アスカは景色に目をやりながら、穏やかな口調で、シンジに訪ねる。
「あたしって、幸せ者なのね・・・。」
「え?」
「だって、こんなに広くて大きな宇宙の中で、シンジと出会えたんだもん。すごい確率よ、コレ。」
そう言って、夜空を見上げる。
シンジも、見上げる。
目の前に、果てしない宇宙が広がる。
「・・・そうだね。僕も、アスカと会えたのって、すごい気がしてきた。」
こんな大きい星空の下で、奇跡的に巡り会った二人。
確率で表しても、到底信じられない。
神様の巡り合わせなんて言われても、到底信じられない。
それならば、納得できる理由は、ただ一つ。
「きっと、運命だったんだよ。僕とアスカは。」
その言葉に、アスカは夜空に向けていた視線を、ゆっくりとシンジに降ろす。
上気した顔で、ぼーーっとシンジを見つめる。
「・・・・・、シンジ、今、すごく素敵なコトを言ったわ。」
「そうかな。」
「うん。」
意外そうな顔をしているシンジの肩に、アスカが頭を預ける。
シンジ、あったかい・・・・・。
アスカはシンジに身を寄せるたび、感じる。
自分の心の鎧が、はがれていくことを。
自分の弱くて泣き虫な心が、さらされることを。
他人に心をさらすのは、絶対に嫌なこと。
アスカには、自分の繊細な心は、無碍に他人にさらすほど、安くはないと思う節がある。
しかし、シンジと二人きりの宇宙にいる時だけ、それを嬉々として受け入れることが出来る。
アスカの心の解放は、シンジにだけ許されている。
真に澄んだ心を持つ、シンジにだけ・・・。
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そうして、シンジと寄り添っている内に、アスカの心の鎧は徐々に溶け始めて行く。
「運命、かぁ・・・。」
か細い声で、アスカが呟く。
この世で一番、脆弱で美しい、ダイアモンドの心が、シンジの前だけに、さらされた。
「もし、シンジと出会っていなかったら、あたし、今頃どうなってたんだろ・・・。考えられないな・・・。」
その時の自分を想像しているのか、しがみついているアスカの腕が微かに震える。
「きっと、ずっと意地っ張りで、一生、ひとりぼっちだったろうな・・・。」
「そんなこと、考えなくていいよ。」
シンジは、力強く言う。
「あたし、シンジに捨てられないように、がんばるね。」
「そんなこと、しなくていい。」
シンジは、アスカを引き寄せる。
「シンジが自慢できるような彼女になるように、努力するから。」
「そんな努力、しなくていい。」
シンジは、アスカの両肩に手を回す。
「あたし、シンジの・・・」
「もういいよ。アスカ。」
シンジは、アスカを抱きしめた。
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「ダメね、あたし・・・。すぐに悲観的になっちゃう・・・。」
「悲観的だって、いいよ。僕が守る。」
少女の声は、呟き。
少年の声は、囁き。
「今が幸せ過ぎて、信じられないの・・・。怖いの・・・。」
「怖くない。僕がいる。」
「夢だったら、やだな・・・。」
「夢じゃない。僕が抱きしめてる。」
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「ねぇ、シンジ。あたしたち、これから、幸せになれるよね・・・?」
「なれる・・・・・。」
「どうして、分かるの・・・?」
アスカが、潤んだ瞳を、縋るようにシンジに投げかける。
シンジが、ぐっと、アスカを抱いている腕に力を込める。
「だって、僕が、絶対にアスカを幸せにするから。」
夜空の星が瞬く。
アスカの不安は、全て消え去る。
そう、シンジの言葉は、アスカの真実。
シンジのたった一言で、アスカの心の闇は、全て消し飛ぶ。
とても不思議な、おまじない。
「アスカを不幸になんか、させない。僕が、幸せにする。」
「・・・・・、シンジ・・・・・。」
「だから、泣かないで、アスカ・・・。」
「・・・・・、うん・・・・・。」
かすれた声でそう呟き、アスカはシンジの肩に顔を埋める。
溢れる涙が、止まらないから。
「あたし、信じたから・・・。だから、絶対、幸せにしてよね・・・。」
「うん。約束する・・・。」
第3新東京市の、イルミネーション。
満点の夜空の星々。
大きな、月。
二人の世界を包む全ての光源が、輝きを増す。
それら全てが、二人の未来を、明るい光と輝きに満たすように・・・。
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全ては、宇宙の片隅。
宇宙の片隅での、出来事。
二人の恋物語は、宇宙の片隅の出来事。
広大な大宇宙の片隅の、ちっぽけな、物語。
それでも、二人にとっては、宇宙なんかよりも大きくて、なによりも大切な出来事。
だから、誰よりも、二人の幸福を願おう。
宇宙の片隅で、誰よりも、分かり合える二人だから。
宇宙の片隅で、誰よりも、苦労を重ねてきた二人だから。
宇宙の片隅で、誰よりも、幸せになるべき二人だから。
だから、誰よりも、二人の幸福を願おう。
今日、宇宙の片隅で・・・。
(fin)
どうも、シンクロウです。
ここまで最後までお付き合い頂けた皆様、本当にありがとうございました。
この物語は今回で幕を閉じるわけですが、シンジとアスカの人生はこれからです。
皆様の中のシンジとアスカを、どうか大切に見守ってあげて下さい。
そうすれば必ず、二人は幸せになれるはずです。
それでは、また。
シンクロウでした。