THE WIS
PRESENTS 〜暗い空にまた陽は昇る〜
Episode10: Candlelight to burn.
第10話 時には昔の話を
目の前には、窓ガラスが割れて破片が飛び散って、至る所がきらきらと光っている自分の部屋。
窓ガラスをも割る爆風のせいで、元から散らかってた部屋が更に酷い状況になっている。
床に散らばるクッションやスナック菓子の袋、ファッション雑誌。
何でアタシの部屋だけこんなに酷いわけぇ!?
誰かが、物色したんでしょ!!もー!!!
「・・・はぁ・・・これじゃ持って行きたい物を探すのも精一杯だわ。」
ため息混じりに呟いて、ガラスの破片で手を切るのを防ぐために持って来た手袋を両手につけて、作業を開始する。
ん?
アスカは叩きつけられて壊れている目覚まし時計をどけて、その下にあるノート位の小さな本を手に取った。
"ALBAM Souryu Asuka Langrey September 2015 -
"
アルバム?
そういや、これはミサトが誕生日のプレゼントだって渡してくれたもの。
アタシがここ、日本に来てからの写真が入ってる。
ミサトや加持さん、相田のバカが撮った写真もあるが、明らかに監視カメラや諜報部が撮ったと思われる写真なんかもある。
例えば、シンクロテスト中に居眠りしてた時の写真とか。
ここまでくれば職権乱用だが、別にこれはこれで良い。
最初の一枚は、オーバー・ザ・レインボーの甲板で仁王立ちしてピースするアタシ。
その次が、シンジの手を引っ張って弐号機のある輸送船に連れていくアタシ。
そして、まったく同じポーズで写ってるアタシとシンジとペンペンの、ユニゾンの時の写真。
アタシがシンジに腕を掛けておちょくってて、後ろの方にはミサトがビールの空き缶の山を作ってる、浅間山の温泉の時の写真。
いつかは解らないけど、シンジと一緒にテレビ見てるところを加持さんに撮られた写真。
他にも本の半分近くに写真が張ってある。
でも、途中からプッツリと途切れた。
理由は分かっている。
シンクロ率が下がるにつれて、アタシは心を閉ざした。
それに、状況が悪化し写真どころではなくなったというのもある。
そういや、誕生日のプレゼントと言えばシンジはアタシが欲しいって言ってたネックレスくれたんだっけ?
あ、あのネックレスどこよ?
急に思い出して欲しくなったアスカは自分の部屋なのに、手当たり次第引き出しを開けて探すアスカ。
まるで泥棒のような探し方だが、それだけ大事なものなのだろう。
・・・
ジオフロント内・ネルフ本部
第二発令所
大きな発令所の正面の画面と投影式のディスプレイが、第3新東京市とジオフロント内の再建工事の進度を映し出している。
被害規模別に色が分けられ、吹き飛んだ市街地の中心部から山間部まで赤、橙、黄、緑といった感じに広がっている。
山間部の近くは黄色や緑と、被害は酷くはないものの、第3新東京市の殆ど大部分がレッドゾーンだ。
「赤木博士。葛木本部長に報告しなくても宜しいのでしょうか?」
日向が、ミサトにフィフス発見の報告をしないリツコに不思議そうに尋ねる。
「いいわ。あのミサトが部屋の片付けをしているのよ?このチャンスを潰したら、あと半年はしないでしょうね。」
きっぱりと、返すリツコ。
毒入りで。
ネルフ有数の毒舌家兼皮肉家、赤木リツコ博士だ。
毒が入らないわけは無い。
「た、確かにそうですね・・・しかし良いんでしょうか?」
まだ、納得できない日向が、一応の確認を取る。
「ミサトに副本部長として、不在時は一任されてるのよ」
リツコはこれもさらっと受け流した。
「不在って言っても、本部内での所在が判明してますし・・・」
それでもしっくりこない日向。
「日向君。あなた、ミサトの部屋からゴミが溢れたら真っ先にあなたの部屋がゴミで汚染されるのよ?それでもよくて?」
ミサトの部屋は、既に歩く所が無い、踏む床が見えないという状況で、キッチンなどはゴミで埋もれていたりする。
その隣の部屋の日向のところに流れ込んでくるのも時間の問題。
日向にとって重大な問題だ。
「は、はい!そうですね・・・そうですよね。」
この一言で納得し、リツコの言う事が一番自分にとって安全である事を自覚した日向だった。
・・・
一方シンジの部屋では・・・
元は物置のシンジの部屋は、窓がないためか最後に部屋から出た時から、全く変わっていなかった。
机の上においてあるノートパソコン、教科書の類、SDATのカセット。
片付けをする必要の無いシンジは、さっさと制服やカセットなど必要なものの類をバッグの中にいれて、ベットに根っ転がりぼーっと天井を見ていた。
第3新東京市に来てからの事を考えていた。
いろいろ嫌な事もあった。
つらい事も悲しい事も、いまとなっては懐かしい思い出の1ページとなっているのかも知れない。
それでも、レイの死やカヲルを握り潰した事など、思い出したくも無い事はいくらでもある。
「シンジ〜!お片付けは終わったかなぁ〜?」
扉を開けて入ってくるアスカ。
満面の笑顔だが、実際は絶望的な自分の部屋の掃除を諦めて、かわりにシンジにやってもらおうと思って来たのだ。
「まぁまぁかな。そこまで、散らかってなかったし。」
ベットから、上半身だけを起こしてアスカの方をむきながら話す。
固まるアスカ。
「あ、アスカ?どうしたの?」
なんか、言っちゃ悪い事いったかな・・・?
「あーもう!!!なんでなのよー!?なんで、バカシンジの部屋がこんなに奇麗でアタシの部屋がぐっちゃぐちゃなのよぉ〜!?むかつくぅーー!!!」
いきなり大声で怒り出すアスカ。
「そ、そんなこと言われても・・・ほら、アスカの部屋は窓側だから爆風とかの関係で・・・元から散らかってたけど・・・」
少しおどけた表情を見せるシンジ。
「んなの、どーでもいいわ!!シンジ、アタシの部屋、片付けときなさい!!」
ビシッっと指でシンジを指して、命令する。
「えー!?なんでだよ!アスカは部屋に入ったら殺すとか言ってたじゃないか!」
「今回は特別にアタシが許す。さっさと掃除しなさい!!」
明らかに嫌そうな顔をするシンジに、アスカは少し悪かったかなと思ったが、あの部屋を片付ける事が出来るのはシンジだけだと言う結論に変わりは無かった。
「そんなぁ・・・わかったよ・・・」
「うっれしぃー!!ありがと、シンジ!それでこそアタシの未来のお婿さん♪愛してるぅ〜!」
「え?」
いま、”未来のお婿さん”って・・・
まさかぁ、冗談でしょ?
アスカがそんな、アホなぁ・・・
「なーんてね!冗談よ冗談!からかってあげたんじゃなーい!じゃあ、アタシはこの部屋にいるから、終わったら来ても良いわよ!じゃあねー!」
そう大笑いしながらウインクして、シンジの部屋のベットに座るアスカ。
でも実は顔が赤かったりと、まんざらでもなかったりする。
そこに気付かないのも、シンジらしさなのだろう。
シンジはため息をつきながら、アスカの部屋の扉を開けた。
・・・絶句。
これは、爆風以前の問題だ。
元々、ミサトの部屋レベルに汚かったのだろう。
ものすごい状態だ。
流石に中学生としては屈指の主夫、碇シンジもこれをどう片付ける術は浮かんでこなかった。
そして、考える事約3分。
やはり、この状況は少しずつだが確実に片付けてゆくしかないと言う結論に達して、仕事に入った。
さて、どうしたものか・・・でも、手袋を持って来て良かったな。
えーっと・・・この雑誌は、マガジンラックにいれて・・・
学校のバックは机の上。
壊れたノートパソコンも一応、机の上に置く。
にしても、凄い壊れ方だ。
叩きつけられた面が完璧にひしゃげて、ゴチャゴチャな中身の基盤が見える。
で・・・っと・・・・・・?
スナック菓子の袋を掴もうとしたシンジの目に、白いものが目に入った。
ま、まさか・・・
恐る恐る、手にとって見る。
アスカの・・・下着・・・だ・・・
恐る恐る周りを見渡す。
もっとも、アスカがこの部屋にいる事は無いのだが。
シンジはその”ブツ”をよく見はじめる。
どう考えてもアスカの、下着だ。
実際、自分が洗濯機で洗ってたのだが、こうも部屋に落ちてると、どうも変な方向にいってしまう。
ガラッ!!
いきなり扉が開く。
入ってくるアスカ。
とっさに下着を隠すシンジ。
ざっと0.5秒程度の動作。
「シンジー?あの茶色のタンス、中身見たらぶっ殺すわよ。ん?どしたの?」
「い、い、いや、な、なんえもないよ。あ、アスカ。」
「そのおどおどした態度、なんかあるわねぇー?」
アスカはどちらかと言うと、楽しんでるような顔で聞いてきた。
「い、いや、なんにもないよ。ね?」
出来るだけ平静を保ち、何も無かったような顔をしたつもりだが、そんなものがアスカに通用するわけは無い。
「背中に隠してる物出しなさいよぉ〜!」
アスカがシンジに抱き着くような勢いで迫る。
驚いた僕は・・・ブツをはなして・・・しまった・・・
「あ、なにこれ〜?・・・って、アタシの下着じゃない!?あんた、まさか、盗んだの!?」
楽しそうだった顔から一転、怒りとj恥ずかしさで顔を真っ赤にするアスカ。
「そ、そんな訳ないよ!そ、そこに落ちてたんだよ!」
必死に弁解し、無罪を主張するシンジ。
「ふぅーん・・・で、なんで私にすぐ言わずに隠してたりしたのかなぁ?被告人碇シンジくーん?」
ぐっ・・・最初から被告人か・・・
「だ、だって、アスカに・・・怒られると思ったから・・・」
「いまでも、おこってるけど?なんで、隠したのかなー?」
「・・・それは・・・」
何も浮かばない。
アスカに怒られると思ったから、とっさに隠したのだ。
「ま、いいわ。無罪放免にしてあげるわよ。」
「よかったぁ・・・」
心と体に広がる安堵感。
ビンタ一発じゃすまないだろうな、と覚悟を決めようとしていた所だった。
「昔はシンジが洗濯してたんだし、今更って感じよね〜?」
こんどは、笑いながらとんでもない事を言ってくる。
「そ、そんな、僕はなんにも・・・」
「はいはい。許してあげるから。その代わり、晩ごはんでラーメン奢るのよ!それより、早くお昼食べない?」
いままでの、経験上ラーメンで済んだことは、奇跡に近い。
お小遣い無しの財布にはきついがここは無理して頑張るしかないのだと思うと、また一つ欲しいCDが羽を生やして遠くに飛んで行くのが見えた。
「うん・・・」
目の前にあるコンビ二弁当。
リニアレールに乗る前にネルフ内の売店で買った物だ。
前にも忙しい時には、コンビに弁当を買って来てたりしたが、これがなかなか美味しかったりする。
「シンジ、唐揚げ頂戴〜!」
シンジの返事など、聞かずにシンジの分の弁当から唐揚げ2つをとってくアスカ。
「あ!なんでだよ!」
「唐揚げくれないと、あたしの下着を隠して変な事やってたって、ネルフ中に流すわよ?」
ミサトさんはもちろん、リツコさん・・・それに、父さんにまで、こんな嘘が広まったら・・・
そんな想像をして、寒気がして来たシンジ。
「・・・あげるよ。」
「サンキュー♪」
アスカの口に入ってゆく、2つの「僕の」唐揚げ・・・
でも、そんなアスカの顔を見ていると唐揚げなんて、どうでも良くなったりするのが少し嬉しかったかもしれない。
・・・
ネルフ本部・ミサトの部屋
「はぁあ・・・さすがにこりゃヤバイかしら・・・」
何百本もの空き缶に、レトルト食品のゴミ、ネルフの書類、その他色々でゴミだめとなった、ネルフから支給される1LDKの自分の部屋を見渡すミサト。
既に、床すら見えなく、足の踏み場すらない。
常人の仕業ではない事くらいは分かる。
「・・・まずは、一つずつ片付けるしかないのかしらねぇ・・・」
ため息混じりに呟くきながら、ビールの空き缶を一つ一つゴミ袋へ入れていくミサトだった。
「もうすぐ、時間なのにねぇ・・・やっぱり、掃除なんてやるもんじゃないわー・・・」
・・・
コンフォート17マンション
あ・と・が・き!
2007/4/30 BY WIS
・・・遂に10話目で第1部終了・・・なんとなく、やってしまった的な気持ちが(汗
にしても・・・このごろは文章表現の上手な作者さんが続出だなぁ・・・!
ってワケで、「脱駄文」をスローガンに掲げて第10話で表現に凝ろうとしてたり・・・←ムリムリ(汗
でも、これでも、意外と頑張ってるんですよ(笑
第10話は第6話を抜けば、一番LASが多いかな・・・
うーん・・・まぁ、いいや(笑
ながったらしく後書きを書くのもアレなのでここらへんで・・・
いろいろと(そして、これからも)ご迷惑をおかけした、管理人のえびさん。
こんな駄作に感想メールを送ってくださった、読者の皆様。
本当にありがとうございます!感謝です!!
そして、これからもよろしくお願いします!!
でわ!アディオス!!(笑
Thank you!!
ご意見、ご感想、大歓迎です〜!!メールをくださったら感謝です!!
(メールは即日返信のつもりですが、作者の事情により2、3日遅れるかもしれません。)