日枝神社 福井県小浜市太良庄 『若狭国内神名帳』所載社(遠敷郡 正一位勲三等 比叡大明神)
現在の祭神 伊弉冊尊
[配祀] 大山咋命
本地 地蔵菩薩

「太良庄山王宮縁起」

太良庄山王大権現縁由記
天平宝宇五辛丑年八月三日、玄基法印入定修行砌、仏前松樹上に一つの月輪顕現し、其の月輪の中に宝珠有り。 金色の光明十方に輝き、玄基法印修定を照すこと、良暫し転じて上界天子と成る。 無数眷属雲集し、其の容儀巍巍して宛も三十三天王の如し。 不思議の境界を観見すと雖も、然とも玄基法印深く三摩地に住して少も動し給はず。 爾時に天王曰く、我れ常に諸法実相の妙法を愛楽し、勤修法師を衛護するか故今に示現すると。 其の声に驚て玄基法印定より起て神王を礼し奉り、我れ天王を知らず、云何なる神王なるや。 神の曰く皇尊天津彦彦瓊瓊杵尊也。 国家を守んか為に葦原中国に天降り、地神第三代主也。 無仏世を照して、或は地蔵薩埵応化し、深蒼生を憐み、光を和け塵に同して権に神と現る。 殊に三尊三密三諦三才等の無尽の理を一心に具ふこと、竪横の点画を表示て、我を山王と名く。 永く跡を此地に垂れ仏法国家を鎮護んと新に神勅有れば、玄基歓喜再拝する間に、紫雲に乗て御眷属倶に東南方を指て遥に去給。 所以に不日に社頭を勝地に造営し、鎮守大権現と崇仰し奉る。 其の以来玄基法師読経座禅砌には、仏殿内に時々容色を現し、道場に影向したまふ云々。