白山神社 岐阜県本巣市根尾能郷 式内論社(美濃国大野郡 花長神社)
旧・郷社
現在の祭神 伊弉冊命・伊弉諾命・菊理媛命
本地 虚空蔵菩薩・十一面観音・聖観音

「日本の神々 神社と聖地 9 美濃・飛騨・信濃」

白山神社(佐野正隆)

 能郷は西美濃の北端、越前との国境にそびえる標高1617メートルの能郷白山(地元では「権現山」あるいは「御岳」という)の東南麓に位置する戸数四十余の山村である。 集落は根尾西谷川と能郷谷が合流する小段丘上に立地し、当社は集落中ほどの高所に鎮座する。 祭神は伊弉冊命・伊弉諾命・菊理姫命。 旧郷社。
[中略]
 養老元年(717)越前の僧泰澄が七所の白山神社を創建するに当たり、その最南の社として能郷白山の山頂に本社を、山麓に御旅所を建立したが、本社への登拝が急峻ゆえ困難をきわめたので、のちに御旅所を本社、山頂の本社を奥宮にしたと伝えられる。
[中略]
 当社は『美濃明細記』『新撰美濃志』にいずれも「熊野白山権現」とあることから、熊野系信仰を受け入れていたものと思われる。 また、現存する三躯の金銅仏のなかに十一面観音および聖観音とともに虚空蔵菩薩があることから、高賀山系の信仰も入っていたと推察される。