大川興業『全身全霊』

オープニングに流れるパッヘルベルのカノン、極太明朝体のスタッフロール。 これだけでエヴァンゲリオン好きの私はすでにノックアウトでした・・・。 最初はどこかコミカルな格闘試合の風景から始まります。 しかしそこでのかけ声は、なぜか「生きていてごめんなさい。」というセリフ。 肉体的な格闘と太宰治っぽいセリフというギャップがおかしいのですが、 それが後で重要な伏線になっているのです… メインの主人公は、ホモでストーカーな売れない芸人ヤマザキ(江頭2:50)。 他人とうまくやっていけない彼。最近はホモの恋人ともうまくいっていない。 ヤマザキは心ない言葉で自分が傷つけられる度に、自分自身をナイフで傷つけてしまう。 自らを傷つければ、誰でも自分を許してくれるからだ。 ある日、ホモの恋人に別れ話を持ちかけられたヤマザキはいつものように 自分をナイフで刺す。それでも恋人は言う。 「いつもそうすれば許されると思ってるのか!」 そのセリフに逆上したヤマザキはカッとなり恋人を殺してしまう。 泣きながら。 ヤマザキは傷つく自分のようすをインターネットのホームページ上で流していた。 それを見て知り合いになった「親の虐待で部屋に閉じこもってしまった青年」 「自分を犠牲にしてボランティアをする青年」「いつもネズミ講にひっかかる青年」 たちと知り合い、なぜか集団自殺をすることになってしまう。 「一人で死ねば無駄死にだが、集団で死ねば意味がある。」 (自殺メンバーのリーダー(大川総裁)のセリフ) 首吊り台に向かう同志の面々。皆が死んでいくなか、 だが、ヤマザキだけは死ぬことができなかった。 首を吊った同志の前で彼は苦しみ叫ぶ。オープニングのセリフと同じ言葉 「生きていてごめんなさい」 * だいたいこういうあらすじです。上手く言えないけど・・・。 ほかにも色々なストーリーがからみあって一つの話になってます。 大川興業の公演は何回か見ましたが、いつもあまり救われないストーリーです。 自分にも身に覚えがあることが多くて、見ながらむちゃくちゃ泣きました。 でも、その救いのなさが心に深く刺さって血を流すことでカタルシスを呼ぶのでしょうか。 なぜか少しだけ救われた気分になります。 あと、ギャグはさすが大川興業だけあってホモネタ(総裁ホモネタ好きなのか?)あり、 時事ネタあり、ネズミ講ネタあり、自己開発セミナーネタありと テレビでは(いろんな意味で)とても放送できない位の大笑いなネタでいっぱいです。 みなさんもぜひ一度生で見てみてくださいな。 「江頭2:50なんてキラーイ」と思っていた私も実際にみて見方が変わりました。 大川興業のホームページでビデオの通販を行ってるので、 興味のある方はそちらでもどうぞ。1本送料込みで4000円、お得です。
1998/03 初稿 2000/07 改稿 モドル