使徒との戦いは、とりあえず終わった。
セカンドチルドレンとして戦っていたあたしも、もうエヴァで戦うことは無いだろう。
と言っても、後半はあたしは何の役にも立っていなかったけど……
とにかく、もう使徒は来ない。
一時期、空っぽになってベッドで寝たきりだった時期があるらしいけど、正直私は良く覚えてない。
ただ、目覚めて一番最初に見えたのは、共にパイロットとして戦った……シンジの顔だった。
毎日通っていてくれたらしく、その後も退院するまで欠かさず毎日来てくれた。
その想い、優しさに……強く、強く惹かれていった……。
そしてやっと病院からでて、シンジとの生活に戻れる。
……そう信じていた。 のに。
「……弐号機パイロット、お茶入れて」
「なんでアンタと同居なのよぉーー!」



そして、新たな生活
〜アスカとレイと始まる生活〜



元凶は、どうやら碇指令らしかった。
なんでも、「レイにも歳の近い友人がいた方がいいだろう」と言う意見でこうなったらしい。
場所はミサト&シンジの部屋のちょうど真下にある部屋だった。
もう荷物も移動完了していて、戻ることはすでに不可能。
ご丁寧に、その他にも必要になるであろう家具は一式そろえられていた。
あぁ……シンジとの生活がぁ……
「お茶」
「うるさいっ! そんなもの自分で入れなさいよね!」
「……」
とりあえず怒鳴っておくと、ファーストは渋々といった感じでお茶を入れ始めた。
あれ、カップが2つ。 あたしの分も入れてくれるのかな? いいとこあるじゃん……
「……はい」
「ん、どーも、って何よコレ!」
「お茶」
あたしのカップには、深さにして1cm足らずほどのお茶しか入っていなかった。
量が少ないため、入れたばかりだと言うのに完全に冷め切っている。
「……こ、この女は……」
なんてイヤな奴……
「そうだ」
「何よ!」
「……家事の分担」
「そのくらい、アンタ1人でやりなさうぐぇ」
「……」
「げほっげほっ」
ファーストの手刀が、あたしの喉を直撃した。
な、なんてえげつないコトをするのよこの女……
「分担するの」
「あぁっわかったわよ! げほっ、やればいいんでしょ!」
「そう、やればいいの」
「うぐぐ……」
なんてやりにくい奴……
ここはやっぱり……
「……フン、まあいいわ。 なんてったって、これからは家族になるんですものね。 そのくらいはやってあげるわよ」
強気に出るに限る。 
「私、碇君と一緒がよかった」
「えぇーいうるさいっ! あたしだってそっちの方がよかったわよ! とにかく!」
指先をビシッと突きつけて、
「家族なんだから、ちゃんと名前で呼んでよね! 『アスカ』って! 『弐号機パイロット』なんて呼んだら許さないわよ!」
「……名前」
「そうよ、いいわねっファースト!」
「……。 わかったわ、セカンド」
「……」
「……」
「いい性格してるわね」
「お互い様」


碇指令が、「同い年の友達との共同生活」って言ってくれた。
碇君と一緒だと思っていた。
でも、現実は弐号機のパイロットが相手だった。
だけど、今日から家族。 赤木博士が言うには、まず家事の分担を決めなくてはいけないわ。
弐号機パイロット。
名前、惣流・アスカ・ラングレー。
性格、凶暴・粗暴・乱暴。 むしろラ○ボー。
性質、(碇君と)混ぜるな危険。
家事能力、無能。
……ダメね、使えないわ。
「ちょっとファースト! 今すっごい失礼なこと考えたでしょ!」
……何か言っているわ。
でもとにかく今は、冷めないうちにお茶を飲みましょう。
「こらぁ! 無視すんじゃないわよ! 家事の分担決めるんでしょ!」
……うん、美味しい。
これは、料理は私が覚えるしかないみたい。
「ファーストッ! ……あぁもう、名前で呼べばいいんでしょ! レイ! 聞きなさいよ!」
……そういえば、碇君が前に、雑巾をしぼる私をお母さんみたいだって言ってくれたわ。
2人目から受け継いだ魂がそう言ってるもの。お掃除も私がやるしかないのね。
「いーかげんにしないとうぐぇ」
……うるさいから、ちょっと黙っててもらったわ。
絞るといったらお洗濯も、でも全自動でやってくれるみたい。 お洗濯は除外ね。
「あ、アンタ……げほっ、げほっ」
「アスカ」
「え、な、なによ?」
「あなた、お洗濯とゴミ捨て」
「な、なんでよ!」
「……お洗濯は全自動、後は干すだけ。 ゴミ捨ても外に捨てに行くだけ。 お料理とお掃除より簡単だわ」
「え? ……そ、そう言われればそうね……うん、じゃそれでいいわ。 アンタ、結構いいとこあるじゃない」
「そんなこと無いわ」
……クス、単純。


なんとも言えない黒い何かが引っかかってるような気がしたけど、とりあえず家事分担はレイの采配で決まった。
あたしは空っぽになったカップに、自らお茶を入れた。
新生活を始めるにあたって、シンジが買ってきてくれた緑色のお茶。
……うん、おいしい。
やっぱり、シンジが買ってきてくれたものだから、実際の何倍も……
「アスカ」
「なによ、せっかく人が浸ってるときにうるさいわね……」
「愛してるわ」
「ぶはっ!?」
「……」
「げほ、げほげほっ!?」
レイのとち狂った一言が、喉を通り抜けかけていたお茶を吹き戻す。
……半分くらい鼻の方に逆流した。
「げほっ、あぁ、アンタ、何を急にっ」
「冗談よ」
「……」
「小粋な冗談で場を和ませる。 それはとてもとても大切なこと……」
「こ、この……」
いつかはり倒してやる……
「お茶、美味しいわ」
……完全に無視してくれるわね。
「そういえば、アスカ」
「何よ、またくだらない事言ったら殴るわよ」
「碇君のこと」
「えっ、シンジ?」
シンジの話だったら、そうそう聞き逃すわけにはいかないわね。
「あなたも、聞いてるでしょ。 私のこと」
「え」
レイのこと? それってつまり……
「ええ、私が……碇君のお母さんのコピー、クローンだと言うこと」
「……聞いてるわよ」
そりゃ最初は驚いたけど。 でも、そんなコトどーってことないじゃん、って言っておいた。
やっぱり、本人は気にしてるんだ……当然よね。
「だから、碇君と私は、遺伝子の情報の上では、ほぼ親子と言うことになるの」
「……そうね」
「つまり、私と碇君は……1親等……兄妹として見ても、2親等……」
そっか、わかってるんだ……それで、自分は手を引こうって……
「禁断の関係の背徳感に燃えるのもありだと思うの」
「……」
……やっぱりはり倒すわ……むしろ、今、この場で……!
「アスカ」
「なによ!」
「もうすぐ夕食の時間」
「……作るのはアンタの分担でしょ?」
「ええ、でもまだ覚えてないわ。 食べられそうな物、探してくる」
そう言うと、レイはキッチンに消えていった。
……逃げられたような気が。


冷蔵庫の中には、すぐに食べられそうな物はなかった。
次はこっちの棚。
いろいろ漁ってみると、カップのラーメンがたくさん出てきた。
碇君が買ってきてくれた袋ね。
……これを食べるしかなさそうだわ。
お湯を沸かし始めるとすぐ、カップを開け始める。 ……この線までお湯を入れればいいのね。
「レイー! 何かあったー!?」
背後から荒っぽい声が聞こえてくる。 私の声では、きっと届かないわ。
「……」
手を伸ばして、カップラーメンが見えるようにしてみる。
「それ、シンジが買ってきたヤツよねー? そうだレイ、せめて一工夫しなさいよね!」
「……」
「これから料理やるんだから、それくらい出来なきゃねー!」
「……」
無責任な言葉が返ってきた。
……でも、確かにそうかもしれない。
碇君が買ってきてくれた物の中に、確か調味料がたくさんあったわ。
……この赤い液体は何?
でも、赤は弐号機のカラー。 入れたら、きっとアスカも喜んでくれるわ。 試しに、少しだけ……
……辛い。
「まー、アンタの腕じゃ大して手も加えられないでしょうけどねー!」
「……」
そう、いっぱい工夫して欲しいのね。ちょうどお湯も沸いたわ。
お湯を線まで入れると、
「……」
とりあえず、赤い液体の瓶を垂直にしてみた。
……真っ赤。
きっと喜んでくれるわ。 あと2分30秒。
「……」
お箸を用意したりしていると、ちょうどいい時間。
「……はい、アスカの分」
「フン、まあカップラーメンなら誰でも……って赤いわね、妙に……」
「……アスカには赤が似合うわ」
「あっそ……ありがと。 じゃ、いただきまーす」
「いただきます」
うん、美味しいわ。 『すりゴマ』ってのを入れてみたの。
目の前でアスカが悶えてるけど、今はこのラーメンを満喫するの。
え、何か飲みたいの? はい。
熱いお茶を手渡してあげる。
「……やっぱりラーメンは美味しいわ……」
共同生活1日目。 とても平和。




あとがき(?)
久々に書いたSS。
かなり短めですがー。
長く書いてないとダメですねぇー
LASどころかシンジすらまだ出てきてませんが、まあ続編で……でしょうか?
2人の性格が妙に歪んできているような気がしないでもない……



Gehenに初投稿してくださったロウヨウさんの「そして、新たな生活〜アスカとレイと始まる生活〜」でしたー。
どうもありがとうございます、ロウヨウさん!

使徒殲滅後の平和になった世界をベースにしたお話しとなっていますこの作品。
共に同じ部屋で生活することとなったアスカとレイのやりとりに爆笑してしまいました。
ボケのレイとツッコミのアスカといいましょうか、とにかく漫才のような会話で面白すぎ(w
今後の展開はシンジをめぐって、女のバトルなんかも繰り広げられたりしちゃうんでしょうか。
うー楽しみです!

 作者のロウヨウさんに是非御感想を!
 どんな事でもいいんです。作品を読んで感じた事を作家さんに伝えましょう!




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