荏柄天神社 神奈川県鎌倉市二階堂 旧・村社
現在の祭神 菅原道真
[合祀] 八雲大神
本地
天神十一面観音
脇殿老松殿毘沙門天
紅梅殿不動明王

「新編相模国風土記稿」巻之九十
(村里部 鎌倉郡巻之二十二)

二階堂村

荏柄天神社

往還の北側にあり、荏柄山と号す、 【倭名鈔】当郡郷名に荏草と記すあり、今其唱を失すれど全く当社地辺の旧唱ならん、草にかやの古訓あれば、えがらはえがやの転訛なるを後文字をさへ今の如く書改しなるべし、
[中略]
拝殿あり、 本社中央に菅公束帯の座像を置き、(【鎌倉志】に、此像足膝焼ふすふりてあり、五臓六腑を作り入れ、内に鈴を掛て舌とし、頭内に十一面観音を作りこむと云ふとあり) 右方に天拝山祈誓の立像左方に本地仏十一面観音の像を置く、 勧請の年代を伝へず、 頼朝初めて大蔵の地に館造営の時当社を以て鬼門の鎮神とす(社伝に據る)
[中略]
△老松殿 本社の東にあり、毘沙門を置く、
△紅梅殿 本社の西にあり、正宗の刀(庖刀正宗と号す)を神体とせしが今は不動を置く、 共に慶長十二年瀧川下総守雄利修理す(棟札あり)其後の事本社と同じ、
△末社 弁天(境外にあり、当社は頼朝館の郭内にありしが、館を若宮大路に移せし時、当社の末社となれりと云う) 稲荷・山神合祀、
[中略]
△別当一乗院 荏柄山と号す、古義真言宗(京、東寺末)