八幡神社 鹿児島県鹿屋市大姶良町 旧・村社
現在の祭神 応神天皇・仲哀天皇・神功皇后
本地 阿弥陀如来・薬師如来・観世音菩薩

「三国名勝図会」巻之四十九

新八幡社[LINK]

大姶良村にあり。 祭神三座、応神天皇、仲哀天皇、神功皇后なり。 当社は、齢岳公当邑の城に居給ふし時、恕翁公此所にて御誕生ありし故、息災増益の為に勧請し給ふ。 翁公生土神として、甚御崇敬あり。 黄金の円鏡を安して神体とす。 正面に阿弥陀、薬師、観音の三像を鋳出し、背には新八幡宮、氏久と記さる。 山田聖栄自記云、元久公御誕生所、大禰寝院大姶良村内城、氏神岩殿八幡、御懐伊集院大隅守息女と。 祭祀十月十五日也。
恕翁公御誕生ありし時、此所の農民名頭某より、浴湯を献ぜしに、齢岳公子孫繁昌と言て賀し、其称今に伝はれり。 且齢岳公、其名頭に、孫の字を賜ふて、其家代々孫を名とせしむ。 故に今の名頭を孫兵衛といふ。 社山の側に、其子孫居住して、世々香花を供ふ。 又其時に、公より古作の轡一口、馬の焼印一、及鞍鐙等の画を、彼名頭が家に賜ひしとて、今に至り其家是を宝蔵せり。