榛名神社 群馬県高崎市榛名山町 式内社(上野国群馬郡 榛名神社)
上野国六宮
旧・県社
現在の祭神 火産霊神・埴山毘売命
[合祀] 水分神・高龗神・闇龗神・大物主神・木花開耶姫神
本地
中殿地蔵菩薩(勝軍地蔵)
左相殿不動明王
右相殿毘沙門天

「神道集」巻第三

上野国九ヶ所大明神事

六の宮は春名満行権現と申す。 本地は地蔵なり。

「上野国妙義山旧記」

破胡曽大明神は日本仁王四十九代光仁天皇御宇上野国十四郡内利根河西七郡中に群馬之地頭は群馬太夫満行と申、榛名山満行大権現と顕、本地地蔵菩薩 同御前に神と顕被破胡曽大明神と成る、 男子八人神と顕る内一人八郎大明神

「榛名神社社頭造営勧化疏」

伏して惟るに、榛名山満行宮は本地将軍地蔵尊にておはします、 元と如来の在世忉利天にて付嘱を受け、滅後の群生を救ひ給ふ大慈大悲の導師なり、 且つ将軍の身を化して大威徳あり、 則ち満行宮の迹を垂れて天下泰平五穀豊穣万民快楽の神験古今に著し

「榛名山志」

本社 祭神三座
 東相殿 饒速日尊
 中殿 元湯彦命
 西相殿 熟真道命
神伝は略して記さず。 三神一号を満行宮大権現と曰ふす。 人皇二世 綏靖天皇御宇鎮座  三十二代 用明天皇御宇始建社祭焉
一に吉田の説とて、
 東殿 国常立尊
 中殿 伊弉諾尊・伊弉冊尊
 西殿 大己貴命
右の説甚怪しむべし。 当山に貴宮といふ小祠あり。 古老相伝ふ、是当山の本主にして満行宮鎮座已前の地主神なり。 祭神大己貴命なりと、是非を知らず。
[中略]
本地堂 勝軍地蔵菩薩

井田安雄「榛名信仰」

中世の榛名信仰

文化十一年(1814)上野寛永寺よりの尋書の回答の中に以下の記述がある。
榛名神社満行宮鎮座、本殿埴安神、本地地蔵菩薩、左相殿 国常立命、本地不動尊、右相殿 大己貴神、本地 毘沙門天
右三神一社に満行宮と祭来候
また、天明四年(1784)の崇敬者および天台一門宛の、榛名神社社頭造替費勧化のための輪王寺一品大王の令旨によると、
上野州榛名山大権現者本地将軍地蔵尊にして、天下泰平五穀成就之神社也
とあり、本地仏を将軍地蔵としているとある。

「中世諸国一宮制の基礎的研究」

上野国

Ⅲ 三宮以下

〈六宮〉
1 榛名神社。 「椿名」「春名」とも書く。
5 神仏習合色が強く、中世には満行権現(元亨3年<1323>鉄灯籠銘・神道集)。 近世には火産霊神・埴山毘売神。 本地仏は地蔵菩薩。
6 榛名寺(榛名巌寺・榛名山寺・巌殿寺ともいう)。 近世以後は「榛名山巌殿寺」と称した。