愛宕大権現社 和歌山県和歌山市秋葉町 愛宕山円珠院(天台宗寺院)の境内社
本地 勝軍地蔵

「紀伊続風土記」巻之二十二(海部郡第二)

雑賀荘 和歌浦

○愛宕権現社 境内周九町 禁殺生
本社 不動明王  
勝軍地蔵  
毘沙門天  
奥院 役行者
太郎坊
 拝殿(三間 二間) 御供所 鐘楼 稲荷社
 燧社(地蔵龍樹愛染毘沙門千手観音五仏を祀るといふ) 摂待所
 石鳥居(愛宕山三字あり 京都愛宕山の写にして道風の書といふ)
右愛宕山の頂にあり 下より登り三町 本社勝軍地蔵の扉の内に別に地蔵尊一体あり(南龍公の納め給ふ所といふ) 又不動明王の左に地蔵尊一体あり(大慧公納め給ふ所にして其腹内に公手つから彫刻の地蔵尊百躯を納め給ふといふ)
 別当 円珠院(愛宕山瑞光寺 京都愛宕山長床坊末和歌雲蓋院支配)
  内道場(養珠大夫人納め給ふ本仏数躯あり) 書院 庫裏
  弁財天堂(観自在公建立し給ふ所にして堂中清渓公大慧公菩提心公厳公の寄附し給ふ仏像経巻を蔵む)
  子院 地蔵院(子院旧三箇寺あり 宝勝院福善院今廃せり)
右愛宕山の麓にあり 当山草創は元和八年壬戌の歳 南龍公此山を見立させられ京都愛宕権現を勧請し給ひ 叡山北谷不動院最順を住職とし 兼て東照宮へ給仕せしめ給へり

「紀伊国名所図会」巻之二

愛宕山円珠院瑞雲寺

和歌浦街道、松原の東にあり。天台宗、天曜寺に属す
子院 地蔵院・宝勝院・福善院
愛宕大権現 山上に安ず。寛永年中、比叡山不動院顕栄の草創なり
そもそも当山の本殿は、阿太子権現にして、神体は伊弉冊尊・迦具突智命を祭る。 これを火伏の神と称す。 本地仏は将軍地蔵にして、修羅闘争の瞋恚を降伏し、太平安寧の守護をくはへ、忍辱慈悲の尊体をあらはし、利益あまねく衆生に蒙らしめたまふ。 その威徳いや高くして、霊験日々にあらたなれば、詣人間断なく、毎歳六月二十四日には千日参とて群参す。 この日には近郷の力者集会して、花角力をもよほす