相談したいこと  Bパート

By:夢見る漂流者





【惣流家・アスカの自室】

アスカがお風呂に入って、シンジは所在なくベットに腰掛けて部屋中を見回していた。
そして、二人がまだお互いをそれほど意識していなかった頃に幾度となくこの部屋で遊んでいたことを思い出していた。





その頃、シンジはいつも当たり前のようにこの部屋に来てアスカと過ごす時間を楽しんでいた。
学校が終わるといつも二人は一緒に帰ってきて、そのままこの部屋で宿題したり、おやつ食べたり、雑談したり、マンガ読んだり、時には喧嘩したりもした。
それはユイとゲンドウの帰りが遅く、シンジが家に帰ると1人になってしまうのをキョウコが心配し、二人が帰ってくるまではアスカと一緒にいるようにとシンジに言ったからだった。


ある時キョウコは買い物に行って、二人のためにケーキを買って来たことがあった。
そして、二人を呼びにアスカの部屋をのぞくと、シンジの膝に上に頭をのせて眠るアスカの姿があった。

「あれ、アスカちゃん寝ちゃったの?」

「はい。今日はなんだか疲れていたみたいで。」

「そう。……ふふっ、アスカちゃんの寝顔、可愛いわね。」

「はい。僕もそう思います。」

そう言って、アスカの髪を手で梳いてやるシンジ。
すると、「うぅん。」と甘えた声を出して気持ちよさそうな顔をするアスカ。
キョウコはそんな二人の姿を嬉しそうに見ている。

「シンジ君。今ケーキ買ってきたんだけど……どうしようか?」 

「アスカが起きるまでこうしていたいんですけど。それまで待っていてくれませんか?

「もちろん、いいわ。……でも、シンジ君疲れない?」

「いえ、大丈夫です。」

「そう。それじゃアスカちゃんをよろしくね。」

「はい。」




だが、そんな風に過ごすことが当たり前の日々は過ぎ、いつの頃からかそういうことが気恥ずかしいと思うようになっていた。




先にそうした意識の芽が生まれたのはアスカだった。
思春期を迎えるとともに環境の変化も手伝って、アスカは自分が「女性」であることを意識し出したのだ。
例えば、それは毎朝下駄箱に投函されるラブレターの数々、休み時間の親友に持ちかけられた相談、体育が終わった後の更衣室での羨望の眼差し、放課後の一緒に帰ろうという男子生徒からの誘いなどであった。



しかし、シンジはどうしてアスカがラブレターを貰うようになったのか、分からなかった。
そこで友達になった相田ケンスケと鈴原トウジの二人に訊いてみることにした。

「ねえ、どうしてアスカってあんなにラブレター貰ってるのかな?」

「ん?そりゃ簡単なことだよ。ラブレターを出すヤツが大勢いるからさ。」

「そんなことは分かるよ。でもさ、なんでアスカばっかり貰うのかな?」

「それも簡単なことや。惣流はもてるからに決まってるやろ。なんやゆうたかて、あない美人はそうそうおらんからな。」

「そうそう。学年問わずウチの学校でトップ3には必ず入ってるよ。」

「そやな。」

「そうなんだ。」

「なんだよ、シンジ。そのリアクションは?」

「そや。シンジはあの惣流が唯一呼び捨てにしてる男なんやで。……まさかあない近くにいて気づかなかったわけ無いやろな?」

「そりゃ、アスカは可愛いとは思うけど……。」

「けど…?何だよシンジ、納得できないっていうのか?」

「そういう訳じゃないけど……。」

「まあ待てや、ケンスケ。シンジはまだまだお子様なんや。せやから、惣流の魅力がわからんのや。」

「そうだよな、トウジの言う通りだよ。でも…まあ、焦るなよシンジ。女っていうのはいろんな意味で成長が男より早く進むらしいからな。今は気づかなくてもいつか分かるようになるさ。」




そう、ケンスケの指摘通りアスカは身体的にも精神的にも成長著しかった。自分が魅力ある女性であることを自他ともに認めるようになっていったのだ。そして、それは様々な自信に繋がっていく。

例えば、外見に対する自信。
毎朝シャワーを浴びるようになり、身だしなみは時間をかけて念入りにするようになった。
制服は折り目正しく、下着も少し大人っぽいものにした。
微かに薫るコロンの香りも身に付け始めた。

例えば、いまだ子どもっぽい幼なじみに対する自信。
自分の方が身長も少しばかりリードし、制服の袖の余る着こなししかできない体格がとても幼く感じられた。声もまだ変声期を迎えず、少しも変わらない。
自分はこんなに異性にもてるのに、ラブレターの一つも貰ったことがない。
なにより自分がいないと何もできない。



アスカはシンジと一緒にいることが多かったが、それは自分がシンジと一緒にいてやるんだというシンジに対する優越感をくすぐることでもあった。だから、いつも命令口調でシンジに接していた。
いつしか、シンジはアタシの言うことを聞くのが当たり前なんだと思うようになっていた。




だが、これもまたケンスケの指摘通りアスカに遅れほぼ1年が過ぎた頃、シンジの身体面、精神面の成長が著しく顕れた。

身長はあっという間にアスカを追い越し、180近くまで伸びていた。顔付きもユイの遺伝を引き継いでいるのか、中性的な魅力を兼ね備えながらも精悍な顔付きになった。体格も入学時から所属しているバスケ部での日頃の練習によりスピード感のある動きのとれるしなやかな筋肉質の体付きになった。
そして、それまではあまりアスカ以外の女のクラスメイトと話すことの無かったシンジも、偶然隣の席に座ったアスカの親友の洞木ヒカリと話をするようになって、徐々に他の女の子とも話すようになった。



ところが、そんなシンジに対し好意を持つようになったクラスメイトがいるということ、また、バスケの練習を見に体育館に足を運んでいる女の子もいるらしいということを最初にヒカリから聞いた時、アスカは一笑に付した。

「えーー、なんでシンジなんか見に行くの?」

「そんなこと私に言われても……。でもさ、この頃碇君カッコよくなったんじゃない?」

「確かにアイツ、背は伸びたけど、他はそんなに変わってないよ。いつもボケボケッとしてるし。」

「うーん、アスカはいつも一緒にいるから気づかないんじゃないかな。ほら、あまりに近すぎると逆に見えないこともあるでしょ。」

「ヒカリ、いつも言ってるようにアタシがシンジと一緒にいたいんじゃなくて、アイツがアタシと一緒にいたいからいさせてあげてるの。」

「そんなこと言って、いつも碇君を迎えに行ってるんでしょ?」

「幼なじみだからね。それに家も隣だからついでみたいなものよ。」

「でも、他の女の子はそうは思ってないみたいよ。アスカはいつも碇君と一緒にいてズルい、なんて言ってる人もいるらしいから。」

「なんでそうなるのよ。………ヒカリ、ちょっと付き合って!」

「な、何?どうしたの、アスカ。突然立ち上がって……?」
 
「体育館行くわよ。」

「ええっ、ちょ、ちょっと待ってよ、アスカ!」




ヒカリの言う通り、体育館の観戦スペースには2ダース以上の女生徒が数人ずつ固まってバスケ部の練習を見ていた。
上級生から下級生まで、学年を問わず女生徒が応援に来る目的はシンジを見ることのようだ。そして、シンジが放つシュートが決まる度に「ナイスシュート」と声援が飛ぶ。中には拍手するのみの応援をする女生徒の姿もある。

そんな女生徒の間を縫ってアスカがヒカリと空いてる場所に行くと、アスカを横目で見ながら囁き合う声が聞こえ始めた。

「ほら、あれ、見てよ。アスカっていう子がが来てるよ。」

「ホントだ。今まで全然来たことがなかったのに……。今頃何しに来たのかしら?」

「碇君も可哀想よね、あんな子にまとわり付かれて…。」

「そうよね。」



そうした声がアスカの耳に入る度、アスカの握った拳が震える。ヒカリはここでの争いは避けなくてはならないと必死にアスカを宥める。
突然、そんな二人の後ろからカメラを手にしたケンスケが現れた。

「よぉ!惣流に、委員長じゃないか。」

「相田、アンタ何やってるの?」

「惣流は相変わらず厳しいな。……ま、いいけど。でも、オレがこうしてカメラを持ってるって事で分かるだろ?写真を撮ってるんだよ。」

「そうなんだ。でも、ここは男子バスケ部……。」

「委員長はオレが男を撮っちゃいけないって言うのかい?まあ、確かにオレも被写体は女の子の方がいいに決まってるんだけどさ、注文が来ちゃ仕方ないよ。いやー、参っちゃうよね。シンジを撮ってくれっていうんだもんな。」

「えっ、シンジを?」

「そうさ。最近シンジの写真の注文が急に増えてるんだ。どこから噂を聞き付けてきたのか1年から3年までまんべんなく注文があってさ。それに挙げ句の果てには、街でオレに話し掛けてきた他の中学の女の子もいる程なんだぜ。」

「碇君って、そんなに人気あったの?」

「ああ、なんでも先週あったバスケの地区大会でシンジが暴れたらしいからな。それからなんだってさ、シンジが注目されるようになったのは……。ま、中には随分前からシンジに憧れてたってのもいるらしい。」

「シンジが暴れたってどういう事よ。アンタ、知ってるんでしょ?」

「いや、オレは話で聞いただけだから………。」



「アスカ!私が教えてあげましょうか?」

「「「ミサト(先生)」」」

女子バスケ部顧問で、アスカ達の担任の葛城ミサトがなぜか絶妙なタイミングで現れる。

「何よ、ミサト。偶然を装って現れちゃってさ。」

「まあ、そんなことは気にしないで。貴方達だって、シンジ君の暴れっぷり聞きたいんじゃないの?」

「「はい。」」

「なあに、アスカは聞きたくないの?」

「聞いてあげてもいいわよ。」

「素直じゃないわね、アスカは。でも、これを聞いたらもうシンちゃんにメロメロになっちゃうかもね。」

「ミサト、そんなことはいいから話しなさいよ。」

「……知ってると思うけど、先週バスケ部は地区大会に出場したわ。その大会は優勝すれば県大会に進むことになっててね、もちろんウチらのチームも優勝狙ってるんだけど、ここ最近は準決止まりだったのよ。…でもね、今年の男バスは今までのチームとはかけ離れてすごいメンバーが揃ってさ。こりゃあ、もう優勝しかないと私も思ってた訳なの。もちろん結果は優勝したんだけどね……。」

「ミサト、シンジが暴れたっていうのは……。」

「ハッキリ言って、アタシもシンジ君にはゾクッとさせられたわ。もし、アタシがシンジ君と釣り合いのとれる年齢だったら、間違いなくアタシはシンジ君の彼女の座を奪ってるわね。」

「「「……………!!」」」

「まあ、こればっかりは言っても仕方のないことなんだけどね……。あの時は正直そんな風に思ったわ。」

「「「……………。」」」

「シンジ君の4試合の得点アベレージは40点を越えていたわ。これはチーム全体のほぼ60%の得点はシンジ君によるものという訳ね。でもね、シンジ君の凄さっていうのはこういう数字以上にそのプレイにあるのよ。オフェンス時の得点感覚は然る物ながら、ディフェンス時の感覚もかなり良い。シンジ君のプレイには加持君でさえ驚かされたって言うぐらいだから、どれほどのものか想像できるでしょ?あの全日本で活躍した加持君が試合後私にこう言ったのよ。『シンジ君と一緒に世界と戦いたかった。』ってね。」

「………なんか普段の碇君からは想像できないね。」

「ああ、いつもシンジは惣流の隣にいて色々言い付けられてるだけだもんな。……そうか、それでシンジの写真を欲しがってる女の子があんなにいるのか。」

「……………。」

「驚いたでしょ、アスカ?」

「…………うん。」

「あら、素直なことで……。でもねアスカ、これだけは言わせて貰うわ。貴方の幼なじみはこれからもっと注目されるわよ。そしてきっと、シンジ君がアスカといつも一緒にいることを嫉妬する子がもっと多くなるわ。最初はアスカもそういう状況に戸惑うかもしれないけれど、そういう時は少し距離をとってシンジ君を見つめ直してみる必要があるんじゃないかっていう合図なんだと私は思うの。」

「いままでシンジ君と過ごしてきた時間も大切にしながら、これからどう過ごしていきたいか考えてみると良いわね。でも、それは今までの接し方を変えれば良いってもんじゃない。……少しずつ素直な気持ちが伝わるように頑張ってみるといいかもね。」

「………参考にするわ。」

「よろしい。じゃあ、ちょっとシンちゃんにスーパープレイ見せてもらおうか?アスカ、こっちおいでよ。」

そう言ってミサトはアスカの手を引っ張っていって、最前列からシンジにアスカに手を振らせて声を掛けた。

「シンちゃーん!アレ見せてよー!」

声を掛けられたシンジはすっと手を振り返すと、ディフェンスに戻った。フロアではちょうどオールコートの5対5が行われていて、今シンジ達は攻められている。



だが、攻めあぐんでいた一瞬の隙をついてシンジがナイススティール、そのままドリブルで速攻に持ち込む。
シンジのトップスピードのドリブルには誰も追いつけない。

『ダッダッ、タンッ!』

シンジはゴール前で1人持ち込んだボールを片手に掴みながら、「ハァッ!」と気合いを込めた息と共に高く跳んだ。
掴んだボールは完全に3メートル5センチのリングの高さを越える。

『ガッ、シュッ!』

そのまま直接リングの中に叩き込まれたボールはネットを揺らす。シンジはゆっくりと着地し、小さくガッツポーズをとりながらすぐに自陣へ戻る。



シンジのダンクが決まった時、応援の女生徒はみんな立ち上がって大喜び。口々に「碇くーん!!」「カッコいい!」などと声援を送る。ミサトも「シンちゃん、サイコー!」と大きな声で叫んだ。




しかしアスカは何も声を発しないまま、立ちすくんでいた。
目にはダンクを決めるシンジの姿が完全に焼き付いて、心臓が早鐘のように鼓動を伝えている。
そして、まるで熱病に冒されたように身体全体が火照っていた。


この時、アスカは初めて『恋すること』を知った。

そして、その相手はいつも隣にいた幼なじみの男の子だった。















【惣流家・リビング】

「ママ、お先に。」

風呂から上がったアスカはソファに座っているキョウコに声を掛ける。
キョウコは久しぶりにパジャマを着込んだアスカの姿を見ると、ニッコリ微笑んだ。

「アスカちゃん、ちょっとシンジ君呼んできてくれる?」

「う、うん。」

アスカは頷くと、自室に向かった。
直ぐにアスカはシンジの手を引いて、リビングに連れてきた。

「シンジ君、アスカちゃん。ちょっとそこに座って。」

キョウコは相向かいのソファに二人を促す。



「……変わらないわね。」

キョウコは隣り合って座るアスカとシンジを見て呟いた。

「ママ、何が変わらないの?」

「シンジ君の眼差しよ。……それもアスカちゃんに向けられる時のね。」

「えっ!」

「ねえ、シンジ君。シンジ君はアスカちゃんのことあの頃から好きだったでしょ?」

「はい。あの頃は『好きという気持ち』がどんなものか知りませんでしたから、アスカを好きだったのかよく分かりませんが、今でもあの頃の気持ちをアスカに対して持っています。そして、今ではそれが『好きという気持ち』であることも分かっています。」

「そう。」

「……夢の中で『マナ』という少女に出会って、彼女と付き合っていくうちに僕の心のアスカに対する気持ちがだんだん大きくなってきました。そして、『アスカと手を繋ぎたい、デートしたい、キスしたい。』といった気持ちをはっきり自分の心に意識し始めました。ただ、そういう気持ちをアスカに伝えることは躊躇われました。それは、もしアスカに断られたらという気持ちがあったことも確かですが、なにより決心がつかなかったのです。」

「でも、マナに次に逢う時に好きな人を連れてきてと言われて、ようやく決心がついたのです。………ただ、母さんに言われた通り、最初はアスカを驚かさせてしまうだけの告白をしてしまって、今考えると恥ずかしいです。」

「シンジ、言わせてもらうけどアタシの方がもっと恥ずかしかったんだからね!」

「ごめんね、アスカ。」

「ま、いいけどね。」

「フフッ、やっぱりお似合いよね、二人は……。ああ、もう、いっそのこと婚約でもさせちゃおうかな?」

「ママ!」

「なあに?アスカちゃん。シンジ君とじゃ、不満なの?」

「そういう訳じゃないけど……。ほら、シンジもママを説得してよ。」

「キョウコさん。まだ僕達には婚約というのは早過ぎると思うんですが……。」

「そーお?残念ねぇ。」

「あの、でも、……アスカの左手の薬指のサイズは僕だけに教えてくれることを予約させてくれませんか?」

「もちろん、いいわよ。でもねシンジ君、その予約は限定数1で、途中解約できないなどの条件付きよ。それでもいいの?」

「ええ、構いません。」

「そう、じゃあこれで受付終了ね。あっ、アスカちゃんは証人よ。しっかり覚えておきなさい。」

「アタシの意思は確かめないのね………。ああ、もう二人で勝手に決めてくれて結構よ!!」

「アスカちゃん、なに怒ってるの?」

「そうだよ、アスカ。」

「………なんでもないわ、気にしないで。」

(ああ、もう、なんでママとシンジはこんなに話が通じてるのかしら。アタシと話してる時のシンジだったらちょっと遠回しに言うだけで何も気がついちゃくれないって言うのに………。それになあに、さっきのは?『アタシの左手の薬指のサイズを僕だけに教えてくれ』ですって?それって、……ハッキリ言えば『結婚したい』っていうことじゃないの?まったく、あのバカシンジのセリフとは思えないわ。婚約は早過ぎるとか言いながらママとはとっくにアタシと結婚することを約束するなんて、バカシンジも言ってくれるわよね。………まったく、すっごく嬉しいじゃないの。)















【惣流家・アスカの(薄明かりの)自室】

「シンジ、ねぇ、どうしたの?」

「いや、別に。」

「……別にって、何か言うことあるでしょ?せっかくこうして一緒に寝てやってるっていうのに……。ほら、もっとこっち寄りなさいよ。」

「でも……。」

「アンタ、なに緊張してるの?手が震えてるわよ。」

「アスカだってそうじゃないか。」

「アタシは緊張なんかしてないわ。アンタにいつ襲われるか、それが心配なだけよ。」

「そんなことするわけないよ。今日はアスカにマナと会って欲しいからお願いしただけなんだから。」

「ふーん。でもさ、シンジも何か起こるんじゃないかって期待してたりはする訳でしょ?さっきだってママにアタシとキスしたいとかなんとか、随分大胆なこと言ってたものね。」

「まあ、正直少しは期待してたけど……。でも、今はもうどうでもいいんだ。こうしてあの頃と同じようにアスカと一緒にいられることが何より嬉しいからさ。」

「………アタシもシンジと一緒にいられることは嬉しいよ。でも、もっと嬉しくなりたいな。」

「どうすればいいの?」

「こっち向いて。」

「うん。」

「こんなに近くでシンジの顔見るの、初めて……。」

「僕は……何回目だろ?」

「なによ、それ。アタシが初めてで、シンジは何回も見てるのっておかしくない?」

「いや、アスカは寝てたからね。」

「それって、アタシの寝顔見てたってこと?」

「そうだよ。……可愛かったなぁ。」

「なんてこと。じゃあ、……もしかしてアタシの純潔はもうシンジに………。」

「そこまではしてないよ。」

「そこまでは?じゃあ、どこまではしたのよ?」

「………ほっぺにキス。」

「それだけ?」

「………おでこにキス。」

「あとは?」

「………ないよ。」

「どうして唇にはしなかったの?」

「とっておいたんだ……なんてね。」

「生意気なことを言うのはこの唇のせいね。お仕置きよ『んっ』」


『んっんん、んん、はぁ、ちゅ、ん、はぁ、んんっ、くちゅっ、くちゅ、んん、はあ、くちゅ、んんんっー』

『ん、はぁ!』


「………アスカぁ、ファーストキスで舌入れるのはやめてよ。」

「長い間、アタシを騙してきたアンタが悪いのよ。アタシはすっかりシンジが奥手だと思い込まされてたわ。」

「騙してたつもりはないよ。」

「詐欺師はそういう弁解をするものよ。でも、シンジの真実の姿をアンタのファンが知ったらなんて言うかしら?『碇君はそういう人じゃない。』とか『惣流さんが碇君を誑かしたのよ』とか言うんだろうな。あーあ、可哀想にあの子達。」

「大丈夫だよ、これからもファンの前では奥手な碇君で通すつもりだから。でも、その代わりアスカの前じゃ遠慮はしないよ。」

「いいわよ。だって、アタシは碇シンジの彼女だもん。」



「さっ、もうそろそろマナとの待ち合わせ場所に行こうか?」

「そうね。」


『んっ!』


「………おやすみのキスだよ。」

「これから毎日して欲しいな。」

「それは無理だよ。毎日一緒に寝る訳にはいかないからね。」

「じゃあ、アタシが家に帰る時ならいいでしょ?」

「そうだね。いいよ。」

「お返しは毎朝してあげるからね。」

「舌は入れないでね。」

「当たり前でしょ!!」



「……おやすみ、シンジ。」

「……おやすみ、アスカ。」







〈終わり〉



【あとがき】
皆さん、こんにちは。
私、夢見る漂流者といいます。
今回初めて「LAS」に挑戦しましたが、いかがなものでしたでしょうか?
なにも考えず頭の中に浮かんできたのをそのまま文章化しましたので、読んで頂いた皆さんは、「構成がめちゃくちゃだよ。」と思われたかも知れません。
また「展開が強引だ。」などの指摘もあるかと思いますが、そこはまだ書き慣れていないということを考慮していただければと思います。

それでは。



Gehen初登場! 夢見る漂流者さんの「相談したいこと」Aパート&Bパートでした〜。
2パートに分かれるボリュームたっぷりの作品を投稿してくださってありがとうございます!

さてこの「相談したいこと」は学園エヴァをベースにした、ちょっと不思議な要素の入っているシンジとアスカの恋物語ですね。
幼なじみの二人から、もう一歩踏み出した関係になるシンジとアスカ…。そしてそんな初々しい二人を見守るユイやキョウコ。ああ、やっぱ学園エヴァはいいなぁ。
それにしてもシンジのカッコイイ事!
バスケのシーンもカッコイイですが、お話の最後の方でキョウコに言った一連の台詞がカッコ良すぎですね。
「あの、でも、……アスカの左手の薬指のサイズは僕だけに教えてくれることを予約させてくれませんか?」……カッコ良すぎだシンジ!(w
そして他の見所と言えばやはり「夢の中の少女、マナ」ですね。
夢の中でまでシンジを誘惑すんな鋼鉄娘!…ってのは嘘ですが(汗、まぁこのマナのお陰でシンジとアスカの仲が進展したんですもんね。取りあえず「ナイス、マナ吉」と言っておきましょう。←えびはマナ嫌いじゃないんですよ、ホントに…(;´Д`)
しかしシンちゃん、初っ端からいきなり「僕と寝てください!」はないでしょうに。アスカが驚くのは当然だよ(w


 作者の夢見る漂流者さんに是非御感想を!
 どんな事でもいいんです。作品を読んで感じた事を作家さんに伝えましょう!


夢見る漂流者さん、素敵な作品を投稿してくださって本当にありがとうございました。
次回作も期待してます! またシンジとアスカの素敵な恋物語を見せてくださいね!



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