アイツは、私をつなぎとめる
 楔
 現実につなぎとめる
 楔






 いつからだろう、そうなったのは。

 いつからだろう。

 あいつが
 私の中でこんなに大きな存在になったのは。






 多分
 入院してたときに感じた、
 アイツの温もりのせいかも知れない。

 でも、理由なんてどうだっていい。

 私はアイツことが好き。









 いつもと変わらぬ朝

 いつもと変わらぬ
 アイツの笑顔
 私は、それを見て安心する

「おはよう、アスカ。」
笑顔で、アイツが私に挨拶をする。

「・ ・ ・おはよう。」
いつもと変わらず、そっけなく返事をする。
でも、心はとても揺れ動いている。
落ち着かずに、心臓が早く音を打つ。

「・ ・ ・顔、洗ってくる。」
私はそう呟き、洗面所へと走った。






 洗面所にある鏡に、私の真っ赤な顔が映る。いつもと同じ。

(こんな顔で、あいつの前に出られないわよ。)
そう思いながら、蛇口をひねり、その冷水で顔を洗った。






 いつも通り朝食を取り、アイツと一緒に学校に向かう。
和やかな雰囲気で私とアイツは、学校へ向かう。
お喋りはなく、ただ傍らにいるアイツを感じるだけで、私は良かった。
でも、アイツはそんな私を見つめながら、話題を振ってくる。
それだけで、身体が熱くなる。あの笑顔ほどじゃないけどね。

「でさ、アスカ。」
私の顔を見ながら、あいつは笑顔をみせる。

目が合う。
そして、私の心はまた落ち着かなくなる。
心臓の音が早くなる。

「そうなんだ。」
落ち着かない気持ちを、平然とした口調で隠す。
だけど、顔はほのかに桜色に染まってるんだろうね。













 アイツは楔

 私を引き止める楔

 アイツは、私のことどう思ってるのかな?

 好き?







 それとも







 嫌い?


 どちらにしても、私は伝えなきゃならない。
 この気持ちを。















 彼女は、弱い。
 だから、僕は彼女を守らなくちゃいけない。
 僕より脆いから。

 だから、この気持ちは押し殺そうと思う。
 その気持ちが、僕を現実にとどめる。

 彼女は、僕にとって楔。

 大事な楔。







 彼女と目が合う。
 僕は笑顔で彼女を迎える。
 いつも通りの返事が返ってくる。
 僕は、それでも嬉しかった。

 そして、彼女と目が合うだけで、  
心臓の音が早くなる。
 身体が熱くなる。







 いつも通りに朝食を済すませ、僕は彼女と家を出る。

 朝日が、和やかな雰囲気を作りだし、
 小鳥のさえずりが聞こえる。
 とても気持ちのいい朝。
 そして、僕は彼女との話題を探す。
 彼女はいつも通りの返事を返す。
 そして、僕もいつも通りの笑顔を彼女に返したときに、ふと目が合う。


 彼女は少し目をそむける。
 僕は、顔を染め同じような仕草をした。

(・ ・ ・話題を探さなきゃ。)
落ち着かない心で、僕は話題を探す。





 彼女は脆く儚い

 だから、僕は彼女を守る。

 だけど
 彼女は、僕のことどう思ってるのかな?

 好き?





 それとも





 嫌い?

 どちらにしても、僕は伝えなきゃならない。
 この気持ちを。















 二人っきりの夜。

 ただ聞き流すために着けたテレビ。

 僕はお茶をすすっている。

 私は虚ろな目でテレビを見つめる。

 いつも通りお茶の味がわからない。

 テレビの内容が頭に入らない。

 落ち着かない心。

 揺れ動く心。

 伝えたい。

 でも

 拒絶されるのはいや。

 だから伝えられない。

 だけど、

 伝えなきゃならない。

 気持ちを確かめたいから。







 私は大きく息を吸い込む。
そして立ちあがり、台所にいるあいつのそばに歩み寄る。



彼女が決意のこもった目で、僕を見つめる。

「なにアスカ。」
僕は、心を揺らしながらそう彼女に聞く。


(・ ・ ・言葉が出ない。)

足が震える。身体が熱い。心が落ち着かない。音が早く打つ。


「・ ・ ・どうしたのアスカ。」
僕は、彼女にそう聴く。


唇をかみしめる。
その行動で、ありったけの勇気を掘り出そうとして。
口が開く。だけど、声が出ない。
(・ ・ ・伝えなくちゃ。)


「・ ・ ・どうしたのアスカ。」
もう一度僕は彼女に聞く。








「・ ・ ・シンジ。」

「なに。」

(・ ・ ・伝えなきゃ。)
「・ ・ ・わ。」

(ほら、早く。)
「わ、わたし。」

(早く・ ・ ・伝えなきゃ)
「わたし、あ、あな。」

(・ ・ ・もう少しよ、アスカ。)
「アンタのことが・ ・ ・。」





 不意にアイツが立ちあがる。
私は驚き、頭が真っ白になった。


(僕は、わかった。彼女が何を伝えようとしたのか。)


「・ ・ ・なにも、なにも言わなくていいよ、アスカ。」
僕は笑顔でそう微笑み、彼女をゆっくりと包み込んだ。





 その瞬間、私の身体が震える。怖いわけではないの。








 嬉しかったから。








そして、テレビの音だけが漏れるその家の中で、私の頬を
暖かいしずくが伝う。














 僕は、彼女を一生守り抜こうと決めた。
 彼女の気持ちを知ったから。
 僕も、
 彼女の気持ちと同じだから。














 こいつは楔。

 私を包み込む、暖かい楔。

 こいつは楔

 私を現実にとどめる
 永遠の楔。



 こいつを好きになって良かった。














 だから
 私は頬を染める。

 こいつも同じ顔。

 そして、見詰め合い。
 重なる吐息で、
 これからの誓いをたてた。

 一生の誓いを。


 fin


後書き  こんばんは、えびさん。
 祝、三十万ヒット!!
 おめでとうございます!!
 短めですがこれにて。

1月9日

 バイトの終わりに。

チャットでお知り合いになったTODOさんに当ページ30万ヒット記念として贈っていただいた、「楔(くさび)」でしたっ!
うう、すげー嬉しいです! どうもありがとうございます!!

TODOさんからの投稿メールをありがたくいただき、わくわくしながらこの作品を見てみると……タイトルは「楔」。
珍しいタイトルだなぁと思いつつ作品を読むと、なるほど! 納得です。
シンジはアスカを、アスカはシンジを繋ぎ止める「楔」
大切な大切な、お互いを現実に繋ぎ止める「楔」。うう、物凄く上手い表現ですね〜(^o^
アスカのシンジに対する気持ちも可愛いですね〜。これぞLASって感じです(笑)


素晴らしい作品を投稿してくださった作者のTODOさんへ是非感想のメールを!!
そしてTODOさんのページはこちらです!
 「狂奏曲 」

シンジとアスカのパートを青と赤で色分けしているのも効果的ですね。さすが上手いなぁ。
素晴らしい作品を本当にありがとうございました!
またチャットしましょうね、TODOさん(^o^



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