頑ケン協賛SS
ケンスケのウインターバケーション
「ひょえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!こ、ここはどこじゃああああ!」
と、のっけからどこぞと分からぬ雪山の奥地で遭難しているケンスケ。
「ひぃいいいい!ね、眠くなってきた……。し、四肢も感覚がねええええ……。や、やばい……、このままだと本気で死ぬ……」
どうやら、寒さのあまり眠くなってきたようである。
さて、毎度の事だがケンスケがこんな目にあっているのはやはりゲンドウのワガママからであった。
ケンスケ遭難十日前。
「スキーと鍋が楽しみたい」
いつものポーズで、そう呟くゲンドウ。
「ほう、そういえばそんな季節だな。しかし、どこに向かう」
「案ずるな冬月。既に予約は済ませてある」
「そうか。では、私は関係者に連絡しておこう」
「ああ。それから、余興のために彼にも参加してもらおうか」
そう言って、赤く塗装された受話器を取るゲンドウ。
「ああ、私だ。計画『丙』を発動してくれ。そうだ。彼を捕獲するためだ」
『了解しました。これより、計画『丙』を発動します』
「うむ」
そう言って、電話を切るゲンドウ。
「冬月。準備はできた。そちらも頼む」
「わかった」
こうして、またまたゲンドウのワガママが実行されようとしていた。
「きょ〜もお〜れはトイレでお掃除〜。(♪)明日もトイレでおっそうじ〜〜〜〜!毎日毎日、塩素の匂いを嗅いでトリップできる今日この頃〜(♪)トリップして〜お花畑がみえるよ〜」
相変わらず、調子の外れた音程で歌を口ずさみながら帰り道を歩くケンスケ。
「ふ、ふふふふ……お、俺が何をしたああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!俺のどこが悪い〜〜〜〜〜〜〜〜!この、人類の未来を統治するべく生まれた俺様の何が問題だ!ふ、ふはははははは、そうかそうかわかったぞ。これは、俺の偉大さに嫉妬した神の謀略だな。くはははははははははは、だが無駄だ!こんな程度で俺の野望は潰えん!そうだ、世界は俺様によって統治されなければいけないのだ!ぐはははははははははは、大ケンスケ帝国に栄光あれ!ハイルケンスケ!ジークケンスケ!」
突然、気が狂ったのか道ばたで叫びだすケンスケ。
当然ながら、周りを歩く一般人の皆様は奇異の目で見ていた。
「ママ〜あれなあに?」
「見ちゃいけません。あれは、変質者ですよ」
あわてて、子供の手を引いてその場を立ち去る親子連れ。
だが、ケンスケの幸せな妄想タイムは呆気無く終わりを迎えた。
「相田ケンスケだな」
「うおっ!貴様は、ネルフ諜報部員!」
「任務により、これより貴様を連行する。さあ、ついてこい!」
「ふっ。毎度毎度、お前らに捕まるものか!喰らえ!」
そう言って、どこからともなく取り出したAKー47(もちろんモデルガン)を構えるケンスケ。
「ふははははは、どうだ驚いたか。これこそ、解放の証であるAK……」
『パン』
乾いた音と共に、ケンスケの頬に一筋の赤い線が刻まれた。
「へっ?」
「抵抗するなら、武力行使もこちらは辞さんぞ」
「ひぃ〜。う、撃ってきやがった〜」
ビビるケンスケ。
「さて、どうするかね」
「あううううううう……」
軽いショック状態にあるケンスケ。
「標的の沈黙を確認。これより、本部に連行する。作戦を移送段階に移行する。各員、スケジュール通りに行動せよ」
こうして、今回もまた拉致されるケンスケであった。
「へぇ〜、ネルフってこんな保養施設ももっているんだ」
と、シンジの腕に密着して感想を述べるアスカ。
ケンスケが拉致されてから数日後、ネルフの一同は保養施設に来ていた。
来訪地は、長野県の山間部にある雪山であった。
「そうだね。ところで、アスカはスキーなんかできるの」
「うーん、実はほとんどできない」
「意外だな。アスカなら、スキーも得意とおもったのに」
「残念ながらスキーは、私の守備範囲外ね。で、シンジは」
「少しならね。まあ、一般コースなら無難に滑れるよ」
「へ〜。やるじゃない。じゃあ、せっかくだからレクチャーしてよ」
「いいよアスカ」
そういって、スキーをしに行く両名。
「ふっ……若いな」
少し離れたところで、二人を見つめるゲンドウ。
ちなみに、ゲンドウも一応はスキーをするためにここに来ているが服装に問題があった。
いつもの、サングラスはいいとして何故か黒ずくめのスキーウェアに黒のスキーキャップでスキーやブーツも黒で固めていた。
さらに、周りにはゲンドウの護衛役と思われる黒服まで来ている。
まるで、やくざの慰安旅行一行にしか見えない。
おかげで、保養施設の近くにあるスキー場はネルフの関係者以外はみんな逃げ出してしまい、経営者は事務所の中で涙ぐんでいた。
「さて、諸君。今日は、日頃の疲れを癒すため大いに遊んでくれたまえ」
『はっ!』
「それでは、解散!」
解散の号令を受け、一斉にスキー場に散る黒服軍団。
「では、私も冬山を楽しむとするか……」
「うぉ〜い。ちょっと、待て〜」
その時、足下から弱々しい声が聞こえてきた。
「うん?なんだ?」
不機嫌そうに足下を見るゲンドウ。
「な、なんで、俺がこんな目にあっているんだ?」
そこには、何故かふんどし一丁で荒縄でぐるぐる巻きにされたケンスケがいた。
しかも、御丁寧に石座布団に乗せられ重石まで乗せられていた。
「その理由は簡単だ。お前には、本日の宴会芸人をやってもらう」
「そ、そんな事の為に俺はこんなめにあっているのか?」
「そうだ。まあ、旅費は我々が負担してやろう」
「それより、今直ぐ俺を解放しろ。もう、ネルフと関わるのはいやだ」
「残念だが、貴様にそのような決定権は無い。では、あと5時間ほど我々はスキーを楽しむので、その間に何かネタを考えておけ」
「ね、ネタを考えるも何もまずはこの状況をどうにか……って、人の話を聞け〜」
ケンスケの叫びも虚しく、そのまま放置するゲンドウ。
「ううっ……俺って一体なに……」
寒風に晒されながら涙ぐむケンスケであった。
数時間後。
たっぷりと、スキーを楽しんだ一同はお待ちかねの宴会場に来ていた。
「わぁ〜。豪勢ね」
シンジと腕を組んでいるアスカが感想を述べた。
浴衣姿が、なんとも魅力的である。
「そうだね。さすがに、ここまで料理は作れないな」
会場には、和洋中の料理が数多く並べられていた。
「さて、本日はビュッフェ形式で楽しんでもらう。日々、忙しく働いている諸君らに司令として心ばかりのもてなしを用意した」
『おお〜』
「では、楽しんでくれたまえ」
こうして、ネルフメンバーの宴会が始まった。
「いや〜、司令も粋な計らいよね。こうったイベントなら、毎月やるべきね」
飲んだくれ作戦部長ことミサト女史は御満悦のようである。
「おいおい葛城……いきなりビール瓶を5本もあけるなよ」
なだめる加持。
「ぬわにぃ言っているのよ。タダ酒にタダ飯とくれば、とことんいくしかないでしょう」
「やれやれ」
呆れる加持。
「碇。どうやら、皆たのしんでいるな」
「そうだな」
いつものポーカーフェイスで熱燗を飲むゲンドウ。
「ところで、ただ単に飲んでいてはつまらんぞ。何かネタでもあるのか?」
「無論だ。だが、今はこの宴会を楽しもうではないか冬月」
「それもそうだな」
あっさりと納得する冬月。
「ところで、シンジはどうしている」
「あそこで、惣流君と仲睦まじくしているよ」
そこには、一つのお膳を囲んで肩を寄せあう二人がいた。
「ねえシンジ……今日は楽しかったね」
「そうだねアスカ。でも、いきなりジャンプはダメだよ。派手に転倒したじゃないか」
「うっ……!だって、目の前にジャンプ台があったらから」
「全く……アスカの可愛い顔に傷がついたら大変じゃないか」
「大丈夫よ。それに、私の顔に傷がついてもシンジはお嫁さんにもらってくれるでしょう」
「もちろん!でも、アスカの顔に傷がつくのは嫌だよ」
「うん、シンジがそう言うならもう無茶はしない」
そう言って、シンジの腕に絡み付くアスカ。
なんとも、仲睦まじい光景である。
えっ、誰か忘れていないかって。
御安心を。
そろそろ、本命の彼を出しましょう。
「うぃ〜〜〜〜く。酒や肴もいいけど、そろそろ余興が欲しいわね」
完全に出来上がっているミサト。
「そうだな。なんか、芸でもあればいいな」
同じく酔っている加持。
2時間も飲み続けると、さすがに場が澱みはじめた。
「碇、マズイぞ。場が澱みはじめたぞ」
「問題ない。赤木博士、準備はいいかね」
隣にいる、リツコに話し掛けるゲンドウ。
「はい、司令。既に、準備は出来ております」
そう言って、席を立つリツコ。
「御会場の皆さん!これより、碇司令が主催の宴会芸を行ないます!本日の演目は、我がネルフ所有の世界に一匹しかいない珍獣ケンスケであります。皆さん、笑い声と共にお迎え下さい」
いつの間にか、バニーガールに着替えたマヤがマイク片手にアナウンスをしていた。
『わ〜わ〜』
『ひゅ〜ひゅ〜』
そして、台車に乗せられたケンスケが舞台に登場した。
ちなみに、格好は白いタキシードに蝶ネクタイだが恐ろしく似合っていない。
「ど、ども〜。相田ケンスケで〜す。皆様、今日は俺ちゃまの芸を楽しんでくださ〜い」
「前置きはいい!さっさと、なんかやれ!」
「おら〜酒はどうした〜」
「早くボケろ〜。突っ込め〜」
「では、始めに珍獣ケンスケによる舞台芸を行ないます」
と、マヤのアナウンス。
「そ、それでは……」
そう言って、おもむろにギターを取り出し奏でるケンスケ。
「お〜れ〜は〜碇。家事の天才、碇シンジ。今日も、葛城家で炊事や掃除をこなしているって言うじゃな〜い……。でも、あんたが一番得意なのはがさつ女とワガママ娘の世話ですから。残念!」
『ベベン!』
最後に、ギターをかき鳴らして締めくくるケンスケ。
だが、会場は一気に冷め上がった。
「ぐぉらぁああああああ〜!誰が、がさつ女じゃあああああ〜」
ブチきれるミサト。
「わあああああ、おちつけ葛城。ビール瓶は床に置け。それで殴ったら、さすがに洒落にならんぞ」
あわてて、羽交い締めにしてミサトを押さえる加持。
一方のケンスケは、鬼気迫るミサトの表情を見て舞台の隅っこでカタカタ震えていた。
「ひぃいいいいいい〜。やっぱり、このネタは不味いですよ赤木博士〜」
「大丈夫よ。オチがあるから」
「へっ?オチ?」
その時、誰かがケンスケの肩に手をかけた。
「ほへ?い、碇?」
「やあ、ケンスケ。なかなか、ふざけたネタだね」
表情こそ、笑っているが額に青筋が浮かんでいるシンジ。
「い、碇、どうしたんだ?あ、青筋なんか浮かび上がらせて」
「いや〜、なかなか最低なネタだったね。俺のアスカを侮辱してくれるとは」
よく見ると、左手にウォッカのボトルを持っているシンジ。
「い、碇……お前、もしかして……」
「そんなことはどうだっていいんだよ!覚悟はいいか!」
「はひぃ〜!?」
「鉄拳制裁!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラァ!」
「ぶべっぎゃああああああああ〜〜!?」
シンジに殴られ、宙を舞うケンスケ。
そして、ツイストしながら舞台板を貫き突き刺さるケンスケ。
「ううぅ……どうしてこんな目に……」
「全く。使えんやつだ。おい、そこの腐れメガネ。舞台の修理代は貴様が払えよ」
「しょ、しょんな……」
「赤木博士。計画に狂いが生じた。早急に、修正を頼む」
「了解しました。では、皆さん。これより、春の花見でも行ないました。珍獣ケンスケによる、火の輪くぐりを行ないます。前回より、パワーアップしましたメカを御堪能下さい。さあ、飛ぶのよ相田君」
「い、嫌です。また、ケシ炭になるのは嫌だ!」
「逃げる事はできないわよ。逃げたら、お注射するわよ」
「ひぃいいいいいい〜!お注射だけは勘弁を……」
「では、飛ぶわね」
「ふわぃ……」
涙を流しながら、渋々と用意をするケンスケ。
「それでは!珍獣の火の輪くぐりです」
「ちくしょう〜。やってやるぜ〜!」
ダッシュして、リツコ製のプラズマ火の輪マッシ〜ンに飛び込むケンスケ。
「マヤ、プラズマ放出を最大に!見た目を派手にするわよ」
「了解!ブラズマ放出最大」
マヤの操作により、最大出力でプラズマが放出された。
「へっ!?さ、最大放出って……ちょ、ちょっと待て〜」
だが、ケンスケの叫びも虚しく最大出力で放出されたプラズマがケンスケの体に絡み付いた。
「はびびびびびびびびびびびびびびびびびびび〜!プ、プラズマがああああああああああああああああああ〜」
全身まんべんなくプラズマが絡み、骨格まで透けて見えた。
そして、約10分ほどプラズマに焼かれたケンスケはケシ炭になって舞台にポテリと落ちた。
「わ〜、いいぞいいぞ〜」
「前回より、まんべんなくケシ炭になったぞ〜」
会場からは、ケンスケの不様な光景を見て歓喜の声が上がった。
「では、皆様。最後に、私の発明しました人間大砲を御覧ください」
そして、舞台中央から巨大な大砲がせり出してきた。
「なお、砲弾にはこのケンスケを使用します。マヤ、砲弾を装填して」
「はい、博士」
「や、やめろ〜。そんなんで撃ち出されたら、死んでしまう〜」
「大丈夫よ。理論上は、問題ないわよ」
「博士、装填完了しました」
「ご苦労様。では、発射!」
『ちゅど〜ん!』
爆音と共に、天高く宙を舞うケンスケ。
そして、そのまま夜の闇夜に消えていった。
「あら、威力が有り過ぎたようね」
「博士、どうしますか?」
「ま、いいんじゃないの。皆、ウケタようだし。司令、どうしますか?」
「問題ない。さあ、宴会を楽しむぞ」
こうして、ケンスケ抜きで宴会を楽しむ一同であった。
一方、ケンスケ閣下はというと。
「どびぃ〜〜〜〜〜。ここは、どこじゃああああ〜?」
どことも知れぬ雪山で遭難しているケンスケ。
しかも、付近からは獣の雄叫びまで聞こえてきた。
「わぁああああああああ〜。誰か、俺を助けて〜。このままじゃ、凍死しちゃうよ〜」
涙と鼻水を垂れ流しながら、助けを求めるケンスケ。
もちろん、こんな山奥のため誰一人としてケンスケを助けにくる人はいなかった。
その後、ネルフの面々がケンスケが行方不明になった事に気付いたのはそれから三日後であり、救助隊がケンスケを救助した時には半ば凍りついており緊急入院となった。
そして、一ヶ月後に退院して学校に復帰したとき担任から無断欠席を叱責され罰としてトイレ掃除をさせられる羽目になった。
(おわり)
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あとがき
え〜、お久しぶりです。
暗黒騎士ソードです。
いや〜、北海道は寒くて毎日がきついです。
今回は、ケンスケのウィンターバケーションです。
けど、バケーションじゃなくってサバイバルですね。
皆さんも、冬山にはくれぐれも注意してください。
では!
暗黒騎士ソードさんに投稿していただいた頑ケン協賛SS新作でした〜。
待ってましたの新作! どうもありがとうございます。
いやしかし、2005年になってもケンスケは相変わらずケンスケですね(w
やはりGehenには君が必要だよ。君なくしてはこのページは成り立たないよ。まぁ嘘だけどさ。
シンジとアスカのラブラブの踏み台にされ、リツコやゲンドウをはじめとするネルフメンバーのおもちゃとなっている閣下。
果たして彼に幸せというものが訪れる日はやってくるのでしょうか。
作者の暗黒騎士ソードさんに作品のご感想をっ!
感想は作家の元気の源、是非お願い致します。
今回もナイスな作品をどうもありがとうございました、暗黒騎士ソードさん!
次回作でのケンスケの活躍を楽しみにしております〜。
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