味淵神社 兵庫県丹波篠山市大山上 旧・村社
現在の祭神 菅原道真
[合祀] 宇賀魂命 <稲荷神社>・事代主命 <蛭子神社>
本地 十一面観音

「大山村史 本文編」

宗教生活と文化[LINK]

○味淵天神社 上村に鎮座。 天舞内(淵)・天内・雨淵などの字をあてる。 祭神は天神・菅原道真とある。 菅原道真を祭神とするのは幕末、明治初期である。 正徳五年(1715)の中沢伝左衛門首位手記によると、祭神は大山祇神、あるいは素盞嗚尊かとしているから、当時の祭神は文字通り天の神であり、菅公に定着していなかったようであるが、天神=菅公という信仰がひろまるにつれ、道真を祭神としたと思われる。
[中略]
 神仏混淆 ところで近世においては神道と仏教とが密接な関係をもっていて、混淆されて信仰の対象となっていた。 本地垂迹、すなわち神は本地である仏が、衆生救済のため、かりにこの世に現れたもの、とする思想は、平安時代より拡まり、近世にも行われた。 大山においても祭神を本地仏にあてるのが多いのは、そのためである。 すなわち、一宮大明神(神田神社)―阿弥陀如来、池尻大明神―薬師如来、追手大明神―釈迦如来、味淵大明神―十一面観音、松尾神社―薬師如来、二宮大明神―大日如来、天神社―十一面観音、大歳大明神―正観音菩薩、稲荷社―大勢至などがその例である。 したがって、御神体に仏像が安置されていたという例もあり、それが、明治に入り神仏分離の行われるまで続いたのである。