白山妙理堂 宮城県遠田郡涌谷町箟岳 無夷山箟峯寺(天台宗寺院)の境内社
本地 十一面観音

「日本の神々 12 東北・北海道」

白山宮(三崎一夫)

 箟岳山(232メートル)は、宮城県の北部地方に展開する大崎耕土と称される水田地方のほぼ中央に位置し、山頂からは四囲一帯を展望することができる。 かつてこの山頂の神楽岡と称される一帯に十一面観音を本尊とする箟岳観音堂を中心として二十四坊─現在は多く退転して十七坊─があり、その衆徒によって形成された天台宗無夷山箟峰寺と総称された一山寺院の鎮守として、十一面観音の垂迹とされる白山神が祀られてきた。
 この種の寺院鎮守は、その大部分が明治初年の神仏判然令によって寺院から分離されるが、当社のみはその制度化がおよばず、今日なお従来のまま一山衆徒によって祭祀が引き継がれており、現在では特殊ともいえる形態を残している。
 箟峰寺については、当山の「書出」に、宝亀元年(770)白山宮が創建され、延暦年中(782-806)僧延鎮が開山し、坂上田村麻呂が東征の際、大同年中(806-851)観音堂を建立し、奥州鎮護として霧岳山正福寺と号し、嘉祥年中(848-851)慈覚大師(円仁)が箟岳山の西方に連なる加護坊寺の中院を中興して箟峰寺を奥の院とし、無夷山箟峰寺と改めたとある。