1.橋幸夫の三大イントロ
南海の美少年 吉田正 編曲
この歌は昭和36年の紅白(出場2回目)で唄われました。勇ましくスケールの大きな歌です。
最初、金管楽器(ラッパ)で♪パーン パパパ パーーン パパパ パーーン・・・・・・♪と勇ましい出だしで始まり、その後に弦楽器が加わり重厚なハーモニーとなって盛り上がり、一呼吸おいて♪ズッツチャン ズチャーンチャ ♪ そして女性コーラスで♪アーアアア アーアア アーアーアー♪と流れ、「銀ーンのクルスを 胸にかけー」 と唄が出ます。
私はこの♪ズッツチャン ズチャーンチャ ♪というところに心魅かれます。
私のイメージには、天草四郎・美少年が鎧(よろい)をまとい白い鉢巻きをしめ(ちょうど、小さい頃絵本で見た桃太郎の姿)、船のへさきに立って、海原を勇ましく突き進む情景が目に浮かびます。そして、この♪ズッツチャン ズチャーンチャ ♪というのは、その船のへさきに荒海の波しぶきが”ザプーン ザプーン”と突き当たって大きく揺れながらも、悠々と突き進む様を表しているように感じます。
後奏の最後の♪チャ チャーチャー チャチャチャチャ バーーン’に雄大な響きを感じます。
<余談>
この歌のバックコーラスは、てっきり女性合唱だとずーと思っていました。しかし、つい最近資料を見て、「東京少年合唱隊」だったことが分かりました。ほんとにビックリしました。”男”の戦いを表現したのですね。
舞妓はん 吉田正 編曲
最初、琴のソロ演奏で始まり、その後にオーケストラ演奏がかぶさり、そして琴とオーケストラが掛け合い風にメロディーが流れていきます。和楽器と洋楽器が見事に調和し、京都を舞台にした日本情緒が見事に表現されて、まさに一大日本絵巻を聞いているような感じがします。
間奏も似たような演奏形態で、この歌は伴奏を鑑賞するのも魅力のひとつです。
琴演奏は山内喜美子という人です。この歌がヒットしている頃(昭和38年)テレビ、ラジオの歌謡番組で「琴演奏は山内喜美子さんでした」などと紹介されていました。お顔はわからず、あのような琴の大家だからさぞかし、上品高貴なお方だろうと想像していました。たとえば「藤原あき」さんのように年配で貫禄あるような人。それが、ある時、TVの「題名のない音楽会」だったと思うが、山内喜美子さんの演奏姿が右斜め45度のアングルから、アップで映りました。これを見てまたビックリしました。ちょっと失礼な言い方ですが、「なんと庶民的な人なんだ」と。記憶は正確でありませんが、髪は長く後ろに束ねて、無地の金色風の着物で黒っぽい袴姿だったと思います。それより感動したのは、背筋をきちんと伸ばし、真剣なまなざしで琴の弦を一心に見つめ、パチパチ ヒラリヒラリと指先で弦を弾く気品溢れる演奏姿でした。「ああこの人が山内喜美子だったんだ」となぜか感動の涙がでる思いでした。
子連れ狼 吉田正 編曲
若草児童合唱団の♪ルルルルルー ルルルルルー ・・・・・・「小高い丘の城跡の」(セリフ)・・・ シトシトピッチャン シトピッチャン♪で始まる ご存知の唄です。
曲の大部分が児童コーラスで、バックに尺八が静かに流れ、落ち着いた曲です。
伴奏の聴き所は、橋のソロが入る「涙かくして人を斬る」 というところのバイオリンの裏旋律が実に綺麗と思いました。橋幸夫のヒット曲の8割〜9割は吉田正の編曲ですが、バイオリンで裏旋律がこんなに綺麗に流れている曲は非常にめずらしく思います。
4分50秒の大曲ですが、こんな所にも着目して、じっくり聴いていただきたいと思います。
<推薦曲>
「おけさ唄えば」・・・・思わず手拍子を叩きたくなるような調子のいい曲
太鼓と鐘も加わって日本情緒たっぷりの歌
「明日を呼ぶ港」・・・マドロス風でリズムカルな元気の出る曲
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