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PC-8801


PC-8800シリーズはPC-8001の上位機種

 PC-8801は1979年8月に発売されたPC-8001(¥168,000)の上位機種として発売された。当時はまだ高解像度カラーグラフィック(といってもこの頃は640×200ドット)が標準で搭載されているパソコンは多くなかった中、PC-8801の登場は結構衝撃的でもあった。ホビーパソコンの代名詞とまで言われたPC-8800シリーズも、この頃はビジネス用途を想定していた。

PC-8001の機能を継承しつつ新機能を追加

 PC-8001の主な仕様は、
 というものであった。グラフィック機能はなく、1キャラクタを縦4画素、横4画素に分割して図を表現するセミグラフィックを搭載しており、これがゲームによく用いられた。
 PC-8801もこれらの機能を継承し、さらにRAMを64KB、グラフィック用VRAMを48KB搭載している。これにより、テキスト画面とは独立したグラフィック画面を持ち、640×200ドットで8色中8色同時表示(黒、青、赤、マゼンダ、緑、シアン、黄色、白)、専用ディスプレイ(デジタル24KHz対応)を接続すれば640×400ドットで白黒表示(キャラクタ単位に色をつけることは可能)を行うことができた。(ちなみに漢字は標準では表示できず、オプションの漢字ROMを搭載することでJIS第1水準の漢字の表示をグラフィック画面に表示可能になる)。
 当時としてはすばらしいグラフイック機能をもっていたものの、速度はかなり遅く、本格的にビジネスパソコンとして使うにはいささか機能不足ではあった。

最高水準だったN88-BASIC

 BASICはPC-8001のN-BASICとともに、N88-BASICを新たに搭載した。現在のPC-9801のN88-BASIC(86)の原型でもあり、WHILE-WEND文、ラベル機能など、当時としては高水準のBASICであった。また、アセンブル/逆アセンブルを行うことが可能(但しDISK BASIC使用時)な機械語モニタも内蔵していた。

 
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PC-8801mkII

 


縦横自在のコンパクトマシン

 PC-8801mkIIは、PC-8801の後継機種として発売された。

 特徴的なのは縦置き・横置き自在なコンパクトボディに、5インチフロッピィディスクドライブ(両面倍密度タイプ:2D)を2台内蔵できることだった。mkIIにはディスクドライブなしのmodel10、1台搭載のmodel20、2台搭載のmodel30があった(model10,20にもドライブの増設が可能)。mkIIが登場したときはまだ記録媒体にカセットテープを使用するのがこのクラスのパソコンでも一般的だったが、このmkII登場以降、徐々にディスク版のソフトが発売されるようになった。

性能は変わってないように見えたが・・・

 本体の性能としてはPC-8801とほとんど変わらない。変わったといえばボーダーカラー(画面の表示領域外の色。PC-8801では標準ディスプレイ接続時のみ指定可能)の指定ができなくなったことと、漢字ROM(第1水準)が標準搭載されたこと、そしてスピーカ直接操作ポートの追加ぐらいである。

 このうち、最後の「スピーカ直接操作ポートの追加」はホビーストには朗報であった。これまでは「ピー」という音の断続音でゲームの音を作っていたので、どんなに頑張っても「ビー」とか「ジー」という音で、音としては「雑音」「ブザー」の域にあった。それがこのポートを使うことにより直接スピーカに信号を送ることができるため、単音ながら当時のゲーム機やMSX並みの音質の音を発生させることができた。が、このころに発表された他の8ビットパソコン(FM-7、X1など)は PSG を搭載しており、それらの機種に比べるとかなり見劣り(聴き劣り?)がした。処理速度もPC-8801と同じだったので、他の同クラスのパソコンに比べ、平均水準以下のクラスになってしまった。
 ちなみに、このサウンド機能を使ったデモンストレーションプログラムとして「ザ・マウス」というラリーXモドキのゲームが添付されている。

CMDで始まる拡張命令のサポート

 BASICのROMに変更はないが、新たに拡張されたスピーカ直接操作ポートもサポートする拡張命令がソフトウェアの形で付属された。内容は MML を用いた音楽の演奏、当時流行の タートルグラフィックス 、グラフィック画面の高速消去などである。


PSG
 Programmable Sound Generatorの略で、自由に音程、音量をコントロールできる音源チップ。FM-7やX1やMSX、下位機種のPC-6001など多くの機種が採用していたGI社のAY-3-8910というPSGは8オクターブの音域を持ち、同時に3音を鳴らすことができた。またノイズ発生器を1つ持ち、爆発音などの効果音を発生させることが出来た。

MML
 Music Macro Languageの略で、英数字の並びで音楽を演奏させることのできるマクロ言語。たとえば、ドレミファソと鳴らしたい場合は"CDEFG"と記述する。

タートルグラフィックス
 当時流行(?)していたLOGOという教育用言語にあったグラフィック機能で、画面上の三角キャラクタ(タートルと呼ぶ)に指示(例えば前に5進んで90度右に回転する、等)を与え、グラフィックを書いていく。NECからも「NEC-LOGO」という名称でPC-6001用、PC-8001mkIISR用、PC-8801用としてLOGOが発売され、MSXのBASICにもこの機能に似たDRAW命令が実装されている。

 
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PC-8801mkIISR

 


88の革命児、SR登場!!

 速度も、サウンドも水準以下となってしまったPC-8800シリーズであったが、このPC-8801mkIISR(以下SR)で一気にクラス最高水準まで引き上げられた。このSRも、ディスクドライブの有無でmodel10〜model30までに分けられたが、mkIIよりも価格は引き下げられた。

高速な処理速度と、耳を奪うサウンド、目を奪うグラフィックス

 従来はテキストVRAMがメインメモリに存在し、テキストVRAMの内容を画面に表示する際にはCPUの処理を止めて CRTC に転送していたため、他のZ80 4MHzのパソコンに比べ、速度がかなり低下していた。そこでSRではテキストVRAMをメインメモリから分離し、CRTCに転送する際のCPUウェイトを極力減らし、メインメモリへのアクセスもノーウェイト(従来は1ウェイト)にした結果、従来比約2倍の速度を達成した。

 サウンドも、なんとFM音源を搭載し(ヤマハ製OPN)、FM音源3音+SSG音源3音を同時に鳴らすことが出来るようになった(当時、他にFM音源を標準搭載しているパソコンはPC-6001mkIISRとPC-6601SRだけであった)。付属デモンストレーションのセサミストリートのテーマソングを想い出す人も多いはずだ。

 グラフィック処理は ALU3プレーン同時書き込み機能が追加され、より高速化が図られた。またアナログRGBインタフェースを標準で搭載し、640×200ドットで512色中8色を同時表示することが可能になった(表示には専用アナログRGBディスプレイが必要)。

 このSRから、MSXマウスやMSX仕様のジョイスティックを1本接続可能になったこともホビーストには見逃せない(但しBASICでのサポートはなし。これはVAシリーズ以外共通)。

V1モードとV2モード、2つのN88-BASIC

 N88-BASICも従来のN88-BASICと互換性のあるV1Sモード、V1Sモードをハードウェア的に高速化したV1Hモード、そして新たに追加されたFM音源、アナログRGBなどの新機能をフルに使えるV2モードと、3つのモードを備えていた(ちなみにN-BASICも従来と同速度のものはSモード、高速化されたものはHモードとなった)。
 V2モードではBASIC ROMを32KB追加し、その中にFM音源機能、グラフィック機能の拡張などを格納している(PC-8801mkIIの拡張命令は「タートルグラフィックス拡張命令」としてPC-8801mkIIFR/MRまで付属)。また、V1モードでも拡張がなされており、従来はDISK BASICでしか使用できなかったCALLステートメント、ロングエラーメッセージ、機械語モニタのアセンブル、逆アセンブル機能などがROM BASICでも使用可能になった。ちなみにV2の由来はN88-BASIC Version2.0からである。

ソフトウェアも大幅に増えた

 SRはホビーマシンとしても、スモールビジネス分野でも活躍し、特にゲームソフトは数多くの傑作を生んだ。SR発売当初に発売されたTHEXDER(ゲームアーツ)はベストセラーになり、後にFM-7、X1、PC-9801だけでなく海外でもシェラ・オンライン社によってPC/AT互換機用に移植された。あのテーマ音楽やベートーヴェンの「月光」を聞くとテンキーで指をつったことを思い出す方も多いだろう(笑)。後に発売されるザナドゥ、ロマンシア、イース、ソーサリアン(以上、日本ファルコム)、シルフィード(ゲームアーツ)もSR以降の機種がターゲットであり、SRがホビーマシン88の基本となっていることがわかる。ビジネスソフトではJET-8801AV2(キャリーラボ:現在は倒産)、ユーカラ(東海クリエイト:現クレオ)、SUPER春望(デービーソフト)など速度的にもようやく満足できるものが発売された。

従来機種用にもFM音源ボードを発売

 SR発表とほぼ同時に、従来の機種でFM音源を使用できるサウンドボード(PC-8801-11)が発売された。が、対応ソフトはそれほど多くなかったのであまり普及はしなかった。


CRTC
 CRT Controlerの略、テキストVRAMに格納されている文字コードをディスプレイに表示する機能をもつコントローラ。

ALU
 Arithmetic Logigal Unitの略で、画面上のデータと実際に書き込むデータを論理演算して、その結果を書き込む機能。これによりグラフィック画面の描画時にCPUが論理演算を行う必要がなくなるため、速度が向上した。

3プレーン同時書き込み機能
 PC-8800シリーズのグラフィック画面は赤の画面、青の画面、緑の画面をそれぞれ重ねあわせて8色を表現するようになっている。実際にグラフィック画面に色をつけるにはそれぞれの画面を切り替えながらCPUがデータを書き込んでいかなければならなかったが、SR以降の機種ではグラフィック画面→グラフィック画面の転送時は1つの画面に対して書き込むだけでハードウェアで残りの画面にも書き込みをしてくれるようになった。特にグラフィック画面のスクロールに非常に効果がある。

 
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PC-8801mkIITR

 


PC-8801mkIISR + モデムボード = PC-8801mkIITR

 PC-VAN、Nifty-Serveなどがサービスをスタートした頃に発売されたのがPC-8801mkIITR(以下TR)である。TRは単にSR model30にモデム機能を搭載したものだった。漢字ターミナルソフトが付属していて、TRひとつですぐに通信ができるようになっていた(但し、漢字ターミナルソフトでは漢字は表示のみで入力は不可)。

 モデム部は全二重300bpsで、今からすれば「超」遅いものだが、当時は普及価格帯の一般的モデムであった。モデム部以外はSRのmodel30とまったく同じで、88シリーズの中でもっとも影が薄かったマシンでもある。

 なおTRと同時に、TRの機能を他の機種でも実現することのできるモデムボード(PC-8801-12)が発売された。

 
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PC-8801mkIIFR / PC-8801mkIIMR

 

(1997/08/09 update)

SRの廉価版、FR

 SRの後継機として発売されたのがPC-8801mkIIFR(以下FR)とPC-8801mkIIMR(以下MR)である。

 FRはSRの直系の後継機で、SRの機能をそのままにコストダウンを図ったもので、モノクロディスプレイインタフェースの廃止、拡張スロットの削減(SRでは3スロットであったのがFRでは1スロット)、N-BASIC切り替えスイッチの廃止を行っている。それ以外はフロッピィディスクドライブの有無でmodel10〜model30に分類されることも含めSRと同等である。

MRではついに2HDドライブを搭載

 MRはSRの上位機種として位置づけられ、拡張スロットの削減(SRが3スロットであったのがMRでは2スロット)、N-BASIC切り替えスイッチの廃止はFR同様にされているが、RAMが128KB増やされ192KBになったため、実質的にはスロット数減少は気にならないものであった(形式的には拡張RAMボードPC-8801-02Nを内蔵した形)。また漢字ROMもJIS第2水準まで標準搭載されている。また時代の流れか、MRではカセットインタフェースが廃止された。
 MRで特筆すべきことは、PC-8800シリーズ初の5インチ両面高密度フロッピィディスクドライブ(2HD対応)が2台搭載され、大量のデータを記録できるようになった(FRまでの2Dディスクでは最大320KB、MRの2HDでは最大1MB)。但し従来との互換性を保つために、従来の2Dディスクも読み書きが可能になっている(但しヘッドの幅が細いため、一度MRで書き込んだディスクはFRなどの2D専用機種では読めなくなることがあった)。

コピーしたさにSRを買い求める!?

 このFR/MRではN-BASICのスイッチが外されたことから、N-BASICが搭載されていないという噂が広まり、マニアの中には新品のFRより中古のSRを求める人も結構いた。これは当時のコピーツールにN-BASICで動作しているものが結構あり、N-BASIC切り替えスイッチのないFRでコピーツールが動作しなくなることを嫌ったためだといわれている。ちなみにN-BASICは、BASICモードをV1Sモードにして「NEW ON 1」で起動できる。
 この件に関しては書籍や雑誌でも「FR/MRではN-BASIC ROMは搭載されていない」と平気で書いているライターも多かった。

N88-日本語BASIC初バンドル、日本語を使用したプログラムが作成可能に

 ソフト面では、FRのmodel20,30、MRにはN88-日本語BASICが標準で付属するようになり、日本語を利用したBASICアプリケーションが作成しやすくなっている。またFRでは熟語変換、MRでは単文節変換(多分・・・)の辞書がシステムディスクに入っているため、スムーズに日本語入力ができるようになった。

マルチボードA発売

 FR/MRの発売後、MRで標準搭載された第2水準漢字ROMと128KBのRAM、そしてパラレルインタフェース(外付けフロッピィディスクドライブやスキャナ接続用)が1つのボードになったマルチボードA(PC-8801-20)が発売された。 FRにこのボードを増設し、同時発売された外付け2HDディスクドライブを接続すれば、MR相当にアップグレードできた。


Copyright © 1997 by Hiroshi Ariki / <hariki@lares.dti.ne.jp>

Last modified August 9, 1997