阿波々神社 |
静岡県掛川市初馬 |
式内社(遠江国佐野郡 阿波々神社) 旧・郷社 |
「東海道名所図会」巻の四
阿波波神社
淡ガ岳の高峰にあり。
延喜式内。
祭神未考。
当国佐野郡四座の一社なり。
無間山観音寺 阿波々社の下段にあり。
禅宗曹洞。
当国久野村可睡斎の末寺なり。
本尊千手観音 長三尺ばかり。
作知れず。
阿波々の神の本地堂とす。
脇壇に西国三十三所の観音の像を安ず。
「掛川誌稿」第二巻
(佐野郡 二)
式内阿波神社、一寸坊権現
阿波神社は、今其所を詳にせすといへども粟岳の一寸坊の祠を以て旧趾なりといふを姑く是なりとす、
一寸坊権現は、初め奥野村長松院の僧にて、永正の頃天狗と化し、一訓和尚〈長松院二世水正水正十年六月十一日死す〉と無の字を論せしこと、長松院記に見えたれば、一寸坊祠のあるは三百年外のことゝ見ゆ、
式内社の衰替せしこと諸国も皆古きことゝみゆれば、此山阿波神社も、永正より迫に古く廢せしものにや、
此祠は事任社の如く、古人の紀行の類にもみえず、且観音寺も武田氏の兵火にかゝりしとて、一の古物をも伝ねば考べき便なし
[中略]
又観音堂あり、権現祠より低処にして、観音寺の上にあり、
此観世音は昔阿波神社の本地仏とするものならん、木像長二尺許ありて、彩色もなく、古作とみえたり