Enhanced CD
だいぶ前になるが、Aerosmith/Nine Livesという音楽CDを聴こうとPCのCD-ROMに入れたところ、デスクトップ上にプログラムが起動してビックリしたことがあった。その後、そのCDは「Enhanced CD」といわれるもので、普通のオーディオセットのCDプレイヤでは音楽CDとして再生ができ、PCのCD-ROMドライブに入れれば(Windowsの自動演奏がONの場合)、書き込んであるファイル中の指定してあるプログラムを起動させることができることが分かった。
今回は、このEnhanced CDという方式で、CD-Rを使ってプロモーションビデオ付き自演音楽CDを作ってみる。
Enhanced CDとは
以前どこかで書いたように思うので繰り返しになるが、現在使っているCD-Rは2台目で松下のCW-7502である。先代のCW-7501はディスクを読まなくなったと思ったら、そのうちSCSI BIOSでも認識されなくなってしまい、修理に出したところ、修理不能の故障で、かつそのモデルが生産中になっていたので、後継機の4倍速モデル(先代は2倍速)に無償交換されたのであった(バルクで購入したがショップが保証する1年以内の出来事だった)。
これと同時に書き込みソフトもGear(英語版)からWinCDR NT/95 Ver3.10(日本語版)になり、マニュアルも日本語で結構詳しく書いてるので扱いが楽になった。
このマニュアルによると、Enhanced CDとは、
1.オーディオトラックの後にデータトラックを追記したマルチセッション形式のCD
2.従来のMixed Mode CDは、データ、オーディオの順の記録で、オーディオCDプレイヤで問題があったのを解決
3.CD PLUSやCD Extraと呼ばれるフォーマットはこの方式に分類される
4.WinCDRではデータトラックにISO9660形式のデータを使用する
とある。
ちなみに、CD Extraについてはさらに説明があり、
1.最初のセッションにオーディオトラック、第二セッションにCD-ROM XAのデータトラックを持つメディア
2.この形式のメディアの作成にはCD Extraに関する専門的な知識が必要
3.フォーマットの詳細は、SONY、Philipsよりライセンスされる「Enhanced Music CD Specification」wp参照
とある。
市販Enhanced CDの確認
前述のAerosmith/Nine LivesをCD-Rに入れ、WinCDRの「ツール/ディスク情報」でCDの中身を見てみる。
WinCDR NT/95 Ver 3.10b
Date 1999/1/26 23:56
##########################
# DISC INFORMATION #
##########################
Disc Type : CD Data XA disc
with first track in Mode 2
Fixed Disc
Remain size : 0KB
SES TNO SIZE MODE
--------------------------------
1 1 04:01:27 Audio
2 03:25:63 Audio
3 06:10:05 Audio
4 05:53:30 Audio
5 05:00:30 Audio
6 03:36:55 Audio
7 05:25:17 Audio
8 04:27:48 Audio
9 04:25:65 Audio
10 04:31:50 Audio
11 03:55:25 Audio
12 03:00:62 Audio
13 04:38:00 Audio
14 03:44:52 Audio
15 08:16:43 Audio
2 16 28010KB Mode2
なるほどセッションが2つあり、第一セッションには15のオーディオトラック、第二セッションにはMode2のデータトラックがある。このMode2についてはマニュアルを見ても全然分からない。ただ、一つのCDフレームのサイズが次のように違うらしい。
CD-ROM (mode1) : 2048byte
CD-DA : 2352Byte
CD-I : 2336byte
CD-ROM XA mode2 : 2336byte
だから何なのか.....
書き込み準備
細かいことは置いて、このEnhanced CDなら音楽とビデオを1枚のCDに焼くことができるようである。まあやってみよう。
1.まずは「ファイル/新規作成」を選び「簡単ウィザード」を起動する。
2.次の「作成するCDの種類」の選択では「ちょっと高度なCD」を選ぶ。
ちなみに、ここで他に選択できるのは、音楽CD、ISO9660、CD-ROMのバックアップ、音楽CDのWAVEファイルへの保存。
3.さらに「作成するCDの種類」の選択では、「Enhanced CD」を選ぶ。
ちなみに、ここで他に選択できるのは、Mixed Mode CD、その他のCDであり、その他のCDには以下の解説が付加されている。
CDのトラックイメージファイルを用意して作る特別なCDです。CDWriterは、2048、2336、2336、2352バイトの各ブロックサイズに対応しています。
他のOS用のCD-ROM作成用に作ったトラックイメージ、カーナビゲーションシステムのような専用システム用の独自フォーマットのトラックイメージ、または、CD-ROM
XAやCD-i、VIDEO CD、CD Plus、CD ExtraなどのトラックイメージをCDに記録することができます。
ちゃんとやればEnhanced CDの中でも、データトラックをCD-ROM XAにしたCD Extraを作ることも可能なのかもしれない。ただISO9660形式で何が悪いかも分からないので、とりあえず安易に「Enhanced CD」を選ぶ。
4.「ファイル名の付け方」の選択では「Windows 95/NT4.0」を選ぶ。
これでないといけないということは無いが、制限が最も少ないので、Windows 95/NTのみで使うには最も便利である。
ファイル名の付け方 | 使用可能OS | フォルダ名 | ファイル名 | 拡張子 | 使用不可 |
Windows 95/NT3.5x/NT4.0 | Win95 WinNT3.5,3.51,4.0 |
37文字 | 200文字 | − | アルファベット小文字 一部の記号 |
Windows 95/NT4.0 | Win95 WinNT4.0 |
200文字 | 200文字 | − | 一部の記号 |
Microsoft Joliet File System (短縮ファイル名併用) |
Win95 WinNT4.0 (及びMS-DOS他) |
64文字 | 64文字 | − | 一部の記号 |
MS-DOS(Windows 3.1) | MS-DOS 全てのWin MacOS7.x 多くのUNIX |
8文字 | 8文字 | 3文字 | アルファベット小文字 一部の記号 |
ISO9660 Level 2 | Win95 WinNT3.5,3.51,4.0 MacOS7.x 多くのUNIX |
31文字 | 27文字 | 3文字 | アルファベット大文字、数字、_(アンダースコア)以外 |
ISO9660 Level 1 | ほとんどのOS | 8文字 | 8文字 | 3文字 | アルファベット大文字、数字、_(アンダースコア)以外 |
5.CDのボリュームラベルを付ける。
ただし、使える文字はISO9660と同じ。つまり、_0123456789ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ。文字数も32文字まで。
6.「簡単ウィザード」を一旦終了する。
7.エクスプローラを起動し、ウェル(書き込むファイルを編集する場所)にファイルをドラッグする。
Audioトラックには音楽用のWaveファイル、データトラック(ボリュームラベル[xxx]と書いてある方)にはビデオ(MPG等)をドラッグする。ここでエクスプローラからファイルをドラッグしたからといって、ファイルの実体がどこかへ移動する訳ではない。また複数のファイルを指定してドラッグする場合には、エクスプローラ上で表示されていた順番が、ウェルへ行った時点で変わることがあるので注意が必要。
Autorunの設定
ふとここで思ったが、せっかく作るのだから、CDをドライブに入れた時点で何か表示されるようにしたい。ソフトウェアにしても、雑誌の付録CDにしても、たいがいCDを入れた時点で何かが表示されるものがほとんどだ。
このAutorunは、autorun.infというファイルに実行する内容が書かれていることは知っていたが、自分でそのようなファイルを作ったことは無い。しかし、雑誌の付録CDとかを見てみると、意外と簡単な数行であった。
まず、プログラムを実行したい場合には
[autorun]
open=abc\xyz.exe
などと書き、CDの中身を表示するだけなら、
[autorun]
icon=abc\xyz.ico
と書けばいいようである。
icoファイルとは
さてicoファイルであるが、これがよく分からない。確か要するに元は32x32の24ビットBMP画像で、拡張子をicoに変えただけだったと思うが、どうしてこれがあるとAutorunするのかは仕組みが分からない。
まあ、試しにPaintShopProで32x32の画像を適当に作り、拡張子をicoに変更してみる。ちなみにicoファイルをエクスプローラ上で見ると、ファイルを示すアイコンが、作った画像の縮小された絵になっている。何だこりゃ、不思議だ。
あとは、上述の通りautorun.infを書き、icoファイルと共にデータトラックにドラッグしておく。
書き込み
準備が完了したので、作業を続行する。
8.生CD-Rディスクを入れ、「Ready」を押す。
正常であれば、書き込み準備が完了したと表示されるので、あとは「完了」を押す。
9.「Write」を押す。
次のような設定ウィンドウが表示されるので、デフォルトではチェックされていない「追記禁止」と「書き込み後コンペア」にもチェックを入れてみる。書き込み速度は、以前4倍速で試したところ途中で止まったので2倍速で我慢する。ちなみに、今回は今までと違って、書き込み方法にDisk at onceは選べないようである。Enhanced CDでは当然か。
10.「実行」を押す。
後は暫く待っていれば、「テスト書き込み」から「書き込み」までが実行され、完了するとディスクトレイが自動的にオープンになる。
結果OK
出来上がったCDを別のPCに入れてみると、Aurorunがはたらき、CDのルートディレクトリの中身を表示するウィンドウが表示される。
この中のMPGファイルをダブルクリックすればビデオの再生もちゃんとできる。
さらに普通のステレオのCDプレイヤに入れれば、普通の音楽CDと同様に演奏が聴ける。
これは大成功だぁ!
一応WinCDRの「ツール/ディスク情報」でCDの中身を見てみる。
Disc Type : CD-DA or CD Data
with first track in Mode 1
Fixed Disc
Remain size : 0KB
SES TNO SIZE MODE
--------------------------------
1 1 00:23:24 Audio
2 02:57:12 Audio
3 03:05:44 Audio
4 02:43:27 Audio
5 02:25:11 Audio
6 02:06:43 Audio
7 02:25:33 Audio
8 02:41:22 Audio
9 02:53:40 Audio
10 03:14:58 Audio
11 03:18:13 Audio
12 00:50:13 Audio
13 02:17:17 Audio
14 02:36:29 Audio
15 03:23:72 Audio
16 03:22:39 Audio
17 02:34:03 Audio
18 02:17:63 Audio
19 03:08:37 Audio
20 02:23:67 Audio
21 03:09:21 Audio
22 02:17:13 Audio
23 02:33:44 Audio
2 24 62994KB Mode1
市販のものとはDisk TypeもデータトラックのModeも違うが、結果オーライだ。